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<古書 西荻モンガ堂> いよいよオープン!!

いよいよ明日15日(土)12:00.「古書 西荻モンガ堂」がオープンしますね。
鶴首ならぬ、ろくろ首状態で待たれていた方も多いのではないでしょうか。

古書 西荻モンガ堂  9月15日(土)  12:00オープン!!

http://d.hatena.ne.jp/mongabook/

■住所:東京都杉並区桃井4-5-3 ライオンズマンション102
■電話:03-6454-7684
■営業時間:12:00~21:00頃 定休日:水曜日

●オープニングイベント  保光敏将個展  『黒ネコト三羽ノ白カラス』
期間 9月15日(土)~10月2日(火) ※水曜日休み
*古書 西荻モンガ堂のロゴ・モンガトリをデザインをされた保光敏将さんの展覧会を開店イベントとして開催。

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店主のモンガさんといえば、「一箱古本市」「みちくさ市」ほか多くの古本市に参加し続け、この世界では知らない人はいないくらい有名な方。
素朴で、飾らず、いっしょにいるとほっとするところが、多くの人を惹き付けているのではないでしょうか。すでに大勢の方々が陣中見舞いや、手伝いに訪れていらっしゃることからもその人柄が伺えます。

私は既に2度訪れていますが、開店準備に追われ、さすがにやつれていました。「開店前に倒れないによう気をつけてくださいね」とお願いしつつ、リコシェさんと値札シールの貼り付けを手伝ったくらいで、私はたいして役に立っていません。(リコシェさんは備品の買い出しなどもされ、モンガさんはかなり助かったと思います)

自宅がすぐ近くとはいえ、本を運び込むのにいったい台車で何往復したのか、想像するだけで気が遠くなります。夜中にこつこつと一人で作業している姿が思い浮かぶと「大丈夫かなあ」と不安がよぎることもありました。
でも、なんとか開店できそうですね。

文芸書を中心に幅広い分野の本が揃っています。カウンター前の目玉商品の棚は本好きなら唸ること間違いなし。
「一度に出すのはもったいないと思いますよ」と、思わず口にしていました。

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開店前の心境を「モンガの西荻日記」(http://monganao.exblog.jp/17954584/)に綴られていますが、これがとてもいいですね。
いつものモンガ節でありながら、定年まできっちり勤め上げたモンガさんの重みを私は感じました。

2年ほど前、古書往来座で開かれた「外市」の帰り、モンガさんと2時間近く話しをしました。
モンガさんが古本を買うようになったきっかけ、本を置くために千葉に借りているスペースのこと、古本屋開業への想いなど話題はさまざま。その際、貸し棚のことが出て、開店したら<とみきち屋>も本を出させていただくことが自然に決まったのです。

2年越しの約束を果たす時が来ました。
<とみきち屋>は対面販売でこそ持ち味を発揮できると思ってきましたので、貸し棚は異例です。
少しでもモンガさんの役に立ててればという思いから参加しますので、正直利益のことはほとんど考えていません。(いつもより安く売るということではありません)

これは、今回モンガ堂開店のアドバイザーとして大活躍の書肆紅屋さんも同じ気持ちであると、先日お会いした際知りました。

私は自分を相当マイペースだと思っていましたが、モンガさんはさらにすごい。だから、いろいろなところに目が行き届いて、どんな小さなことでもきっちりやり遂げる紅屋さんとは好対照。そんなお二人の会話を傍らで楽しませてもらいました。何分気楽な立場なのでそれが許されたとも云えますが。

貸し棚にはほかに、前述の<書肆紅屋>さんを始め、ついこの前まで<音羽館>さんに勤めていた<あり小屋>さん。古本市常連の<つぐみ文庫>さん。古本市や古本関連のイベントなどには頻繁に足を運び、多くの方がご存じのSさんが、初めて(客としてではなく)店主として参加されることになっています。店名は<S氏コレ堂>。こちらの方もご覧になってください。

<古書 西荻モンガ堂>でみなさまにお会いできるのを楽しみにしております。

<とみきち屋>は、モンガ堂や他の貸し棚店主とかぶらない本を出すこと以外、ほぼいつものような出品になると思います。
ただ、古本市では出しにくかった本を今回は少し並べたいと思っております。
例えば以下のような本。

■クリスチャン、ノルベルグ=シュルツ『西洋の建築ー空間と意味の歴史』(本の友社)
■多木浩二、八束はじめ『10+1 創刊1号 特集ノン・カテゴリー・シティ』(図書出版社)

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<古書ほうろう>さん、<book cafe火星の庭>さん 

2月5日(土)、<古書ほうろう>さんに、4箱分の本を引き取ってもらった。

この一年弱で1000冊以上持ち込んだ地元馴染みの古書店は、倉庫も、バックヤードと呼べるスペースも持たない小さな店ゆえ、本をストックするには限界がある。
一日に訪れる客の数も、<古書ほうろう>さんのような、有名なお店に比べれば圧倒的に少ない。
加えてお得意さんの一人が、もう2階の床が抜けそうだと最近1000冊まとめて処分された。
そこで、宮地さんに相談。突然のお願いだったが、快諾していただく。

不忍の一箱古本市に初参加した際に「いいですね」と宮地さんに云っていただいたことが、本との新たな関わりの出発点になっている。25年以上の付き合いがある地元の古書店が第一ならば、ほうろうさんは「一箱古本市」も含め第二の故郷。家から遠く、頻繁には行けないことを考えると、故郷という表現がしっくり来る。
自分の本棚の一部を見られるような恥ずかしさはあったものの、思い切って持ち込んだ。
いろいろ考えて選んだつもりではあったが、ほうろうさんにとって稀少、貴重と思える本は無かっただろうな。

当日、宮地さん、ミカコさんが笑顔で迎えてくれたのでほっとする。
ここで本を見ていると、ほんとうに時の流れを忘れる。
資金と場所があれば(これは儚い夢)、読みたい、手元に置いておきたいと思う本が所狭しと並んでいるからだ。
一籠CD市も開催されていたが、クラシックCDが目に止まらなかったので、店内の本ばかり見て廻る。500円均一棚をじっくり見るのは初めて。その充実振りには目を見張った。
店内全部を見てはいないのに、あっという間の一時間強。
「お手すきの時にゆっくりでかまいません」とお願いして辞す。

お店ではdozoさん(とみきち屋のお客様のお一人)とばったりお会いした。やつれたような感じがして心配。お話をうかがうと諸々のことでたいへんそうだ。腱鞘炎もあって、本の頁をめくるのも苦労されているご様子。
「ストレス解消は本を見て廻り、いい本に出会うことですね」と、気持ちは同じ。
少しでも元気になられることを祈っています。

ほうろうさんでは以下の本を購入。

■荒川洋治『試論のバリエーション』(學藝書林)

知らない詩人がたくさん取りあげられている。荒川洋治がどう捉え、何を伝えてくれるかで、新しい詩人との<出会い>があるかもしれない。それが楽しみ。

■竹田青嗣『近代哲学再考』(径書房)

現在は早稲田大学国際教養学部教授らしいが、雑誌『流動』に文章を書いていた頃から読んでいたこともあって、私にとって竹田青嗣は在野の人。いわゆる哲学の専門家からすれば、正統な哲学とは云えないのかもしれぬが、そんなことは構わない。哲学的思考を今私たちを取り巻いている現実に結びつけようとする熱意は評価したい。それは生き方を説いているものでもなければ、昨今ニーチェに関して乱発されているお手軽な解説とも違う。

■三浦雅士『メランコリーの水脈』(福武書店)

福武文庫、講談社学芸文庫で持っているのに、懐かしさからついつい手にとってしまった。『私という現象』『主体の変容』は単行本をとってあるが、これは手放してしまった。美本500円は魅力。

前野久美子編・著『ブックカフェのある街』(仙台文庫) ※新刊

一昨年(2009年)6月7日、シークレットワメトーク「Take off Book! Book! Sndai」で、<book cafe 火星の庭>前野さんのお話を聞く機会に恵まれた。

(その時の記事 →http://ramble-in-books.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-ee84.html )

岡崎武志さんの『女子の古本屋』(筑摩書房)を読んでいたので前野さんの凄い経歴は知っていた。それだけに穏やかな話しぶりに一瞬虚をつかれたが、話される内容からはやはり、強固な核を持っていらっしゃる方だなと思えた。
昨春の「一箱古本市」の打ち上げの帰り、その前野さんと妻を含め三人で偶然お話することができた。
翌日にシンポジウムを控え、2次会後帰られるところで、駅の改札まで<古書ほうろう>のミカコさんが見送られるところだった。こういう気配りはさすがだと思った。宮地さんはすでに出来上がっていたかな(笑) 
池袋までのわずかな時間であったが、ご一緒させていただく。
お嬢様のことを「不思議ちゃん」と私たちが表現しても、笑顔で楽しく話していただいた。
しっかりと前を見据えながら、風のように移動している。そんな感じのする素敵な方でした。

帰宅後、さあっと目を通す。開店までの経緯、その後のエピソード、海外を旅してブックカフェを見て回った時のことなどがいっぱい詰まっている。
「私にとってブックカフェをやることは人を好きになること」と云う前野さん。
多くの方々が集まってくるわけですね。

お店で催されている作家・佐伯一麦による<文学散歩>は羨ましい限り。佐伯一麦はデビュー当時からほとんどの本を読んでいる好きな作家。
本書には、古井由吉『杳子』を取りあげた第2回のことが載っているが、2月6日の第4回は岡崎さんも加わった「『海灰市叙景』をたずねて」だったのですね。

岡真理『アラブ、祈りとしての文学』(みすず書房)、『佐野洋子対談集 人生の基本』(講談社)、大澤真幸『「正義」を考える 生きづらさと向き合う社会学』(NHK出版新書)の3冊を同時に読み始めたばかりなので、じっくり読む楽しみは取っておいて、今は妻が先に読んでいる。

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本の整理、気持ちの整理

この3ヶ月、本を売った数は購入した数の10倍近くに及んでいる。
既に限界を超えている自宅を、人間として生活できるくらいに回復させる。
これだけでは単なる物理的処理でしかない。
そうではなくて、本を取り巻く環境を整理する。
生活の基盤を見つめ直し、気持ちの整理を図ろうと思い始めている。

50を過ぎて何を云っているのだと思われかねないが、まだ地に足がついていない。
生活にリズムがない。だから穴に落ち込む。

本を買わない、読まないということではないのです。
古本市に参加しない、足を運ばないということでもありません。

気付かないまま、一昨年秋の一箱古本市以来闇雲に突っ走ってしまったようです。
足下を見つめ直す。
言葉で云うほど容易なことではありませんが、少しずつであれ変えていかねばならない。
二ヶ月に及ぶ冬眠中に、そんなことを考えていました。

本断ちするなど至難の業。というより、そういうやり方で何かが変わるとも思えないので、まずは大量に本を整理することから始めようかと。
そして、実際始めています。

おかげさまで5月の一箱古本市で141冊、みちくさ市で118冊手元から旅立っていきました。
その後、地元馴染みの古書店、新しく見つけた古本屋、ブックオフ数店舗へ今日までに持ち込んだ数800冊強。
合わせれば1000冊以上。しかし新刊含め100冊は購入しているので、家の中の段ボール箱山積みの風景はさして変わらない。

本をコレクションする趣味はなかった。
結婚までの6年間、風呂も冷房もないアパート暮らしの頃の蔵書数はせいぜい700冊くらい。
結婚直後も狭いアパートだったので、増えて1000冊。そんなものだった。
今のマンションに引っ越し、自室をもらってから増殖し始める。
そしてこの2年弱、古本市に参加するようになって一気に拍車がかかってしまった。

どうしても2冊とって置きたいものを除き、複数冊所有しているものは1冊にする。
それだけでも、かなりの数減らせるはず。
さらに、再読しそうにないと現時点で思える本は処分する。
この選定、本好きには極めて厳しいものがあるが、ここはもう思い切るしかないだろう。

まあ、能書きばかりたれていないで、実行あるのみですね。

今後も可能なら、年に2,3回は古本市に出たいと思っていますので、「なんだ<とみきち屋>、魅力なくなったな」と思われないくらいの本は確保して置きます(笑)

で、今夜はこの三ヶ月で6回本を引き取ってもらっている地元馴染みの古書店へ3箱、100冊ほど持ち込んだ。25年以上の付き合いで、6000冊近く買ってもらっただろうか。
それなりの信頼関係があるゆえ、ブックオフあたりで105円棚にある、月並みな本を多数持ち込むわけにはいかない。外の均一ワゴン行きが見えている本が若干混じるにしても。
売りに行く前には顔を出して、店内の在庫とかぶっていないか確認している。

こういうことを長年積み重ねてきたので、不景気なご時世にもかかわらず、均一行きを除き、納得してもらえた本は、平均して定価の15%、良い時は20%くらいで引き取ってもらえる。
ほんとうにありがたいことだ。

どんな本を処分しているのか、初めての試みですが、その一部を紹介します。

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たいしたことないですね(笑)

購入した本は以下6冊。おまけしてもらって、計2000円。

■『小林秀雄全作品 別巻1 感想(上)』(新潮社)
■『小林秀雄全作品 別巻2 感想(下)』(新潮社)
最近小林秀雄に関する本を何冊か読んでいたこともあって手が伸びた。
■檜垣立哉『生と権力の哲学』(ちくま新書)
フーコーの思想を中心に据え、ドゥルーズ、アガンペン、ネグリらの「権力」の捉え方に触れている。
■稲垣直樹『サドから「星の王子さまへ」 フランス小説と日本人』(丸善ライブラリー)
サド、バルザック、ユゴー、モーパッサン、サン=テグジュペリ、サルトル、アゴタ・クリストフが取りあげられている。各作家の日本人の読み手として、澁澤龍彦、三島、谷崎、漱石、黒岩涙香、徳富蘇峰、田山花袋、須賀敦子、池澤夏樹、大江健三郎、池内紀、川本三郎の名が。ちょっと面白そうだ。
■井上紀子『城山三郎が娘に語った戦争』(朝日文庫)
■林芙美子『めし』(新潮文庫)

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プラマイゼロ? 古本購入と怪我

金曜夜、仕事帰り。コートに左手を突っ込み、右手に鞄を持ってぼうっと歩いていたら、段差に気付かず足をとられ、2、3歩つんのめり、立て直そうとしたものの敢えなく撃沈。胸のあたりをコンクリートの路面に激しく打ち付けてしまった。痛みでしばらくまともに呼吸できず。
とっさに首を上げたので、顔だけは強打を免れた。しかし、いきなり上体を反らしたので首も痛い。
転ぶまいとこらえようとしたため、腹筋と腿の裏もつっぱっている。何とも情けない。
帰宅しても痛みはひかず「もしや、この痛みは…」。

この10年ほどで2回肋骨をやっている。1回は疲労骨折。もう1回は畑道を自転車に乗っている最中、よそ見をした瞬間に石に乗りあげ転倒。頭をかばおうとしてからだを投げ出したら、胸を激しく打って、ひびが入った。
軽傷だが、今回もまちがいなくひびが入っている。咳、くしゃみはもちろん、笑った時にも痛みが走る。まいったな。

と、言いながら翌土曜は段ボール3箱、約150冊の本を地元馴染みの古書店へ処分。もうこれ以上箱詰めの本を放置しておけぬ我が家の状況。加えて、春からの古本市に参加するために、妻との約束もあり、もう待ったなし(笑)。
何故なら、本というのは不思議なことに自然増殖してしまうものだからだ。

いつものように査定してもらっている間、店内を隅々まで探索。めぼしいものをいつも置かせてもらう場所に積み上げていく。
私が本を持ち込む前、店主はジャック・アタリ『21世紀の歴史―未来の人類から見た世界』(作品社)を読書中だった。それでアタリの、とりわけ超民主主義について少し話した後に、最近の本の動きなどを聞く。
以下の本を購入。

■絲谷寿雄『増補改訂 大逆事件』(三一選書)
■人類の知的遺産『バクーニン』(講談社)

最近自宅では幸徳秋水、大杉栄、アナーキズム関連の本を手に取ることが多くなってきた。黒岩比佐子さんが、ここらあたりの事を何度か書かれているのを読んだ影響だと思う。

■リルケ『フィレンツェだより』(筑摩書房)
■ジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』(白水社)
■深沢七郎『東北の神武たち』(新潮文庫)

いずれも、今後の古本市で考えているテーマを前提に2冊目を購入。リルケはちくま文庫版を。グラックはUブックス版を。深沢七郎は同じ新潮でも、旧版ではなく復刊文庫の方を、それぞれ出品しようかと思っている。

■シュレーディンガー『生命とは何か-物理的にみた生細胞-』 ほか

処分本を持ち込んだ後、車は妻に運転して帰ってもらう。で、一人ぶらぶらと地元ブックオフ経由で帰る。雑誌半額セール実施中。

■文藝別冊『総特集 武田百合子』(河出書房新社)275円
■新潮社100年記念『新潮名作選 百年の文学』53円

2冊ともありがたい。うちは二人とも武田百合子ファンなので、特に前者は嬉しい。

■兵頭正俊『ゴルゴダのことば狩り』(大和書房)105円
昔どこかで見たことのあるタイトルだなと思いながら、パラパラめくっていたら、何と吉本隆明が解説を書いている。そういえば、兵頭は昔、『試行』に寄稿していたような。
■松下竜一『怒りていう、逃亡には非ず 日本赤軍コマンド泉水博の流転』(河出文庫)105円

本日日曜は朝から夕方まで仕事。ひどくはないが、肋骨が痛む。当分湿布のお世話になるな。
仕事を終え、久しぶりに沿線の、おじいちゃんがやっている小さな古本屋さんへ。目立たない店だが、けっこういい本置いている。

驚きました。ついについに念願の2冊目購入。
篠山紀信・中平卓馬『決闘写真論』(朝日文庫)。絶版になって以来ずっと足を使って探し続けてきたが、古書買いエリアの狭い私にはお目にかかる機会が全くなかった。ネットでの相場よりは安かった(ネットで買うつもりは全くなかったが)。でも、値段ではない。見つけられたことが嬉しくてならないのだ。これを古本市に出すかは迷うな。
しばし喜びに浸る。その後、ふっと目を移すと、洲之内徹『気まぐれ美術館』(新潮文庫)。新古書店ではないので半額というわけではないが、これも頂戴する。これで何冊買ったことになるのか。
期待はさらに膨らむ。棚をじっくりゆっくり見ていく。
「どうしてここに…」と思わず絶句。
五味康祐『いい音、いい音楽』(読売新聞社)! 昨秋の一箱古本市で手持ちの中から出品し、喜んで持ち帰っていただいた本だ。1000円でも安い。しかし…。あまりにも汚れが酷い。現在2冊持っているので、この状態ではさすがに追加購入は無理と諦める。
しかし大満足。

帰り、懲りもせず、地元のブックオフを覗く。単行本500円均一セール。こんな時間では何も残っていないだろうと、冷やかし半分で棚を眺める。けっこう隙間ができている。朝から大量買いの跡がくっきり。ところが。
いやあ、残っているものですね。運がよかったというのか。

■田中美代子『三島由紀夫 神の影法師』(新潮社) 525円

これは『決定版 三島由紀夫全集』(新潮社)月報連載がもとになっている。女性による本格的な三島論はこれまで読んだことはなく、著者は全集の編集委員でもあった。期待大。

ついでに、■木下和寛『メディアは戦争とどうかかわってきたか 日露戦争から対テロ戦争まで』(朝日新聞社) ■臼井吉見『肖像八つ』(筑摩書房)を各105円で購入。

夜、妻に、「肋骨にひび入ったけれど、その分いい本買えて、元とったよ」と得意げに話すと、唖然とされた。変なこと言ったかな?(笑)

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「羽鳥書店まつり」へ

このイベントの企画を「古書ほうろう」さんのブログで知ってから、ずっと気になり注目していた。しかし、初日の11日は祝日なのに仕事で行けない(泣)。この時点で足を運べるとしたら、最終の日曜くらいか…と消沈。
10,000冊近い出品本の中からごく一部をブログで紹介していたが、そのラインナップを見るだけで、100円、500円、1,000円での均一販売がいかに凄いことになるかは、私のような素人でも想像がついた。
故に、開催後は「羽鳥書店まつり」に関するブログはできるだけ見ないようにした。
だってそうでしょ。「こんな本を100円、500円で買いましたよ」なんて報告を見てしまったら、地団駄踏み、臍を噛み、倒れてしまいかねない(笑)。

<どすこいフェスティバル>のKさんから、行かねばきっと後悔するーと思わせてくれる、温かいご案内をいただき、最終日に駒込大観音光源寺へ駆けつける。
終了1時間半前到着。既に9割以上売れてしまっていたような。
それでも、けっこう人がいる。女性も多い。
じっくり手にとり、ところどころ目を通しながら買いたい性分なので、押し合いへし合いは苦手。輪の外から指をくわえて順番を待つこともなく、落ち着いて見られたのでその点はよかった。(半ば悔し紛れ)

「古書好きどもが夢の跡」、不図こんな言葉が口をつく。空しさを感じたという謂いではない。
むしろ、「新たな胎動」を、残っていた本からインスピレートされた。
多くの本好きの方が、目を光らせ、驚きと歓喜とともに数々の本を手にする様子が、ありありと目に浮かぶ。
そんな夢のような時の名残が、なんとも言えぬ心地よさとともに伝わってきた。

羽鳥和芳氏個人の圧倒的な蔵書が多くの人動かした。
既に補充分も尽き、残されたわずかな本を見ただけで、そう実感できたことを嬉しく思う。

まだまだ本は多くの人に求められている。
書痴に限らない。本好きは多種多様だ。

一箱古本市、みちくさ市、古書往来座外市などにも、ふらっと立ち寄った人が、「ああ、こんな本があるんだ」「昔読んだ、懐かしいな…」「何だか面白そう」と、創出された空間に触発され、持ち帰る光景を何度も見てきた。

個人蔵書による古本市への興味だけで、これだけの盛況を極めることはなかったのではないかと思える。出品された本の量、ジャンルの幅広さ、質。他の古本市では無理と思われる値段(安価)での、3段階均一販売も大きな要因になっていたはず。
そして、この企画を考案した宮地さんはじめ「古書ほうろう」の皆さんの情熱、不忍ブックストリートの中心的な役割を担っている方々や地元の支え、そして<わめぞ>の方々の頼もしく、暖かいバックアップがあったことを忘れてはならないだろう。
羽鳥書店および羽鳥社長が東大出版会時代に手がけた出版物も新刊本として、地域雑誌「谷根千」とともに、往来堂書店の協力により販売されていた。

残り香を堪能したに過ぎないが、かつてない画期的な試みであったと言える。

会場では過日定年を迎えられたモンガ堂さんにご挨拶。さすがモンガ堂さん、4日連続の皆勤。
ご家族で来られていたjunglebooksさんにお会いする。かわいい息子さんに「こんにちは」と声をかけて貰った。残りわずかな時間を、お互い本探しに専念。短い立ち話のみでお別れする。Yさんも皆勤とか。そのエネルギーに脱帽。

<わめぞ>立石書店・岡島さん、やまがら文庫のYさんたちが、どんどんなくなってゆく本の整理をひっきりなしにされていた。箱に空きができると、客が見やすいよう、思わず手に取りたくなるよう、絶妙にレイアウトを変えていた。こういう心配りが、本の売れ行きをさらに加速させているのだなと実感。
岡島さんからは「次は3月ですよ!」と言われる。そう、「古書往来座外市」(3月6・7日開催)「第5回鬼子母神通り みちくさ市」(3月22日開催)と続く。
今のところ仕事の予定はない。問題は、私が店主とみきち(妻)との約束を果たせるかどうかだ(笑)

宮地さん、ミカコさんともお話しさせていただく。
「みなさんの喜ぶ様子を見ていられるのが嬉しくてならない」という宮地さん。
疲れはピークに達しているはずなのに、淡々と、穏やかな笑顔でおっしゃる。
ああ、こういうところに惹かれるんだなあと、思いを新たにする。
ミカコさんからは、羽鳥社長には断腸の思いもあったのではないかというようなことをうかがう。
20年かけて購入された本たちへの愛情はいかばかりか。本好きなら想像つくはず。
売ることを前提にして買った本ではないのだから。

宮地さんたちは、愛蔵書が旅立つにふさわしい場をつくり上げた。
素晴らしいことだと、心から思う。

<購入本>

■三浦雅士『夢の明るい鏡』(冬樹社)
■西谷修・鵜飼哲・宇野邦一『アメリカ・宗教・戦争』(せりか書房)
■西谷修・鵜飼哲・港千尋『原理主義とは何か』(河出書房新社)
■鶴見俊輔『戦時期日本の精神史』(同時代ライブラリー・岩波書店)
■丸山圭三郎『カオスモスの運動』(講談社学術文庫)
■井上健『作家の訳した世界文学』(丸善ライブラリー)
■現代思想『いまなぜ国家か』(青土社)
■現代思想・臨増『思想としてのパレスチナ』(青土社)
■大航海『カリスマ 天皇制からイスラム原理主義まで、現代社会を解く鍵!』(新書館)
■大航海『1990年代 新世紀への飛躍のためのこの10年!』(新書館)

三浦雅士は、先日触れた堀江敏幸『書かれる手』(平凡社ライブラリー)に刺激されたかな。昔読んで売ってしまったが、パラパラめくっているうちに当時が思い起こされ、手元に置きたくなった。
『ユリイカ』1970-1975、 『現代思想』1975-1981における編集後記集。巻末には各誌の総目次も載っている。(『ユリイカ』1970.7-1975.1・『現代思想』1975.4-1981.12)
西谷修は、『不死のワンダーランド』(講談社学術文庫)を読み終えたばかりなので、もう少し拡げてみようかと。鶴見、丸山は持っているが100円に惹かれ2冊目。

会場を後にし、「古書ほうろう」へ。私の好きな人文系の魅力ある本がたくさん揃っている。古書組合に属さず店買いだけで、どうしてこれだけの本が集められるのか、いつも不思議に思う。千駄木という地域性を差し引いても。

選んだ本をカウンターへ持っていこうとしたら、聞き覚えのある声が。古書市で知らない人はいないというHさん。店内で購入され、そのまま店を出て行かれそうになったので、慌ててご挨拶。
「いやあ、Hまつりかと思いましたよ」と満足気なご様子。いったいどれくらい買われたのだろう。想像もつかない。
店にいらっしゃった山崎さんとも少しお話しさせていただく。今までにない大きな試みで、さぞかしたいへんだったことが言葉の端々からうかがわれた。
私が店内にいる間にも、「羽鳥書店まつり」の後、店に寄られる方が何人もいらっしゃって、皆さん「よかったですよ」「すごい催しでしたね」と感想を伝えていた。それを聞く山崎さんの嬉しそうな横顔がとても印象的だった。

第10回不忍ブックストリート「一箱古本市」は4月29日・5月2日開催。こちらも楽しみだ。

<購入本>

■エリ・ヴィーゼル『夜・夜明け・昼』(みすず書房)
■プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』(朝日選書)

ヴィーゼルは『死者の歌』と『夜』は読んでいた。(『夜』は最近新版が出たみたいだ)
『夜』に始まる3部作の残りをようやく読める。少し傷みはあったが、1000円でいいのですか?と思わず口に出そうになる。
フランクル『夜と霧』(みすず書房)は幾度となく読み返しているのに、レーヴィは、恥ずかしいことに『いまでなければ いつ』(朝日新聞)しか読んでいなかった。つまり肝心要の本を未読。さっそく読まなければ。

■ビュトール『心変わり』(清水徹訳・岩波文庫)

かれこれ30年前に読んだ河出書房新社版はまだ手元に残っているのだが、全面的に改訳したと書かれている上に、文字も大きくなっているので思わず買ってしまう。

■リテレール別冊4『1993年 単行本・文庫本ベスト3』(メタローグ) 100円

これは買いそびれていた。帰りの電車の中でパラパラ拾い読み。久世光彦がこんなことを書いている。
「つい先ごろ、たまたま『パルムの僧院』を読まねばならぬことがあって読み出したら、面白くて夜が明けてしまった。私が毎日、習慣だけで通っている書店の本棚に並んでいる膨大な新刊本の中に、これより面白い本が一冊でもあったら、お目にかかりたい。となると、新しい本は、好きで、信用している作者のものしか読まないということになるのだ」
生きているうちにあと何冊本が読めるかを考えた上とはいえ、こう言い切れるところがすごい。いまだに乱読三昧の私には耳が痛い。

■北上次郎『感情の法則』(早川書房) 100円

新刊で読み、幻冬舎で文庫化された際、文庫を買い単行本は売ってしまった。しかし、先日夜中に何とはなしに手にとって読み始めたら、しみじみ。単行本もとっておけばよかったなと後悔。それから1週間も経っていない。何というタイミング。

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バッハに浸り、古書買いを愉しむ

妻の親友が演奏に参加しているコンサートへ。曲目はすべてバッハ。
カンタータ107番、140番、202番にブランデンブルク協奏曲第4番。独唱者以外はアマチュア。指揮者なしでの演奏はプロでも難しい。しかし、互いの音を聴きながら、合わせ、音楽を築きあげてゆく喜びが聴衆にも伝わってきて、会場全体が和やかな雰囲気に包まれた。
曲によってヴァイオリンの独奏者が替わるのも、違った音色が聴けて楽しい。
140番《目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声》、とりわけ4曲目のコラールは有名で、この旋律が聞こえてくると、心が自然と鎮まる。
神への信仰を持たない者にも、なにゆえバッハの音楽はかくも沁みてくるのか、いつも不思議に思う。

4年前の2月、サントリーホールで聴いた《マタイ受難曲》が甦ってくる。ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル。
コンサートで感涙したのは半世紀の生涯において一度しかない。
自身、精神的にどん底の状態ではあった。
しかし、それとは関係なく、打たれた。
魂の奥深くまで揺さぶられ、
気がつくと、目に映る光景が歪み、流れていた。
「神」を観たわけではない。
単なる感動とも違う。
浄化…それも少し違うような。
敢えて言うなら、救いであろうか。
全き肯定による慰撫の中に包まれていた。
バッハの《マタイ受難曲》が、人類の生み出した至宝の音楽と呼ばれることに何の異存もない。

コンサート終了後、新宿御苑大木戸門のあたりから、新宿に向かい、妻と寒風の中を歩く。
昔一度だけ訪れた記憶が残っている古書店が残っているか確かめたくて。
ありました、新宿通り沿いに。「昭友社書店」。
店外にしつらえてある木製の棚を見るやいなや、ツレの存在を忘れたかのごとく足早になり、そのことを指摘される(笑)。
店の外のショウウインドウが面白い。オペラのDVD、春画、鉄道関連の絵本(?)などが混在(笑)。
外の棚から、
■ガルシア・マルケス『青い犬の目』(福武文庫)、ヘッセ『婚約』(新潮文庫)2冊計100円。

店内は雑然としているが、ある意味ワンダーランド。奧の小スペースはアダルト系。しかし、入って左側は人文、思想、芸能、写真他様々なジャンルが収まっている。
サンリオ文庫が紐でしばったまま積み上げてあったり、小さい棚に旺文社絶版文庫。店主の斜め前には荒木経惟特集の棚。天井近くにとりつけられた板の上にCDがごっそり。立川談志の遺言大全集なんかも載っている。
漫画もけっこうあったような。雑誌の上に、ショルティ指揮シカゴ交響楽団のブラームス交響曲全集のLPが無造作に置かれていたのには驚いた。

一人だったら一時間以上滞在していただろう。店内では以下の本を購入。
■辻征夫『ゴーシュの肖像』(書肆山田)
■久坂葉子『幾度目かの最期』(講談社文芸文庫)
■森敦『浄土』(講談社文芸文庫)

妻が珍しく自分で1冊購入。値段がついておらず店主に確認したところ、非売品ということもあってか、『日本寮歌集』(昭和42年10月改訂版)を100円で。題字はなんとあの佐藤栄作。
「一見華やかに見える今の日本の経済発展や、政治、思想のあり方が常に不安定な破綻因子を含み、自己喪失的な論議空轉(転)に終わっているのを見るにつけ、質実剛健、弊衣破帽を顧みず、切磋琢磨に身を削るような自己陶冶の営みを経た若者の輩出が若(も)し続いていたら、と思うのは私だけであろうか」と、旧制高校制度廃止を嘆く序文がいい。

自宅最寄り駅で妻と別れ、一人ブックオフへ。

■『西脇順三郎全集Ⅰ』『西脇順三郎全集Ⅱ』(筑摩書房) 各100円
■平井一麥『六十一歳の大学生、父 野口冨士男の遺した一万枚の日記に挑む』(文春新書)
100円
■ 開高健『人とこの世界』(ちくま文庫)100円
 表紙上部に痛みはあるが、どう考えたって店員のミス。「これ、おかしいでしょう」と指摘するほど寛容ではない。黙ってありがたく頂く。
■大曲駒村『東京灰燼記 関東大震災』(中公文庫・限定復刻)100円
■鈴木治雄『昭和という時代(対談集)』(中公文庫)上・下 2冊200円
■グレッグ・イーガン『順列都市』(ハヤカワ文庫SF)上・下 2冊200円

帰宅後、コルボの《マタイ受難曲》をCDで聴く。(全曲通してではないが)
いい休日だった。

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「秋も一箱古本市」まで1週間もないというのに…

3日(土)は「秋も一箱古本市」前の最後の集会に参加。
青秋部のお二人、昔から「一箱」を支えてきた方々がテキパキと作業を進められるのを、傍らで見ているような感じになってしまい、ほとんど役に立たず(汗)。
しかし、ごくごく一部とはいえ、舞台裏を見れたのは貴重な経験でした。出店者からは見えない様々な苦労を知り、感謝の気持ちが深まりました。

終了後、近くの居酒屋へ。開催当日の打ち上げ飲み会には残念ながら参加できないので、お誘いいただいたのをこれ幸いと、何も考えずについて行ってしまいましたが、まわりを見たら私一人が新参者(笑)。
しかし、みなさんフランクで、温かく、まったく緊張することなく過ごせました。
石井さんご夫妻、 「古書ほうろう」宮地さんご夫妻、「やまがら姉弟文庫」のお二人、モンガ堂さん、ドンベー(ブックス)さん。そして初めてお話しさせていただいた「霧のタンス本」のKさん、カリプソ文庫さん、トンブリンさん。楽しいひと時をありがとうございました。

「古書ほうろう」さんで、山口昌男『トロツキーの神話学』(立風書房)、『増補 思想の流儀と原則吉本隆明対談集』(勁草書房)を購入。いずれも300円! 吉本隆明の対談集は増補以前のものしか持っていなかったので、ありがたい。今回はYさんにも初めてご挨拶できてよかった。
「古書ほうろう」さんが自宅の近くだったら、どんなにいいだろうかと思うことしきり。

4日(日)は夕方早稲田青空古本祭へ。古書現世・向井さん、立石書店・岡島さんにご挨拶。
『浪漫 』1973年12月号「特集 三島由紀夫」、『ユリイカ』1976年10月号「特集 三島由紀夫 傷つける美意識の系譜」ほか、国文学、新潮などの三島特集の雑誌をまとめて購入。
『浪漫 』には中河与一による三島論が掲載されており、思わぬ収穫。
探していた、L..マンフォード『芸術と技術』(岩波新書)も手に入れることができた。

その後、高田馬場ブックオフ2店舗を覗き、加藤典洋『文学地図 大江と村上と二十年』(朝日新聞出版)1冊のみ購入。半額になったら買おうと思っていたら、なかなか見つけられず10ヶ月近く経ってしまった。

自宅最寄り駅からの帰り、畑に挟まれた道から眺めた月の美しかったこと。広々とした夜空に、女王のごとく輝いていた。高い建物が周囲になく、空を見渡せる環境はいいものだと、ひとりごちる。単に駅から歩くと20分かかり、田畑の多い場所に住んでいるだけのことなのだが(笑)。

帰宅後、車で実家へ顔を出し、出かけていた妻を駅まで迎えに行ったりしているうちに、日付が変わり、一箱の準備は全く進まず。

さらに、今回出品しようかなと思って手にとった、五味康祐『人間の死にざま』(新潮社)をちらっと読んだのが大失敗。数え切れないくらい読んでいるのに、止まらない。いつの間にか窓の外が白んでいた。

こんな状況なので、出品本の紹介は今夜からになりそうです。もうしばらくお待ち下さい。

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ブック・ダイバー「ふるぽん秘境めぐり」へ

某航空会社機内誌広告の打ち合わせを終えてから神保町へ。ブック・ダイバーで開催されている「ふるぽん秘境めぐり」を覗く。
四谷書房さんが参加されているので、都合のついた時には足を運ぶようにしている。
3日目の夜で、だいぶ売れてしまったのか、残念ながらどうしてもほしいと思う本をみつけられなかった。
出店者によっては得意のジャンル中心の品揃えで目を惹かれたものの、私の読書傾向とは異なるジャンルのため手が伸びず。「一箱古本市」や「みちくさ市」に比べると、割りあてられたスペースも小さめなので、出品本もかなり絞らなければならず、苦心されているのではないだろうか。しかし、こういうイベントは面白いし、いいなと思う。

文庫は全般的に200円が中心で、良書なのに安いと感じる。ただ如何せん、既に所有している本が多く…。
結局、ダイバーさんの棚から今東光『悪太郎』(角川文庫)一冊のみ購入。
帰り際、ガラス本棚に野村秋介『獄中十八年―右翼武闘派の回想』(現代評論社)が2冊も入っているのに目が留まる。現代評論社版(初版)と二十一世紀書院版、2冊持っているのだが、手頃な値段ならもう1冊ほしいと思っていたので値段を訊く。初版ということもあるのだろうが、私が予想した値段より高かったので諦めた。

帰宅後(夜遅くに)「古書往来座」さんの入っているビルの上階が火事でたいへんだったと知り驚く。直接の被害は免れたみたいでよかった。
火と水。人間には欠かせないものだが、時に私たちに牙をむく恐ろしいものと思えてならない。火事だけではなく、この何年か異常気象による水害も多いので、いっそう。

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古本界の新しいムーブメント 「一箱古本市」、<わめぞ>のことなど

昨日は仕事の資料作成に時間をとられ40分の仮眠。満員電車に揺られ、朝8:30から打ち合わせ。昼間3件ほど仕事先を訪問。夕方、目録「逍遥」で申し込んだ本を受け取りに古書現世・向井さんのところへ。

先日のシークレットワメトーク「Take off Book! Book! Sndai」のことなどを話す。ワメトークに関しては、書肆紅屋さんが詳細をレポートしてくれています。これまでの<わめぞ>の活動、南陀楼綾繁さんを中心とする一箱古本市の流れ、岡崎武志さんの(著書を含めた)影響ほか、古本界の新しいムーブメントの一端を知ることができるので、是非読んでみてください。(→こちら)です。

学生の頃から古本屋通いをしていたが、あくまで人文系をメインとする自分が読みたい本、読みたくなるような本を探すのが目的であって、古本コレクターでもないし、古書業界全般に興味があるわけでもなかった。北尾トロ『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』(風塵社)、高橋徹『古本屋 月の輪書林』(晶文社)、内堀弘『石神井書林日録』(晶文社)は読んでいたが、昨秋一箱古本市に参加するまで、岡崎さん、ナンダロウさん、向井さんの著作は1冊も読んだことがなかった。『sumus』のことも『彷書月刊』のことも知らず。何も知らない素人として一箱に参加して以来、目を向ける世界が大きく変わった。

プロの古書店からは決して生まれない素人参加の一箱古本市。その創始者であるナンダロウさんの功績は大きい。さらに凄いと思わせるのが、運営マニュアルを非公開としていないこと。さらに、ポリシーに反することなく、面白いと思えるものであれば、アドバイザーとして助力を惜しまず、多忙な中、現地へ赴いて行くところ。ナンダロウさんのフットワークと人脈、編集力、岡崎さんの実績、影響力、そこに向井さんが加わって新しい企画なりイベントが生まれたら、衆目の的となり、大きな風が巻き起こるに違いない。実際に店舗を構えている向井さんゆえ、思うようには動けないという制約はあるが、そういう動きをつくっていきたいという熱い思いが言葉の端々から伝わって来た。わくわくする。

 「Book! Book! Sndai 2009」の核となっている、火星の庭・前野さんのことは、岡崎さんの『女子の古本屋』(筑摩書房)で、破格ともいえる経歴、恐るべきバイタリティは知っていたが、今回上京された時の様子をいろいろなブログで読み、この方の魅力がさらに強まる。向井さんが「前野さんとならいろいろやっていきたい」と思うのも肯ける。

「来年は規模は小さくなっても、ほかの月にまた別のことがやれればいい」という前野さんの発言に、器の大きさを感じた。まだ終わってもいないイベントの来年のことを話せる点にではない。プロとしてしっかり地に足をつけながら、絶えず夢や理想を現実に近づけていく。その過程で何かひとつ、形となって成し遂げられたにしても、新たな問題点が浮かんだり、こうした方がいいと思われたら立ち止まらず、軌道修正していく潔さ、強さというものが感じられるからだ。直接お話したことさえないのに、いつか仙台に行くことがあれば、何をおいても前野さんの「火星の庭」に足を運びたいと思ってしまう。

〈 追記 〉

岡崎武志著『女子の古本屋』(筑摩書房)は前述の火星の庭のほかに、旅猫雑貨店ブックギャラリーポポタム海月書林蟲文庫などもとりあげられている。とても面白い読み物になっており、お勧めです。
「古本屋という道で生きるんだ」という決意の重要さを説き、紹介した女性古書店主はその決意を持っている人ばかりであると書かれている。そして巻末には次の言葉が紹介されている。

「『価値のあるもの』を買うのではなく、『自分で価値を作れる』人間は強い」 古書現世(二代目店主) 向井透史

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桜のトンネルを抜け「月の湯古本まつり」へ

4月4日(土)、<わめぞ>メンバー武藤さんのブログで推薦されていた道を辿りながら、とみきち(妻)と共に「月の湯古本まつり」を訪れた。神田川沿い江戸川公園の桜並木、それはそれは見事なものだった。サンドウィッチを頬張りながら何年かぶりの夫婦二人でのお花見。椿山荘の庭、芭蕉庵もゆっくり散策したい気持ちに誘われたが、午後遅めに家を出たので今回は諦める。

昔ながらの銭湯に足を踏み入れるのは40年振りだろうか。何とも言えぬ郷愁に誘われる。小学校1年生2学期に団地に引っ越すまでは、毎日のように通っていた銭湯。行き帰りも含め、日常とは違う不思議な時空間を子どもながらに楽しんでいた。実際に月の湯を訪れることで、『オ風呂ノ話。』を著し、銭湯という文化をひとりでも多くの人に伝えようとしている武藤さんの気持ちを実感できた。

その武藤さんには、3月の「外市」の際に交わした約束通り缶ビール2本(別銘柄)を差し入れ。2本同時にぐびぐびブレンド飲みするかと思いきや(笑)、1本は退屈男さんへ。優しいなあ。

武藤さんから、吉祥寺にある藤井書店さんを紹介してもらう。一階と二階では本の扱いが違うらしく、二階が開いている時がいいとのアドバイス。すかさず、「火曜の定休日以外開けてますよ!」と、藤井書店さん。

退屈男さんの退屈文庫、今回は気合いが入っていた。多くの本にセロファン紙がかけられていて、表示を見るまで退屈文庫とは気づかなかった(笑)。本を見ていると、横にいた若いカップルの女性の方が、三國連太郎・沖浦和光『「芸能と差別」の深層』(ちくま文庫)を手にとり、「これすご~く面白かったよ。三國連太郎って俳優なのに、いろいろ勉強していて知識も豊富でびっくりした」と、連れの男性に薦めている。こういう会話が漏れ聞こえてくるのも楽しい。結局買って行かれたようで、そのことを退屈さんに伝えると喜んでいた。

退屈さんには、(デジカメに収められた)部屋の片付けの経過がわかる写真を見せてもらう。ブログを読んでいたのでかなりの本を処分したのだなと思っていたが、実は3分の1でしかないらしい。出品している本の質、所蔵している本の量は、退屈さんの年齢を考えるとすごい。

読了後処分してしまった■石川淳『安吾のいる風景・配荷落日』(講談社文芸文庫)■吉村昭『私の文学漂流』(新潮文庫)を退屈文庫で再購入。

月の湯入り口横に素敵な雑貨を並べていた「旅猫雑貨店」の金子さんとは、先日開催された「おさんぽ市」をプロデュースされたお兄さま「研ぎ猫」さんのお話しを。腰が低く、いつも明るくその場を和ませてくれる方。<わめぞ>の方々が研ぎ猫さんのお宅に集まっては、よくご飯をご馳走になっている様子が色々なブログで書かれている。人が集まるのがお好きだとか。

そこへとみきちがやって来て、この本を買うよと■細川護貞『細川日記』(中公文庫)を見せる。スリップを「ニシオギ」と読み違えると、金子さんが、「それはニシアキですよ」と「西秋書店」さんのことを丁寧に説明してくださる。なんと、何度も足を運び何冊も本を購入したことのある神保町の書店!本好きを自称しながら書店名を覚えようとしない私の欠点をさらけ出してしまった(笑)

さっそく棚を見に行くと『sumus』のバックナンバーでほしい特集が2冊あったものの、稀少なゆえ値段が少し高めで手が出ず。しかし、いい本が揃っていた。

「古書現世」の向井さんは帳場のレジのところにど~んと坐っていらっしゃる。その姿はまさに親分。しかし、あらゆるところに視線を送り、気配りしているのがわかる。

身内ともいえる<わめぞ>の方々と、客として訪れる私たちや、みちくさ市に参加する時の私たちとの関係性を瞬時に判断し、状況に応じ、的確な言葉を選んでいることを向井さんからは感じる。武藤さんに差し入れしたことは早々と伝わっていたようす。「すみません。次は向井さんにも。お好みは?」と尋ねると、ひと言「現○」。絶句(笑)。

答えに窮し、「これまで向井さんのところの本を一番多く買っているので、それで何とかお許しを」。 ご了承いただけたかどうか(笑)

今回、20年近く探し続けてきたものの手に入れられなかった1冊を「古書現世」さんで購入。

■五味康祐『オーディオ教室』(ごま書房)

手元にあるのは父から譲り受けたものだが、自身書き込み、線引きしてしまっていてボロボロに近い状態。しかも、カバーがない!初めてカバーを見ることができ感涙。五味さんの強烈な顔(イラスト)が表紙を飾っているとは想像もつかなかった。しかも250円という信じられない値段。向井さんが仏様のように輝いて見えた。

他には、■シオラン『四つ裂きの刑』(法政大学出版局)■平岡正明『大革命論』(河出書房新社)をこれまた他では考えられないような値段で購入。

欲しい本をこういう値段でバンバン出してもらえると、向井さんの追っかけになってしまいそうで怖い(笑)

ブログでしか拝見したことのない仙台の「火星の庭」さん。出品されている本は私の好みと重なるものが多かった。所有していなければ何冊も購入していたに違いない。■中村光夫『谷崎潤一郎論』(新潮文庫)を購入。できることなら、仙台へも一度行ってみたいものだ。

「古書ほうろう」の宮地さんご夫妻と久しぶりにお会いでき、嬉しかった。月の湯内にお二人で「萬福亭」というお店を出していたのには驚いた。大人気のチキンライスは残念ながら売り切れ。初めてお会いした時からの印象は変わらず、知的で穏やかなお二人。

宮地さん(ご主人)からは「一箱にはまた参加していただけるみたいで、楽しみにしていますよ」と言っていただく。恐縮するとともにいい意味でのプレッシャー(汗)

一人で本と戯れていた世界から(この半年で)、本と関わるいろいろな方と出逢えるようになったのも、昨秋の一箱古本市に参加したことが大きなきっかけだった。その中でも、開店後まもなく宮地さんに「いいですねえ。好きですよ、こういうの」と声をかけてもらえた事が、どれほど力になったか。5月の「不忍ブックストリート 一箱古本市」への参加を4日(月・祝)にしたのは、実を言えば不忍通りを挟んで古書ほうろうさんの店舗がある側で出店したかったから。(出店場所がほうろうさんの近くになったらなあという淡い期待もあって) 場所が決まったら、下見を兼ねてまたお店の方に伺おう。

Pippoさんのゲームコーナーはいつもながらこどもたちを中心に大盛況。こどもが熱中しているうしろ姿は愛らしく、ほのぼのとさせてくれる。私も今回はゲームに参加、大はしゃぎ。最初だけキノコを釣ったが、虫らしき不思議な物体が妙に気にかかり、釣り上げる度にPippoさんが説明してくれる。「これはナメクジ」。ふむふむ。「これはいちおう、おたまじゃくしのようなもの」には、瞬間お腹をかかえて笑ってしまった。Pippoさん、ごめんなさい。時間をかけ紙粘土でつくられた作品だというのに。よ~く見ると、小さな目が二つ描かれていて、まさにおたまじゃくしでした!

名古屋で出品した詩集は稀少で貴重なものが多く、大評判だったと聞いていたので、そのことに触れると、「私は何度も読んだので、読みたいと思う方に読んでもらえたら」と。こういう想い好きだなあ。私など、大事な本は2冊ないと、「誰かに」という気持ちになかなかなれない。

武藤さんには缶ビールを差し入れしたのでPippoさんには複数所有している本の中から、外市で話題にした作家関連の文庫2冊を進呈。というより、押しつけ(笑)。

帰り際、「古書往来座」の瀬戸さんにとみきち共々「ホンドラック」の説明をしていただく。どれだけ苦労された末に出来上がったすぐれものかがわかる。ホンドラポールの差し入れ口の穴が1㎜たりとも狂いが出てはならないばかりか、微妙な全体のバランス、強度を考えた上での作品。ほんとうに丁寧な作業、そしてその情熱!

「今日は瀬戸さんのところの本は買わなくて・・・」と言うと、「いや~、本を買っていただけなくても、こんなにホンドラックに興味を持っていただけて、説明まで聞いてもらえたので、それだけで嬉しいです」と話す瀬戸さんの笑顔がとても素敵だった。

会場内では、いつ休んでいるのだろうかと思えるくらい、出品者の棚や箱に目を配り、忙しなく本を補充していた瀬戸さん。今度は本の話もさせていただきたいなと思う。

女性のお客様が多かったのが印象的。キレイでかわいい雑貨や小物も目を引くのだろうが、屋内でじっくり、ゆったり見れるのがいいのかなと思ったりした。加えて銭湯という不思議な空間も魅力なのだろう。もちろん、男性の方にもお勧めです。新しい発見があるに違いないので。

当日の様子は、同行した妻(とみきち)がブログ「とみきち読書日記」で写真をアップしております。よろしかったら、そちらの方もご覧ください。

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