カテゴリー「古本」の投稿

バッハに浸り、古書買いを愉しむ

妻の親友が演奏に参加しているコンサートへ。曲目はすべてバッハ。
カンタータ107番、140番、202番にブランデンブルク協奏曲第4番。独唱者以外はアマチュア。指揮者なしでの演奏はプロでも難しい。しかし、互いの音を聴きながら、合わせ、音楽を築きあげてゆく喜びが聴衆にも伝わってきて、会場全体が和やかな雰囲気に包まれた。
曲によってヴァイオリンの独奏者が替わるのも、違った音色が聴けて楽しい。
140番《目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声》、とりわけ4曲目のコラールは有名で、この旋律が聞こえてくると、心が自然と鎮まる。
神への信仰を持たない者にも、なにゆえバッハの音楽はかくも沁みてくるのか、いつも不思議に思う。

4年前の2月、サントリーホールで聴いた《マタイ受難曲》が甦ってくる。ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル。
コンサートで感涙したのは半世紀の生涯において一度しかない。
自身、精神的にどん底の状態ではあった。
しかし、それとは関係なく、打たれた。
魂の奥深くまで揺さぶられ、
気がつくと、目に映る光景が歪み、流れていた。
「神」を観たわけではない。
単なる感動とも違う。
浄化…それも少し違うような。
敢えて言うなら、救いであろうか。
全き肯定による慰撫の中に包まれていた。
バッハの《マタイ受難曲》が、人類の生み出した至宝の音楽と呼ばれることに何の異存もない。

コンサート終了後、新宿御苑大木戸門のあたりから、新宿に向かい、妻と寒風の中を歩く。
昔一度だけ訪れた記憶が残っている古書店が残っているか確かめたくて。
ありました、新宿通り沿いに。「昭友社書店」。
店外にしつらえてある木製の棚を見るやいなや、ツレの存在を忘れたかのごとく足早になり、そのことを指摘される(笑)。
店の外のショウウインドウが面白い。オペラのDVD、春画、鉄道関連の絵本(?)などが混在(笑)。
外の棚から、
■ガルシア・マルケス『青い犬の目』(福武文庫)、ヘッセ『婚約』(新潮文庫)2冊計100円。

店内は雑然としているが、ある意味ワンダーランド。奧の小スペースはアダルト系。しかし、入って左側は人文、思想、芸能、写真他様々なジャンルが収まっている。
サンリオ文庫が紐でしばったまま積み上げてあったり、小さい棚に旺文社絶版文庫。店主の斜め前には荒木経惟特集の棚。天井近くにとりつけられた板の上にCDがごっそり。立川談志の遺言大全集なんかも載っている。
漫画もけっこうあったような。雑誌の上に、ショルティ指揮シカゴ交響楽団のブラームス交響曲全集のLPが無造作に置かれていたのには驚いた。

一人だったら一時間以上滞在していただろう。店内では以下の本を購入。
■辻征夫『ゴーシュの肖像』(書肆山田)
■久坂葉子『幾度目かの最期』(講談社文芸文庫)
■森敦『浄土』(講談社文芸文庫)

妻が珍しく自分で1冊購入。値段がついておらず店主に確認したところ、非売品ということもあってか、『日本寮歌集』(昭和42年10月改訂版)を100円で。題字はなんとあの佐藤栄作。
「一見華やかに見える今の日本の経済発展や、政治、思想のあり方が常に不安定な破綻因子を含み、自己喪失的な論議空轉(転)に終わっているのを見るにつけ、質実剛健、弊衣破帽を顧みず、切磋琢磨に身を削るような自己陶冶の営みを経た若者の輩出が若(も)し続いていたら、と思うのは私だけであろうか」と、旧制高校制度廃止を嘆く序文がいい。

自宅最寄り駅で妻と別れ、一人ブックオフへ。

■『西脇順三郎全集Ⅰ』『西脇順三郎全集Ⅱ』(筑摩書房) 各100円
■平井一麥『六十一歳の大学生、父 野口冨士男の遺した一万枚の日記に挑む』(文春新書)
100円
■ 開高健『人とこの世界』(ちくま文庫)100円
 表紙上部に痛みはあるが、どう考えたって店員のミス。「これ、おかしいでしょう」と指摘するほど寛容ではない。黙ってありがたく頂く。
■大曲駒村『東京灰燼記 関東大震災』(中公文庫・限定復刻)100円
■鈴木治雄『昭和という時代(対談集)』(中公文庫)上・下 2冊200円
■グレッグ・イーガン『順列都市』(ハヤカワ文庫SF)上・下 2冊200円

帰宅後、コルボの《マタイ受難曲》をCDで聴く。(全曲通してではないが)
いい休日だった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

本が舞い込んできた  長澤延子・五味康祐ほか

本が舞い込んできたとしか思えない。そんな一箱古本市後の2週間だった。

先週の日曜、仕事を終え18時頃帰宅。夕食後処分本2箱持って、地元馴染みの古書店へ。
もう25年の付き合いになる。店主といろいろ話しながら過ごす時間は、心が和む。
処分したのは、みちくさ市、一箱古本市で引き取り手のみつからなかった本の一部と、一般的、一箱向きではない読了本をほぼ半分ずつ。かなり前から単行本は動きがよくないと聞いているので、1箱分は文庫にする。講談社文芸、講談社学術、ちくま、中公、岩波など喜ばれそうなものを多めにした。 いつものごとく値付けをしてもらっている最中に、欲しい本を取り、カウンターの端に積んでいく。

■横光利一『夜の靴 微笑』 『愛の挨拶 馬車 純粋小説論』(講談社文芸文庫)

どちらも2冊目。蛇足ながら、吉本隆明『悲劇の解読』に収められている横光利一論は秀逸。

■ジュリアン・グラック『シルトの岸辺』(ちくま文庫)

■足立巻一『やちまた 上・下』(朝日文庫)

今春の一箱古本市で1セット出品したため、蔵書しか手元にない。それで、入手。いずれまた出品しよう。

■五味康祐『天の聲 -西方の音-』(新潮社)
■五味康祐『五味康祐 音楽巡礼』(新潮文庫)

『天の聲 -西方の音-』は、ようやく2冊目を入手。これで五味康祐の音楽本は全て2冊以上揃った。
この本の中の「ベートヴェン <弦楽四重奏曲 作品一三一>」、「マタイ受難曲」は、わずか7~8頁の文章だが、いずれも100回は読んでいる。(『五味康祐 音楽巡礼』(新潮文庫)にも収められている)
そして、文庫には載っていない「三島由紀夫の死」。三島への哀悼の念に満ち、悲しい光を放っている。死ぬべきは自分ではなかったかという煩悶。「自動車で二人の生命を轢いた」著者の、贖罪の涙も塗り込められている。
この自動車事故の際、五味の執行猶予を乞う嘆願書が10名の連署で裁判所に提出された。
志賀直哉、川端康成、小林秀雄、井伏鱒二、井上靖、三島由紀夫、柴田練三郎、水上勉、亀井勝一郎、保田與重郎。

■串田孫一・二宮敬編『渡辺一夫 敗戦日記』(博文館新社)

一時間も居座ってしまい、そろそろお暇しようとした時、カウンター横に積み上げられた本が目に入ってきた。『ユイスマンス伝』の背表紙を見て、これは…とアンテナが反応する。店主に尋ねると、年に何回か処分される方が持ち込んだとのこと。上から下まで顔を横にして目で追っていくと、一番下に『渡辺一夫 敗戦日記』が。
既に買い取りは終わっていても、値付け前。ものによっては、ネット販売に回す。こういった事情は心得ている。しかし、たまにわがまま言わせてもらう。長年の付き合いの中で培った信頼関係がなければとても言えない。
「すみません。それ、いただけませんか?」と指さす。
この本に関しては定価を知らなかった。しかし、いつものように提示された値段で、そのまま頂いた。美本・2,000円。

『考える人 2008年夏号』の特集「自伝、評伝、日記を読もう」において、堀江敏幸が挙げていた本なので探していた。堀江敏幸は他に、『木下杢太郎日記』(岩波書店)、串田孫一『日記』(実業之日本社)、『アミエルの日記』(岩波文庫 一九七二年改版以後の版による)を挙げている。
『アミエルの日記』は30代前半に魅入られるように読んだ記憶が残っている。全4巻、旧字体・旧仮名づかいのため、一気にというわけにはいかなかったが。辻邦生も著書『微光の道』(新潮社)の中で、「旧制高校時代から時に触れて読む」と書いている。現在品切れ。

<某私鉄沿線の古書店にて>

■『海 友よ私が死んだからとて 長沢延子遺稿集』(都市出版社)1,500円

遺稿集はけっこう読んできたつもりなのに、長澤延子はすっぽりと抜け落ちていた。今春、福島泰樹『悲しみのエナジー』(三一書房)を読んで彼女の存在を知った。37年前に発行された本とは思えぬくらい状態がいい。
『二十歳のエチュード』を遺した原口統三は、彼女にとってどんな存在だったのだろうか。
彼女の「別離」という詩の冒頭には、原口のあの有名な言葉 「別離の時とはまことにある…… 朝が来たら 友よ 君等は僕の名を忘れて立去るだろう」が記されている。
そして、

友よ
私が死んだからとて墓参りになんか来ないでくれ
花を供えたり涙を流したりして
私の深い眠りを動揺させないでくれ

で始まり、

友よ
別離の時とはまことにある
朝が来たらー
君等は私の名を忘れて立ち去るだろう

で終わっている。

彼女を苛んだものとは。幼い頃から抱えてきた孤独とは。なぜ17歳で服毒自殺してしまったのか。
すぐにでも読んでしまいたいと思ったのだが、この本のことを妻に話したら、
今はやめたほうがいいのではないかと言われる。

当分この本は寝かせておくことにした。
あまりにも重い。まともに向き合えず、精神のバランスを崩しかねない。
ポツポツ拾い読みして、私自身がそう感じた。

■村上一郎『評論集 イアリンの歌』(国文社)700円
■クロード・シモン『フランドルへの道』(白水社)500円

<ブックオフの単行本500円セールで>

■佐野眞一『甘粕正彦 乱心の曠野』(新潮社)500円

黒岩比佐子さんが、ブログ<古書の森日記 by Hisako>で大杉栄墓参のことを書かれた際、この本に触れていたので読みたかった。こんなにすんなり、廉価で手に入れられるとは。

■半藤一利・保坂正康・井上亮『「東京裁判」を読む』(日本経済新聞社)500円
■渡邊順生『チェンバロ・フォルテピアノ』(東京書籍)500円

<ブックオフ4店舗くらいで>

■黒岩比佐子『伝書鳩 もうひとつのIT』(文春新書)350円

読みたいと思った時には、残念なことに新刊書店で入手できなくなっていた。嬉しい。

■『世界ノンフィクション全集19 アウシュヴィッツの五本の煙突 白バラは散らず ダヴィッドの日記 戦没学生の手記』(筑摩書房)100円
■大西巨人『縮図・インコ道理教』(太田出版)100円
■吉岡逸夫『漂白のルワンダ』(牧野出版)100円
■大岡昇平『戦争』(岩波現代文庫)100円
■吉田健一『旅の時間』(講談社文芸文庫)100円
■今村仁司『現代思想の展開』(講談社学術文庫)100円
■三好達治『諷詠十二月』(講談社学術文庫)100円
■木田元『木田元の最終講義』(角川文庫)100円

■松岡正剛『多読術』(ちくまプリマー新書)100円
■小谷野敦『私小説のすすめ』(平凡社新書)100円
■平岡正明『昭和マンが家伝説』(平凡社新書)100円
最近のブックオフはよくわからない。どうしてこれらの新書がもう100円なのか。折り跡、汚れ、水濡れなど一切ない美本なのに。
こういうことがあるから、新書はどうしてもすぐに読みたいと思えるもの以外、新刊では買わなくなってしまった。

次にCD。ゲームソフト、CD、DVD、コミックの販売を主体にしているチェーン店。ここに良い本はない。昨年くらいまで、結構クラシックCDを廉価で入手できたのだが、今年はごくたまに覗いても、さっぱり。ダメもとで寄ったら、3枚以上購入すれば表示価格の半額セール。いやあ、ありがたい。カンチェーリのみ輸入盤。

●カンチェーリ『Light Sorrow /Mourned by the Wind』 <TELARC> 200円
●ハイドン『《天地創造ミサ》《ハルモニー・ミサ》』ガーディナー イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 400円
●バッハ『マタイ受難曲(抜粋)』ガーディナー イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 50円
●ヴェルディ 歌劇『仮面舞踏会』 カラヤン ウィーン・フィル 600円

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「第2回みちくさ市」エピソード2 おじいちゃままで魅了する村上春樹?

今回は一般のお客様の話を中心に。

■ 斉藤政喜・内澤旬子『東方見便録』(文春文庫)

最初にお買い上げいただいた本。イラストを描いているのは、『世界屠畜紀行』(解放出版社)で一躍脚光を浴びた、内澤旬子さん。内澤さんは、一箱古本市の創始者でもある南陀楼綾繁(ナンダロウアヤシゲ)さんの奥様。この本、前回単行本で出品した際には残ってしまったのに、今回は開店と同時に売れた。やはり文庫本の威力か?

■ 星野徹『詩とは何か-試論の歴史』(思潮社)
■ 鈴木晶『フロイト以後』(講談社現代新書)
■ 高橋昌一郎『ゲーデルの哲学』(講談社現代新書)ほか計5冊

古本市ではとみに有名で、当店最強のお馴染みさんとなっていただいたHさんが汗びっしょりでご来店。すでにビニール袋いっぱいの本を手にしていらっしゃる。ご挨拶後はいつものように集中して本を選んでいただく。お気に召したものがあるだろうかと緊張。こちらの緊張をよそに、は、はやい!複数の箱からぱっぱっと抜き取られ、重ねていかれる。均一料金でない箱の本は値段も確認されずに。<とみきち屋>なら「みちくさ市」で、この本はこれくらい(の値段)と見当をつけていらっしゃるのだろうか…。であるなら、嬉しい限り。あっと言う間に5冊購入いただく。
会計時、「5万円札でお釣りありますか?」と千円札を2枚出されたので、「お釣りはチップとして頂戴してよろしいですか?」とお答えする(笑)。素敵な方だ。
「何でしたら、廻って来られる間お荷物お預かりしておきますが」と声をかけるものの、「いやあ…今日は戻って来れないかもしれないので…。すみません」とHさん。「すみません」とお客様に言わせてしまう<とみきち屋>とはどんな店? 検問所か(笑)
見え透いた作戦失敗。2回目にご来店いただいた時にはいつも追加で買ってくださるのだが、見破られたか(笑)。「暑いのでお気をつけて」とお見送りする。

■ ガルシア・マルケス『悪い時 他9篇』(新潮社)700円
■ 楠見朋彦『塚本邦雄の青春』(ウェッジ文庫)350円
■ 永井均『ウィトゲンシュタイン入門』(ちくま新書)150円

前回のみちくさ市で『レヴィナス・コレクション』(ちくま学芸文庫)、吉田健一『シェイクスピア』(新潮文庫)、ルソーの本他4冊ご購入いただいた若い男性にお越しいただく。 この方とは読書傾向が似ていると思えるので、どんな本に興味を示されるのか気になって仕方がない。まずガルシア・マルケスを手にとられる。
<う~~ん、ツボだ>
迷っているようにも見えたのでハラハラ。
<あなたのための本ですよ>などと、おかしな事をひとりごちる。
「安いですね。この値段ではなかなか手に入れられませんよね」と言っていただき、安堵。
結局3冊購入いただく。お会いできるのが楽しみなお客様がまた一人増えて、嬉しい。

■ 鶴見俊輔『テレビのある風景』(マドラ出版)600円

知的な雰囲気の年輩男性。その手には20ページ以上あると思われる探求本リストが。1ページに50タイトルは載っている。書籍JANコードを読み込むソフトを利用され、バーコードのない古い本は手入力で作成されていると伺う。この方のすごいのは、今回持って来られたリストは「マスコミ分野」のみというところ。私が普段持ち歩いているリストなどA4ペラ1枚。しかも複数巻セットのどの巻が欠けているかを確認する際に目を通す程度。

■ 山田風太郎『戦中派不戦日記』(講談社文庫)『戦中派虫けら日記』(ちくま文庫)
■ 紅野謙介『書物の近代』(ちくま学芸文庫)

体格のいい早稲田大学仏文科の学生さんが購入。フランス文学という専門性に囚われず、この手の本を読もうとしている青年に出会えるのは嬉しい。来店時手にしていたビニール袋が既にパンパンに膨らんでいて、本の角が折れているように見えたので、大きめの紙袋を提供。許可を得て、本が縦にならず、角が折れないように入れ替えさせてもらう。その際購入済みの本のタイトルがちらっと見えたのだが、ジャンルも広範囲にわたっていた。本好きなんだなあと感心。とても丁寧な言葉遣いにも好感が持てました。

■ 高橋和巳『邪宗門 上・下』(朝日文庫)1,200円

中年男性の方がすっとやって来られて、ぱっと手にとり、そのまま差し出された。「これもらうよ」と言わんばかりの狙い打ち。会話はなし。でも、すかっとした。
現在品切れで入手しにくい(特に下巻)とはいえ、今時高橋和巳の作品を手にとってもらえるか、正直自信はなかったが一度試してみたかった。それが許されるのも古本市のいいところ。誰に制約されるわけでもないから、気になる本を出品しお客様の反応をじかに確かめられる。思い入れが強すぎると残った時のダメージも大きいが(笑)。

■ 高橋たか子『没落風景』(新潮文庫)ほか3冊

私ども<とみきち屋>は「一箱古本市」に2回、「みちくさ市」にはプレ開催含め今回で3回、計5回目の古本市参加となるが、そのうち4回お越しいだくたくことになったお客様がご購入。その都度買っていただいているので、ありがたいことです。
山川方夫『愛のごとく』『海岸公園』(新潮文庫)を目に留めると、いつもの笑顔でじっと見ていらっしゃる。「3週間ほど前に1冊手に入れたんですよね~」。う~ん、困った。この2冊<とみきち屋>強引セットとしてブログでお知らせした商品。時間からしてバラ売りするには早すぎる。かといって当店にとって、すでに大事な常連さんとも言える。どうしたものかと悩んでいたら、「ああ、気にしないで。これは2冊セットの方がいいですよ。誰か欲しい方がいるだろうから」と言っていただく。
その後いったん他の店を廻られ戻って来られたのだが、不思議なことに丁度別の方にこの2冊セットお買い上げいただく時だった。少し離れたたところから「売れましたね~」とにっこり微笑んでくださる。その上、北原武夫の本を追加購入していただく。何だが胸が熱くなった。またお会いしたい。

■ 加藤典洋『村上春樹イエローページ1・2』(幻冬舎文庫)400円→200円
■ 『鼠の心 村上春樹の研究読本』(北栄社) 300円→100円

閉店間際、地元の方かなあと思われるおじいちゃまがご来店。「なかなか村上春樹の本見つけられないんだよな~。これ2冊で200円?」と、村上春樹イエローページ1・2』を手にされて訊かれる。(1冊200円で出品していた)
<この「みちくさ市」でもどこかで売っていたと思うけれど、こんな時間だからもう無かったのかな。これは村上春樹自身の本ではないんだけどな。どうしようか…>と一瞬考え、
「1冊200円ですが2冊200円でけっこうです。でも、この本は村上春樹について書かれた本ですがかまいませんか?」とお尋ねすると、
「200円でいいのかい。助かるなあ。言ってみるもんだね」
せっかくだからと思って『鼠の心 村上春樹の研究読本』もご紹介。ぱらぱらと中身をご覧になり、お気に召したご様子。
「100円でいかがですか?」
「じゃあ、もらおうかな」と満面の笑み。
「いつもやっているの?」
「約2ヶ月に1回の割合で開催予定です」
「そうなんだ。いいねえ、こういうの」

おじいちゃままで魅了するなんて、今や村上春樹は国民的作家?

と言いながら私は未読。馴染みの古書店なら半年も経てば店頭に出て来るのだから慌てる必要は全くない。(既に1セット買い取り、店に出したら3時間で売れたらしい) すぐに読みたいと思える作家ではないし、とりあえず読んだら売ってしまうのは目に見えている。我が家には『ノルウェイの森』を最後に村上春樹の単行本は一冊もない。ブックオフあたりで105円になった頃文庫で買い直すことはあっても結局再読せずにそのまま埃をかぶってしまっている。作品によっては文庫になってから初めて読むこともある。ストーリーテラーとして圧倒的な力量を持つ世界的な作家であることと、作品が、その言葉が自分の心の奥深くまで届いてくるかどうかは別。村上春樹ファンには怒られそうだ(笑)。いけない。村上春樹の話をする場ではないのに脱線してしまった。

相変わらず当店は女性のお客様が少ない(泣)。今回も購入いただけたのはわずか10人。そのうち顔見知りの方が4人。少なすぎると、愕然。でも、それだけに、お買い上げいただいた方々には感謝、感謝です。
参考にはならないかと思いますが、著者名で言うと、武田百合子、米原万里、村田喜代子、寺山修司、内田樹、立川談志、鹿島茂、高橋竹山など。私自身意外だったのは、お隣に出店された「スプーン文庫」さんのお知り合いの方(?)に購入いただいた、永野潤『図解雑学 サルトル』(ナツメ社)。哲学関連の本を女性のお客様に買っていただくことなどめったにないので印象に残っています。

今回<とみきち屋>の売上げ冊数は76冊。
<古本 寝床や>さんの表現を使わせていただくと、打率4割2分。厳しい~(汗)。持ち込んだ本も多過ぎたようだ。新書は40冊用意して売れたのは18冊。やはり新書は難しい。

ちなみに5月の「一箱古本市」は85冊の売上げで、冊数では9冊しか違わないのに、打率は7割8分。1冊単価では180円も高かった。
今回のラインアップは魅力を欠いたのか…。もっと考えなければ。

次回(最終回)は、<わめぞ>の方々や出店者、顔見知りの方々とのエピソード。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

「第2回みちくさ市」エピソード1 黒岩比佐子さん、岡崎武志さん、はにかみ高校生

当日は予報に反し、陽射しが強く照りつける快晴。長く外にいると熱中症にはならないまでも、ぼうっとなってしまいそうな暑さの中、足をお運びくださった多くのお客さま、ありがとうございました。また炎天下運営面で動き回り、いろいろ心を砕いていただいた<わめぞ>のスタッフの方々、そして参加された店主の方々、お疲れさまでした。

「とみきち屋」恒例となった、古本市参加後のエピソード集、始めます。

黒岩比佐子さん
5月の「一箱古本市」で運に恵まれ「黒岩比佐子賞」を頂戴したのだが、そのプレゼンター・黒岩さんご本人にお越しいただく。みちくさ市に向けて書いた私どものブログをお読みになっていたとのことで、店主とみきちと私の間のバトル(笑)をご心配いただき恐縮。いろいろと和やかにお話しさせていただき、楽しいひと時でした。
増殖していく本を保管していくことの苦労(黒岩さんの仕事柄、私などの比ではないはず)を聞かせていただく。
貴重、稀少、素敵な本をどれだけお持ちなのか知る由もないが、「蔵書の6割も読み通してはいない」という言葉から、おぼろ気ではあれ蔵書の凄さが想像される。読み通さないまでも、実際取り組んでいらっしゃる、或いは今後考えていらっしゃるテーマに関する物はさっと目を通し、付箋を貼って後に使えるようにされている本も多いとのこと。
「現在の蔵書の中から読みたい物をこれから読み続けていっても、一生の間に読み終えることは無理」という話題では、物書きではない素人の私にも通ずるところがあって、盛り上がった。

最近、黒岩さんはブログ『古書の森日記 by HISAKO』(http://blog.livedoor.jp/hisako9618/)の中で、フリーランスの厳しさや在り方について真摯に語っていらっしゃる。

 私は常々、ライターという仕事は職人だと思っている。コツコツと手仕事でものをつくり、自分が魂を注いで創ったものに誇りが持てれば、それが安かろうと高かろうと、金銭に結びつくかどうかは二の次なのだ。これしか払えない、と言われて安い料金で仕事を頼まれたからといって、手を抜いて粗雑な仕事はできない。自分でもちょっと変だとは思いつつ、同じ10枚の原稿を400字1枚当たり3000円で頼まれた場合と、1枚1万円で頼まれた場合で、かかる時間と労力は変わらないのだ。3週間かけて原稿を書き上げて、受け取るのは3万円だったり10万円だったりする。やはり不思議だ(笑)。
でも、フリーのライターは、そうやって必死で生きている人ばかり。とりあえず、筆一本でこうして生きていられるだけでも、幸運なのだろう。フリーランスの物書きになって、今年で24年目になる。 〔7月23日付「ちょっと脱線して」より〕

黒岩さんのライターとしての誠実さ、矜持がひしと伝わってくる。柔らかな物腰、穏やかな話しぶりの奧に、強く、揺るがぬ「芯」を持っていらっしゃるのを実感。
黒岩さんには、角川財団学芸賞受賞『編集者 国木田独歩の時代』(角川選書)、最新作『明治のお嬢様』(角川選書)、5月に文庫化された『音のない記憶 ろうあの写真家 井上孝治』(角川ソフィア文庫)、サントリー学芸賞受賞『「食道楽」の人 村井弦斎』(岩波書店)ほか、緻密で丹念な取材のもと練り上げられた上質な作品が多い。作品を書き上げる際、妥協しない、ある意味(もちろんいい意味で)頑固な人であることも伺われる。

個人的には、自分の興味の対象と重なっているということもあるが『編集者 国木田独歩の時代』、『日露戦争 勝利の後の誤算』(文春新書)、むのたけじ・黒岩比佐子聞き手『戦争絶滅へ、人間復活へ―九三歳・ジャーナリストの発言』(岩波新書)がとりわけ好きだ。
岩波新書では、広範な知識に驚くばかりか、むのたけじ氏から深い言葉を引き出す聞き手としての卓越した才能にも目を惹かれる。
黒岩さんには、竹内洋『日本の近代12 学歴貴族の栄光と挫折』(中央公論社)をご購入いただく。というより、無理矢理押しつけてしまった感じ(笑)。

岡崎武志さん、はにかみ高校生
昨年11月「みちくさ市」プレ開催の際、その出会いがあまりにも衝撃的で、その様子をブログでとりあげ、思わず「はにかみ高校生」などとご本人の許可も得ずに私が命名してしまった。その彼がこんなに有名になるとは思ってもいなかった。何といっても、高名な岡崎武志さんがブログ『okatakeの日記』(http://d.hatena.ne.jp/okatake/)で、前回(第1回)に続いて今回も彼に触れたことが大きい。あの岡崎さんを魅了し、岡崎さんご本人に「はにかみ高校生」登場のお触れを出させるくらいだから、恐るべき高校生。今回は出店者の多くが熱い視線を送っていた。出店者およびその関係者の多くが彼のことを話題にしていた。

岡崎さんから「ハニカミくんが来たよ。今線路を渡ってそちらに向かっている」と聞いた時から胸が高鳴る。前回は店を離れている時に来たので会えなかったからいっそう。「うちに寄ってくれるだろうか。本を手にとってくれるだろうか」と気が気でない。その優雅なたたずまいは変わることなく、鬼子母神商店街がプリンス・ロードと化していた。
古本好きの男性が本を探すとき、足を開いてしゃがみこみ、食い入るように目を走らせ本を手にする(私のような)おっさん風か、ちょっと離れてじっと目を凝らし品定めするというのが多い。しかし、彼は全く違う。しゃがむ時も足を前後にし、一冊一冊を慈しむように手にとって、静かに頁をめくり、戻す時は丁寧に同じ場所に戻す。他のお客さんが軒先を占めていると、じっと横で待っていて割り込んでは来ない。本好きでなくとも、彼の立ち居振る舞いに接したら、決して忘れられないであろう。

当店では、杉森久英『苦悩の旗手太宰治』(河出文庫)を購入。太宰にも興味を持っていると知ることができ嬉しくなる。それにしても、26年も前に発行され、経年変化で黄ばんだ文庫を狙ったように手にして、2分ほど読んでから差し出すのだから参ってしまう。彼が読んでいる間、例によってこちらの心臓ばくばく。2分が1時間近くにも感じられた(笑)。
これで3回続けて購入してもらったが、どこまで続くだろうか。記録を伸ばしたいものだ。
「こんにちは。いつもありがとうございます」と最初に挨拶した以外、敢えて声をかけなかったので、話はできず。それでも大満足。「はにかみ高校生」命名者として、そして一人のファンとして、これからも温かく見守っていきたいものだ。
岡崎さんのブログで、彼の好きな作家が安岡章太郎と知り、直前になって講談社文芸文庫の2冊を引っ込めてしまったことが悔やまれる。でもまあ、彼なら既に持っている可能性大だな。

5月の「不忍ブックストリート 一箱古本市」で、足立巻一『虹滅記』(朝日文芸文庫)をお買い上げいただいたお客様が来られたので、御礼を述べる。
「今日は少ないですねえ」と言われてしまう。「一箱古本市」に比べ、「みちくさ市」は展示スペースが広いので出品本の数ははるかに多い。つまり、いい本が少ないですねという意味。
手を抜いたわけではないのだが、『虹滅記』などを買われるお客様からしたら、物足りないと感じられるのは無理はないかも。

古本市に参加する回数が増えてくると、自分の読みたい本最優先に加え、普段古本好きな方が足を運ぶ古書店をそれほど回ってはいない私には、厳しいものがある。確かに今回、秋の一箱を意識して出品しなかった本も多かった。「みちくさ市」に比べると「一箱古本市」の方が、まだ今のところコアなお客様が多いように感じられるからだ。それだけではなく、前回とできるだけ違ったラインアップをと意識すると無理が生じるのかもしれぬ。感触としてつかんでいたつもりなのに、今回また他店とかぶってしまう本が多かったような気もする。

まだまだ勉強不足、難しいなあと痛感。しかし、それだけ奥深く、楽しみも多い。問題は自分の知識、情報量、それに蔵書の数と質、時間的な余裕が追いついていけるかだ。精進、精進(汗)。

で、厳しい感想をいただいたお客様には、下條信輔『サブリミナル・マインド』(中公新書)を購入いただく。先般(6月に)書いた記事「中公新書の魅力《中公新書の森 2000点のヴィリジアン》」の中で、私個人の中公新書ベスト10の中には入れなかったが、ベスト20なら入れていた本なので、何故かほっとする。
帰り際、「秋はさらに頑張ります!」と伝えたら、「楽しみにしていますよ!」と言っていただく。うわあ、プレッシャーだ~(笑)。また、この方の素敵な笑顔が見たい。

【追記】お客様から早速ご丁寧なコメントをいただきました。本文中、購入いただいた本のタイトルを誤って記してしまい、ご指摘いただいたので訂正いたしました。恐縮です。本の質には特にご不満はなかったご様子を伺え、ほっといたしました。

いつもの如く、ゆっくり続きを書いていきます。1週間かかるか、何回にわたるかは本人にもわかりません(笑)。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

古書往来座・外市へ 

4日(土)夕方、ぶらり外市へ。汗ばむ陽気も何故か心地よく、梅雨は空けていないのに夏の夕暮れを思わせてくれた。
往来座店頭には笹がきれいに飾られていて、七夕の風情。

いい本をつかみたいと思うなら、一番にかけつけるのが常道なのだろうが、少し人の波が途切れた頃にゆっくり見て回れるのが、いい。
まずは隅から隅までじっくりと2往復。
「今回はどんな本を出しているのかな」と思いながら、箱や棚を覗くひと時が好きだ。
何冊か本を抱え、不自由そうにしていると、「よかったらどうぞ」と、塩山芳明さんがカゴを差し出してくれた。まだお話ししたことがなかったので、恐縮しながらご挨拶。塩山さんの最新作『出版奈落の断末魔』(アストラ)の中に私のよく知る人物の名前(もちろんペンネーム)が出ていたので、その名前を伝えると画風までピタリと言い当てられたので驚く。団鬼六、笠間しろう、青木信光らに触れながら、その周辺の面白い裏話をいろいろと聞かせてもらう。
多くの修羅場をくぐりぬけ、歯に衣着せぬもの言いで業界では有名な方だが、穏やかな話しぶり。何故か不思議には感じなかった。著書『出版業界最底辺日記』(ちくま文庫)のなかで、私にはおやっと思えるところがけっこうあってその印象が残っていたからかもしれない。

萩原朔太郎の詩集は那珂太郎編集による旺文社文庫がいいと書かれているが、確かにコメント、解説含め秀逸。10万円以上で近松秋江の全集を古書店で購入し愛読しているところも気になる。また、こんな記述もある。

ビリーワイルダーやモーム、谷崎潤一郎や深沢七郎の作品群は、味わっているうちは至福の時だが、その後は一挙に不幸に。「また残りを一作品減らしてしまったか……」との後悔の念で。

こういう本筋とは違う、ちょっとしたところが記憶に刻まれているのだ。
もちろん、溝口敦の一連の山口組物に触れ、溝口の度胸、文字書き職人としての誇りを感じとっているあたりはいかにもという感じで言をまたない。

古書現世・向井さんと話しているところに往来座の瀬戸さんが、「sai」を発行している立教大のSさんとともに現れる。Sさん差し入れのビールをご馳走になってしまう。美味かったあ。
Sさんは、第一回みちくさ市の際、出店していた私たちのところにも取材に来られたのだが、あいにく店を離れていて私はお会いできなかった。向井さんが、「これからがますます楽しみで、期待される有能な好青年」と高く評価していたので、今回会えて嬉しかった。
みちくさ市をとりあげた最新号は近々出来上がるとのこと。楽しみでならない。

Pippoさんのところでは、CD『下町ピッポン娘』を購入。帰宅後早速聴いてみたが、うわさのわめぞ村青年合唱団のコーラスを含め、くせになりそう(笑)。犀星、大木実、暮鳥の詩の朗読も収められており、これがまた味わい深い。
Pippoさんには、ギュンター・グラスの詩集を見せてもらう。グラス自身の水彩画も入っている豪華本。あの『ブリキの太鼓』の作者とは思えぬ繊細で独特な画に魅せられる。色づかいも素晴らしかった。

帰り際、魚雷さんが来られる。「いいの買わせてもらいましたよ。今東光と古井由吉」と声をかけると、ニコッとされた。そういえば魚雷さんとは本の話をしたことがないな。一度お話ししてみたいものだが、うさんくさそうなおっさんゆえ、煙たがられているかも(笑)。

〔 購入本 〕
■ クロード・ベルナール『実験医学序説』(岩波文庫)
理系の本はめったに読まないのだが、「人間に関する学問では、哲学者と詩人と生理学者が同じ言葉を語るようになることが望ましい」という言葉を残したベルナールの著作は読んでみたかった。現在品切れで、結構高い古書価がついているが、ありがたいくらいの値段で購入。古書往来座店内にて。
■ 埴谷雄高『戦後の文学者たち』(構想社)
■ 『現代詩読本-8 萩原朔太郎』(思潮社)

■ 今東光『青春放浪』(光文社)
■ 古井由吉『円陣を組む女たち』(中公文庫) 2冊目
■ 林田直樹『クラシック新定盤100人100曲』 (アスキー新書)

7月25日(土) 「第2回 鬼子母神通り みちくさ市」に、プレ開催、第1回開催に続き「とみきち屋」として出店することになりました。どんな本を出品するか、いつものように開催日が近づいてきたら少しずつ当ブログにてお知らせします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

こんな本を

今日から2日間、恒例の「古書往来座 外市」。心配された雨もほとんど降りそうになく、よかった。今日は夕方頃、足を運んでみよう。 

先月(6月)も機会があれば古書店、ブックオフを廻り、本を購入。毎日のように通うわけではないが、思いもよらなかった本に出会えるのだから、やめられない。

〔古書店およびブックオフ〕

■ 『谷川雁 詩人思想家、復活』(河出書房新社)800円 

KAWADE道の手帖シリーズから目が離せない。ベンヤミン、鶴見俊輔、中平卓馬、そしてこの谷川雁。

■ 斎藤愼爾責任編集『太宰治・坂口安吾の世界』(柏書房)650円 

 『埴谷雄高・吉本隆明の世界』は出版時に購入したがこれは見逃していた。ブックオフ雑誌半額セールの恩恵。 斎藤愼爾の編集本、自著とも私のお気に入り。

     坪内祐三編『文藝春秋八十年傑作選』(文藝春秋)500円

 約6年前の発行。掲載記事に名を連ねる人々の豪華なこと。それぞれの時代の息吹が感じられる。

     小林敏明『廣松渉-近代の超克』(講談社)400円

〔ブックオフ 105円〕

     中村雄二郎『悪の哲学』(岩波書店)

     霜山徳爾『人間へのまなざし』(中公叢書)

『人間の限界』(岩波新書)を読んで以来、著者の本は古書店で見かけたら必ず購入している。

■ 下出積與『道教と日本人』(講談社現代新書)

■ 大塚英志『サブカルチャー文学論』(朝日文庫)

■ 河野多恵子『谷崎文学の愉しみ』(中公文庫)

■ 松岡正剛『花鳥風月の科学』(中公文庫)

     稲泉連『ぼくもいくさに征くのだけれど 竹内浩三の詩と死』(中公文庫)

 『戦死やあわれ』の竹内浩三のことを25歳の著者が描き、第36回大宅壮一ノンフィクション賞を史上最年少で受賞した作品とのこと。どんな視点、どういう思いで綴られているのか興味深い。

     三好達治『諷詠十二月』(新潮文庫)

     向井敏『文章読本』(文春文庫)

     西部邁『知性の構造』(ハルキ文庫)

■ 正宗白鳥『自然主義文学盛衰史』(講談社文芸文庫)

     竹内好『魯迅』(講談社文芸文庫)

〔馴染みの古書店〕

     那珂太郎編『萩原朔太郎研究』(青土社)1000円

■ 宇野浩二『独断的作家論』(講談社文芸文庫) 700円

■ 『吉本隆明入門』 現代詩手帖臨増「吉本隆明」Ⅲ・2003(思潮社)      『吉本隆明が語る戦後55年 4・フーコーの考え方』(三交社)      瀬戸内寂聴、D・キーン、鶴見俊輔『同時代を生きて』(岩波書店) 以上各500円

6月も段ボール2箱分買い取ってもらう。上記以外にもいろいろと購入しているので、毎月物々交換しているようなものか(笑)

〔新刊〕

     山田詠美『学問』(新潮社)

 山田詠美は出たら即買う。そしてじっくり、ゆっくり味わって読む。新刊が待ち遠しくて、読み終えてしまうのがもったいないと思える唯一の作家。

     鹿島茂『吉本隆明1968』(平凡社新書)

     上原隆『にじんだ星をかぞえて』(朝日文庫)

 13年前古書店でタイトルが気になって『友がみな我よりえらく見える日は』を購入(当時は学陽書房発行。現在は幻冬舎アウトロー文庫)。それ以来、すべての著作を読んでいる。

     太宰治・長部日出雄『富士には月見草』(新潮文庫)

 長部日出雄の太宰本なら間違いはないだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

古本界の新しいムーブメント 「一箱古本市」、<わめぞ>のことなど

昨日は仕事の資料作成に時間をとられ40分の仮眠。満員電車に揺られ、朝8:30から打ち合わせ。昼間3件ほど仕事先を訪問。夕方、目録「逍遥」で申し込んだ本を受け取りに古書現世・向井さんのところへ。

先日のシークレットワメトーク「Take off Book! Book! Sndai」のことなどを話す。ワメトークに関しては、書肆紅屋さんが詳細をレポートしてくれています。これまでの<わめぞ>の活動、南陀楼綾繁さんを中心とする一箱古本市の流れ、岡崎武志さんの(著書を含めた)影響ほか、古本界の新しいムーブメントの一端を知ることができるので、是非読んでみてください。(→こちら)です。

学生の頃から古本屋通いをしていたが、あくまで人文系をメインとする自分が読みたい本、読みたくなるような本を探すのが目的であって、古本コレクターでもないし、古書業界全般に興味があるわけでもなかった。北尾トロ『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』(風塵社)、高橋徹『古本屋 月の輪書林』(晶文社)、内堀弘『石神井書林日録』(晶文社)は読んでいたが、昨秋一箱古本市に参加するまで、岡崎さん、ナンダロウさん、向井さんの著作は1冊も読んだことがなかった。『sumus』のことも『彷書月刊』のことも知らず。何も知らない素人として一箱に参加して以来、目を向ける世界が大きく変わった。

プロの古書店からは決して生まれない素人参加の一箱古本市。その創始者であるナンダロウさんの功績は大きい。さらに凄いと思わせるのが、運営マニュアルを非公開としていないこと。さらに、ポリシーに反することなく、面白いと思えるものであれば、アドバイザーとして助力を惜しまず、多忙な中、現地へ赴いて行くところ。ナンダロウさんのフットワークと人脈、編集力、岡崎さんの実績、影響力、そこに向井さんが加わって新しい企画なりイベントが生まれたら、衆目の的となり、大きな風が巻き起こるに違いない。実際に店舗を構えている向井さんゆえ、思うようには動けないという制約はあるが、そういう動きをつくっていきたいという熱い思いが言葉の端々から伝わって来た。わくわくする。

 「Book! Book! Sndai 2009」の核となっている、火星の庭・前野さんのことは、岡崎さんの『女子の古本屋』(筑摩書房)で、破格ともいえる経歴、恐るべきバイタリティは知っていたが、今回上京された時の様子をいろいろなブログで読み、この方の魅力がさらに強まる。向井さんが「前野さんとならいろいろやっていきたい」と思うのも肯ける。

「来年は規模は小さくなっても、ほかの月にまた別のことがやれればいい」という前野さんの発言に、器の大きさを感じた。まだ終わってもいないイベントの来年のことを話せる点にではない。プロとしてしっかり地に足をつけながら、絶えず夢や理想を現実に近づけていく。その過程で何かひとつ、形となって成し遂げられたにしても、新たな問題点が浮かんだり、こうした方がいいと思われたら立ち止まらず、軌道修正していく潔さ、強さというものが感じられるからだ。直接お話したことさえないのに、いつか仙台に行くことがあれば、何をおいても前野さんの「火星の庭」に足を運びたいと思ってしまう。

話しの流れの中で、ある雑誌の編集をされていた方と一緒に仕事をした時のことに触れる。なんと向井さんの知り合いで、しかもその方、本の業界では有名らしい。これには言葉を失うくらい驚いた。私が古本市に参加したり、ブログを書くようになって以降仕事を共にする機会はなくなったが、その方の勤務先には今も出入りしている。
こんな無名でちっちゃなブログなどアンテナにひっかかるとは思えないが、万が一読まれていたら冷や汗ものだ(笑)。

〔 購入本 〕
■ 紀田順一郎編『書物愛[日本篇]』『書物愛[海外篇]』(晶文社)
 この2冊を目録で注文。
■ ビュトール『文学の可能性』(中央公論社)
■『國文學 三島由紀夫のすべて』昭和45年5月臨時増刊(學燈社) ほか

〈 追記 〉

岡崎武志著『女子の古本屋』(筑摩書房)は前述の火星の庭のほかに、旅猫雑貨店ブックギャラリーポポタム海月書林蟲文庫などもとりあげられている。とても面白い読み物になっており、お勧めです。
「古本屋という道で生きるんだ」という決意の重要さを説き、紹介した女性古書店主はその決意を持っている人ばかりであると書かれている。そして巻末には次の言葉が紹介されている。

「『価値のあるもの』を買うのではなく、『自分で価値を作れる』人間は強い」 古書現世(二代目店主) 向井透史

| | コメント (0) | トラックバック (0)

第14回 古書往来座「外市」でのひと時

30日(土)、<わめぞ>外市へ。降雨に対応できるようディスプレイがいつもと違っていたためか、ややすっきりした感じ。でも、棚や箱の中身はいつもの「外市」。
古書現世、立石書店さんの外市用の品揃え、往来座さん店内探求だけでなく、店を構えていない<わめぞ>メンバーの出品を見るのも楽しみのひとつ。何故なら、出品者の個性が何とはなしに滲み出ているように思えるからだ。
荻原魚雷さんの箱は、じっくり読んで味わう渋めの本が多い。魚雷さんが書く内省的な文章に似ているというか。退屈男さんは、幅広い。月の湯古本市以来、ちくま文庫のアウトロー系ありとインプットされたのだが、案の定今回、笠原和夫の本が出ていた。『「妖しの民」と生まれきて』を購入。ふぉっくす舎NEGIさんの棚からは高橋健二『ヘッセ紀行』(駸々堂ユニコーンカラー双書)。ほかの本とは少し傾向が違うように思え、目に飛び込んで来た。
「えっ!?」と思ったのがu-senさんの箱の中。宝島の『マルクス』、三一新書から出ていたゲランの『現代アナキズムの論理』。昔読んだ時の懐かしさが甦って来た。同時に、この手の本が出品されていることに驚きを覚えた。
他の出品者の箱にも、その若さでどうしてこんな本を・・・ということが多く、楽しみは尽きない。

今回のゲスト火星の庭さんの棚からは『別冊新評 深沢七郎の世界』(新評社)を購入。これはすごい。秋山駿、吉田知子らの鼎談。伊藤整、武田泰淳、三島由紀夫による中央公論新人賞選後評(「楢山節考」)、正宗白鳥、江藤淳、室生犀星、藤枝静男、塚本邦雄、高橋和己等による作品論。風流夢譚事件に関する中野重治、大岡昇平、平野謙、吉本隆明のコメントなど圧倒的な内容。

「早稲田古本村通信」で連載「ゲーテを読んでハッピーライフ」を始めたPippoさんとはゲーテの話をあれこれ。『ゲーテ格言集』は私のお気に入り。よって、いろいろな言葉が頭の中に染みついている。その中からいくつかをPippoさんに投げかけると即座に的を射た反応が返ってくる。さすがと言うほかない。ゲーテの二面性については意見が一致。
単なるゲーテ解説にとどまらないPippoさんの連載の今後が楽しみだ。何故かいきなり血液型を聞かれ、Bと正直に答えてしまう。。奇異な目で見られがちなBだが、Bであることになんら引け目を感じないところもBたるゆえんか(笑)。

文系ファンタジックマスクの売れ行きも好調。横光利一編はひとつしか残っていなかった。取り上げたフレーズが気に入って横光の作品を読んでみたくなったという方がいらっしゃったようで、その話をする時のPippoさんの嬉しそうな顔がとても印象的だった。
Pippoさんからは、『荒地詩集1956』を購入。まだ読んだことはないのだが、衣更着信の詩がいいとのこと。じっくり味わってみたい。

そして、そして。あの「はにかみ高校生」に遭遇!! 学生服姿の凛々しいこと。本を見る横顔には微かな笑み。その優雅な佇まい。もう言うことなし。
手には単行本が2冊。「後ろにまわってどんな本を買うのか確かめたいなあ」と漏らしたら、「それじゃあストーカーですよ!」と古書現世・向井さんとPippoさんに笑われてしまう。泣く泣く諦める(笑)。
古書現世や往来座にも来たことがあると知る。向井さんも自分からは話しかけないようにしたとか。都内某私立高校生らしい。その高校名を聞いてびっくり。高校受験の際、1校だけ私立を受け、合格したのがその高校。都立志望だったため、結局都立に入学したが、(都立に)落ちていたら彼はもしかして私の後輩?う~ん、これは巡り合わせというしかない。これからも、そっと遠くから見守っていきたい。

古書現世から『世界教養全集別巻2 東西文芸論集』(平凡社)を購入。サント・ブーヴ、サルトル、カミュ、ベンヤミン、エリオット、ボードレール、ヴァレリー、ハックスリー、魯迅、埴谷雄高、小林秀雄、花田清輝、神西清、川端、啄木、鴎外、横光利一、斎藤綠雨ほか総勢39人の文芸論集。46年前発行とは思えぬほど充実している。この世界教養シリーズ、林語堂「生活の発見」が収められている第4巻を持っている。

帰り際、編集長武藤さん渾身の作「わめふり」創刊準備号を入手。発行までにいろいろあってたいへんだったようだが、仙台まで足を運んだ武藤さんの執念が感じられる。共同編集、図案担当、豆惚舎・山本さんの力も遺憾なく発揮されている。A3用紙六折りは斬新だ。武藤さんのイラスト、手描き文字が見事なアクセントになっているし、記事の囲みも工夫が凝らされている。
個人的な希望としては、本文の文字の大きさをもう一回り大きくしてもらえたら嬉しい。若い方には何の抵抗感もないと思うが、50代目前のおじさんにはちょっとつらい。また、縮小して収めざるを得ないために(手書きということも加わって)、漫画の中の文字には読みとれない部分があった。武藤さん自身ブログで書いていたように、写真の掲載はやはり厳しいかなと思う。旅猫雑貨店・金子さんが撮った鉄砲坂の見事な写真(→こちら)は、高いクオリティの印刷にかけ、それなりの紙を用いなければその細かいニュアンスを(残念だが)伝えられないからだ。

武藤さんの記事は、仙台に行かなければ決して伝わって来ない趣がある。「ぼうぷら屋古書店」のエピソードも味わい深く面白かった。秘境のような古本屋が眼前に迫って来た。仙台在住者でなくとも行ってみたくなる。
白シャツ王子こと古楽房・薄田さんの文章が素敵だ。ものが近すぎることから感じる都会生活の閉塞感。その中にあって「隙間」を持っていることの大切さ、豊かさが詩的に語られている。さわやかな風を感じた。

31日(日)私は知人の演奏会に行っていたが、夕方近く強い雨が降り始め、外市の現場はたいへんだろうな・・・と思ったりした。実際、そうだったらしい。それでも、お客さんは絶えなかったとか。雨が降っていない方がいいのは言うまでもないが、天気が悪くても、足を運ぶだけの価値が「外市」にはある。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

浮いたり沈んだり

この前の日曜は朝から5時間近く音楽に浸り夢見心地。なのに、夜になって一転。激しい歯痛に襲われ、顎から頬、耳の裏側あたりまでが、おたふく風邪のように腫れ上がる。2年ほど前にもらった痛み止めを飲んで何とか朝までやり過ごした。翌月曜夕方、15年以上診て貰っている歯医者に駆け込む。原因は神経。歯に小さな穴を開け治療。神経は抜かない方がいいとのことなので、しばらく痛みから解放されることはなさそうだ(泣)。

今週は、新書2冊を持ち歩いて読んでいる。宮台真司『日本の難点』(幻冬舎新書)と鹿島茂『吉本隆明1968』(平凡社新書)。宮台の本は、奥平康弘との対談『憲法対論』(平凡社新書)以来久しぶり。その当否は別にして、憲法を考える上での新たな視点を獲得できたので、内容も濃く、無駄にはならなかった。しかし、今回の『日本の難点』は新刊で買う必要はなかったなというのが正直な感想。衝動買いを後悔。
久しぶりに著者のブログを覗いてみたら、「政界、財界、官界で評判になりはじめているという情報が別々のルートから入っています。 それとは別に、新宿ブックファーストでは若い世代に売れているということです。」に始まり、○○○書店で売上げ1位、増刷○○冊などのオンパレード。自著の宣伝が悪いとは思わないが、ここまでくると少々うんざり。詳しい説明もなく、「今回の増刷分から、複数の問題点を解消したバージョンとなります。」とだけ書いているのを見て唖然。
自らを現代社会の導き手と思っているとは言わないまでも、啓蒙家的視線を随所に感じてしまうのは私だけであろうか。
それに比べ、鹿島茂の『吉本隆明1968』はその執筆姿勢に好感が持てる。私が吉本隆明を支持しているからという理由で言っている訳ではない。吉本隆明とはいかなる思想家か。その凄さがどこにあるかを、吉本のことを知らない世代も視野に入れ、根気強く説いている。まだ100頁ほどしか読んでいないが、期待が持てる。400頁を超えるのだから、新書にしては大著。

仕事帰りにのんびり古書店を見て回る時間もなかったが、新しい仕事先に行く途中、「こんなところに古本屋が?」というような偶然の出会いがあって、店構えからは想像もできない本を手に入れることができた。

■ 田中小実昌『カント節』(福武書店)
■ 深沢七郎『怠惰の美学』(日藝出版)
■ 石原吉郎『望郷と海』(筑摩書房)

よく行く仕事先近くのブックオフで

■ ヘミングウェイ『移動祝祭日』〔高見浩訳〕(新潮文庫)
■ E・A・ポー『黒猫・アッシャー家の崩壊』〔巽孝之訳〕(新潮文庫)
■ 正宗白鳥『自然主義文学盛衰史』(講談社文芸文庫)
■ 姜尚中・中島岳志『日本 根拠地からの問い』(毎日新聞社)
以上105円。
■ 下條信輔『サブリミナル・インパクト』(ちくま新書)450円

浮いたり沈んだりの1週間だった。
明日は久しぶりの日曜仕事。朝7時半には家を出なければ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

[ 閑話休題 ] 古書買って息抜き BIGBOX古書感謝市

「一箱古本市」初日の3日、古書現世・向井さんほか<わめぞ>の方々とはすれ違いで会えず、とても残念だった。それもあって8日(金)、古書現世さんが出店されている「BIG BOX古書感謝市」へ。

一箱終了後、2日間も休日があったというのに疲れから、ぼうっと蟄居。古本虫がざわざわと騒ぎ出していた。

高田馬場にあるA社訪問前に寄るも、向井さん不在。立石書店・岡島さんがいらっしゃったので、「先日みちくさ市ではお世話になりました」とご挨拶。A社にて1時間半近い打ち合わせ後、再び訪問。向井さんに会えて和む。忙しいにもかかわらず、手を休めてくれた向井さんとしばし歓談。

手に持っていた野呂邦暢『草のつるぎ』(文藝春秋)、赤丸羊三さんが出されていた本だと教えてもらう。美本・安価。「まだ残っていたんですね」と向井さん。確かに、もう開催2日目の午後。ついている。

ブックオフでは見られない良質の本が、ブックオフ並みの値段でたくさん出ている。ずっと探していた本もちょっと考えられない値段で手に入れられる。本好きの方にはお勧め。在庫もどんどん補充されています。

抱え込んだ本の清算のためレジへ。立石書店・岡島さんがカウンターに。「持てますか?」と訊かれ、「袋持ってますから」と答える。

「仕事先で<テロ>とか<絞首台>なんてタイトルの古書が見えちゃったら、まずいですよね~」と岡島さん。包んでもらい鞄の中にしまうことになった。と、その時、岡島さんの思わぬつっこみ。一瞬「???」。その後3人で大笑い。岡島さん、怪しすぎるけれどステキだ。その笑顔も。

シュールなブログ、「どこ行っちゃんうんですか~」と思わず声をかえたくなるような、ひと言コメント。(→こちら

向井さんが、ごくごく普通の人に思えてしまう自分は、間違っているのだろうか?(笑)

〔 購入本 〕

     野呂邦暢『草のつるぎ』(文藝春秋)

     東峰夫『オキナワの少年』(文藝春秋)

     小川忠『テロと救済の原理主義』(新潮選書)

     伊馬春都『櫻桃の記』(中公文庫)

     青山光二『青春の賭け 小説 織田作之助』(中公文庫)

     獅子文六 『青春怪談』(新潮文庫)

 書肆紅屋さんのブログ記事に触発されて。(→こちら

以下2冊目購入。

     河野多恵子『谷崎文学と肯定と欲望』(中公文庫)

     三浦雅士『主体の変容』(中公文庫)

     栗原雅直『川端康成 精神科医による作品分析』(中公文庫)

     フーチク 『絞首台からのレポート』(青木文庫)

 浪人時代、世界史の講師が紹介してくれて読んだ本。

わたし自身の戯曲も終わりにちかづいた。幕切れは書けない。わたし自身、どうなるかわからないからだ。これは、もう戯曲ではない。人生だ。

現実の人生には、観客はいない。すべての人が生活に参加している。

さあ、大詰めの幕があがる。

みなさん、わたしはあなたがたを愛してきた。敵に気をつけてください。

1903年ベルリンで死刑になる、チェコスロヴァキアの革命家にしてプロレタリア・ジャーナリスト、ユリウス・フーチクの作品。当時の背景、作品の内容を簡単に説明してくれてから、講師は最後の3行を暗唱した。その言葉に引きつけられ読んだ。自宅には1冊残っている、しかし、こんなところで目にするとは。

1977年に岩波文庫からも出ているが、私が読んだのはこの青木文庫版。古書現世さんから購入。100円。

明日、「一箱古本市」エピソード(2)書き上げます。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

「第1回みちくさ市」レポート(2) 購入した本やお店の話

午後2時近くなったので、そろそろ他のお店から本を買ってもいいかなと思い、いろいろと見て回る。しかし、好みがあるので偏ってしまう。どうしても人文、思想系に目がいく。以下、購入本と廻ったお店の話。

<書肆紅屋>さん。「これはいいな、すごいな。」と思える本が他の箱と分けられ、値段も変えてあった。それでも500円均一とは格安。店主がその下のランクと判断されている本なども、持っていなかったら欲しい本多数。なのに300円。思わず手が伸びてしまう値段。昼前に一度見た際に遠慮した本4冊中3冊はしっかり消えていた。実際安くても、ただ安いというニュアンスとは違う店構え。個人的にはとても好きだ。

■ 中村雄二郎 『西田幾多郎』(岩波書店)300円
500円でも安いなあと私には思える本。

<古書 北方人>さん。講談社文芸文庫などのいい本が安価で揃えられていた。こんな時間帯にまだ残っていたなんて!と思える本を購入。

■ 横光利一 『寝園』(講談社文芸文庫)350円
持っている日本文学全集のひとつに収められているので、一旦購入したものの処分してしまった。ところが今品切れ。そうなると買い戻したくなる。何とも因果な性分。

<モノンクルブックス>さん。私好みの本が多く、見ているだけでも楽しい。量は抑えられているが、そこがかえっていいなと思えた。2008年Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した『中原昌也 作業日誌2004→2007』(boid)なども出品されていた。持っていなければ、間違いなく購入していただろう。店主の方とは少しお話しさせていただく。

■ 小山清 『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)600円
■ 上林暁 『聖ヨハネ病院にて』(新潮文庫)600円
小山清は昭和30年発行(初版)、カバーのない裸本しかなかったので嬉しくてならない。上林暁は2冊目を購入。いずれも復刻版、美本。

<古本、雰囲気。>さん。店名のとおり独特の雰囲気を醸し出していた。やはり私好みの品揃え。ここも大量出品はしていなかったご様子。店主の方と少しお話し。以前「一箱古本市」には出店されたが、今回久しぶりの古本市参加ということ。
■ 神西清 『灰色の眼の女』 (中公公論社 昭和32年発行初版)800円
10年以上、中公文庫版を探していたが、巡り合わせが悪いのか見つけられなかった。昨秋『雪の宿り 神西清小説セレクション』(港の人)が発売され、その中に「灰色の眼の女」が所収されていることも知っていたが、どうしても中央公論社版がほしかった。店主の方の説明では文庫版はラインナップが若干違うらしいが、喜びひとしお。

巻末にある三島由紀夫の解説がまた素晴らしい。
「氏は凝り性を持って鳴っており、およそ氏がノンシヤランに書き流した文章などというものは、どんな断簡零墨のうちにも、一行も見当たらぬに違いない」と神西清を語る。
そして、「雪の宿り」を氏の最高傑作と賞賛した上で、次のように書いている。

題材は中世であるが、大空襲と敗戦の現代にも、ただちに連想が通うようになっていて、しかもその寓意が浅墓ではないから、読者は今、中世と現代とを同時に二重に生き、中世を追体験すると共に、つい先頃の戦争時代をも追体験する。これに比べると、浅墓な現代的テーマを盛った時代小説や、歴史的人物の心理や性格を勝手に捏造した歴史小説は、読者に現代を粉飾したたのしみを与えるだけである。

<チンチロリン商店>さん。とにかく詩集ならここしかない!という感じ。でも、個人的には詩集以外の出品にも惹かれる。吉本隆明『世界認識の方法』(中公文庫)が200円という安価で私が訪れた時にはまだ残っていた。(かみ合っていないところもあるとはいえ)フーコーとの対談が収められている本なのに。「どういうことだ~。信じられない!」と思わず漏らすと、店主の方に笑われてしまった。でも、同意してもらえたような。ナンダロウさんがここで『若者たちの神々Ⅰ』(新潮文庫)を購入されたことを後で知る。うちも出品していたのにと地団駄(笑)。

■ 長谷川四郎訳 『ロルカ詩集』(みすず書房)500円
学生の頃読んだが手放してしまっていた。昨年暮れ、中丸明『ロルカ-スペインの魂』(集英社新書)を100円で購入して読んで以来懐かしさに誘われ、機会があったら読み直したいと思っていた。

<歴史と音楽堂>さん。実際本は購入しなかったけれど、興味津々。何故なら私の好きなクラシック音楽本を多数出品されていたからだ。私も読んで持っている玉木正之『クラシック音楽道場』、吉田秀和『この一枚』。フォーレを弾かせたら並ぶ者はいないと言われたマルグリット・ロンの著作『回想のフォーレ-ピアノ曲をめぐって』ほか、レア本も含めいい本がたくさんあった。私たちと同じ5月4日に「一箱古本市」にも出店される(場所は往来堂書店)ので、足を運べたら声をかけさせていただこう。

<わめぞ古本市 鬼子母神参道入り口付近>にて

■ 『群像日本の作家18 三島由紀夫』 (講談社)
■ 大宅壮一 『「無思想人」宣言』 (講談社学術文庫)
 『大宅壮一全集第六巻』(蒼洋社)を持っていてその中に入っているのだが、文庫もほしくなって。

■ 岩田礼 『香月康男』 (日動出版)800円

とみきち(妻)が珍しく一人で古本を購入。普段は番頭の風太郎がふらふらと出かけては後先考えずに買ってくるため、ダブりはしないかと自ら買うことがない。

お隣で出店していた<古本 寝床や>さんには、未読の樽見博『古本愛』(平凡社)など、すぐにでも欲しい!という本が3冊出ていたがぐっと我慢する。
「これ欲しい。欲しい。ああ、すぐに売れてしまうだろうなあ。でも、今買うわけにはいかないからなあ」と悔し紛れに訴える。誰に?(笑)。 出店者が開店後間もなく他のお店の目玉商品とか極安と思える本を買うのは、私としては忍びない。というか、したくない。実際、わめぞ始め関系者の方の中には「最後の方で残っていたら買いますよ」と言ってくださる人も多く、そういうのはとても嬉しい。
案の定、欲しかった本は午前中早めに売れてしまった。「やっぱり、なくなりましたね」と、<寝床や>さんと一緒に笑う。
閉店間際、■石川淳『普賢 佳人』(講談社文芸文庫)を購入。お隣のよしみということで200円におまけしてもらう。

一人の客として、他のお店を廻り、本を眺め、時に店主の方と会話を交わすのも楽しい。
出店せず、知り合うこともなく、全くのただの客として足を運んでいたら、買いまくってしまい、うちのような貧乏所帯はすぐに破産だろう(笑)。

さて、次は「一箱古本市」。「とみきち屋」が出店する5月4日(月・祝)は曇りの予報。雨天決行とはいえ、何とか雨は降らないでほしい。3日は客として見て回るつもりなので、それも楽しみだ。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

「第1回みちくさ市」レポート(1) お客様と本の話

好きな本を通して人と出逢える。たとえ会話を交わすことがなくても、お客様が本をじっと手にとり、ページをぱらぱらとめくり、時に気になった箇所を読まれ、確認を終えた後にそっと差し出される。

自分が気に入っている本を、お客様が手にとられた時のドキドキ感。結果箱に戻されることになっても、残念というより、少しでも興味を抱いてもらえたことが不思議な喜びとなって心に満ちてくる。

かなり迷われている時に、その本の特長をどう説明しようかなと考え、話しかけるタイミングを待つ時間が楽しい。そしてお客様が嬉しそうに本を持ち帰っていかれる時の表情を見られるのが、何より嬉しい。

日常では決して経験できない、そういう一瞬一瞬を心に刻めるのがたまらなく心地よいものだから、「古本市」となると参加したくてうずうずしてくる。

それでは、みちくさ市当日のお客様の様子や、購入していただいた本や自ら買った本などについて一部をご紹介いたします。(読みにくくなりそうなので、お客様ではありますが丁寧な表現は避けました)

午前中、特に開店から1時間以内の11時ころまでは、来店者はそう多くはなかったのですが、明らかに本好きの方が来られた気がします。

まず売れないだろうと思っていた、秋山駿『人生の検証』(新潮文庫)。「秋山さんがこんな文庫出していたなんて知らなかったな」。200円という値段関係なし。内心<やった!>。

発売直後読み終えてしまった、岩佐東一郎『書痴半代記』(ウエッジ文庫)を出品。

「なんだ~、昨日新刊買っちゃったよ。でも、なんで出してるの?」と中年の男性。

「もう読み終え、いい本だけれど再読はしないかなと思いまして。雨で今日に順延にならなかったら購入していただけたかもしれませんね。」

10分と経たないうちに、別の男性が来店、400円でご購入。その後、最初の男性が戻って来たので、

「あれ、売れちゃいました(笑)」

「そりゃそうでしょ(笑)」

値段とは関係なく、ブックオフでは1年待っても出てきそうにない類の本ということで意見が一致。

洲之内徹『気まぐれ美術館』(新潮文庫)。5月4日の「一箱古本市」では文庫3冊セットを出品予定だが、単行本があるので、「みちくさ市」にも試みに出品。 開店間もなく男性がすっと寄ってこられ、他の本には目もやらず「探してた。ありがとう。」とお持ち帰り。

大学生と思われる若い男性。オシャレな装い、知的な雰囲気を湛えている。 「お待ちしておりました」と声をかけたくなるような、番頭好みの(本の好きそうな)お客様。

まずは『レヴィナスコレクション』(ちくま学芸文庫)を手にとって、何ページか読まれ、値段を確認。ちょっと躊躇うが箱には戻さず、とりあえずキープ。次に吉田健一『シェイクスピア』(新潮文庫)。

<いいなあ。話しかけたい。> しかし、じっと我慢。ゆっくり選ばせてほしいという感じがしてならないので。しばらく迷ってからレヴィナスと合わせ2冊ご購入。「嬉しいです。気持ち割引させていただきます」

で、店を離れるかと思いきやまたしゃがんで、今度は、ルソー『人間不平等起源論』、トルストイ『イワン・イリイチ/クロイツェル・ソナタ』、いずれも光文社古典新訳文庫を手にとり、ご購入。計4冊、ありがとうございました。

永江朗の本を手にとった若い女性が連れの方に、「この人の授業今受けているんだけど、面白いよ」と声をかける。しかし反応なし。永江さんの話を近くで聞いたことのある店主とみきちが、「そうですよねえ。たくさん本も書いていらっしゃるし」。すると、W大生と思われる彼女、「へぇ~、知らなかった」。おそらく入学したばかりで、まだ詳しくは知らないのだろう。永江さん、自著の宣伝はされていないご様子。

ちょっと足のご不自由そうな高齢の女性が、杖をつきショッピングカートを引きながら、ご来店。今東光『毒舌日本史』(集英社文庫)を手にとられ、じっくり3分ほど読んでいる。箱に戻される際かがむのはお辛いだろうと思い、前ににじり寄って受け取る体勢を整える。すると、手は箱ではなく私の方に伸びてきた。日本史に興味があるのか、今東光のファンなのかわからないが、嬉しくてならない。とみきちが了解をとった上で、女性がかがまないですむようにカートのバッグの中へ本を入れさせていただく。当店で購入後お隣でも足を止められたことから、一店一店見ていらっしゃるご様子。からだへの負担があるはずなのに、本がお好きなんだな。お会いできてよかった。

こんなことを思った。年輩の方がかかんだまま本を探されるのは辛いだろうなと。といって、立ったままだと文庫本の(特に背表紙は)タイトルは読みとりにくい。

箱やかごを多く用意するのは、閉店後返送するにも、持ち帰るにも手間にはなるけれど、許す限り持っていこうと思った。均一料金で箱を分ける際も、ジャンルの似たものをできるだけ近くに置くように。アットランダムに並んだものの中から、お目当ての本を見つけだす楽しみもどこかで残しつつ、基本はやはりお客様が見やすいようにしていこうと。「とみきち屋」は品揃えの影響もあってか、若い方が極端に少なく、年輩の方が多いから。

高齢の男性が、空箱を立てた上に載せたかごの中の、森田草平『夏目漱石(1)~(3)』(講談社学術文庫)に興味を持たれた時には、<おっ、もしかして>。 しかし、(値段がご不満だったか、状態がよくなかったのか)あえなく撃沈。次にヘンリー・ジェームス『鳩の翼上・下』(講談社文芸文庫)を手にとられる。<大事に読んだ本だから状態はいい。でも値段が。これもダメかな・・・>と諦めかけていたところ、何と買っていただけた!「みちくさ市」は外国文学の動きがよくないですねと、プレ開催以来「あり小屋さん」と話していただけに嬉しい。そう言えばマルセル・エイメの福武文庫も店を離れている間に売れていた。こういう作品に興味のある方も来店してくれたのだなと思えたりする。自ら出品しておきながら変な感想ではあるが。

独特の雰囲気を持った女性がご来店。うまく表現できないのだが、単に本にかなり詳しいというだけでなく、自分の世界を持っていて、不思議なオーラを感じるというような。言葉はほとんどなく、じっと手にとった本と対話をしているようにも見えた。高見順『いやな感じ』(新潮文庫)、『昭和文学盛衰史』(講談社)、壇一雄『リツ子その愛・その死』(新潮文庫)をまとめて3冊ご購入いただく。

それぞれ単行本、文庫本、同じ文庫というように所有しているので出品したのだが、格別に嬉しい。

島尾敏雄『日の移ろい』『続・日の移ろい』他3冊購入いただいた女性ほか3人ほどから「ふだんはどこでお店出されてるの?」という感じで尋ねられ、言葉に窮したものの嬉しくなったのも事実。

「『パイプのけむり23』はないの?それだけ持っていないよねえ」と訊かれ、團伊玖磨の本とはわかっても、どうお答えしていいやら。

「ねえ、この市はいつやってるの?今日はちょっと買っている時間がないのよね」と話しかけてこられる女性や、林語堂『蘇東坡上・下』(講談社学術文庫)と小島政二郎『葛飾北斎』(旺文社文庫)を嬉しそうに購入されていく女性がいたり。

プレ開催以来勝手に私どもが「はにかみ高校生」と呼ばせていただいている高校生にも再び来店いただき、中野好夫『人間うらおもて』(ちくま文庫)を持ち帰ってもらったりと、もりだくさん。

昨秋の「一箱古本市」以来何かとお心遣いいただいている「四谷書房」さんにも購入いただく。ブログも読ませていただいて感じるのは、購入する本に「ポリシー」をお持ちだということ。私など、とにかく好きなものだけ、カオスの如く(笑)

同じく「一箱古本市」以来仲良くさせていただいている「もす文庫」さん。今回はmasubonさんには、小川洋子『沈黙博物館』(ちくま文庫)、ご主人には、水木しげる『猫楠』(ちくま文庫)を購入していただく。いつもありがとうございます!

四谷書房さん、もす文庫さんとも「不忍ブックストリート 一箱古本市」には5月3日(日)に出店されます。もす文庫さんのご主人が作られた新作バッジ素敵です。masubonさんが描かれた文庫カードのイラストもかわいい。(→こちら)

★とみきち屋は4日(月・祝)に出店いたします。

それから、それから。出店されていた「古書 北方人」さま、「嫌記箱(塩山)」さま、「たけうま書房」さま、「あいうの本棚」さま、「あり小屋」さま、「居夢来巣堂」さま、「ツグミ文庫」さま、「酒池肉林」さま、「岡崎武志堂」さま。お買い上げいただきありがとうございました。番頭風太郎が把握している限りなので、もし漏れていたらすみません。

とみきち屋から本をお持ち帰りいただいたすべてのお客さま、ほんとうにありがとうございました。

結果は130冊揃えて、87冊お買い上げいただきました。

やはりとみきち屋としては持ち込んだ本が多すぎたと反省。

プレ開催の様子から、こだわりの本以外は値段を最初から安めに設定したこと、最後の方にかなり値下げしたこと、文庫を多めにしたこともあって、単価は330円弱でした。

もっとPOPをつけたり、お話しできる機会を増やして、まだ読んだこと無い著者の本でも、読んでみようかなと買っていたげるよう、工夫をこらしていかねばと思うことしきり。

昨秋の「一箱古本市」の際は、ほぼ同数の85冊売れ、単価が530円ほどでしたので、かなり違うことは確かなようです。

客として買った本についても書こうと思っていたのですが、長くなり過ぎました。次回にします。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

「第1回みちくさ市」出店を終えて

風は強かったものの前日とはうってかわって夏のような陽気、晴天。さすが、<わめぞ>パワー。本部案内所に吊るされていた照る照る坊主の個性的なこと。
商店会会長奧さま作のチャーミングなのに比べ、わめぞチーム作の怪しげなものたちを何と表現すればいいやら。それでも、「古書往来座」瀬戸さんの「ハーリー(晴―りー)は、さすが瀬戸さんという渾身の作。が・・・「輝輝坊主」「十字架けんだま坊主」「耳無し芳一坊主」。誰の作とは申し上げませんが、この人、前から変だと思っていたが、想像を絶する(笑)。照る照る坊主はこちら()で見られます。
ともあれ、ほんとうに楽しい一日を過ごさせていただきました。

開店準備、値付け変更、レイアウト変え、店じまいなど慌ただしさと無縁ではないのですが、気持ちの面では穏やかな海にゆったり浮かんでいる気分。
これも実際の運営をされている、 「古書現世」向井さんを中心とする<わめぞ>の方々の行き届いたケア、商店街の方々のご協力あってのものだと、プレ開催の時以上に感じました。

何度も出店者のところに顔を出しては、「楽しんでもらっているかな。不安はないかな。」と様子を見に来られたり、一人で出店されている方の店番を替わったりと、大忙し。<わめぞ>の皆様ほんとうにありがとうございました。

店をたたむ頃、みちくさ市の幟をはずしている商店街の方に「お世話になりました」と声をかけると、「おつかれさまでした」と声を返してくださる。駅へ向かう途中、店先に腰掛けている方にお礼の声をかけると、にっこり微笑んでくださる。ああ、鬼子母神商店街の方々の温かい支えもあって、楽しむことができるんだなと、しみじみ思う。
そして、もちろん、足を運んでくださるお客様の存在。
参加者も楽しめ、何よりお客様にも喜んでもらえる。人と人が様々な交流をはかれる場としての「みちくさ市」、そして「古本市」には、(店主として参加できないことがあっても)、これからも足を運びたいという思いがますます強くなりました。

それでは、みちくさ市レポート始めます。今回は、<わめぞ>の方々、出店者の方々の話から。

<わめぞ>の組長(笑)、「古書現世」向井さん。初参加の方も、向井さんの器の大きさと気配りの細かさには驚かれたでしょう。今日ブログを拝見したら、1時間の睡眠とっただけで開催中も複数の取材を受けたり、記事のゲラチェックをしたりと、心配です。少しは休めるといいのですが・・・。

チャリンコお兄さん(?)、「古書往来座」瀬戸さん。あの改良を加えられた「ホンドラック」、誇らしげに屹立していました。(往来座)<のむみち>さんのブログにヒントを得て今回当店で用意した「東峰夫2冊セット」、残ったら必ず引き取るよ~と言ってくださったのに、早々になくなってしまい、すみません。

私どもの出店場所を担当していただいたNEGIさん。いろいろとありがとうございました。「最後に残っていたら」ということでご指名いただいた、大庭利雄『終わりの蜜月』。当ブログでとりあげた際、最初に注目していただいたNEGIさんの手に渡り、本も喜んでいると思います。

外市、月の湯古本市を含め、何度か<わめぞ>のイベントに足を運びながら、ご挨拶できなかった「立石書店」の岡島さん、リコシェの豆ちゃんさん(何とお呼びすればいいのか分からず)、お話しできて嬉しかったです。

武藤(良子)さん。全くと言っていいほどお話しできず残念でした。そろそろ伺おうかなと思ったら、4月28日(火)まで開催されているご自身の個展・《武藤良子個展 「耳朶とスプーン」》の会場へ行かれた後でした。

「旅猫雑貨店」金子さん。徹夜で出品される品をつくられていたと聞いたので、あの暑さの中、写真撮影に加え、スタッフとしてのフォローたいへんだったのではないでしょうか。
無理はお願いできませんが、金子さんの素敵な写真、心待ちしています。
お兄さまの「刃研ぎ堂」さんには、お姿を拝見できるだけで元気をいただけます。

荻原魚雷さん。魚雷さんがレジにいらっしゃったと、とみきちから聞き、そのお姿を見られず残念でなりません。何度かご来店いただき本を購入いただいたとのこと。ありがとうございます。

退屈男さん。初めてでしたね、あんなに本の話をさせていただいたのは。興味の対象が似ているのでとっても楽しかったです。

Pippoさん。あの強風では、大人もこどもも楽しめるファンタジックゲームも、きっとフル稼働とはいかなかったのでしょうね。
「ニューチンチロビルディングス3階建て」という棚、瀬戸さんのニューホンドラックに対抗できるか!?という意気込みは素敵ですが、(じっくり拝見しましたが)無謀です(笑)。でも、きっちり精巧に作られていたら、かえって違和感を抱いたかも。Pippoさんらしさはもっと別のところにあると思えるので。
先般のお返しということでしたが、貴重な冊子ほんとうにありがとうございました。感涙ものです。

当店にお立ち寄りいただいたナンダロウさん。バッグはすでに膨らんでいて、満足気なご様子。5月3日・4日開催(当店は4日出店)の「不忍ブックストリート 一箱古本市」では昨秋に続きお世話になりますが、よろしくお願いいたします。

古本市出店3回目にして、初めて岡崎武志さんに1冊購入していただく。所有されていないとは思えない本だが、嬉しい。後から岡崎さんのところにお邪魔する。岡崎さんが今回軒先をお借りしたという「暢気堂」さんがどんなお店なのかも気になり。ディスプレイが美しく、並べられた本も品があって。クレーの絵を表紙にした吉行淳之介の文庫本がとても印象的でした。お店もさることながら、ほんとうに素敵なお二人でした。思わず長居してしまうほどに。
岡崎さんのおみくじ引いたら、何と「大凶」。おかげで、向井さんのお腹をたっぷり撫でることができました。「大凶」引いて嬉しいおみくじなんて他ではあり得ない。
岡崎さんがブログで、当店「とみきち屋」にとって(昨年のプレ開催以来)忘れられないお客さまの一人、「はにかみ高校生」に触れられたものだから、とみきちのブログ「とみきち読書日記」へのアクセスは異常な数になっているらしい。
あ~、よりによって私が店を離れている時にご来店されるなんて、痛恨の極み。会いたかった。

「あいうの本棚」さん。お会いできると何故かホッとし、いつも心が和みます。
プレ開催でお買い上げいただいた、栃折久美子『モロッコ革の本』喜んでいただけて嬉しいです。マキさんにはピッタリではないかと思っていたので。トモコさん、犀星本に関する話ほんとうです。だから、引き取っていただけよかったと思っています。購入した手作りのきれいな切手集、さっそく飾りました。

「あり小屋」さん。0歳とはいっても、4ヶ月半ほどの間にお嬢様大きくなられましたね。ご主人は看板娘と思っていらっしゃるようですが、奥様に替わるにはまだまだ当分先ではないでしょうか。
5月4日は一箱古本市」で(出店場所は違いますが)、またご一緒できますね。楽しみにしています。

「たけうま書房」さん。昨秋の一箱で出店され、ナンダロウさんの音楽御用達という噂も伺っておりましたが、お声をかけていただき、恐縮です。CDの視聴ができるスタイル、いいですね。素敵なご夫婦だなと思いました。

お隣だった「古本 寝床や」さん。店主とみきちの怪しげな売り方は参考になさらない方が賢明です。 一つ間違えるとお客様が引いて、逃げてしまいます(笑)。
さらに番頭は自分で本を選んでおきながら店を離れ、ふらふら歩き回る。一緒にいればごちゃごちゃ訳のわからないことを話すというありさま。
初参加、緊張もあって随分お疲れになったのでは。お一人での出店は慣れていてもたいへんだと思います。
あまりお話しできませんでしたが、私番頭は人見知りする性格ゆえ、初めての方とはうまく話ができず、口数が少ないだけなのです。2回目で「あれ?」という感じになり、3回目になるとがらっと性格変わります(笑)。またお会いできるといいですね。

「kan books」さん。同じ出店場所でありながら、お声もなかなかかけられず、すみませんでした。帰り際に頂戴したミルキー、疲れたからだにはとてもありがたく美味しかったです。ごちそうさまでした。そして、おつかれさまでした。

次回は、ご来店いただいたお客様や本にまつわることをご紹介します。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

「第1回みちくさ市」 出品本の一部ご紹介

いよいよ記念すべき「第1回鬼子母神通りみちくさ市」が明後日土曜日に迫ってきた。受付から2時間ほどで出店枠が埋まるほどの人気イベント。昨年のプレ開催に参加したとはいえ、気持ちを新たに臨みたいし、楽しみでもある。
天気予報は、関係者、参加者、お客様の気を揉ませる情報を流してはいるが、こればかりはどうしようもないでしょう。土曜開催が万一ダメになったとしても、日曜がある。何としても出店したい、限られた時間でも構わないから、当店「とみきち屋」を鬼子母神通りに出現させたい!と気合いを入れるのみ。あてにならぬ天気に気持ちをそがれるなんてもったいない。
主催、協賛の方々の判断に従い、参加者としてはやれることをやるのみ。そんな気持ちでいます。

月の湯古本市にとみきち(妻)と足を運んだ際、二人して目を見張った「古書往来座」瀬戸さん製作のホンドラック。何と改良を加えられ、さらに素晴らしい棚に変身。(→こちら
とみきちが好き勝手な事を言っていたため冷や汗ものだったが、まさか(一部とはいえ)「こうなったらいいのになあ」という希望を取り入れていただけるなんて。是非、是非みちくさ市会場で見たい!!

本日出品本約130冊を2箱で送付。当初は100冊ほどと思っていたが、3冊、4冊セット本があったり、お客様の反応を見てみたいと思う本が最後の方で出てきてしまい、結果予定数をオーバーしてしまった。

それでは、出品本の中から一部をご紹介いたします。

Photo

〔 文庫本+単行本2冊セット 〕
■ 東峰夫 『オキナワの少年』『ママはノースカロライナにいる』
■ 吉田知子 『無明長夜』『山鳴り』

〔 文庫本特別セット 〕
■ 森田草平 『夏目漱石(1)~(3)』 (講談社学術文庫)
■ 和辻哲郎夫妻書簡 3冊セット (講談社学術文庫) 
■ 倉田百三 角川文庫絶版4冊セット など。

〔 小説の本 〕
■ 後藤明生 『小説-いかに読み、いかに書くか』 (講談社現代新書)
■ 加賀乙彦 『日本の10代小説』 (ちくま文庫)
ほか、手頃な新書・文庫10冊ほど。

〔 単行本 〕
● 蜂飼耳、荒川洋治、梅津時比古、石上玄一郎、佐々木基一、杉本秀太郎、吉本隆明、唐十郎ほか。
 とみきち屋お薦めは、大庭利雄 『終わりの蜜月 大庭みな子の介護日誌』(新潮社)です。

〔 文庫本 〕
■『改版 維摩経』、『レヴィナス・コレクション』、『蘇東坡 上・下』、『リツ子その愛・その死』、『文士の風貌』、『いやな感じ』、『書痴半代記』、『気まぐれ美術館』、『楽天記』、『河童のコスモロジー』、『聖書の常識』、『毒舌日本史』、『梶井基次郎全集』、『鳩の翼』、『獲物の分け前』 ほか多数。

当店「とみきち屋」の出店場所は、<名取ふとん店横駐車場>です。
皆様のお越しをお待ちしております。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

本あれこれ

平日の夜は「みちくさ市」「一箱古本市」に向け、少しずつではあるが準備を進める。引っ越しで業者が嫌がるのも本の詰まった箱。むべなるかな。候補となる本が入っている20以上の箱を家中移動させる作業で運動部の合宿状態。全身筋肉痛(笑)

旅猫雑貨店の金子さんがつくった「みちくさ市」案内のバナーが素敵だ。しかも、フラッシュする写真はプレ開催時のものが使われているが、最初に出てくるのが当店「とみきち屋」の写真。わかるのは自分たちだけだが、わけもなく嬉しい。

16(木)は神保町で仕事があったので、合間にブックダイバーでで開催されている「ふるぼん秘境めぐり」〔19(日)まで〕を覗いてみる。四谷書房さんが参加しているからだ。普段置かれているソファーがどけられ店内中央や、ダイバーさんの棚の前に参加店の棚や本を展示した椅子などが並べられている。各店舗が特長を出した品揃えで、短時間ではあったが楽しめた。
四谷書房さんからは■ 百目鬼恭三郎『読書人読むべし』(新潮社)を購入。他店からは■『ヴィヨン全詩集』(岩波文庫)。

仕事帰り、やや遠回りして某古書店へ。外に出ているワゴン(100円均一)から

■ 坂本雅之 『アメリカ・ルネッサンスの作家たち』(岩波新書)
これで3冊目か。英文科に入った際お世話になったが、内容も充実している。ホーソーン、エマソン、ホイットマン、メルヴィル、ソーロウなどがとりあげられている。
■ 飯沢耕太郎『写真とことば』(集英社新書)
■ 瀬戸内晴美『余白の春』(中公文庫)
朴烈事件で大逆罪に問われ獄中で縊死を遂げた金子ふみ子を描いている。ようやく手に入れることができた。ブックオフでも瀬戸内晴美の中公文庫は意外と少なく、特にこの本は一般の古書店でもなかなか見つけられなかった。
金子ふみこによる手記、 『何がわたしをこうさせたか-獄中手記』(春秋社)は一読の価値あり。

店内で
■ 堤 重久『太宰治との七年間』(筑摩書房) 500円
高校入学後すぐに読んだ同じ著者の『恋と革命 評伝・太宰治』(講談社現代新書)は、太宰関連本の中でもひときわ愛着を持っている。
「一箱古本市」でテーマの一つとして「太宰と安吾」を決めていたことが幸いして、私を招いてくれた気がする。大事に大事に読みたい。

今日17(金)は新刊書店へ。新潮新書の関川夏央『新潮文庫20世紀の100冊』、小谷野敦『 『こころ』は本当に名作か』が目に止まりパラパラと立ち読み。関川本には、辻仁成『海峡の光』が選ばれているのを見て唖然。まえがきに、全書を鑑賞したわけではなく「歴史」として読んだというようなことが書いてあり、やや納得。しかし、本書成立までの特別な経緯もあったのだろうが、著者自身がお薦め本とは違うというようなニュアンスのことを書いている。
小谷野本。博学ぶりは相変わらず。しかしいつものあの毒気は感じられない。資質に合わない、同じ経験がないと共感できないだろうなどと、「疑わしい名作」に関し説明していて、拍子抜け。タイトルも陳腐。
2冊とも著者の資質が発揮されているように思えない。薄められているというか、ぬるい。新潮新書に文芸関連の名著が少ないのも肯ける。
ブックオフで105円なら、小谷野本は読んでみようかなという程度。
関川本は『本よみの虫干し』(岩波新書)があれば十分か。

その後講談社文芸文庫のコーナーに寄るも、買って近い内に読みたいと思える近刊はなし。仕方なく、吊されている目録に目を通し品切れをチェック。 えっ!? 川端康成『文芸時評』に品切れの白星マーク。慌てて棚に目を走らせると1冊残っていた。これはなくならないだろうと高を括っていたのが間違い。講談社文芸文庫は油断がならない。1,680円という文庫とは思えぬ値段だが購入。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

桜のトンネルを抜け「月の湯古本まつり」へ

4月4日(土)、<わめぞ>メンバー武藤さんのブログで推薦されていた道を辿りながら、とみきち(妻)と共に「月の湯古本まつり」を訪れた。神田川沿い江戸川公園の桜並木、それはそれは見事なものだった。サンドウィッチを頬張りながら何年かぶりの夫婦二人でのお花見。椿山荘の庭、芭蕉庵もゆっくり散策したい気持ちに誘われたが、午後遅めに家を出たので今回は諦める。

昔ながらの銭湯に足を踏み入れるのは40年振りだろうか。何とも言えぬ郷愁に誘われる。小学校1年生2学期に団地に引っ越すまでは、毎日のように通っていた銭湯。行き帰りも含め、日常とは違う不思議な時空間を子どもながらに楽しんでいた。実際に月の湯を訪れることで、『オ風呂ノ話。』を著し、銭湯という文化をひとりでも多くの人に伝えようとしている武藤さんの気持ちを実感できた。

その武藤さんには、3月の「外市」の際に交わした約束通り缶ビール2本(別銘柄)を差し入れ。2本同時にぐびぐびブレンド飲みするかと思いきや(笑)、1本は退屈男さんへ。優しいなあ。

武藤さんから、吉祥寺にある藤井書店さんを紹介してもらう。一階と二階では本の扱いが違うらしく、二階が開いている時がいいとのアドバイス。すかさず、「火曜の定休日以外開けてますよ!」と、藤井書店さん。

退屈男さんの退屈文庫、今回は気合いが入っていた。多くの本にセロファン紙がかけられていて、表示を見るまで退屈文庫とは気づかなかった(笑)。本を見ていると、横にいた若いカップルの女性の方が、三國連太郎・沖浦和光『「芸能と差別」の深層』(ちくま文庫)を手にとり、「これすご~く面白かったよ。三國連太郎って俳優なのに、いろいろ勉強していて知識も豊富でびっくりした」と、連れの男性に薦めている。こういう会話が漏れ聞こえてくるのも楽しい。結局買って行かれたようで、そのことを退屈さんに伝えると喜んでいた。

退屈さんには、(デジカメに収められた)部屋の片付けの経過がわかる写真を見せてもらう。ブログを読んでいたのでかなりの本を処分したのだなと思っていたが、実は3分の1でしかないらしい。出品している本の質、所蔵している本の量は、退屈さんの年齢を考えるとすごい。

読了後処分してしまった■石川淳『安吾のいる風景・配荷落日』(講談社文芸文庫)■吉村昭『私の文学漂流』(新潮文庫)を退屈文庫で再購入。

月の湯入り口横に素敵な雑貨を並べていた「旅猫雑貨店」の金子さんとは、先日開催された「おさんぽ市」をプロデュースされたお兄さま「研ぎ猫」さんのお話しを。腰が低く、いつも明るくその場を和ませてくれる方。<わめぞ>の方々が研ぎ猫さんのお宅に集まっては、よくご飯をご馳走になっている様子が色々なブログで書かれている。人が集まるのがお好きだとか。

そこへとみきちがやって来て、この本を買うよと■細川護貞『細川日記』(中公文庫)を見せる。スリップを「ニシオギ」と読み違えると、金子さんが、「それはニシアキですよ」と「西秋書店」さんのことを丁寧に説明してくださる。なんと、何度も足を運び何冊も本を購入したことのある神保町の書店!本好きを自称しながら書店名を覚えようとしない私の欠点をさらけ出してしまった(笑)

さっそく棚を見に行くと『sumus』のバックナンバーでほしい特集が2冊あったものの、稀少なゆえ値段が少し高めで手が出ず。しかし、いい本が揃っていた。

「古書現世」の向井さんは帳場のレジのところにど~んと坐っていらっしゃる。その姿はまさに親分。しかし、あらゆるところに視線を送り、気配りしているのがわかる。

身内ともいえる<わめぞ>の方々と、客として訪れる私たちや、みちくさ市に参加する時の私たちとの関係性を瞬時に判断し、状況に応じ、的確な言葉を選んでいることを向井さんからは感じる。武藤さんに差し入れしたことは早々と伝わっていたようす。「すみません。次は向井さんにも。お好みは?」と尋ねると、ひと言「現○」。絶句(笑)。

答えに窮し、「これまで向井さんのところの本を一番多く買っているので、それで何とかお許しを」。 ご了承いただけたかどうか(笑)

今回、20年近く探し続けてきたものの手に入れられなかった1冊を「古書現世」さんで購入。

■五味康祐『オーディオ教室』(ごま書房)

手元にあるのは父から譲り受けたものだが、自身書き込み、線引きしてしまっていてボロボロに近い状態。しかも、カバーがない!初めてカバーを見ることができ感涙。五味さんの強烈な顔(イラスト)が表紙を飾っているとは想像もつかなかった。しかも250円という信じられない値段。向井さんが仏様のように輝いて見えた。

他には、■シオラン『四つ裂きの刑』(法政大学出版局)■平岡正明『大革命論』(河出書房新社)をこれまた他では考えられないような値段で購入。

欲しい本をこういう値段でバンバン出してもらえると、向井さんの追っかけになってしまいそうで怖い(笑)

ブログでしか拝見したことのない仙台の「火星の庭」さん。出品されている本は私の好みと重なるものが多かった。所有していなければ何冊も購入していたに違いない。■中村光夫『谷崎潤一郎論』(新潮文庫)を購入。できることなら、仙台へも一度行ってみたいものだ。

「古書ほうろう」の宮地さんご夫妻と久しぶりにお会いでき、嬉しかった。月の湯内にお二人で「萬福亭」というお店を出していたのには驚いた。大人気のチキンライスは残念ながら売り切れ。初めてお会いした時からの印象は変わらず、知的で穏やかなお二人。

宮地さん(ご主人)からは「一箱にはまた参加していただけるみたいで、楽しみにしていますよ」と言っていただく。恐縮するとともにいい意味でのプレッシャー(汗)

一人で本と戯れていた世界から(この半年で)、本と関わるいろいろな方と出逢えるようになったのも、昨秋の一箱古本市に参加したことが大きなきっかけだった。その中でも、開店後まもなく宮地さんに「いいですねえ。好きですよ、こういうの」と声をかけてもらえた事が、どれほど力になったか。5月の「不忍ブックストリート 一箱古本市」への参加を4日(月・祝)にしたのは、実を言えば不忍通りを挟んで古書ほうろうさんの店舗がある側で出店したかったから。(出店場所がほうろうさんの近くになったらなあという淡い期待もあって) 場所が決まったら、下見を兼ねてまたお店の方に伺おう。

Pippoさんのゲームコーナーはいつもながらこどもたちを中心に大盛況。こどもが熱中しているうしろ姿は愛らしく、ほのぼのとさせてくれる。私も今回はゲームに参加、大はしゃぎ。最初だけキノコを釣ったが、虫らしき不思議な物体が妙に気にかかり、釣り上げる度にPippoさんが説明してくれる。「これはナメクジ」。ふむふむ。「これはいちおう、おたまじゃくしのようなもの」には、瞬間お腹をかかえて笑ってしまった。Pippoさん、ごめんなさい。時間をかけ紙粘土でつくられた作品だというのに。よ~く見ると、小さな目が二つ描かれていて、まさにおたまじゃくしでした!

名古屋で出品した詩集は稀少で貴重なものが多く、大評判だったと聞いていたので、そのことに触れると、「私は何度も読んだので、読みたいと思う方に読んでもらえたら」と。こういう想い好きだなあ。私など、大事な本は2冊ないと、「誰かに」という気持ちになかなかなれない。

武藤さんには缶ビールを差し入れしたのでPippoさんには複数所有している本の中から、外市で話題にした作家関連の文庫2冊を進呈。というより、押しつけ(笑)。

帰り際、「古書往来座」の瀬戸さんにとみきち共々「ホンドラック」の説明をしていただく。どれだけ苦労された末に出来上がったすぐれものかがわかる。ホンドラポールの差し入れ口の穴が1㎜たりとも狂いが出てはならないばかりか、微妙な全体のバランス、強度を考えた上での作品。ほんとうに丁寧な作業、そしてその情熱!

「今日は瀬戸さんのところの本は買わなくて・・・」と言うと、「いや~、本を買っていただけなくても、こんなにホンドラックに興味を持っていただけて、説明まで聞いてもらえたので、それだけで嬉しいです」と話す瀬戸さんの笑顔がとても素敵だった。

会場内では、いつ休んでいるのだろうかと思えるくらい、出品者の棚や箱に目を配り、忙しなく本を補充していた瀬戸さん。今度は本の話もさせていただきたいなと思う。

女性のお客様が多かったのが印象的。キレイでかわいい雑貨や小物も目を引くのだろうが、屋内でじっくり、ゆったり見れるのがいいのかなと思ったりした。加えて銭湯という不思議な空間も魅力なのだろう。もちろん、男性の方にもお勧めです。新しい発見があるに違いないので。

当日の様子は、同行した妻(とみきち)がブログ「とみきち読書日記」で写真をアップしております。よろしかったら、そちらの方もご覧ください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

古本・古本市

3月7日<わめぞ>「外市」に行った後も、古本買いは一段落しない。ブックオフの新規開店、半額、均一セールに一般古書店。毎日のように古本を買う猛者に比べれば、ちょぼちょぼに過ぎないが、何店舗に足を運んだやら。

5月4日(月・祝)、不忍ブックストリート「一箱古本市」参加決定。
4月25日(土)、「みちくさ市」にも参加したいと思っているので、本は欲しい。しかし、買い続けても出品本が増えてくれるわけではない。
以前書いた事と重複するが、月々の予算は限られているため優先順位がある。

1.未読で自分が読みたい本
2.書き込み或いは持ち歩き用に一冊追加
3.知人に薦めたい、贈呈したい本を追加購入
4.古本市用 蔵書から手放したくない。でも人に読んでもらいたいから購入する
5.古本市用 設けたテーマや箱の見栄えを保つための本

このルールに従うとおおかた2で終わってしまう。
家の中を片付けるために、処分を命じられている本はまだまだあるので(笑)、2週続きの古本市となっても恰好はつけられるだろう。
この12日間の購入本は以下のとおり。

〔 ブックオフ 半額セール 〕

■ アントニオ・ネグリ 『ネグリ 生政治的 自伝』(作品社) 600円

■ 西田幾多郎 『西田幾多郎随筆集』(岩波文庫) 200円

随筆も味わいがあると聞いている。書簡抄にも興味あり。

■ 佐木隆三 『小説 大逆事件』(文春文庫) 200円

■ 白石一文 『もしも、私があなただったら』(光文社文庫) 150円

話題になった『一瞬の光』『すぐそばの彼方』とも、若書きの印象が拭えず、インパクトにも欠けた。で、著者の小説は読まなくなってしまった。この作品は自分(私)に近い年齢の男性が主人公のようだし、5年の歳月を経て作品が深まったかもしれないと思い購入。

〔 ブックオフ 文庫 250円均一セール 〕

■ 室生犀星 『かげろうの日記遺文』(講談社文芸文庫)

川端康成をして「言語表現の妖魔」と迄言わしめた犀星の文章をじっくり味わってみたい。

■ 新渡戸稲造 『自警録』(講談社学術文庫)

■ 杉山茂丸 『百魔(上)』(講談社学術文庫)

昨秋の一箱古本市で上・下1セット処分してしまったため、残り1セットしかない。また収集開始。長い道のり。

■ トーマス・マン 『ブッデンブローク家の人びと(上)(中)(下)』(岩波文庫)

ずっと気になっていた未読本。読み通すのはずっと先になりそうだが。

〔 ブックオフ 105円 〕

■ ゴイティソーロ 『サラエヴォ・ノート』(みすず書房)

『パレスチナ日記』を読んだ時には既に品切れになっていた。どうしても読みたかった本。

■ 城山三郎、高山文彦 『日本人への遺言』(新潮社)

■ 辻邦生 『幸福までの長い距離』(文藝春秋)

映画について語っている文章を集めた本の存在は、寡聞にして知らなかった。

■ 近藤史人 『藤田嗣春「異邦人」の生涯』(講談社文庫)

■ 杉森久英 『浪人の王者 頭山満』(河出文庫)

■ 三島由紀夫 『熱帯樹』(新潮文庫)

新潮文庫の三島由紀夫も品切れが出始めている。持っているが買っておく。

■ アップダイク 『アップダイク自選短編集』(新潮文庫)

■ 亀山郁夫、佐藤優 『ロシア 闇と魂の国家』(文春新書)

■ 浅羽通明 『右翼と左翼』(幻冬舎新書)

■ 石川忠司 『現代小説のレッスン』(講談社現代新書)

『衆生の倫理』(ちくま新書)が予想外に面白かったので、同じ著者が現代小説をどう捉えているか気になる。

〔 その他 古書店 〕

■ 畑島喜久生 『霜山徳爾の世界』(学樹書林) 600円

■ 風(百目鬼恭三郎) 『風の書評』(ダイヤモンド社) 400円

書評の姿勢としては、私は狐(山村修)を支持する。百目鬼が匿名でどんな書評を書いていたのか読んで置かねばなるまい。

■ ロレンス・ダレル 『セルビアの白鷲』(晶文社) 100円

『アレキサンドリア四重奏』、『黒い本』は若い頃興奮しながら読んだが、この本は見落としていた。作品としての出来はわからないが、100円なら迷わず買い。

〔 古本市用 古書店 〕

■ 蓮実重彦 『文学批判序説』 『小説から遠く離れて』(河出文庫)

■ 森田草平 『夏目漱石(3)』(講談社学術文庫)

■  鶴ヶ谷真一 『書を読んで羊を失う』(平凡社ライブラリー)

■  加賀乙彦 『日本の10大小説』(ちくま学芸文庫)

■  山崎豊栄 『太宰治との愛と死のノート』(女性文庫)

■  出口裕弘 『太宰治変身譚』 (飛鳥新社)

■  洲之内徹 『気まぐれ美術館』(新潮社)
■  洲之内徹 『絵の中の散歩』(新潮文庫)

2冊とも持っているが出品用に。同じ書店で入手できたのは、同一人物が処分したからだろう。古本屋を巡っているとこういう事が偶にあるものだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

古本一週間

先週土曜、いつものように地元馴染みの古書店に段ボール2箱処分。それから、一週間。(私にしては)かなりの数の古本を購入。古本屋に足を運ぶのは、やはり楽しい。背表紙を見ているだけのこともあれば、見たこともない本をそっと書棚から引き抜いて、ぱらぱらと目を通すこともある。気になったら値段を確認。「またいつか機会があったらな」(笑)と書棚に戻すことのほうが多いものの、「(俺を)待っていたのか」と、迷わず買うこともある。しかし、やたらと手にとったりはしない。長年の古本屋通いで培った勘を頼りにする。自分に合っている本かどうかを。加えて、店への配慮もある。もちろん、探していた本は、よほど高価でない限り購入する。5年かけて見つけるなんてことはざらだ。これはいわゆる古書店の場合。

ブックオフとなると買い方が変わる。定価の半額でも高いなと思える本は買わない。単行本均一500円とか、値札の半額セールを待つ。もっともセール当日の朝から行けることはほとんどないので、そう簡単にいい本を見つけることはできない。仕事の合間、仕事帰りとなると、セールをやっている日かどうかという巡り合わせもある。
(昨秋)古本市に参加するようになってから自身変わったのは、既に持っている本でも、人に提供したくて探すようになったことだろうか。1冊しかないと自分の蔵書からは出せない。そういうものは半額でも買う。また、今年もできれば古本市に参加したいと思っているため、自分の蔵書だけではもうひとつぱっとしない場合、値段に関係なく買うこともある。例え数は少なくとも、テーマをいくつか設けて出品したいからだ。
それでは、この一週間の購入本をご紹介。古書店5軒、ブックオフ5軒にて。

■ 豊崎光一 『クロニック』(風の薔薇叢書) 800円
『他者としての忘却』 『ファミリーロマンス』 『余白とその余白または幹のない接木』などを処分してしまったことを後悔していた。久しぶりに豊崎光一の文章が読める。
■ E・Hカー 『カール・マルクス』 200円
■ 北博昭 『二・二六事件全検証』(毎日新聞社) 300円
■ 霜山徳爾 『仮象の世界』(思索社) 
あのフランクル『夜と霧』の訳者。この人の『人間の限界』(岩波新書)、『人間の詩と真実』(中公新書)、『素足の心理療法』(みすず書房)、『共に生き、共に苦しむ』(河出書房新社)など、どれも読み応えがある。驚くべき幅広い教養、深い洞察力。
■ 結城信一 『結城信一 評論・随筆集成』(未知谷) 1500円
前回当ブログで書いた、荒川洋治『読むので思う』の中で触れられていたので欲しかった。まさかこんな値段で手に入れられるとは!
クルト・リース 『フルトヴェングラー 音楽と政治』(みすず書房) 
以前処分してしまったので買い戻し。やはり手元に置いておきたい。
■ 足立巻一 『やちまた 下』(朝日文芸文庫) 
これでようやく上下揃い2セットになった。1セットはどうしても手放したくない。しかし、いつか誰かの手に渡ってくれればと下巻を探し続けていた。足立巻一といっても、興味のない方には無縁ではあるが。
■ 荒巻義雄 『柔らかい時計』(徳間文庫) 
昔、高校バレー部後輩の兄から薦められて読んだものの、知らないうちに無くなってしまった。一緒に買って読んだ『神聖代』(徳間文庫)は残っているのだから、恐らく間違えて売ってしまったのだろう。もう無理と諦めていたが、ようやく手元に戻ってきた。27年振りだから、奇跡に近い。
■ 渡邊二郎 『芸術の哲学』(ちくま学芸文庫) 400円
■ 長谷川如是閑 『ある心の自叙伝』(講談社学術文庫) 

〔ブックオフ 105円〕

■ 松本健一 『大川周明』(岩波現代文庫)
■ 石原吉郎 『石原吉郎詩文集』(講談社文芸文庫)
■ 弘津正二 『若き哲学徒の手記』(講談社学術文庫)
■ 北杜夫・辻邦生 『対談 若き日と文学と』(中公文庫)
■ 増田彰久・藤森照信 『アール・デコの館』(ちくま文庫)
■ 福永武彦 『塔』(講談社文庫)
■ 日影丈吉 『女の家』(徳間文庫)
■ 森敦 『わが青春 わが放浪』(福武文庫) 
■ 巌谷大四 『懐かしき文士たち 戦後篇』(文春文庫)
■ 吉田さらさ 『京都、仏像をめぐる旅』(集英社be文庫)
■ マラマッド 『アシスタント』(新潮文庫)
■ モーパッサン 『死のごとく強し』(新潮文庫)
■ 清水多吉 『ヴァーグナー家の人々』(中公新書)

クラシックCD(ブックオフ)500円

● ベートーヴェン「運命」、シューベルト「未完成」 クレンペラー指揮 ウィーン・フィル
● シューベルト「グレート 他」 クナッパーツブッシュ指揮 ウィーン・フィル
 いずれもドイ・グラムフォン国内盤(現ユニヴァーサル) ライブ録音

この一週間は怖くなるくらい、恵まれた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

古本の日 いつもの古書店で

夜、馴染みの古書店へ。店主とは写真集の話に興じる。「中平卓馬の写真集はありませんかね」と尋ねたら、現在は在庫なしとのこと。それを機に、いろいろと昔の面白い話を聞かせてもらう。

●中央公論社から発行された映像の現代シリーズをセットで売ろうとしたものの、半年経っても買い手が見つからず、それぞれ値段を考えてバラ売りしたところ、3ヶ月後には完売。しかも、当初セット価格でつけた値段をはるかに上回った。ちなみに森山大道の『狩人』は20万円で売れたみたいだ。

●ある日、細江英公の『薔薇刑』を探しているという女性から電話。持っていると伝えると、「実物を見たい」と言う。やって来たのは豪華な装いの年輩女性で、少しアルコールが入っていたらしい。それでも、手にとって見る目は真剣そのもので、ひととおり目を通すと、「いただくわ。ほかに、面白いものある?」と訊かれ、これはと思う写真集を何点か見せると、計4冊40万円分購入。「彼氏へのプレゼントよ」と微笑みながら、店を後にしたとのこと。

店の奥から森山大道の写真集を出して来てくれたので、見せてもらう。値段もけっこうするが、彼にはこんな写真集もあったのかと思えるものだった。写真集は、来店時、実物があるならすぐ見たいというお客様ばかりなので、めぼしいものは倉庫にではなく店内に置いておくらしい。その後、牛腸茂雄の話を聞かせてもらう。写真についてほとんど知識がないので、初めて聞く写真家だった。どのような写真かを聞いているうちに、魅力を感じ欲しくなる。ネットで調べたものの、高価なものが多い。「SELF AND ATHERS」なら、手の届く範囲だが、とにかく一度図書館で探して、牛腸の写真を見てみよう。

〔 購入本 〕

■ クルト・シュナイダー 『病態心理学序説』(中央洋書出版部) 1000円

20年前に、『臨床精神病理学』(改訂増補第6版・文光堂)を読んだが、この本の存在は知らなかった。「心の異常、心の病態とは、いかにして了解され得るものか?今日の精神病理学の発展に重大な影響を与えた、ヤスパースとならぶハイデルベルク学派の代表的精神科医が、冷たく美しい結晶のような文体で綴るこのうえなく簡潔で端正な精神病理学総論」と、帯に銘打ってある。

■ 三浦つとむ 『マルクス主義の復原』 (頸草書房) 800円

吉本隆明『言語にとって美とはなにか』で、この著者の存在を知った。官許マルクス主義をどう捌いているか、楽しみだ。何度か読んだ、三浦つとむ『日本語はどういう言語か』(講談社学術文庫)は、実に斬新で刺激的な本だ。今なお色褪せていないと思う。他に『弁証法はどういう科学か』(講談社現代新書)、『ものの見方考え方』(頸草書房)を読んでいる。『こころとことば』(明石書店)も是非読んでみたい。

■ 井上日召 『一人一殺』 (新人物往来社) 200円

あの血盟団事件を起こした背景に何があったのかを知る、ひとつの縁(よすが)にはならないかと思い購入。井上本人は「一殺多生」をスローガンにしていたと聞いている。それにしても200円は安すぎる。まだ店頭に出していないものを、ちらっと見かけ、この値段で譲ってもらった。

■ 鶴見俊輔 ほか 『まげもの のぞき眼鏡』 (旺文社文庫) 200円

鶴見俊輔、多田道太郎ほか6名が大衆文学の魅力を伝える本。『虹滅記』『やちまた』の著者、足立巻一が執筆者に名を連ねているのだから、買うしかない!

帰宅後、昼間読み始めていた、篠山紀信 中平卓馬『決闘写真論』(朝日文庫)を一気に読了。13年以上前に購入した本だが、これで通読は5回目になるだろうか。部分的には何度も読んでいる。いつかブログで取りあげてみたい。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

わめぞ「外市」を堪能 (2)

先日書いたように、「古書往来座 外市」までに、古書現世向井さんのところへ伺うことができなかった。さて、どうご挨拶したものかと思案中、向井さんの影が。その存在感は圧倒的だ。それでいながら、すうっと引き込まれてしまう柔らかさ、温かさ。(からだに触れてみてということではありませんよ)
風太郎 「すみません、お店の方に伺えず、外市になってしまって」
向井さん 「いついらっしゃるかとお待ちしていたんですよ」
風太郎 「外市前なので向井さんはいないかもしれないけれど、実は8日に伺うつもりでいたんですよ。仕事が延びて行けなくなってしまったんですが」
向井さん 「夜はいたかな。いや~、でも、来なくてよかったかも。私がいない時だと×××××ですから」
<いきなり向井さん節。残念ながら具体的には書けません>
とみきち(妻) 「うちでは勝手に"むかちゃん"って呼んでるんですよ~。ブログ楽しく読んでます。"むとちゃん"(武藤良子さん)の話になると最高!」
<風太郎冷や汗。すみません。勝手にちゃん付けで呼んでしまって>
向井さん 「何とでもお呼びください」
<ステキだ>
風太郎 「今度こそ伺います。狼おじさんになりたくないので」
向井さん (ニコっと笑いながら)「12月31日までに来ていただければ」
風太郎 「???」  <もう過ぎているぞ・・・>
とみきち(妻) 「さ~すが、よくご存じで。いっつも予定は未定。いつになるかわからないですからねえ」
<えっ? 今年の大晦日までにってことか?>
風太郎 「そんな~!」と言いながら、なれなれしく向井さんに体当たり。みごとにはじき返される。
日も沈み寒さがしみてくるはずなのに、ぽっかぽっかに心が和む。
向井さんからは、仕入れや値付けのことなど興味深い話を伺う。退屈男さんのことも話す。しっかり人を見て、愛情深い方だなあと思うことしきり。荻原魚雷さんを紹介していただいたのも向井さんでした。

向井さんから「わめぞ人MVP2008」を贈られたPippoさん。みちくさ市後にその存在を知ったので、彼女の「~pippoの思索劇場~」を読ませてもらいました。ハイデガーやキルケゴールと比して、ニーチェを詩人と捉える感性。車谷長吉『金輪際』に触れ、車谷の人間洞察力を「地獄の門で鬼が全身をねめまわすような」と表現。絲山秋子の文学を、シモーヌ・ヴェイユに言及しつつ、相手を傷つけずに人を見捨てない「恩寵」の文学と呼んでいる。大好きだという萩原朔太郎と、同郷の詩人高橋元吉との交流に思いを馳せる場面。ゲーテ、ヘッセ、横光利一が自身にとってどういう存在かを表現しているところ。強く印象に残った作品として、ポール・オースター『ムーン・パレス』、福田恆存『私の幸福論』などを挙げ。そして自らの想いを伝えることが困難な言葉の本質を意識しながら、言葉を求めてしまうところなど、共感を覚えました。それで、今回是非お話ししてみたかった。

他のお客様と話している後ろ姿、その装い。<Pippoさんに違いない> 声をかけるとビンゴ!
自己紹介すると「ああ、吉本隆明の本をたくさん持っている」と言っていただき、全く知らないわけではなかったんだとほっとする。Pippoさんの書棚にも吉本の本が収められていた。「番頭さん(という呼び方)っていいですよねえ」と褒められ、恐縮。とみきち(妻)が、本の担当は風太郎と説明すると、「それじゃ、こちらは看板娘?」 「むすめ? いやいや、とんでもない、ウワッハッハ」。Pippoさん、おもしろ過ぎです。私は古本市に参加するまで、どうやって本を処分してきたかを話す。とみきちが「いいですよね~、本のことだけやっていればいいんですから」と言いつつ、我が家の惨状を訴える。それを聞いたPippoさん、とみきちに「それじゃ本以外にも何かなさっているんですか?」 とみきちが「本のこと以外の日常全般です」と事実をありのままに伝えたら、「そのほうがたいへんですよね~」と素敵な笑顔。
私が荒川洋治『言葉のラジオ』を手にとるやいなや、「荒川さんのエッセイ、どれもいいですよね。あの幅の広さはスゴイです」とPippoさん。嬉しくなる。「思索劇場」の話になると、「あまり熱く語るのも・・・」と口にされるので、「日常のブログとは別に、楽しみにしていますし、私たち二人とも好きなので、これからも書いてください」とお願い。初対面なのに厚かましいことこの上ない。わずかな時間でしたが、自然体でいながら、常に言葉を探求し、ことばと格闘しながら、大切にしている「現代の吟遊詩人」という印象を受けました。

わめぞ>の方々の中には、まだお話しさせていただいことのない方もたくさんいらっしゃいます。つまり、まだまだ多くの楽しみが残っているわけです。

〔購入本〕 敬称略
● 中原昌也 『KKKベストセラー』(朝日新聞社) 古書現世
● 武藤良子 『オ風呂ノ話。』 m.r.factory(武藤良子)
● 平出隆 『猫の客』(河出書房新社) ふぉっくす舎
● 荒川洋治 『言葉のラジオ』(竹村出版) 小高根二郎『詩人 伊藤靜夫』(新潮選書) チンチロリン商店(Pippo)
● 海野弘 『アール・ヌーボーの世界』(中公文庫) 文壇高円寺(荻原魚雷)
● 古井由吉 『行隠れ』(集英社文庫) 蟲文庫
○ 遊び箋セット・棕櫚ほうき 旅猫雑貨店
南陀楼綾繁 『山からお宝 本を積まずにはいられない人のために』(けものみち計画)
内澤旬子 『おやじがき-絶滅危惧種中年男性図鑑』(にんげん出版)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

わめぞ「外市」を堪能 (1)

夕方4時半頃から1時間強、とみきち(妻)と共に、「古書往来座外市」へ足を運ぶ。多くの人で賑わっていた。昨日は強風に加え、底冷えするような寒さだったから、夜8時までの開催、さぞかしたいへんだったのではないかと思っていた。案の定、<わめぞ>のみなさんの口からは「きつかった」「死にそうだった」と。

外市終了1時間半前に訪れたので、自分の欲しい本は残っていないだろうから、<わめぞ>の方々に会うのがメインかなと思っていたが、何の何の。まだまだ魅力ある本が並んでいた。メンバーの方それぞれが選んで持ち寄っただけのことがあるなあとびっくり。さすが<わめぞ>。見たこともないような本、良質の本だけではなく、話題になった本、近刊本も、他に行ってもこんな良心的な値段では決して入手できない!本好きの人には自信をもってお薦め。

みちくさ市でお世話になった「旅猫雑貨店」の金子さんにご挨拶。その横に、お酒ではないかと思われるコップを片手に持った女性が。「武藤さんに違いない!」 で、金子さんにさり気なく、「あの~、武藤さんはどちらに?」と尋ねたら、ピンポン!ついについにあの武藤さんに会えた!初対面なのに自然に話は進む。みちくさ市で話題にした高校生らしき男の子が昨日現れたらしい。たぶん彼だろう。横で話を聞いていた金子さんは、武藤さんと私の繋がりが気になったご様子。

武藤さん「風太郎さんのブログ、ラブレターかと思った」

風太郎「わかりました?気持ちが通じたんですね」

ラブレターとは、いきなり武藤良子様の書き出しで始まる、私が書いた「みちくさ市」レポート(ブログ)のこと。<わめぞ>の方々のブログではいろいろと面白く話題にされている武藤さんですが、突き抜けたところがあったとしても、根は繊細な方だなと実感。年末から年始にかけて、ブログがちょっとパワーダウンしているように感じられ、心配していたのですが、お元気そうでよかった。その後レジの辺りから「『オ風呂ノ話。』完売!」の声が。人気ありますねえ。

「みちくさ市」で同じ会場だった晩鮭亭さんにもご挨拶。もちろん、我が家のヒーロー、退屈男さんにも!とみきちは、私が本を見ている間に、『山からお宝』裏表紙に載っている退屈男さんの部屋について、いろいろ質問していたらしい。本が積み上げられているので、カーテンは閉められない、窓も開けられない。ということは結露によって本が濡れてしまわないかと。そこで退屈男さんのひと言。「窓が二重になってますから」。誇らし気な表情がとてもキュートだったとか。

「みちくさ市」でお世話になり、長田弘『二十世紀書店』を購入していただいた、ふぉっくす舎さんの出品本を購入後、寒さを凌ぐため店内に入っていくと、「ありがとうございます」と声をかけていただいた。細かい気配りをされる方だなと思った。

古書往来座の瀬戸さんは店内カウンターで忙しそうにされていたので、残念ながら、ご挨拶のみ。

<わめぞ>の存在を知る以前に『古本暮らし』(晶文社)を読んでいた。その著者、文壇高円寺の荻原魚雷さんとも初めてお会いできた。どこか別世界から現れた人ではないかと思われる、不思議な方だった。でも、本やブログで書かれている文章との違和感は全く無かった。「新しい本が出るのを待っています」といきなりお願い。変なおっさんと思われたに違いない。口には出さなかったが、魚雷さんが小説を書いたら、どんな世界が描かれるのだろうかと勝手にわくわく想像してしまう。

話題になっていた蟲文庫さんには声をかける機会がなかった。というより、これまで接点がないので、気後れもあったというのが正直なところ。蟲文庫さんからは古井由吉の文庫を1冊購入。深沢七郎の単行本『楢山節考』と『極楽まくらおとし図』、所有していなかったら、躊躇わずに買っていたのだが。

次回はその(2)として、古書現世の向井さんとPippoさんについて触れます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

〔 雑記 〕舌の根も渇かぬうちに古本買い

昨日8日(木)、「今日こそは古書現世さんに行くよ。外市前だからお店にいなくて、向井さんに会えないかもしれないけれど」と妻に言って家を出る。夕方、依頼された書類をアポなしで高田馬場の得意先に届けることになっていた。黙って受付に預けていくのも失礼なので、声をかけると担当者が出てきてくれた。それから話すこと1時間。失礼してから時計を見ると、18:45。ああ、間に合わない。泣く泣く古書現世さんに足を運ぶのを諦める。みちくさ市でお会いした際、お店の方に伺いますと言っていたのに,外市前に伺えなかった・・・。

雪にはならなかったものの、今日は一段と寒かった。神保町の得意先へ向かう途中、ある古書店の前を通りかかると、以前とはなんだか趣が違う。確か時代小説専門の古書店だったはずだが・・・。気になって看板を見ると、「りぶる・りべろ」となっている。「あれ?どこかで聞いたような。そうか、退屈男さんが以前ブログに書いていた古書店か!」
仕事の打ち合わせを終わらせた後、さっそく訪問。

小さめの店舗だが落ち着いた雰囲気。外の喧噪が嘘のようにそこだけが静まりかえっている。店内中央にはガラスのショーケースが置かれ、澁澤龍彦などの高価本が陳列されていた。文庫はそれほど重視していない感じを受けた。一般読者向けの本が100円均一で置かれたりしている。驚いたのは、思想系。左右問わず、美味しそうな本がずらっと並んでいた。トロツキーの亡命日記、影山正治の本など、懐に余裕があったら買っていたのに。懐かしい雑誌『流動』もあった。彷書月刊もバックナンバーを含め置いてある。週末の外市のことが頭にあったので、2冊だけ購入。
● 山村政明 『新編 いのち燃えつきるとも ある青春の遺稿集』(大和出版 1970発行)
● 中村真一郎 『夜半楽』(新潮文庫)
 今手元にあるものが日焼けで真茶色になり、文字も薄くなっているので買い直し。

次の仕事を終え、最後の仕事まで(移動時間を入れても)30分ほど空きができたので、得意先近くのブックオフへ。珈琲でも飲みながら本を読むのもいいのだが、自然と足が向いてしまう。時間がないので、哲学・思想、心理、音楽のコーナーのみ。100円コーナー、目を引くもの皆無。仕方なく半額の方へ。
ショーペンハウアー『存在と苦悩』〔金森誠也 編・訳〕が目に止まる。値札が貼っていない。中をパラパラめくる。10頁ほど鉛筆で線が引かれている。
そのことを指摘した上で、「これはおいくらですか?」と尋ねたら、「ああ、この状態ですから105円でいかがでしょうか」と言われ、即購入。
以前別のブックオフで、半額ではちょっとなあと思える線引き本があって、店員に交渉したら、「すみませんでした。これは売れません」と奧にしまい込まれてしまった。線引き、書き込み有りなどと表示されていて、それに見合った値段で売っている店舗もある。もっともそこは、一般の古書店に近いコーナーも設けてあり、ブックオフグループでも特殊ではあるが。
試してみるものだと実感。ただ、ブックオフは、中身を丁寧にチエックしていない場合の方が多いので、美本だと思って買うと痛い目に会うこともあるのでご注意を。
手袋忘れ、傘をさす手もかじかんでいたが、3冊も安く手に入れられ、いつのまにか暖かくなっていた(笑)。
年初に、今年は古本をあまり買わないようにしようなどと宣言したが、早くも崩れてしまった。

10日(土)、11日(日)は「古書往来座 外市」。どちらか一日、行くつもりでいる。楽しみだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年 古本買い初め

古本、新刊を問わず本屋には、できるものならわずかな時間でも構わないから、毎日でも訪れたい。この性癖は生涯直らないように思える。正月2日から早速行動開始。

2日 ブックオフ
● 大原富枝『息にわがする』(朝日文芸文庫) 『地上を旅する者』(福武文庫) 各105円
 私にとって、好きな作家と言うよりは、読まねばならぬ作家という位置づけである。事実、『婉という女』『アブラハムの幕舎』には圧倒された。『建礼門院右京大夫』には唸った。『息にわがする』はまだ読んだことのないエッセイ集。 『地上を旅する者』は今から読むなぞ、遅すぎるくらい。これに続く『地籟』(文藝春秋)も年内には何とか見つけて、読みたいと思っている。
● 『現代短編名作選2 1948-1950』(講談社文庫) 105円
 田中英光 「さようなら」、林房雄 「四つの文字」を読みたくて。
● 車谷長吉 『贋世捨人』(文春文庫) 105円
 この人の作品を読むにはある種の覚悟が要る。精神状態が向かないと思える時には、遠ざけた方が賢明だ。と言いながら、読まずにはいられない。
● 河盛好蔵 『回想の本棚』(中公文庫) 105円
● 井筒俊彦 『イスラーム生誕』(中公文庫) 105円
● 渡辺慧 『生命と自由』(岩波新書) 105円
●  桑野隆 『バフチン 〈対話〉そして〈解放の笑い〉』(岩波書店) 500円

3日 ブックオフ
● クライスト 『チリの地震』〈種村季弘訳〉(河出文庫) 105円
 ドイツ文学にある程度の造詣があれば知らない者はいない、34歳で自殺した19世紀初頭の孤高の作家。岩波文庫で『ペンテジレーア』『ミヒャエル・コールハースの運命』『O侯爵夫人 他六篇』『こわれがめ』は既読。河出文庫版には、「チリの地震」ほか6篇は岩波の『O侯爵夫人』の中にも入っている。しかし、「チリの地震」を一読して、同じ作品とは思えぬ趣に、読後言葉を失う。
狐のペンネームで有名な書評家、山村修が『もっと、狐の書評』(ちくま文庫)の中で、「マニエリスト種村季弘のこうした姿勢が、訳文にも影響しているとみていい。チリの大地震という十七世紀の史実を背景に、男と女の恋の異常な結末を書く表題作など、訳文の日本語が、さながらうねるがごとく波立つ」と書いている。全く同感である。
お薦めしたい本だが、残念ながら品切れで入手困難。

● 山村修 『気晴らしの発見』(新潮文庫) 105円
 後は、『遅読のすすめ』(新潮社)を入手できれば、狐=山村修に関しては、満足できる。

3日 古書店
● 保田與重郎 『後鳥羽院』(保田與重郎文庫4 新学舎) 400円
 言わずと知れた日本浪曼派の泰斗。戦時下の言動を批判され、終戦後、言論界から黙殺された。著者の本を読むことはタブーともされていたようだ。橋川文三『日本浪曼派批判序説』を先に読んでいれば、抵抗を覚えることがあっても不思議ではない。1960年後半以降の復権がなければ、こうして保田の多くの著作を文庫で読める環境にあったかどうかわからない。

『日本浪曼派の時代』『英雄と詩人』『ヱルテルは何故死んだか』ほか何冊かは、新学舎の文庫を購入して読んだものの、『後鳥羽院』には手が伸びなかった。そろそろ購入しようと思った時には、書店から姿を消していた。通常とは違う棚にひっそりと埋まっていた『後鳥羽院』が、私に微笑みかけてくれた。
『後鳥羽院』の中の、「近世の唯美主義」「近世文芸の誕生」は、『保田與重郎文芸論集』(講談社文芸文庫)に収められている。同書には、必読とも言える「日本の橋」も入っている。

● 奧浩平 『青春の墓標』(文春文庫) 300円
 単行本(ソフトカバー)と、同じ文庫を2冊所有しているのだが、つい購入してしまった。人に贈呈したものも含めれば、5冊は買っているだろうか。この他にも、樺美智子『人しれず微笑まん』、大宅歩『詩と反逆と死』、原口統三『二十歳のエチュード』、岸上大作『意志表示』などは、見つけるたびに値段に関係なく買ってしまうので、これまでに何冊購入し、何冊人の手に渡ったか正確には覚えていない。

● 臼井吉見 『大正文学史』(筑摩叢書) 200円
 友人が、臼井吉見の孫なので、気になった本は買うようにしている。
● 紀田順一郎 『日本の書物』(新潮社) 300円

まだまだ家じゅう、本の詰まった段ボール箱が積み上げられたままなので、今年は古本買いも、昨年より少な目にしようと思う。たぶん、無理。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

行商

我が家では本やCDをまとめて売りに行くことを「行商」と呼んでいる。もちろん処分するのは私だが、馴染みの古本屋に持ち込む時は、妻に車を出してもらう。
この前、文庫が不足していると聞いていたので、今回は文庫本を120冊、単行本20冊ほど処分した。
ブックオフなどにあふれているような本は基本的に出さない。これは決め事にしている。すると、文庫の場合、だいたいこんな感じになる。
〔講談社文芸文庫〕
『青葉の翳り』『一期一会 さくらの花』『妖という女・正妻』『巴里芸術家放浪記』『再婚者 弓浦市』『深い河 辻火』『才市 蓑笠の人』『朝霧 青電車』『ガラスの靴 悪い仲間』『放浪時代 アパートの女たちと僕と』など
〔講談社学術文庫〕
『銀河と地獄』(川村二郎)『与謝蕪村』(安東次男)『共産主義批判の常識』『和漢朗詠集』
〔中公文庫〕
『芥川龍之介』(宇野浩二)『文藝復興』『思想の運命』『黒い文学館』『歴史・祝祭・神話』『本の神話学』『或る青春の日記』『青き麦燃ゆ』『赤い霧』など。
〔ちくま文庫・ちくま学芸文庫〕
『定家明月記抄』『深沢七郎の滅亡対談』『桃仙人』『インドへの道』など。
〔岩波文庫〕
『哲学書簡』『神々は渇く』『ペンテジレーア』『ジュスチーヌまたは美徳の不幸』『新編 学問の曲り角』など。
〔新潮文庫〕
『アポロの杯』『熱帯樹』『憂鬱なる党派』『人間にとって』『廃市 飛ぶ男』『この世 この生』『人間滅亡の唄』『芸術と実生活』『島崎藤村』『重き流れの中に』『丸山蘭水楼の遊女たち』『南回帰線』『悪魔と神』『鹿の園』『ルーマニヤ日記』など。
〔角川文庫〕
『女について』(ショーペンハウエル)『ゴッホの手紙』(小林秀雄)『人工楽園』など。

色川武大『明日泣く』『花のさかりは地下道で』、文春文庫の福田 恒存、船山馨『見知らぬ橋』(角川文庫)、舟橋聖一『好きな女の胸飾り』(講談社文庫)、『ボマルツォの怪物―澁澤龍彦コレクション』(河出文庫)ほか。

「古本市」に出せるような本も多いが、それはまた別のこと。これまでの、そしてこれからの長いお付き合いを考えて、このようになった。

処分後、以下の本を購入。

●内海健『「分裂病」の消滅 精神病理学を超えて』(青土社)
●『吉本隆明を<読む>』(現代企画室)
●桶谷秀昭『ドストエフスキー』(河出書房新社)
吉本隆明と桶谷秀昭は、かつて売ってしまったのだが、また読みたくなった。このように買い戻す形になることが多い。

帰りは散歩を兼ねてブックオフに寄る。単行本500円均一セールをやっていたので2冊ほど。
●ロラン・バルト『明るい部屋』(みすず書房)
●黒岩比佐子『音のない記憶 ろうあの天才写真家 井上孝治の生涯』(文藝春秋)
ついでに100円コーナーから。
●森茉莉『父の帽子』(講談社文芸文庫)
●岡本かの子『生々流転』(講談社文芸文庫)
●小林信彦・荒木経惟『私説東京繁昌記』(ちくま文庫)
●D.H.ロレンス『現代人は愛しうるか 黙示録論』(中公文庫)
●浅羽通明『アナーキズム』(ちくま新書)
●貝谷久宣『気まぐれ「うつ」病』(ちくま新書)
●春日武彦『問題は、躁なんです』(光文社新書)
●市村弘正・杉田敦『社会の喪失』(中公新書)
●『ワーキングプア 日本を蝕む病』(ポプラ社)

これだけ買って2000円でお釣りがくるなんて、本当にいいのだろうかと思ってしまう。本好きにはありがたいことではあるが、本の「価値」を考えない市場が膨らんでいったら、出版界への影響は甚大なはず。複雑な思いだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

入ってきた本、引き取られていった本(2)

前回はみちくさ市でのことしか触れられなかったので、今回は日常における、この2週間の古本購入記録です。

仕事の関係で、神保町にはよく行きます。また、古書店が近くにある仕事先へ行くと、例え10分しか見られなくても、足を運んでしまいます。もちろん、帰宅途中、休日にも徘徊。

〔地元馴染みの古書店から〕

■ E .M.シオラン『生誕の厄災』(紀伊國屋書店)1000円

崩壊概論』『歴史とユートピア』は読んだものの、これは未読のため。

■ 上林暁『随筆集 幸徳秋水の甥』(新潮社)

  随筆は読んだことがないので購入。

■ 堺利彦『堺利彦伝』(中公文庫)

〔いろいろな古書店から・・8店舗くらい〕

 中河与一『探美の夜』(講談社)300円

 中河与一の名前が目にとまると、条件反射で手が伸びてしまう。

野村秋介『獄中日記 ―千葉編―』(二十一世紀書院)1500円

 当ブログで書いた(これからも頻繁に登場する)地元馴じみの古書店に十数年前売ってしまった。やはり手元に置いておきたくて、買い戻したようなもの。

     高橋たか子『高橋和巳の思い出』(構想社)100円

  作家でもある妻が、高橋和巳をどう見ていたのか知りたくて。

     岩川隆『神を信ぜず BC級戦犯の墓碑銘』(中公文庫)300円

  山頭火を描いた『どうしやうもない私』の著者ゆえ。

     北森嘉蔵『神の痛みの神学』(講談社学術文庫)

   北森神学には、これまで触れたことがなかったので。

     小島政二郎『芥川龍之介』(講談社文芸文庫)500円

  『眼中の人』の著者ならば、読みたくなるのも当然。きっと芥川への愛情がいっぱい詰まっているはず。

     福永武彦『ゴーギャンの世界』(講談社文芸文庫)100円

   ゴーギャンの絵はどちらかというと苦手なほう。しかし、福永が書いたとなれば、読まないわけにはいかない。

● 山上たつひこ『光る風 上・下』(ちくま文庫)400円

 『がきデカ』のショックは未だに残っている。 彼がこんな作品を描いていたとは知らなかった。山村修が自著『もっと、狐の書評』(ちくま文庫)で触れていた『喜劇新思想体系①』も読んでみたくなる。「笑いの文法がまったく違う」という、山村修(狐)の捉え方は鋭い。

     村井則夫『ニーチェ ―ツァラトゥストラの謎』(中公新書)300円

  共著、共編としてハイデッガー、西田関連本があり、かつ、リーゼンフーバー『中世思想史』の訳者であると知り。さらに、まえがきを読んで、300円ならお得だろうと。

     荒岱介『新左翼とは何だったのか』(幻冬舎新書)200円

   廣松渉と交流を持ち、三年有余下獄した著者の視点から、どう語られるのか興味を抱き購入。

     目崎徳衛『出家遁世』(中公新書)

  やっと手に入れた!!

● 巌谷國士編集『ユリイカ臨時増刊 総特集シュルレアリスム』(青土社)400円

統一性を欠いた気ままな買い方です。引き取られていった本はありません。年末恒例の大量処分に向け目下作業中。持ち込み先は、もちろん馴染みの古書店新刊本の購入はゼロでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

入ってきた本、引き取られていった本(1)

みちくさ市から早2週間。年の瀬が迫り、公私ともに一段と慌ただしくなってきましたが、この間も本は出たり入ったり。その記録です。

〔みちくさ市で購入した本〕

● 辻まこと 『虫の図譜〔全〕』(ちくま文庫)

どこのお店だったか忘れてしまいましたが、600円前後の安価。見つけた!という感じ。嬉しい。

● 富岡多恵子 『厭芸術浮世草子』(中央公論社)

岡崎武志さんのお店で。赤瀬川原平装幀、帯の推薦文は澁澤龍彦。

● 大木健 『シモーヌ・ヴェイユの生涯』(勁草書房・昭和43年改訂版) ● 中村真一郎 『読書三昧』(新潮社)

以上2冊は古書現世さんより。直接向井さんからではありませんでしたが、挟まれているスリップの残りから間違いないと思います。ヴェイユは新品だと2,730円もするので手が出ませんでした。400円と知って迷わず購入。ありがたいな。

● 日影丈吉 『かむなぎうた』(現代教養文庫) ● 阿佐田哲也 『阿佐田哲也の怪しい交遊録』(集英社文庫) ● 小山清 『日日の麺麭 風貌』(講談社文芸文庫) ● 辻まこと 『あてのない絵はがき』(小学館ライブラリー)ほか、全部で20冊購入。

「秋も一箱古本市」では、他のお店を回る余裕がほとんど無く、数冊しか 購入できなかったため、今回はその反動が出てしまいました。

〔みちくさ市で引き取り手が決まった本の中から〕

● ロートレアモン 『ロートレアモン伯爵』豊崎光一訳(白水社)
● 佐野眞一 『宮本常一のまなざし』(みずのわ出版)
● 佐佐木幸綱編  『現代短歌 鑑賞日本現代文学32』(角川書店)
● 矢部智子、今井京助ほか『ブックカフェ物語』(幻戯書房)
● 山下武  『人の読まない本を読む』(本の友社)
● 田中眞澄  『ふるほん行脚』(みすず書房)

● バルザック 『暗黒事件』 (新潮文庫) ● ヴォネガット 『ヴォネガット、大いに語る』(サンリオ文庫)

「アリ小屋」さんが購入してくださいました。「一箱古本市」で互いの店で本を購入。お店の名前を覚えていなかったものの、お顔は憶えていました。それが、今回「みちくさ市」では隣同士に! 何という巡り合わせ。アリ小屋さんの感想。「外国文学は人気無いなあ」。

● 鴨下信一 『忘れられた名文たち』(文春文庫)

不忍ブックストリート春秋部、石井さんに。中村さんもご一緒に来ていただいたのにお会いできず、寂しい限り。ほんとうに素敵なお二人です。

● 寺山修司 『ひとりぼっちのあなたに』(新書館) ●栃折久美子 『モロッコ革の本』(筑摩書房)

あいうの本棚さんのお二人のもとへ。本もきっと喜んでいるはず。

● 小池昌代 『屋上への誘惑』(光文社文庫)

一箱古本市でお隣だったもす文庫さんがお見えになって、購入してくださいました。売り場から離れていてお会いできず、残念。

< 感想 >

丸山健二、人気無し。『争いの樹の下で』以降、自身読まなくなってしまったので、仕方ないか。それ以前のものは、エッセイ含め、けっこういい作品もあると思うのだけれど。福永武彦もダメでした。これは残念。『死の島』(新潮文庫)を出せば、ひょっとして、引きとり手がいたのかも…。
荒川洋治さん、完敗。『文学が好き』『忘れられる過去』『読書の階段』どれも1000円以上では、値段が高すぎたかなあ。親しい人で、喜んでくれそうな人のために、取っておこう。

「本の本、本屋さんの本、読書の本、ベスト本」というテーマを設けた本は、9割方引き取られていきました。やはりうち(とみきち屋)は、何かしらテーマを設けて出店するのが、個性も出せるし、似合っているのかもかもしれません。

会場を見て回って。ちくま文庫、講談社学芸文庫、中公文庫の多いこと多いこと。ちょっとした品切れ本も含め、かぶっている本が多いので、うちのような値付けでは残ってしまうのも当然か(笑)。金子光晴、寺山修司、澁澤龍彦、竹中労(芸能関連本)も多かった。『ねむれ巴里』、『美空ひばり』何冊も見ました。

みちくさ市後の、日常のことも書こうと思っていましたが、長くなりそうなので、続きは次回に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「みちくさ市」エピソード(2) 「吉本(隆明)さんの大ファンです!」 彼女のひとことに卒倒

女性の年齢あてる自信全くなし。もっと若かったら、ごめんなさい。今年の流行語大賞ののりで言えばアラサー(around thirty)と思われる女性と、短いながら至福の時間を持てました。

アベック、いやカップルでご来店。彼の方はほとんどしゃべることなく、彼女の独壇場。
吉本隆明著『僕ならこう考える』(青春文庫)200円を彼女が手にとったところからの会話です。

吉本隆明は吉本ばななの父親で、戦後思想界ではとりわけ有名な人と言っても、
ご存じない方には何のことやらですよね(笑)
〈 〉内は、私の独白。

「この文庫と違って、単行本の表紙の方が好きなんだけどなあ」
 
  < 確かに。文庫はセンスない。表紙の違いがわかるなんて >

「単行本、持ってるし」
 
 < じゃあ、なぜ文庫手に持ってるの?まさか、持ち歩き用に?かなり好きそうだ >

「そうですか。吉本さんの本、ここにもありますよ」
 
  ― 『読書の方法』(光文社 知恵の森文庫)を私が指さす。

「ああ、これね。これも単行本持ってるから」

 < はあ? ひょっとして、吉本ファン? >

しばらく、迷った彼女。手にしていた『僕ならこう考える』を、すうっと、こちらに差し出す。

「よろしいんですか?」
「ええ」
「ありがとうございます! 吉本さん、お好きですか?」
「ええ!吉本さんの大ファン!!」  

 ― 私は卒倒しかけた。

「う、うれしいなあ。女性から、その言葉聞くの、初めてです。すご~く嬉しいから、1冊サービスします」
  
  ― 他の本の中に埋もれていた、『心的現象論序説』(角川文庫)をとって渡そうとした。

「ああ、『共同幻想(論)』なら、サービスしてもらわなくても(けっこうですよ)」
 
 < 表紙の絵柄をちらっと見ただけで、『共同幻想』と口にするなぞ、ほんものだ >

「そうですか。高価な本論の方も出版されて間もないから、喜んでいただけると思ったのですが。もうお持ちですよねえ・・・残念です」
 
 ― まじまじと本を見る彼女、目が点状態で、私の話など全く聞いていない。

「うそ?!いいんですか。うそうそ・・・。だってこれ、ネットで○○○○はしますよ~」

 < アマゾンあたりのことだろうな。そういうの、ちょっとは参考にするけど、本の値段の決まり方って、いろいろあるんだって、この頃つとに思うようになったから>  

「いいんですよ。大ファンに出逢えた記念だから」
 
 < ちょっと、かっこつけすぎ?おっさんだなあ >

「そんなあ。ダメですよ。無料(ただ)なんて」 
「だから、ただじゃなくて、気持ちですから」

  ― そこで初めて、300円と書いてあるスリップを見た彼女。

「300円~~~!!! 買います、買います」
「そうですか。それでは、2冊合計で、500円になります」

嬉々として去っていった彼女。嬉しかったのはこっちなのに。

続きを読む "「みちくさ市」エピソード(2) 「吉本(隆明)さんの大ファンです!」 彼女のひとことに卒倒"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「みちくさ市」エピソード(1) はにかみ高校生 彼は・・・

昨日の「みちくさ市」で出逢った、言葉では形容し難い高校生についての話から。

300円、200円でも、お客様にすれば高いと感じられるのかな・・・と思える本を、店のレイアウトを変えてつくった200円、100円均一箱に入れ始めてまもなく(閉店40分くらい前)のことでした。他のお客様に気をとられていたら、ふっと左から黒い人影が視界に入ってきました。私の正面に立ったのは、詰め襟の制服を着た清潔感漂う高校生。襟をきちんととめ、髪は短くも長くもなく、きれいに整えられていました。もちろん、染めてなどいません。私がもし女子高生だったら、恋してしまいそうな麗しい顔。おじさんが、魅入られてしまうーそんな高校生を思い描いてみてください。

その彼が黙って本を差し出してきたのです。瞬間、お客様?と思いました。とみきち屋出品本のなかに、高校生と結びつくものがなかったからです。野間宏『文章入門』(旺文社文庫)、中野重治『歌のわかれ』(新潮文庫)だったものだから、思わず仰天。しかし、すぐさま歓喜。 嬉しくなって、「こういった作家が好きなんですか?」と尋ねたら、はにかむように視線をちょっと逸らされてしまいました。そして、お財布から小銭を取り出そうとするので、「野間宏の方は、100円ではなく400円ですが・・・」と言いかけたら、さきほどとは違い、〈わかっていますよ〉という感じで、微笑んだのです。〈この本が欲しいから、500円硬貨出しているのに〉という彼のプライドのようなものが感じられ、一瞬言葉につまってしまいました。

思い直して、「それでは400円頂戴します。この手の本を買っていただけるのは嬉しいので、中野重治の分はサービスさせてください」と、お釣りの100円を渡したら、満足気にニコっとして、静かに去っていきました。結局、彼は一言もしゃべらなかった。

なんだか、夢のなかにいるような気分で、しばらくぼうっとしてしまいました。後からですが、「黙って箱の中に目をやり、何冊も手にとるわけでもなく、あの2冊を選っていたよ」と妻から聞きました。

妥当な値段と思ってくれた彼に、「400円ですが」などと、失礼なことを言ってしまったと反省しています。そういえば、ただシャイなのだとは思えず、知的な雰囲気を漂わせ、自分の世界を持っている目をしていました。彼は他のお店で、どんな本を買ったのでしょうか。みちくさ市にまた参加する機会があったら、もう一度彼に会ってみたい。会話はなくても、買ってもらえなくてもいいから。次はどんな本に目を遣るのか、知りたい。今回の「みちくさ市」で、一番印象に残ったお客様です。

ここからは、持ち帰っていただいた本と、お客様のことです。書名に興味のない方は、読み飛ばしてください。

■バシュラール『夢見る権利』400円 澁澤龍彦『血と薔薇コレクション1』200円 ほか5冊

「秋も一箱古本市」で、ハイデガー『ニーチェⅠ・Ⅱ』(平凡社ライブラリー)ほか、哲学、思想関連の本を、二度ご来店いただき、計5冊ほど買っていただいたお客様が、なんと今回の「みちくさ市」でもいらっしゃいました。忘れるはずがありません。両手に持った袋にはぎっしりと本がつまっていたのですから。今回は思い切って、「秋も一箱の際には、何冊もご購入いただき、ありがとうございました」声をかけたところ、少し驚かれたようでした。嬉しいことに、先方もこちらのことを覚えてくださっていました。

で、その後はこんな感じで。「澁澤のこの本、1しかないの?」「すみません、買って読み始めたものの、私にはどうも合わなくて。この本だけなんです」「残念だな。2・3もあればな・・・」それを聞いて澁澤の本はダメかと諦めかけたら、「今回はこれだよこれ、バシュラール!」とニコニコされました。そして、『血と薔薇コレクション1』を含め、結局3冊お買い上げいただきました。バシュラールを出していなかったら、今回はパスだったかもしれません。〈1冊欲しいのがあったから、あとの2冊は気持ちだよ〉という感じが、嬉しくてなりませんでした。

驚いたのは、時間をおいて再び訪れていただいたことです。『泣菫随筆』『近代の超克』(いずれも冨山房百科文庫)の2冊を持ち帰ってくださいました。

この方の好みに合う本を考えるのは難しそうですが、またお目にかかりたいものです。

続きを読む "「みちくさ市」エピソード(1) はにかみ高校生 彼は・・・"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「鬼子母神通り みちくさ市」出品本の中から

みちくさ市」に出品する本のいくつかを羅列するだけでは面白味に欠けるので、若干紹介させていただきます。正直申し上げて、私どもが出店する「とみきち屋」の宣伝です。また、選んでいるうちに気づいたのですが、書評家、古本ライターとして有名な岡崎武志さんが言及されている本の紹介がほとんど。「秋も一箱古本市」で初めてお会いし、ほんのわずかですが、お話しさせていただいた際、雰囲気のある、素敵な方という印象を強く持ちました。今回のみちくさ市にも参加されるとブログで知ったことの影響もあります。しかし、何より、その著書の多くが本好きには魅力あふれるもので、私自身何冊も読んでいたからだと思います。

数箱設置する中に、数も少なく、ありきたりではありますが「本の本、本屋の本、読書の本、ベスト本」というテーマの小さな箱をつくりました。その中からブックデザイン、装幀に関するものとして。

     栃折久美子『モロッコ革の本』(筑摩書房)※1

     菊地信義『装幀=菊地信義』(フィルムアート社)

本屋の本でも、読書の本というものではありませんが。

長田弘 『二十世紀書店』(中公新書)※2

※1 記憶は定かではないのですが、岡崎さんがちくま文庫に触れて書いている中で挙げられていたような・・・。出品するのは単行本(ソフトカバー)の方です。※2 岡崎さんが自著『読書の腕前』(光文社新書)の中で、「中公新書を思うとき、まっさきに思い浮かべるのがこの一冊」「一時期、古本屋通いのバックにいつもこの一冊があり、自分の書棚をうるおす最高の教科書だったことをいま思い出す。」と書いています。

     野呂邦暢 『丘の火』(文藝春秋) 『一滴の夏』(集英社文庫) 『落城記』(文春文庫)

講談社文芸文庫『草のつるぎ 一滴の夏』は今入手が難しいようです。再販の予定はあるのでしょうか。品切れにしておくのはもったいない。野呂から120通もの手紙をもらい、交流のあった豊田健次がその著書、『それぞれの芥川賞直木賞』(文春新書)の中で多くのエピソードを語っています。野呂という人物を知る上だけでなく、ひとつの物語のようにも読め、いい本です。

     野呂邦暢については、岡崎さんと山本善行さんの共著『古本屋めぐりが楽しくなる 新・文學入門』(工作舎)の中でも、約2ページにわたって語られています。この本、古本好きには堪らない。お二人の所有される本の質と数、知識の広範さ、情熱には圧倒されます。『丘の火』は遺作となった長編。

「とみきち屋」お薦め本。

・ 荒川洋治 『忘れられる過去』(みすず書房) 『文学が好き』(旬報社) 『読書の階段』(毎日新聞社)

極めてマイナーかもしれませんが。

・ 樋口修吉 『回転木馬』(集英社)

目黒孝二(=北上次郎)の書評の一部をもって紹介。

「この小説は樋口修吉らしい魅力にあふれた長編で、カジノ場面の迫力や脇を固める登場人物のあざやかさなど唸るほどだが、すぐれた恋愛小説もなっているのは、このヒロイン(注)たちが際だっているからだ」 目黒孝二『活字三昧』(角川文庫)より  

(注) by風太郎  普通の男ではとてもたちうちの出来ない、もぐりのカジノを経営する男の妻(老嬢)。いわば極道の妻。加えて、高校生の時に主人公と知り合った、家出娘。生一本の若い女性のこと。

ほかに、寺山修司ファンへ(品切れ本ではありませんが)、『ひとりぼっちのあなたに』(新書館 3冊入り復刻版)。ちょっと変わったものとして、後藤明生『四十歳のオブローモフ』(旺文社文庫)、辻邦夫『楽興の時 十二章』〈CD付〉(音楽之友社)。また、日本文化論の名作(と私は思っている)『自死の日本史』(ちくま学芸文庫・品切れ)の著者モーリス・パンゲによる、『テクストとしての日本』(筑摩書房)など。

一箱分を、300円均一コーナーとしても設けます。200円均一もあり。

「とみきち屋」出店場所:池田大シャッター前 みちくさ市本部 案内所横 (地図内 杉橋畳店前辺り)http://kmstreet.exblog.jp/9246115/

地図:http://kmstreet.exblog.jp/9564988/

明日は天気もよさそうです。鬼子母神では「手創り市」も開催されるとのこと。よろしかったら、足をお運びください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

荒川洋治のことを考えながら「みちくさ市」の準備

荒川洋治が著書『本を読む前に』(新書館)の中で語っている。

文庫は安いので、必要時にたまたま見つからないと買ってしまうと。久米正雄『学生時代』は新潮、角川、旺文社の各文庫で所持していて、その理由を「さわやかな青春小説だけに、各種揃えておきたいのである」と書いている。高見順『昭和文学盛衰史』『いやな感じ』は角川、文春文庫で計7冊。小山清『落穂拾い・聖アンデルセン』は新潮文庫だけで何と6冊も所持。

しかし、著者が同じ本を複数所持するほんとうの思いは、単行本に触れているところで、吐露されている。

「この本をさがしていた、どうしても手に入れたいという人が現れるものである。二冊あって、ぼくが読んだために一冊が汚れているときは、新品のほうをさしあげる。(中略)もちろんぼくは、一冊買うのが原則。当たり前の話だ。でもときにはそうでないときもある、というだけのこと。誰にだってそういう一冊があるだろうが、としをとってくると自分のためだけの姿勢で書物に向き合うことがむなしいことに思われてくる。いまは引き取り手がなくても、こうして手もとに残しておけば、いつか誰かの役にたつかもしれない。それでなくても、出たとたんに絶版になる時代である」

本や人への愛情にあふれていると思う。著者の本の多くは、単に詩人らしい感性に包まれているだけでない。ふっと立ち止まり、いろいろなものに思いを馳せる喜びを与えてくれるーそういう力を持った本でもある。

私などは、相手から求められなくても、これはと思える(気に入った)本は、近しい人に進呈したくなってしまう。懐に余裕がある時には、新刊で2、3冊買うときもある。品切れ、絶版になったら古書店で買って、手元に残しておく。ついに新刊で買っておいたものが切れたら、私が読んだほうを進呈し、古書店で買ったものを手元に残す。人の好みはさまざまであるから、決して感想を求めないことにしている。もちろん、相手から「いい本をありがとう」の一言があれば嬉しいが、なくても拘らない。荒川洋治の本も、すでに何冊も私の手元から旅立っていった。

今回のみちくさ市は、自身二回目の古本市への出店。本を選ぶのに、思っていた以上に悩み、時間がかかった。本を単なる「もの」として売りたくはない。道ばたの小さなスペースとはいえ、自己表現の場にしたい。そんな欲が出てくるから迷うのだろう。徹夜でようやくまとめたものの、満足度70%といったところである。

「秋も一箱古本市」の時と同様、素人店ゆえ、マニアの方が唸るようなものはありません。それでも、本好きの方がたくさん鬼子母神通りに足を運ばれるのですから、少しでも立ち止まってもらえるような本を選んでみました。どんな本かは、開催前に少しだけご紹介したいと思っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「みちくさ市」に向け苦闘中

わめぞ協賛、「鬼子母神通り みちくさ市」の準備を始めようと、狭い我が家を見回したら、7つある本棚に収まりきらない本が、20箱以上あちらこちらに積み上げられている。これにクラシックCD(処分時、個人観賞用として音楽用CDに入れたもの)を加えると、ゆうに30箱を超えている感じだ。妻が「何とかして!!」と文句言うのも無理はない。コレクターのつもりはないのに、これはやはり病気である(笑)。どの箱にどんなものが入っているか、8割方把握しているつもりであったが、歳のせいか、かなり怪しくなってきた(笑)。

どの本を出品しようか、頭では描いていたものの、きちんと値付けをしていなかったため、箱から出しては床に並べ、戻してはまた他の箱を漁り。終日肉体労働となってしまった。レイアウトを考えながらの仕分けにも手間取る。

いざ出品用の箱に入れてみると、どうも貧相だ。後ろ側の本は一段高くしないと見えにくい。並べているうちに、この本は手元に置いておきたいと心が揺れる。次から次へと問題発生。5時間かけてどうにか形にはなったものの、正式な値付け、リスト(目録)やスリップ作成、さらに、すべての本にスリップを挟み込むというように、気の遠くなるような作業が残っている。金曜には発送を終えなければならないことを考えると、まさにピンチだ。

今回、テーマは「本の本、本屋の本、ベスト本」の一つのみ。やってみたいテーマは他に4つほどあるのだが、トータルでの品不足、テーマの目玉としたい本の一点が、上下巻の片方しかない(これでは意味がない)などの理由で断念した。また、300円均一コーナーとして丸々一箱分使いたくなり、テーマを増やす余裕が無くなったのも一因。

「秋も一箱古本市」の時とは違い、1冊4,000円以上という高価な本の出品はしません。古本市を経験し、少しばかり怖れ(無謀)というものを知りました(笑)。

講談社文芸文庫、ちくま文庫、中公文庫ほか、単行本も含め全体の6割強を、入手しにくい品切れ本で揃えられるよう奮闘中です。新刊で入手可能な本についても、お薦めしたい荒川洋治、佐野洋子の本などは、お手頃な価格で出品します。

わめぞや、その関連の方など、プロやセミプロに混じっての出店ですが、ゴーイングマイウェイ、気張らずにいきます。ちょっと覗いていただけた時に、「これじゃあねえ」と思われない程度には格好をつけますので、是非お立ち寄りください。

私ども「とみきち屋」の出店場所は池田ビル大シャッター前となっております。
11月30日(日)の開催までは、「みちくさ市」関連の記事が多くなると思います。ご容赦のほどを。

写真は、だいたいこんな感じで出店という、完成途上のしろものです。

Photo_3

続きを読む "「みちくさ市」に向け苦闘中"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「古書ほうろう」さんとの出逢い、そして縁

仕事帰りに千駄木へ足を運ぶ。「古書ほうろう」を訪ねた。噂に違わぬ、いや噂以上に魅力ある古書店だった。

想像していたよりも広いスペースの中、ジャンル別に仕分けされた本が、ぴっちり整然とではなく、一冊ずつ時間をかけて見たくなるような、心地よい案配で並べられていた。昔風の古色蒼然たるイメージはなく、清潔感があって、店内のあちらこちらに目移りしてしまう工夫も凝らされている。様々なイベントのチラシ、小物、こだわりの商品や本も、訪れた者を飽きさせない。私のような素人には、お初にお目にかかる本ばかりだ。なのに、その多くの本からは(実際は稀少で高価な本であっても)「さあどうだ」と、こちらを圧倒せんばかりの表情は感じられず、購入しなくとも、出逢えたことに喜びすら感じられるのが不思議でならなかった。経営する4人の方のこだわりが随所に見えながら、繊細かつ控えめに、店そのものを表現しているようにも感じられた。

漏れ聞こえてくるお客様との会話からも、店のポリシーが感じられた。買値を付けられる本とそうでない本を丁寧に説明している様子に、こちらまでやさしい気持ちになってしまう。

私の周りには、「古本屋さんに一度本を売りに言ったら、ひどく横柄な態度で、怒られているように思えた。以後、二度と行く気にならない。」と言う者も少なくない。
「古書ほうろう」さんのような古書店に最初に巡り逢えていたら、抱くイメージも違っていただろう。

「秋も一箱古本市」で、私どもが並べた箱を見て「いいですねえ。テーマがあって。こういうの好きですよ」と声をかけていただいたのが、今日お店に出られていた宮地さんとの初めての出逢いだった。単に髪を短くされているからではなく、穏やかでありながら、内面には厳しく鋭い目を持つ、「僧侶」のような印象を私は受けた。その後、茶話会でお会いし、いろいろと話をさせていただいた。「本にも念が宿るんですよ」という宮地さんの言葉が忘れられない。営業のお邪魔をするわけにはいかないので、話せたのは、本を購入した際の、ほんのわずかな時間ではあったが、今もって私の印象は変わらない。店内のBGMは、ピアノ演奏によるクラシック音楽だった。宮地さんの好みと思われた。

帰宅してから、宮地さんが昨年11月に書いた記事を見つけて読み、自分の推測が間違いではなかったと知る。「50年前の音楽会」の魅力的なこと!クラシック音楽ファンにはたまらない内容だ。コルトー、バックハウス、ハイフェッツ、シゲティ、ケンプ・・生で聴けたらどんなに素晴らしかったことだろう。想像するだけでため息が出る。すべて、私が生まれる前の演奏会ゆえ、はかない夢に過ぎないが。

続きを読む "「古書ほうろう」さんとの出逢い、そして縁"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ブログ始めました!

まさか自分がブログを始めるなど夢にも思っていなかった!10月、不忍ブックストリート「秋も一箱古本市」に素人参加で出店した折、体験記を公開したことがきっかけになりました。本について、あるいは人との交流について書くのは意外と楽しい。そこで、35年にわたる読書、30年に及ぶ古本屋通いの経験で蓄えたものを少しずつ外に出し、形にしてみたくなったのです。同じ書くなら、好きなクラシック音楽のこと、日々の雑感なども織り交ぜていこう。

時間さえ許せば本屋に足を運ばずにはいられない性分なので、水先案内とはやや誇大表現。実際はあっちでふらふら、こっちをうろうろといった徘徊記になりそうです。まさに自分の人生そのまま。でも、その方が肩に力が入らず、のんびり、長く続けていけそうな気もして。好みが偏り、周囲からは変人扱いされることも多いので、このブログにお付き合いしていただける方は、ちょっと変な方でしょう。ご自身にその自覚がなくとも(笑)。

本日はご挨拶だけのつもりでしたが、11月30日(日)、雑司が谷で催される「鬼子母神通り みちくさ市」に参加することになりましたので、ご案内させていただきます。

独特の雰囲気を醸し出している「鬼子母神」のお膝元の商店街が一日だけ古本街に変身するイベントです。「鬼子母神通り商店睦会」と「わめぞ」が組んで、一般参加型の古本をメインとしたフリーマーケット。「わめぞ」とは早稲田、目白、雑司が谷地区の「本」に関係する仕事をしている方々の集まり。今回は、素人だけでなくまさにプロの方も商店街内でミニ古本市を開催するため、緊張します。お客様は、まちがいなく「わめぞ」のお店に殺到するはずですから。しかし、そんな中でどれだけ成果を上げられるか、挑戦しがいがあるというもの。ダメもとで頑張ろう。興味を持たれ、お時間の許す方は是非お越しください。「とみきち屋」という店名で妻と出店します。

妻はブログ歴5年半で「とみきち読書日記」を書いています。よろしかったら読んでみてください。10月に参加した「秋も一箱古本市」についても触れていますし、体験記(1)~(3)として、私、風太郎の文章もとみきち屋番頭の名で掲載しております。

| | コメント (2) | トラックバック (0)