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古書 西荻モンガ堂「東西ミステリーフェア」 本日11月2日(土)スタート!!

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東西ミステリーフェア

  
「古書 西荻モンガ堂」 http://d.hatena.ne.jp/mongabook/20131018

 
期間:2013年11月2日(土)~12月1(日)
※水曜日は定休日のため休み

時間 :12時00分~21時00分 (最終日は、17時頃まで)  入場無料

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10日ほど前、激しい腰痛に襲われ、今もコルセットをしているのでどうなることかと思っていましたが、開催日の午前2時に何とかモンガ堂での準備を終えました。飲みではない午前3時に帰宅は、友人の店の手伝いをしていた10年前以来のこと。

店内中央には、27年ぶりにリニューアル刊行された週刊文春臨時増刊『東西ミステリーベスト100』で選ばれたミステリー本(国内・海外)が順位通りに並べられています。全200点揃い!!

同誌は自由に閲覧できるようにしてありますので、あらすじ、うんちく(解説)を読んでから気になる本を選ぶことができます。他にも参考資料として、宝島社『もっとすごい!!このミステリーがすごい!20周年記念永久保存版』(1998-2008年版ベスト・オブ・ベスト)、『私の好きな海外ミステリー・ベスト5』(リテレール・ブックス)なども置いてありますので、比較してみるのも楽しいかもしれません。

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窓側の木製棚には<幻影文庫>さん、<脳天松家>さん出品による通好みの渋い本、レア本なども並んでいます。<つぐみ文庫>さんはディック・フランシス45冊一括販売。現在カフェ・ヒナタ屋で「やまがら文庫フェア」をされている<やまがら文庫>さんの本もあります。

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また、店内奥にも臨時の棚が用意され、そこにもミステリーが並びますのでご覧ください。

<とみきち屋>もベスト以外にとりあえず120冊ほど用意しました。

【国内】■笠井潔「探偵小説論序説」「探偵小説論Ⅰ・Ⅱ」ほかに矢吹駆シリーズ■川本三郎「ミステリと東京」■横山秀夫「64」■藤原伊織「名残り日Ⅰ・Ⅱ」「雪が降る」■白川道「流星たちの宴」「海は涸いていた」■北方謙三「棒の悲しみ」「檻」■花村萬月「ブルース」「笑う山崎」■樋口有介「風少女」「ぼくと、ぼくらの夏」■連城三紀彦「変調二人羽織」「黄昏のベルリン」■結城昌治「暗い落日」「ゴメスの名はゴメス」■竹本健治「ウロボロスの偽書」ほかに大沢在昌の新宿鮫シリーズ、原尞の沢崎シリーズ等々。

作家では志水辰夫、稲見一良、佐々木譲なども。

【海外】■ジョルジュ・シムノン「男の首 黄色い犬」「サン・フィアクル殺人事件」■ケン・フォレット「 針の眼」■サム リーヴス「雨のやまない夜」長く冷たい秋」「■ジェイムズ・クラムリー「さらば甘き口づけ」酔いどれの誇り」■ジェイムズ・M・ケイン「郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす」■ハドリー・チェイス「ダブル・ショック」「群がる鳥に網を張れ」■フレデリック・ブラウン「霧の壁」■P.D.ジェイムズ「策謀と欲望」「女には向かない職業」■ローリー・リン・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」■コリン・デクスター「森を抜ける道」■マイクル・コナリー「暗く聖なる夜」■ アンドリュー・ヴァクス「ブルー・ベル」■コーネル・ウールリッチ「喪服のランデブー」■トレヴェニアン「夢果つる街」■アイラ・レヴィン「ブラジルから来た少年」■ジム・トンプスン「 内なる殺人者」ほか。

そして堀江敏幸も薦めていた■ジェイムズ・リー・バーク「ネオン・レイン」■ロバート・リテル「チャーリー・ヘラーの復讐」も出品。

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11月3日・4日には<西荻一箱古本市>も開催されます。こちら→ http://now.kiss-cafe.jp/post/62979203698

お出かけの際にはぜひモンガ堂にも足をお運びください。600冊近いミステリー本がお待ちしております。

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古書 西荻モンガ堂<東西ミステリーフェア>に出品します

<とみきち屋>は11月2日(土)から12月1日(日)まで(定休日の水曜日を除く)古書 西荻モンガ堂にて開催される「東西ミステリーフェア」に参加出品します。 http://d.hatena.ne.jp/mongabook/20131018

フェアの柱は昨年暮れ、27年ぶりにリニューアル刊行された週刊文春臨時増刊『東西ミステリーベスト100』。東(国内)・西(海外)各ベスト100、計200点すべて揃いますので、まとめ買いには絶好の機会!

しかも店内には見本(非売品)として『東西ミステリーベスト100』が置かれるので、全200点のあらすじ、うんちく(解説)をじっくり読んだ上で気になる作品を選ぶこともできます。
もちろん、ベスト100には入らずとも名作、お薦め作品は多数あります。ベスト以外も併せて500冊ほどのミステリーが並びますので、ぜひ足をお運びください。

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<とみきち屋>も上記ベストに入っている本を多数出品します。

■連城三紀彦 『戻り川心中』(光文社文庫)『夜よ鼠たちのために』(新潮文庫)
■小栗虫太郎『黒死館殺人事件』(河出文庫)
■原尞『私が殺した少女』(ハヤカワJA文庫)
■竹本健治 『匣の中の失楽』(双葉文庫)
■笠井潔『哲学者の密室』(創元推理文庫)
■都筑道夫『なめくじに聞いてみろ』(講談社文庫)ほか

■スティーグ・ラーソン『〈ミレニアム〉三部作』(ハヤカワ・ミステリ文庫 全6冊)
■アイラ・レヴィン『死の接吻』(ハヤカワ・ミステリ文庫)
■ローレンス・ブロック『八百万の死にざま』(ハヤカワ・ミステリ文庫)、
■クリスチアナ・ブランド『ジェゼベルの死』(ハヤカワ・ミステリ文庫)
■ジョン・ディクスン・カー『三つの棺』(ハヤカワ・ミステリ文庫)
■アントニイ・バークリー『試行錯誤』(創元推理文庫)
■カーター・ディクスン『ユダの窓』(ハヤカワ・ポケット・ミステリー)
■バート・R・マキャモン『少年時代』(文春文庫)
■ロバート・B・パーカー『初秋』(ハヤカワ・ミステリ文庫)ほか

100円以下の本もけっこうあります。
また、2冊以上のセットものは、お買い得と思っていただける値段で出します。

ベスト以外の<とみきち屋>出品本に関しては改めて紹介します。

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古本の深い森 岡崎武志『古本道入門 買うたのしみ、売るよろこび』(中公新書ラクレ)

楽しみにしていた岡崎武志『古本道入門 買うたのしみ、売るよろこび』(中公新書ラクレ)を一気に読み終えた。

古本にまつわる世界をさまざまなアングルから捉え、ここぞというツボを押さえながら、これだけ親切に解説している本はないと思わせる、まさに「本好き以上、古書通未満」にとって格好の入門書だ。もちろん、古本の世界に飛び込んだばかりの初心者への配慮も十分になされている。
著者自身の古本への情熱だけでない。古本とともに歩める喜びを、一人でも多くの人に味わってもらいたいという切なる思いがひしひしと伝わってくる。

古本好きの域を出ない私は、「道」を<どう>ではなく、敢えて<みち>と解釈させてもらった。
読後、自分なぞは古本「道(どう)」のとば口にも立っていないことを認識させられたとはいえ、古本に関わることの面白さ、喜びが自然に湧き上がって来たからだ。それだけ懐の深い本である。

古本屋でのマナーに関する記述はどれも頷けるものばかり。
いい古本屋とは「本棚が呼吸している店」。これは思わず膝を叩きたくなる名言。

大正から昭和初期の黒っぽい本を買い始めたころの気持ちを語っているあたりは、臨場感があってぐいぐいと引きこまれる。

歴史の教科書や年表からは伝わってこない、時代の生の空気が、古本という現物を通して身体へ入って来た気がした。これはありがたかった。買っても買ってもまだ買える……というより、買ったことで、買う理由や動機が次々と土のなかから掘り出されてくるという感じだった。

「神保町へ行かずして、古本について語るなかれ」。この言葉、5年ほど前までは仕事の関連もあってほぼ毎日のように神保町に赴き、仕事の合間や仕事帰りに古本屋巡りをしていたものだが、ここ数年めっきり足が遠のいてしまった私には耳が痛い。
コミガレ(小宮山書店のガレッジセール)やタテキン(田村書店の店頭均一)などの名称を知ったのも最近では、やむを得ない。
それは置いて、今の神保町の様子が手に取るように分かるし、神保町初心者レベルになってしまった私には丁寧なガイドにもなっている。
「神田伯剌西爾(ぶらじる)」が著者のとっておきの場所だなんて、懐かしさがこみ上げてきた。私も若いころから通っていたし、買った本をここで読むのが至高のひと時だった。

おすすめ古本町の紹介には何とも云えぬ旅情を誘われる。函館、仙台、松本、長野、金沢、その土地の匂いまで伝わって来そうだ。古本屋巡りがメインでなくとも行きたくなってしまう。
海が見たくなると江ノ電に乗って訪れる鎌倉なのに、一度も古書店に入ったことがない。
京都、奈良もしかり。かつては出張で1~2週間、年5回平均大阪に行っていたのに、休みとなると寺社ばかり巡り、京都・奈良の古本屋には足を踏み入れることもなかった…。
あの頃、この本を読めていたら、きっと過ごし方も変わっていたことだろう。

古本屋の敷居が高いと感じていた人々が、日常生活のなかで抵抗なく古本を売り買いできる環境をつくった。また、取り扱われることが少なくなっていた類の文庫本を常時並べている。
こういったところにブックオフの存在価値を見ている著者の目は、冷静、かつ客観的である。
賛否両論あるブックオフだが、どう付き合えば古本の面白さを見いだせるか、ブックオフを「ブ」の呼称で通じるようにした、著者ならではの指南がされている。

新刊では入手できない探求本を見つけられる、或いは知らなかった本に出逢える場所と思って、私は長年古本屋に足を運んでいるので、どうも「捕獲」「釣果」「戦利品」といった言葉に馴染めない。そんな私だから、本を買う行為を「花を摘む」と表現している箇所には震えてしまった。
プロやセミプロに荒らされていないブックオフの見つけ方を書いている部分で用いられた言葉ではあるが、その温もりのある素敵な言葉が今も心に染みわたっている。

思わず顔が綻んでしまうユーモアが、隠し味のように散りばめられているので、肩が凝ることもない。
南部古書会館即売展のガレッジセールで、古本者が双眼鏡を使う話などは笑える。いや、その熱意には驚きを禁じ得ない。(ここは実際に読んでみてほしい)

「古本を売る、店主になる」の章では、一般の古書店に本を売る際の心構え、何をどう売ればよいかが具体的に書かれていて参考になる。さらに、素人も参加できる「一箱古本市」「みちくさ市」で対面販売することの喜びを知り、その後実際に古本屋になっていった方の事例が挙げられ、最後には古本屋を開業するにあたっての<七つの鉄則>も開陳されている。ここはこの章のハイライトともいえ、開業をするつもりがなくても、古本屋を見る視点が変わるのではないだろうか。
いやもう、盛りだくさんの内容で、全編飽きずに読み通せる。

著者の拘りはあっても、「これしかない」という押しつけはない。「こんなふうにアプローチすれば、古本の世界が拡がり、深まっていきますよ」という見事な羅針盤(ガイド)になっている。
同時に、現在古本を取り巻く状況がどのように変化しつつあるかを知ることもできる。
古本を買い始めた頃に戻り、まっさらな気持ちで書いたという著者の、まさに現時点での「集大成」であることは言を俟たない。

古本に少しでも興味を持つ方なら、決して損はないお勧めの書です。
古本については一家言持っている方でも、きっと新しい発見があると思いますので、是非読んでみてください。

最後に著者のあとがきから。

長い人生、古本の魅力を知らずに済ませるのはもったいない。時代の刻印がある、さまざまな所有者がバトンのように受け継いできた古本を、どうぞ、手に触れてみてほしい。そこから「道」は生まれ、先へ続いていく。

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こんな本を(1) 2010年5~8月

古書蒐集の趣味はなく、5~8月の4ヶ月の間に購入した本の9割近くがブックオフ。珍しい本はない。
しかし、読みたいと思っていた本、思わぬ本にも出会えたばかりか、本全品半額、単行本半額、単行本500円均一セールなどを計7回くらい利用でき、恩恵にも与った。また、平日仕事帰り、閉店間際20分ほどの日参も後押ししてくれた。

■ヘーゲル『精神現象学』(長谷川宏訳・作品社) 105円

学生時、河出書房から出ていた『世界の大思想12 ヘーゲル 精神現象学』(樫山欽四郎訳)で挑戦するも「理性」あたりで沈没。
竹田青嗣・西研『完全読解 ヘーゲル 精神現象学』(講談社選書メチエ)を昨年読み、この6月、同著者たちの『超解読!ヘーゲル「精神現象学」』(講談社現代新書)を一気に読み終え、再挑戦する気持ちが湧き起こっていた。
何というタイミング。美本、半額2400円でもいいと思ってカゴに入れる。会計前念のために中をチェック。鉛筆による線引きが、特定部分10頁ほどに見つかる。全く問題ないが、ダメもとで交渉。あっさり105円に。
本の値段、価値って何?と考えると、喜んでばかりもいられないというのが正直なところだ。

■ラ・ロシェフコオ『箴言と考察』(内藤濯訳・グラフ社) 105円

愛読した岩波文庫版はボロボロ。加えてはるか前に絶版。やむなく二宮フサ訳を購入するも、馴染めなかった。状態のいい内藤濯訳を探し続けたもののついぞ巡り逢えず。
ややくすんだ茶色の背表紙が105円棚にひっそりと収まっているのが目に止まった。こんな本が出ていたとは知らなかった。これも出逢いなのだろう。

■ヘッセ『若き人々へ』(角川文庫) 105円 読了

これもまた初めて見る本。手にとってパラパラとページをめくると、何とニーチェの『ツァラトゥストラ』、ドストエフスキーの『カラマゾフの兄弟』、『白痴』について書かれている。ドストエフスキー作品に対するヘッセの、畏怖にも近い感情が伝わってくる。

■結城信一『石榴抄』(新潮社) 読了

7月のみちくさ市で、モンガ堂さんから購入。
表題にもなっている「石榴抄」(せきりうせう)は惻々と胸に迫ってくる。著者が師と仰いだ会津八一。その八一に献身的に尽くした高橋きい子の最期に寄り添う八一の苦悩が切ない。
空襲ですべてを失い疎開。身を寄せた先でも、肺病患者のきい子を伴っているために篤くはもてなしてもらえず、ついには観音堂の庫裏の一室へと移ることを余儀なくされる。

八一はきい子の死を悼み三十七首の歌を詠んだ。以下はそのうちの三首(この本の中でもとりあげられている)。

いたづきのわれをまもるとかよわなる
ながうつせみをつくしたるらし

わがためにひとよのちからつくしたる
ながたまのをになかざらめやも

かなしみていづればのきのしげりばに
たまたまあかきせきりうのはな

※ いたづき・・・病  ひとよ・・・一生  たまのを(玉の緒)・・・命 

著者結城信一は最後に、八一の著書『南京新唱』から序を全文引いているのだが、その中から一部を紹介したい。

 もとよりかかる世のさまとて頼むべき人手も無く薬餌にも乏しきを看護に炊事に予みづから迂拙の力瘁(つく)したるも七月十日といふここにして白昼遂に眠に入れり
 きい子は平生学藝を尚び非理と不潔とを好まず絶命に臨みてなほ心境の明晴を失はざりしに時恰も交通のたよりあしく知りたる人の来たりて枕頭を訪ふもの殆ど無かりしかば予ひとり側にありて衷心の寂寞を想うてしきりに流涕をとどめかねたり
 やがて隣人に授けられて野外に送り荼毘に附し翌朝ひとり行きて骨を拾うて帰り来たりしも村寺の僧は軍役に徴せられて内に在らざるを以て雛尼を近里より請じ来るにその年やうやく十余わづかに経本をたどりて修證義の一章を読みて去れり

■谷川雁『原点が存在する 谷川雁詩文集』(講談社文芸文庫) 375円 読了

この春『谷川雁 詩人思想家復活』(河出書房新社)を読み、谷川雁の書物のほとんどを若い頃処分してしまったことを後悔していた。久しぶりに味わう谷川の文章、時に息が詰まるくらい濃密だ。
谷川を優れた組織者(オルガナイザー)と見なしていた吉本隆明は、『追悼私記』の中で谷川の姿勢を次のように表現している。

谷川雁が保った実践家の姿勢は、有効かどうかを第一義としなかったと思う。現実を文字どおり腕力で切り取って完結したひとつの世界にしてしまう実験が「実践」ということの意味だった。有効性など何ら誇るに足りない。それは時に応じ無効になったり、有害になったりするに決まっている。だが、切り取った現実をひとつの完結した世界にまで仕上げてしまえば、その有効性は崩壊するはずがない。これが谷川雁が生涯をかけて「実践」してやまなかったことだ。

■池澤夏樹『世界文学を読みほどく スタンダールからピンチョンまで』(新潮選書) 500円
池澤夏樹個人編集による世界文学全集(河出書房新社)が刊行中なので、読んでみようと思った。

■ソーントン・ワイルダー『わが町』(鳴海四郎訳・早川書房) 105円
かつて額田やえ子訳の単行本で読んだが、新訳によるこの文庫は魅力だ。

■ルソー『社会契約論/ジュネーブ草稿』(中山元訳・光文社古典新訳文庫) 225円
何と云ってもジュネーブ草稿が目玉。

■中井久夫『精神科医がものを書く時』(ちくま学芸文庫) 325円 読了
中井久夫、霜山徳爾、岩井寛、木村敏。この4人の精神科医の本はできる限り読みたいと思っている。

■椎根和『平凡パンチの三島由紀夫』(文春文庫) 105円 読了
これまで知らなかった三島像を描いていて面白い。三島に結婚式のスピーチまでしてもらった著者は、若き編集者としても三島に信頼されていたのだろう。解説は川本三郎。

■井伏鱒二『井伏鱒二対談集』(新潮文庫) 105円
■鶴見俊輔『思い出袋』(岩波新書) 200円 読了
■鶴見俊輔・上坂冬子『対論 異色昭和史』(PHP新書) 105円

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本の整理、気持ちの整理

この3ヶ月、本を売った数は購入した数の10倍近くに及んでいる。
既に限界を超えている自宅を、人間として生活できるくらいに回復させる。
これだけでは単なる物理的処理でしかない。
そうではなくて、本を取り巻く環境を整理する。
生活の基盤を見つめ直し、気持ちの整理を図ろうと思い始めている。

50を過ぎて何を云っているのだと思われかねないが、まだ地に足がついていない。
生活にリズムがない。だから穴に落ち込む。

本を買わない、読まないということではないのです。
古本市に参加しない、足を運ばないということでもありません。

気付かないまま、一昨年秋の一箱古本市以来闇雲に突っ走ってしまったようです。
足下を見つめ直す。
言葉で云うほど容易なことではありませんが、少しずつであれ変えていかねばならない。
二ヶ月に及ぶ冬眠中に、そんなことを考えていました。

本断ちするなど至難の業。というより、そういうやり方で何かが変わるとも思えないので、まずは大量に本を整理することから始めようかと。
そして、実際始めています。

おかげさまで5月の一箱古本市で141冊、みちくさ市で118冊手元から旅立っていきました。
その後、地元馴染みの古書店、新しく見つけた古本屋、ブックオフ数店舗へ今日までに持ち込んだ数800冊強。
合わせれば1000冊以上。しかし新刊含め100冊は購入しているので、家の中の段ボール箱山積みの風景はさして変わらない。

本をコレクションする趣味はなかった。
結婚までの6年間、風呂も冷房もないアパート暮らしの頃の蔵書数はせいぜい700冊くらい。
結婚直後も狭いアパートだったので、増えて1000冊。そんなものだった。
今のマンションに引っ越し、自室をもらってから増殖し始める。
そしてこの2年弱、古本市に参加するようになって一気に拍車がかかってしまった。

どうしても2冊とって置きたいものを除き、複数冊所有しているものは1冊にする。
それだけでも、かなりの数減らせるはず。
さらに、再読しそうにないと現時点で思える本は処分する。
この選定、本好きには極めて厳しいものがあるが、ここはもう思い切るしかないだろう。

まあ、能書きばかりたれていないで、実行あるのみですね。

今後も可能なら、年に2,3回は古本市に出たいと思っていますので、「なんだ<とみきち屋>、魅力なくなったな」と思われないくらいの本は確保して置きます(笑)

で、今夜はこの三ヶ月で6回本を引き取ってもらっている地元馴染みの古書店へ3箱、100冊ほど持ち込んだ。25年以上の付き合いで、6000冊近く買ってもらっただろうか。
それなりの信頼関係があるゆえ、ブックオフあたりで105円棚にある、月並みな本を多数持ち込むわけにはいかない。外の均一ワゴン行きが見えている本が若干混じるにしても。
売りに行く前には顔を出して、店内の在庫とかぶっていないか確認している。

こういうことを長年積み重ねてきたので、不景気なご時世にもかかわらず、均一行きを除き、納得してもらえた本は、平均して定価の15%、良い時は20%くらいで引き取ってもらえる。
ほんとうにありがたいことだ。

どんな本を処分しているのか、初めての試みですが、その一部を紹介します。

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たいしたことないですね(笑)

購入した本は以下6冊。おまけしてもらって、計2000円。

■『小林秀雄全作品 別巻1 感想(上)』(新潮社)
■『小林秀雄全作品 別巻2 感想(下)』(新潮社)
最近小林秀雄に関する本を何冊か読んでいたこともあって手が伸びた。
■檜垣立哉『生と権力の哲学』(ちくま新書)
フーコーの思想を中心に据え、ドゥルーズ、アガンペン、ネグリらの「権力」の捉え方に触れている。
■稲垣直樹『サドから「星の王子さまへ」 フランス小説と日本人』(丸善ライブラリー)
サド、バルザック、ユゴー、モーパッサン、サン=テグジュペリ、サルトル、アゴタ・クリストフが取りあげられている。各作家の日本人の読み手として、澁澤龍彦、三島、谷崎、漱石、黒岩涙香、徳富蘇峰、田山花袋、須賀敦子、池澤夏樹、大江健三郎、池内紀、川本三郎の名が。ちょっと面白そうだ。
■井上紀子『城山三郎が娘に語った戦争』(朝日文庫)
■林芙美子『めし』(新潮文庫)

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こんな本を (2010.4)

先週、平日は帰宅が午後11時過ぎ。土曜は一箱古本市助っ人集会、日曜は父の米寿の祝いと続き、今週もいろいろあってブログを書く余裕がなかった。
本番まであと6日しかないのに一箱古本市の準備も手つかず。みちくさ市前に、一箱はこれでいこうと仕分けしておいた本が段ボールに入ったまま。いつものことだがこんなんでいいのだろうか(笑)

この一ヶ月、仕事帰りの地元ブックオフと、地元馴染みの古書店を除くと、それほど古本屋は廻れなかったが、少しずつ本は購入していた。
嗜好にやや偏りがあるとはいえ、決してマニアックではないと自分では思っているものの、親しい友人からは「知らない本が多い!」と、何故か云われてしまう(笑)

〔地元馴染みの古書店にて〕

■『虐殺50周年出版 大杉栄秘録』(1973・黒色戦線社)

店主に「大逆事件、幸徳秋水、大杉栄、堺利彦関連の本最近入ってきませんでしたか」と尋ねたところ、「そういえば…」と、カウンターの後ろに積み上げられた本の山から取り出してくれたのがこの冊子。
虐殺事件前に書かれたものではあるが、前妻・堀保子による「大杉栄と別れるまで」からは、大杉の男あるいは夫としてのどうしようもない部分も伺われ、興味深く読んだ。伊藤野枝、神近市子、山川菊栄、堺利彦等の名前が当たり前のように出てくるあたりが生々しい。
「婦人公論」大正12年11月号より<殺された野枝さんのこと><「甘粕という人間」批判>、大杉栄の妹・あやめによる<甘粕事件以後>、「文藝春秋」昭和30年10月増刊より<大杉栄・遺骨奪取事件>なども載っている。1976年の増補版ではないが、いいものを入手できた。

■松下竜一『ルイズ-父に貰いし名は』(講談社)

大杉栄と伊藤野枝の間に生まれた三女ルイズ(留意子)を描いたノンフィクション。

■三木成夫『海・呼吸・古代形象-生命記憶と回想』(うぶすな書院)

専門家による科学的な判断は私の与り知らぬところだが、『胎児の世界』(中公新書)には感銘を受けた。以来、読みたいと思いながら、高額のためなかなか手が出なかった。
積み上げられていた本の中にぽつんとまぎれていた。カバー無し。一向に構わない。300円で頂戴する。

■ 霜山徳爾『素足の心理療法』(みすず書房)

版元品切れに近いと聞いていたので2冊目を購入。言わずと知れた、フランクル『夜と霧』(みすず書房)の訳者である。
岩波新書『人間の限界』を読んだのは30年近く前のことになるだろうか。その底知れぬ教養、豊饒な言葉、そして人間をみつめる眼差しの限りない深さに畏敬の念さえ覚えた。
中公新書『人間の詩と真実』も期待に違わぬ素晴らしい本だった。この2冊は何度読んだか知れない。
精神医学用語も出ては来るが、読む上で障害にはならない。上記2冊の新書は残念ながら品切れだが、もっと多くの人に読まれていい本。
古本屋で見つけたら、是非購入し、読んでみてください。そんなに高い値段はついていないと思います。
『素足の心理療法』は文字通り、心理療法に主眼を置いているため、この分野の知識を欠いていると読みにくいかもしれない。しかし、人が人の心をみつめ、ひとつの道筋を示すことにどれほど自分自身への厳しさを求められ、同時に謙虚であらねばならないかを教えてくれる、尊い本である。専門性を超えて訴えてくるものにあふれている。

〔その他の古本屋にて〕

■シオラン『シオラン対談集』(法政大学出版局)

シオランの本は6冊持っているが、理由あって2冊目となるものを探している。今回は現在蔵書にない本に遭遇。
「ライン有り」と記され定価3700円強が800円で売られていた。チェックすると、わずか4行のみ、水色のラインマーカーで線が引かれていた。読むのに全く問題なし。

■南陀楼綾繁『路上派遊書日記』(右文書院)

ブログ「ナンダロウアヤシゲな日々」の2005年分からの抜粋とある。
妻のとみきちは昔からナンダロウさんのブログを読んでいたが、私は2008年10月に「一箱古本市」に参加するまで、ナンダロウさんのことは知らなかった。というよりブログというものを読んだことがなかった。
初めての「一箱古本市」が開催されるまでの様子ほか、興味深いことが盛りだくさんに詰まっている。上下2段組430頁超の本なので持ち歩けず、自宅で少しずつ読み進めている。

■竹田青嗣『言語的思考へ…脱構築と現象学』(径書房)
みちくさ市終了間際、<わめぞ>本部で購入。古書現世さんから。

■山之口貘『山之口貘詩文集』(講談社文芸文庫)650円
■バタイユ『戦争/政治/実存』(二見書房)300円
■『ドキュメント日本人3 反逆者』(学藝書林)300円
責任編集として鶴見俊輔、村上一郎の名が挙がっている。扱われているのは、雲井竜雄、金子ふみ子、大杉栄、磯部浅一、西田税、北一輝、尾崎秀美ほか12名。

以下は古本市出品用として購入(いつ出すかは未定)

■笠井潔『物語のウロボロス』(ちくま学芸文庫) ■『考える人 戦後日本の「考える人」100人100冊』(2006年夏号・新潮社)

〔ブックオフにて〕

■髙山文彦『エレクトラ 中上健次の生涯』(文藝春秋) 500円

この本が発売された2年半前頃、本をまともに読める状態になかった、本来ならすぐに飛びついていたに違いない。
購入後一晩で一気に読んでしまった。『枯木灘』『紀州』『千年の愉楽』を読んだ時の衝撃が甦って来た。あまりにも早い死が惜しまれる。

■佐伯一麦『からっぽを満たす』(日本経済新聞社) 500円
寝る前に1日4~6頁ずつくらい、読んでいる。心洗われる書物だ。

■村井弦斎『食道楽』 上・下2冊1000円 ※下巻は現在品切れのようなのでありがたい。

<105円>

■今村仁司『ベンヤミンの<問い>』(講談社選書メチエ)
■水村美苗『日本語が亡びるとき』(筑摩書房)
■ライクロフト『精神分析学辞典』(河出書房新社)
■平林直哉『クラシック100バカ』(青弓社)
■宮下誠『ゲルニカ  ピカソが描いた不安と予感』(光文社新書)
■大橋良介『京都学派と日本海軍』(PHP新書)
■井上光晴『地の群れ』(新潮文庫)
■野坂昭如『東京十二契』(文春文庫) ほか

〔新刊〕

■『考える人 はじめて読む聖書』(2010年春号・新潮社)
これはいい。特集部分はすぐに読んでしまった。何がいいかは別の機会に。

■『一個人 奈良 古寺と仏像』(5月号・KKベストセラーズ)
パラパラとめくっていたら、郷愁に誘われ買ってしまう。大和路をのんびり散策しながら仏像めぐりをしたい。

『Witchenkare(ウィッチンケア)』VOL..1
高校の友人Aの友人・多田洋一さん(http://www.t3.rim.or.jp/~yoichi/)が編集したリトルプレス。
(神田ぱん/我妻俊樹/藤森陽子/浅生ハルミン/友田聡/多田洋一 :敬称略)
浅生ハルミンさんは初の小説「文化祭」を掲載。
多田さんは「ごくせん」「ウォーターボーイズ2」「アンフェア」などのノベライズも手がけられている。
私の高校同期・稲葉なおととも交流があるみたいなので、いつか一度お会いできたらと思っています。

〔頂戴した本〕

今年3回目となる本の数々を段ボール一箱分、葉っぱさんから送っていただいた。
御礼が遅くなってしまい、すみません。いつもありがとうございます。

■大杉栄選『日本脱出記・獄中記』(現代思潮社)
■『磯田光一著作集5 思想としての東京 鹿鳴館の系譜』(小沢書店)
■『林達夫著作集5 政治のフォークロア』(平凡社)
■『芥川龍之介未定稿集』(岩波書店)
■バリー・ユアグロー『一人の男が飛行機から飛び降りる』(柴田元幸訳・新潮社)
■坂下昇ほか『アメリカの雑誌を読むための辞書』(新潮選書)
■『宮沢賢治全集』1~8(ちくま文庫)
■田中小実昌『猫は夜中に散歩する』(旺文社文庫)ほか多数

大杉栄は岩波文庫版しか持っていないので嬉しい。
磯田は昔『殉教の美学』『吉本隆明論』『戦後批評家論』『永井荷風』『左翼がサヨクになる時』ほかけっこう読んだ。しかし今手元に残っているのは、『鹿鳴館の系譜』(文藝春秋)と『戦後史の空間』(新潮文庫)2冊のみ。『思想としての東京』が読めるのが嬉しい。

『アメリカの雑誌を読むための辞書』は懐かしい。妻も私も英文科だったのでこれは当時読んだものの、その後処分してしまっていた。

専門とはまるで違うのに、義父の書斎には柴田元幸の本が多い。先般尋ねてみたら、ご夫妻ともに親しい間柄とか。それで納得。『一人の男が飛行機から飛び降りる』は未読。

土日でなんとか「一箱古本市」の目処をつけます。
出品本の紹介もしていかなくては。
店主・とみきち、番頭・風太郎の二人で、いつも通り出店します。

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もうすぐ古本市の季節到来

三寒四温の気配漂い、本格的な春の訪れはまだ先のようだが、古本市の季節はもうすぐ始まる。

まずは今週末3月6日(土)・7日(日)、<わめぞ>による「第19回 古書往来座 外市」。前回は所用で行けなかったので、今回は何とかしたい。とにかくいい本がたくさん揃っている。値段もお手頃なので、ついつい財布の紐も緩くなってしまう。

続いて、3月22日(祝・月)、<わめぞ>協賛「第5回 鬼子母神通り みちくさ市」。こちらは、一般参加できる。
昨年11月は出られなかったけれど、今回は申し込みます。私ども<とみきち屋>としては半年ぶり。
この6ヶ月で700冊以上処分したものの、何だかんだと買ってもいるので、蓄えは十分。というより、少しでもいいから(できれば二箱分)減らすことを厳命されています(笑)。
『散歩の達人』ほか、記事で紹介されることが更に増え、古本好きの間でも当然口コミ含め拡がっているので、人気はかなり高くなっているはず。申し込みは2日夜。幸い夜の仕事はないのだが、緊張するなあ。
正式に参加が決まったら、いつものようにブログで出品本の一部を紹介していきます。

4月は<わめぞ>「第4回 月の湯まつり」が4日(日)に開催。お風呂屋さんでの古本市なので風情もあって楽しめます。まだ、行ったことのない方は是非。

ナンダロウ(南陀楼綾繁)さん『一箱古本市の歩き方』(光文社新書)で、全国的に知名度の高まった「第10回 不忍ブックストリート 一箱古本市」が、4月29日(祝・木)と5月2日(日)の2日間。

5月1日(土)・2日(日)は「第20回古書往来座 外市」もあります。古本好きは休む間もない。そして16日(日)には「第6回鬼子母神通り みちくさ市」。

すごいですね。まさに黄金の2ヶ月間。

本日、葉っぱさんから本の贈り物が届く。今年2回目。わたしたち好み、<とみきち屋>のツボとも言える本がぎっしり。ただただ感謝です。

■武田百合子『富士日記 上・下』(中央公論社・初版)

中公文庫(上中下3巻)で読み、単行本は見たことなかったので、こんなに嬉しいことはない。昭和54年5月26日付け日経新聞の記事の切り抜きまで附いている。これはもう、ガラス本棚入り決定。

■花田清輝『乱世今昔談』(講談社)・『古典と現代』(未来社)

つい先日、駄々猫さんのご主人・ちゅうたさんと花田清輝に関して、簡単なコメントのやりとりをしたばかり。2冊とも未読。

■平岡正明『ヨコハマ浄夜』(愛育社)

平岡正明はそれほど読んでいないので、昨年あたりから少しずつ古本屋で購入しては、ぽつりぽつりと読み始めていたところ。う~ん、どうしてこの本(未読)を送っていただけたのか不思議でならない。

■『考える人 一九六二年に帰る』(2006年冬号 新潮社)

何と言っても大好きな佐野洋子のインタビュー「貧乏の力」に痺れる。他には津野海太郎、山田稔、和田誠、関川夏央、古井由吉、さらに植木等らが寄稿。特別読み物として、鶴見俊輔、加藤典洋、黒川創「座談 鶴見俊輔と日米交換船」も掲載されている。嬉しいですねえ。

上記以外にもサルトル、サド、ロープシン、吉本隆明、辺見庸ほか盛りだくさん。
ここでは書けませんが、今後古本市でテーマに添って出品したいと思う本も入っていました。

今日、『新書大賞2010』(中央公論新社)を購入。2009に関して昨年ブログで書いたので、今回も追って取りあげてみたい。
併せて、武田花『犬のあしあと 猫のひげ』(中公文庫)も購入。大きな書店ではなかったが平積み最後の1冊。人気ありますね。
『猫―TOKYO WILD CATS』、 『One Day―そして、陽は落ちる』、『SEASIDE BOUND』、『嬉しい街かど』の4作の中から著者が選び、加筆訂正、編集したものになっている。すべて品切れなのでファンにとってはありがたい文庫。

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プラマイゼロ? 古本購入と怪我

金曜夜、仕事帰り。コートに左手を突っ込み、右手に鞄を持ってぼうっと歩いていたら、段差に気付かず足をとられ、2、3歩つんのめり、立て直そうとしたものの敢えなく撃沈。胸のあたりをコンクリートの路面に激しく打ち付けてしまった。痛みでしばらくまともに呼吸できず。
とっさに首を上げたので、顔だけは強打を免れた。しかし、いきなり上体を反らしたので首も痛い。
転ぶまいとこらえようとしたため、腹筋と腿の裏もつっぱっている。何とも情けない。
帰宅しても痛みはひかず「もしや、この痛みは…」。

この10年ほどで2回肋骨をやっている。1回は疲労骨折。もう1回は畑道を自転車に乗っている最中、よそ見をした瞬間に石に乗りあげ転倒。頭をかばおうとしてからだを投げ出したら、胸を激しく打って、ひびが入った。
軽傷だが、今回もまちがいなくひびが入っている。咳、くしゃみはもちろん、笑った時にも痛みが走る。まいったな。

と、言いながら翌土曜は段ボール3箱、約150冊の本を地元馴染みの古書店へ処分。もうこれ以上箱詰めの本を放置しておけぬ我が家の状況。加えて、春からの古本市に参加するために、妻との約束もあり、もう待ったなし(笑)。
何故なら、本というのは不思議なことに自然増殖してしまうものだからだ。

いつものように査定してもらっている間、店内を隅々まで探索。めぼしいものをいつも置かせてもらう場所に積み上げていく。
私が本を持ち込む前、店主はジャック・アタリ『21世紀の歴史―未来の人類から見た世界』(作品社)を読書中だった。それでアタリの、とりわけ超民主主義について少し話した後に、最近の本の動きなどを聞く。
以下の本を購入。

■絲谷寿雄『増補改訂 大逆事件』(三一選書)
■人類の知的遺産『バクーニン』(講談社)

最近自宅では幸徳秋水、大杉栄、アナーキズム関連の本を手に取ることが多くなってきた。黒岩比佐子さんが、ここらあたりの事を何度か書かれているのを読んだ影響だと思う。

■リルケ『フィレンツェだより』(筑摩書房)
■ジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』(白水社)
■深沢七郎『東北の神武たち』(新潮文庫)

いずれも、今後の古本市で考えているテーマを前提に2冊目を購入。リルケはちくま文庫版を。グラックはUブックス版を。深沢七郎は同じ新潮でも、旧版ではなく復刊文庫の方を、それぞれ出品しようかと思っている。

■シュレーディンガー『生命とは何か-物理的にみた生細胞-』 ほか

処分本を持ち込んだ後、車は妻に運転して帰ってもらう。で、一人ぶらぶらと地元ブックオフ経由で帰る。雑誌半額セール実施中。

■文藝別冊『総特集 武田百合子』(河出書房新社)275円
■新潮社100年記念『新潮名作選 百年の文学』53円

2冊ともありがたい。うちは二人とも武田百合子ファンなので、特に前者は嬉しい。

■兵頭正俊『ゴルゴダのことば狩り』(大和書房)105円
昔どこかで見たことのあるタイトルだなと思いながら、パラパラめくっていたら、何と吉本隆明が解説を書いている。そういえば、兵頭は昔、『試行』に寄稿していたような。
■松下竜一『怒りていう、逃亡には非ず 日本赤軍コマンド泉水博の流転』(河出文庫)105円

本日日曜は朝から夕方まで仕事。ひどくはないが、肋骨が痛む。当分湿布のお世話になるな。
仕事を終え、久しぶりに沿線の、おじいちゃんがやっている小さな古本屋さんへ。目立たない店だが、けっこういい本置いている。

驚きました。ついについに念願の2冊目購入。
篠山紀信・中平卓馬『決闘写真論』(朝日文庫)。絶版になって以来ずっと足を使って探し続けてきたが、古書買いエリアの狭い私にはお目にかかる機会が全くなかった。ネットでの相場よりは安かった(ネットで買うつもりは全くなかったが)。でも、値段ではない。見つけられたことが嬉しくてならないのだ。これを古本市に出すかは迷うな。
しばし喜びに浸る。その後、ふっと目を移すと、洲之内徹『気まぐれ美術館』(新潮文庫)。新古書店ではないので半額というわけではないが、これも頂戴する。これで何冊買ったことになるのか。
期待はさらに膨らむ。棚をじっくりゆっくり見ていく。
「どうしてここに…」と思わず絶句。
五味康祐『いい音、いい音楽』(読売新聞社)! 昨秋の一箱古本市で手持ちの中から出品し、喜んで持ち帰っていただいた本だ。1000円でも安い。しかし…。あまりにも汚れが酷い。現在2冊持っているので、この状態ではさすがに追加購入は無理と諦める。
しかし大満足。

帰り、懲りもせず、地元のブックオフを覗く。単行本500円均一セール。こんな時間では何も残っていないだろうと、冷やかし半分で棚を眺める。けっこう隙間ができている。朝から大量買いの跡がくっきり。ところが。
いやあ、残っているものですね。運がよかったというのか。

■田中美代子『三島由紀夫 神の影法師』(新潮社) 525円

これは『決定版 三島由紀夫全集』(新潮社)月報連載がもとになっている。女性による本格的な三島論はこれまで読んだことはなく、著者は全集の編集委員でもあった。期待大。

ついでに、■木下和寛『メディアは戦争とどうかかわってきたか 日露戦争から対テロ戦争まで』(朝日新聞社) ■臼井吉見『肖像八つ』(筑摩書房)を各105円で購入。

夜、妻に、「肋骨にひび入ったけれど、その分いい本買えて、元とったよ」と得意げに話すと、唖然とされた。変なこと言ったかな?(笑)

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こんな本を(2)

久しぶりの休日休み。地元馴染みの古書店に出かけ、至福の時間を享受。昼間だったので、客の出入りも多く、店主との会話は短め。

■キルケゴール『誘惑者の日記』(ちくま学芸文庫)■リラダン『未来のイヴ 上・下』(岩波文庫)■庄野潤三『野菜讃歌』(講談社文芸文庫)購入。

庄野潤三の随筆はまだ出たばかりではなかったか。この一年、いい本を早めに、或いはきれいな状態で処分してくれる新しい客が何人かついたようで、その恩恵に与ることがふえてきた。

『野菜讃歌』は佐伯一麦による解説がいい。<チャールズ・ラムに親しみ、「平明で、悠々としていて、しかも胸に迫ってくる」表現を目指した庄野潤三によって差し出された、手のひらで自分から触れさすった人生の断片断片が、目に見えぬ波紋となって、こちらに伝わってくる>
たとえ庄野潤三ファンでなくとも、思わず手にしてみたくなる。

暮れから正月の休みを除いた12月から1月は、仕事帰りに、土日も含めほぼ毎日のように閉店(23時)間際の20分ほど、地元のブックオフに寄る機会があったので、定点観測できた。単行本500円均一、雑誌半額セールも多かった。カウンター横のストッカーに翌日出し予定の本が補充されたばかりという時も多く、おっというものも結構目にし、いただいた。
かなり前から購入しなくなったレコード芸術のバックナンバーが30冊ほど大量に出ていて、半額53円に惹かれ、10冊も買ってしまった。ワルター、トスカニーニ、クレンペラー、プッチーニ、黄金の50年代、名録音列伝ほか読みたい特集が掲載されている号をメインに。図書館でコピーすることを考えてもはるかに安上がりだ。必要なところだけ切り取って、残りは即資源ゴミに出した。

ブックオフ500円(単行本均一セール)購入本

■栗原裕一郎『<盗作>の文学史』(新曜社)

500頁に及ぼうかという大部の労作を、この値段で入手するのは著者に申し訳ないなと思いつつ購入。「この本は読んでおかねば」と思いながら、一年半近い月日が流れてしまった。
「盗作」「盗用」「剽窃」「無断引用」「借用」「無断借用」などのマスコミが使うジャーゴンと、司法判断の絡む「著作権侵害」は一線を画するものとして、これまでの盗作問題に触れると著者は「まえがき」に書いている。かような視点は自分にも明確には無かったので、とても興味深い。

■柳田邦男『新・がん50人の勇気』(文藝春秋)

『ガン50人の勇気』の出版が1981年だから、四半世紀以上経ての第二弾になる。1986年には『「死の医学」への序章』が出版され2作とも深く心に刻まれている。以来、同著者によるこの分野の本は欠かさず読むようになった。
「自身が同じ境遇になったら、どう受けとめていけるか」。そんな思いで読むわけではない。ほんとうの苦悩は本人にしかわからないと思えるから。だらしない自分の生き方を突きつけられるばかりだ。
近しい人が病に罹ったとき、どう気持ちを寄せていけばいいのか、その縁となればという、考えようによっては情けない動機で繙いていると言えなくもない。

■加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社)

この本、昨年の夏に出版されて以来かなり売れているようだ。
『戦争の日本近現代史』(講談社現代新書)における、「なぜ戦争になったのか」「深いところで人々を突き動かした力は何だったのか」を問うために、戦争を相互性という観点で捉える著者のスタンスは新鮮でもあったが、一般民衆(国民)の認識の変化を描くという点ではもの足りず、為政者側や各国の思惑、国家間のパワーバランスの説明に傾いているのでは、という印象を拭えなかった。文章もこなれておらず、やや読みにくかった。
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』は、高校生相手の講義をまとめたもので、新書では扱われなかった太平洋戦争に触れているだけではなく、序章において9・11テロ、南北戦争、ベトナム戦争、E・Hカーの歴史観にも言及しているようなので、期待したい。

■古井由吉『人生の色気』(新潮社)
■青海健『三島由紀夫の帰還』(小沢書店)
■仲正昌樹『<学問>の取扱説明書』(作品社)

ブックオフ105円購入本

■『植草甚一スタイル』(平凡社・コロナブックス)

昨年ナンダロウ(南陀楼綾繁)さんと津野海太郎さんのトークを聞き、津野さんの『したくないことはしない 植草甚一の青春』(新潮社)を読んでから、俄然興味が湧いてきた。(正直それまでは、自分の読書対象から外れていた)
その途端、こういう本が飛び込んで来るのだから何とも不思議なものだ。スクラック・ブック、コラージュ、イラスト、手紙など何度も何度も食い入るように見てしまう。

■青澤唯夫『名指揮者との対話』(春秋社)
ケーゲル、クレンペラー、チェリビダッケとの対話が魅力。
■車谷長吉『文士の生魑魅』(新潮社)
■森川哲郎『暗殺百年史』(図書出版社)
■『アメリカの中の原爆論争-戦後五〇年スミソニアン展示の波紋-』(ダイヤモンド社)

■加藤清・鎌田東二『霊性の時代 これからの精神のかたち』(春秋社)

鎌田東二の本は、中上健次との対談『言霊の天地―宇宙・神話・魂を語る』(主婦の友社)を読んで以来になるかな。帯に「新たなスピリチュアリティへ」と謳ってあったので迷ったが、パラパラ読んでみたら(対談相手の精神科医・加藤清も相当な変わり者だが)、シモーヌ・ヴェイユのことを「創造の病」と捉え、親鸞との類似性を語っているところが面白く、読んでみようと思った。

■五味川純平『人間の條件』上・中・下(岩波現代文庫)

昔読んだのは、三一新書(学生の頃だったので売ってしまった)。棚を眺めていたら厚い3冊の文庫本が目に飛び込んできた。岩波現代文庫に入っていたとは。読み返してみたくなる。

■木村敏『偶然性の精神病理』(岩波現代文庫)
■廣松渉『唯物史観と国家論』(講談社学術文庫)
上記2冊は以前単行本で読んだものを買い戻したかたち。

■西谷修『不死のワンダーランド 戦争の世紀を超えて』(講談社学術文庫)

ハイデガーが説く「死」と「存在」の問題に、レヴィナス、バタイユ、ブランショの思想を対比させ、彼らのテキストから次のような教えを読み解いている。

ひとが死とほんとうに関わるのは主体としではなく、「私」の固有性を形成する力を失いつつ、つまりは死を「私の死」として保持する力を失いつつ、固有性の解体の中なかで、誰にも属さない無縁な死に包まれながらその死の圏域に呑み込まれてゆくのであり、ひとはついに死を手に入れることなく、主体として完結することなく消滅してゆく。

アウシュヴィッツ、戦争、テクノロジーの進化、核、あるいはまた尊厳死、脳死まで多くの問題のなかに、ひとを固有の「死」から遠ざけさせるものが潜んでいることを示唆する本書は、読むに値すると思えた。

■久松真一『東洋的無』(講談社学術文庫)
■デューイ『哲学の改造』(岩波文庫)
■フィヒテ『ドイツ国民に告ぐ』(岩波文庫)
■ワーグナア『芸術と革命』(岩波文庫)
■三島由紀夫『荒野より』(中公文庫)
■稲垣正美『可能性の騎手 織田作之助』(現代教養文庫)
■パルマー『サルトル』(ちくま学芸文庫)

■鶴見俊輔『ひとが生まれる』(ちくま文庫)

金子文子と林尹夫について書かれている。
朴烈事件(1923年)で死刑判決を受ける(1926年)も、特赦により無期懲役に減刑。しかし、獄中数え年23歳で縊死した金子文子。彼女の『何が私をこうさせたか 獄中手記』(春秋社)のことを鶴見俊輔はいろいろなところで触れている。
終戦わずか19日前に四国沖で散華した林尹夫の『わがいのち月明に燃ゆ』(ちくま文庫)を読んだのは15年ほど前だった。
戦時下の手記を読むつど、理不尽とも言える死を覚悟せねばならぬこの時代の青年たちの多くは、なんと濃密な時間を生きていたのだろうと思わされる。複雑な思いに囚われる。

国家、それは強力な支配権力の実体である。それを無視し、この点から遊離して論じてはならない。ぼくは、もはや日本を讃美すること、それすらできないのだ。むしろ無用にして有害な感傷として排除したい。
戦争は国体擁護のためではない。そうではなくして、日本の基本的性格と、そのあり方が、日本という国家に、戦争を不可欠な要素たらしめているのだ。現実に、日本が戦争を要求している事実こそ、戦争への道なのだ。
ぼくらはこの戦争に耐えねばならぬ。そして根本的に日本の国家をよくしよう。それは、日本の人間そのものをよくし、発展させるためには、もっとも効果的な方法なのだ。
だが、ぼくは、この戦争で死ぬことが、我ら世代の宿命として受けとめねばならぬような気がする。根本的な問題について、ぼくらは発言し、批判し、是非を論じ、そして決然たる態度で行動する、そういう自主性と実践性を剥奪されたままの状況で戦場に出ねばならぬためである。だから宿命というのだ。
戦争で死ぬことを、国家の、かかる要求で死ぬことを、讃えたいとは露ほども思わぬ。その、あまりにもひどい悲劇ゆえに。
ああ、すべては宿命だ。その宿命を世代としてにないながら、しかもこれに抵抗せねばならぬ矛盾のなかに、われら、人の子の悲しい定めがあるのだ。
感情は恐ろしい。だが、理性に従わねばならぬのだ。精神が歪んではならない。 (昭和16年10月12日 第三高等学校二年)

太平洋戦争勃発二ヶ月前に書かれたものだ。そして2年後の昭和18年12月、京都帝国大学在籍時、学徒出陣で海軍へ。
林尹夫のことは、神坂次郎も『特攻―若者たちへの鎮魂歌(レクイエム)『』(PHP文庫)の中で、不羈の俊才として触れている。

『何が私をこうさせたか 獄中手記』、『わがいのち月明に燃ゆ』とも是非読んでもらいたい手記。(後者は古書でしか入手できないが)

■烏賀陽弘道『「朝日」ともあろうものが』(河出文庫)

記者クラブの存在がジャーナリズムの病巣の要因になっていることは、岩瀬達哉『新聞が面白くない理由』(講談社文庫)に詳しい。そこでも朝日とリクルートの結びつき、朝日による『Views』広告掲載拒否事件ほか、他社への厳しい批判の根底にある理念を自社問題となるとないがしろにする悪しき体質を撃つことに紙幅の多くを割いている。
朝日新聞社に17年間記者として務めた著者烏賀陽が自身の経験を土台に、マスメディアの問題点をどう抉っているのか興味深い。

■吉田秀和『モーツァルトを求めて』(白水Uブックス)
■小川洋子『心と響き合う読書案内』(PHP新書)
■務台理作『現代のヒューマニズム』(岩波新書)
■栄沢幸二『日本のファシズム』(歴史新書・教育社) など多数

さして期待もせずに買って読んだ『BRUTUS 吉本隆明特集』(2月15日号)、思っていた以上の出来で驚いている。私にとって新しいと言える情報は少ないが、若者向けの情報発信としては十分及第点ではないか。こういう切り口の吉本特集雑誌、見たことなかった。

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買ったら売らねば

土曜、地元の書店にナンダロウ(南陀楼綾繁)さんの新刊、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)の入荷予定を確認したら、やはり17日(火)発行と聞かされ、がっくり。早く読みたい。

ナンダロウさんから見本を贈られた方々が少しずつブログでとりあげている様子。
中でも、岡崎武志さんの全面バックアップ宣言は、頼もしく、温かい。単なる内輪褒めでないことは一読してわかる。
こちら→  http://d.hatena.ne.jp/okatake/20091113

「本は人の手に届きたがっている」、本離れの状況を招いた非は業界人にもあると説く岡崎さんの言葉には重みがある。そして「一箱古本市」を、現況を打破する大いなる可能性を秘めたイベントと認識し、「一箱古本市」の全国的拡がりの核となっているナンダロウさんを讃える気持ちに強く共感。
私的なこと、或いはコメントなどにおいてはナンダロウくんと呼びかけることもある岡崎さんだが、今回の記事においては南陀楼綾繁さんの新刊『一箱古本市の歩きかた』と記している。
人柄は滲み出るものですね。どんなに名が知れていようと、こういう心配りのできない人もいる。

ひょっとしたら風邪のひきかけ?と思える症状が出たりして、大人しくしている日もあったが、相変わらず古本は買っている。

古書往来座 外市にて〕

■野呂邦暢『戦争文学試論』(芙蓉書房出版)

狭い意味の「文学」にとらわれず、無名兵士の手記、ドキュメントなど多くの作品を読み込んでいる。
「一つの時代を後世の価値観で裁くことは、私たちがおちいり易い錯誤である。国家に殉じることが、最高の名誉とされた時代もあったのである。反戦を叫ぶ現代の日本人が一時代前に戦って死んだ人々よりもすぐれていることにはならない」
「昭和五十年代の日本人が昭和十五年代の日本人より賢いといういわれはどこにもないのである。謙虚に先人の文章をたどることにしよう。私たちの父兄は史家がいうように狩りたてられた奴隷として死んだのであろうか。」
著者は決して戦争そのものを肯定しているわけではない。

何があったのか、どんな時代だったのか、どう受けとめ戦地に赴き、何を思っていたのかを知りたくて、私も若い頃から戦争に関する数多くの本を読んできたので、通じるものを感じる。じっくり読んでいきたい。

■富士正晴『贋・久坂葉子伝』(講談社文庫)

先日、『幾度目かの最期―久坂葉子作品集』(講談社文芸文庫)を入手したばかりだが、こちらも併せて読みたいと思っていた。文字は小さいが、現在入手できる講談社文芸文庫版は1,890円もするので、500円はありがたい。

上記2冊は荻原魚雷さんの<文壇高円寺>より購入。今回はいつもより出品数も多くいい本が目白押しだった。

■森山大道『過去はいつも新しく、未来は常に懐かしい』(青弓社) <古書文箱>より
■野呂邦暢『諫早菖蒲日記』(文藝春秋)■吉田精一『随筆入門』(新潮文庫) <古書有古堂>より

売上げ対決とかで、<古書文箱>と<古書有古堂>は隣り合わせ。いつもとは違い大きめの棚を提供されていた。たった二日間での勝ち負けに大きな意味はないと思うが、どんな本をいくらで売るかという点で興味深いものがあった。いずれも個性が出ていて、優劣などとてもつけられない。

■今東光『極道辻説法』(集英社文庫) <立石書店>より

ずっと探していた。一瞬わが目を疑った。間違いない。歓喜に包まれる。200円なんて信じられない。1000円でも欲しかった本。
愛読書『毒舌 身の上相談』(集英社文庫)は『続 極道辻説法』『最後の極道辻説法』を合わせたもので、『極道辻説法』は含まれていない。タイトルに説法とついているものはまだ他にもあるが、少しずつ集めていくつもり。
余談ながら、『プレイボーイの人生相談1966-2006』(集英社)は面白い。今東光を始め、柴田練三郎、岡本太郎、開高健、赤塚不二男、野坂昭如、吉本隆明、松山千春ほかが若者の相談に答えている。今こんなの掲載したらやばいだろというような過激な発言も随所に見られるが、我が意を得たりと思わず破顔大笑。

<チンチロリン商店>からは、PippoさんのCD『てふてふ 二匹め』を購入。詩の朗読集だ。八木重吉の詩については以前当ブログでもとりあげた。やはり何度聞いても素晴らしい。新しく聞いたものの中では、大江満雄の詩の朗読がとりわけ心に残った。
キリスト教的理想主義にたつプロレタリア詩人で、ハンセン病患者の詩を編纂した『いのちの芽』も刊行している。
差別や対立のない世界を希求する思いが、抒情的な表現から強く伝わってくる。また、朗読とそれを支える音楽(効果音)がとてもいい。作者とも朗読者とのものとも言えぬ声が、遠くから心に響いてくる。わずか3分弱のなかに、深く透明な世界が広がっている。

〔ブックオフにて〕

自宅から車で20分ほどの店舗。ここは105円の商品は新書ぐらいしかいいものが入手できない。しかし、半額なら新刊単行本、講談社学術文庫、岩波文庫、ちくま文庫などが結構豊富で買える。
久しぶりに足を運んだら、文庫本200円セールを実施していた。この店舗でセールに遭遇するのは初めて。

■暁烏敏『歎異抄講話』(講談社学術文庫)
10年ほど前、石和鷹『地獄は一定すみぞかし-小説暁烏敏』(新潮社)読後興味を抱き、暁烏敏の自作『わが念仏・わが命』(潮文社)を古書店で入手して読んだ。それ以来になる。
■鎌田慧『大杉榮 自由への疾走』(岩波現代文庫)
■筒井清忠『二・二六事件とその時代』(ちくま学芸文庫)

地元のブックオフ 文庫本99円セール

■岡本かの子『生々流転』(講談社学芸文庫)
■平泉洸 全訳註『明恵上人伝記』(講談社学術文庫)
■川崎信定訳『原典訳 チベットの死者の書』(ちくま学芸文庫)
■堀江敏幸『河岸忘日抄』(新潮文庫)
これは当然文庫版も欲しい。
■佐江衆一『わが屍は野に捨てよ 一遍遊行』(新潮文庫)

同じく地元ブックオフ 105円

■論座2006年11月号『言論テロと右翼』(朝日新聞社)
■論座2007年4月号『グッとくる左翼』(朝日新聞社)

都内ブックオフ3店舗から 105円

■G・スタイナー『青鬚の城にて』(みすず書房)
■樫山欽四郎『哲学概説』(創文社)
■松浪信三郎・飯島宗享『実存主義辞典』(東京堂出版)
■豊田穣『革命家北一輝』(講談社文庫)
■杉森久英『天才と狂人の間 島田清次郎の生涯』(河出文庫)
■近藤富枝『相聞 文学者たちの愛の奇跡』(中公文庫)
■竹内薫・竹内さなみ『シュレディンガーの哲学する猫』(中公文庫)
■坂口安吾『坂口安吾全集16 安吾人生案内 負ケラレマセン勝ツマデハ 安吾行状日記ほか』(ちくま文庫)

古書ではないが、『婦人画報12月号 ほんまにおいしい、冬の京都』を購入。
高校同級生・稲葉なおとの特集が掲載されているからだ。「稲葉なおとが綴る4つの物語 心の再生アジアン・リゾート」。
短篇小説4作をメインにした構成で、バリ、プーケット、シンガポール、モルディブのホテルが紹介されている。小説は未読だが、写真のみでも買った甲斐あり。ため息がもれるくらい美しい。もちろん、彼自身が撮っている。
稲葉なおとの根強いファンは多い。私のブログにも婦人画報に関して、ご夫妻でファンという方からコメントをいただいた。

来春までは古本市に参加する予定もなく、買ってばかりではたいへんなことになるので段ボール4箱に処分本を詰め込んだ。地元馴染みの古書店に2箱、残りをどうするかは思案中。

昨日の日曜は仕事が長引き、上京されていた葉っぱさんにお会いできず残念でならなかった。
妻は葉っぱさんと楽しいひと時を過ごさせていただいた。帰宅後いろいろと話を聞く。ありがとうございました。

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