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2019年5月

2019年「第21回不忍ブックストリート 一箱古本市」店主レポート(1)

4月28日(日)に開催された「第21回不忍ブックストリート 一箱古本市」では、多くの方々にご来場、ご購入いただきありがとうございました。また、この不忍の一箱を無償で支えられている南陀楼綾繫さんほか実行委員の方々、助っ人の皆様、大家さんにも心より御礼申し上げます。

平成最後の本家一箱古本市、今年もまたその魅力と迫力を実感することができました。
本好きの方がこんなにも、まだまだいらっしゃると思えたことが嬉しくてなりませんでした。
それでは、当日の店主レポートです。

開店前から何人かのお客様に待っていただけるのは嬉しいものです。
お客様ではないけれど、以前お隣に住んでいて、谷根千界隈に引っ越されたOさんが、差し入れを持って会いに来てくれました。

鈴木さん。「今日の出品本をブログで見てくるのを忘れちゃったよ」と言いながら、大西巨人「地獄変相奏鳴曲」、埴谷雄高「死霊」。いずれも講談社文芸文庫、計5冊も。

dozoさん、差し入れありがとうございました。お会いできると心がほっこり温かくなるのです。昨年の一箱では久しぶりにお目にかかれて感激。今年も来店いただきました。鈴木理生「江戸はこうして造られた」ちくま文庫、田中貴子「百鬼夜行の見える都市」ちくま学芸文庫を。昔から江戸・東京関連の本を好まれていたので、来られた時のことを考え用意したのが大正解。

dozoさんも携わり、5月4日まで開催されている「立原道造歿後80周年記念展示」http://www.michizo.org/article)に足を運ぶつもりです。

「古書ますく堂なまけもの叢書」を発行しているMさん。本に関する該博な知識にはいつも圧倒されます。不忍一箱、みちくさ市、くにたちこしょこしょ市などを通じ、どれだけ本を購入いただいたことか。Mさんにはアレント「責任と判断」ちくま学芸文庫、壇原照和「白い孤影 ヨコハマ メリー」ちくま文庫を。美術、バロック音楽などにも造詣深く、なまけもの叢書のデザインを担当されているMさんの奥様・かんざきしおんさんには。バウムガルデン「美学」講談社学術文庫を。

いつも、楽しく会話させていただいているYさん。絶対興味ないと思われるお値段高めの本を「Yさんこれどうですか~」と押し売りのように持ちかけては閉口されています(笑)
しかし、Yさんは(男性ですが)当店にとって<幸運の女神>。Yさんに押し付けようとした本は9割以上の確率で他の方へと旅立っていくのです。今回、東雅夫「クトゥルー神話事典」学研Ⅿ文庫を目にとめて、「ありえへんやろ、なんでこんなんあるの?絶対読まんやろ」というお言葉を頂戴する。正直に申せば、ぱっと眼を通しただけです(笑)でも、必ずお求めの方がいるはずと入手しておきました。そして、無事、若い女性の方の手に渡りました。
Yさんには宮沢章夫「東京大学「80年代地下文化論」講義」白夜書房を。

以上4人の方々とは10年以上のお付き合いになります。

以前不忍でマッカラーズ「心は孤独な狩人」新潮文庫を購入いただいたこともある(E)さん。不忍はお久しぶりでしたが、「フーコー・コレクション」 [全6巻]ちくま学芸文庫を開店早々に。初版ではなかったものの、全品帯付きということで喜んでいただけたようです。(帰宅後確認したら私の蔵書も初版ではありませんでした) 当日2度目の来店時にはデリダやジジェクなどの話を。

今回出店叶わず傷心の<脳天松家>さんに「残念でしたね」と声をかけると、「それには触れないで…」と。このイベントに出店できない寂しさがどれほどのものか、想像がつきます。脳天さんには内堀弘の本を。慰めにはならないでしょうが、少しだけおまけを。

同じく出店できなかった<朝霞書林>さん。お父上を亡くされたばかりでしたが、連休で役所の手続きができないため足を運ばれたとのこと。改めてお悔やみ申し上げます。講談社文芸文庫の個人月報集を。これも少しおまけして。

会えませんでしたが、親しくさせていただいている<悪い奴ほどよくWる>さんも落選組のお一人。同じ店主としていつもWさんの出店・出品を楽しみにしているので、昨年に続き出られなかったのは寂しい限りです。

精力的で顔の広い<駄々猫>さんにはシュバリエ「貴婦人と一角獣」白水Uブックスを。途中某商店街で開催されるプロレスを観戦してからまた戻るというのだから兵です。親しみをこめて「駄々ちゃん」と呼んでいるのですが、駄々猫さんと親しい女性店主さんから「え~っ!?」と驚かれてしまいます。

ほんとうにお久しぶりにお目にかかれた<古本T>さん。話の端々に教養の深さがにじみ出る方。鎌倉「ヒグラシ文庫」での常設棚古本販売をやめられてからは、あまり積極的な活動はされていないと伺う。東浩紀「ゆるく考える」河出書房新社を。

昨年箱がお隣だった星まりも(駄菓子と雑貨 鳩♡頭巾)さん。その後お店も開かれるなど大活躍ですね。不思議なオーラが出ていました。森村桂「天国にいちばん近い島」角川文庫を手に取られたので驚いて伺ったところ、昭和をテーマにした催しに関連してこの本を知ったとか。なんとも言えないタイミングでした。

お仕事で東京を離れている<ベランダ本棚>さん。東京に戻り、フットワークの良さ、企画力、人を惹きつける魅力を存分に発揮してほしいと思うのは私だけではないはず。
お二人には差し入れを頂戴しました。ありがとうございます。

何年か前の不忍でも同じ会場でご一緒させていただいた<石巻まちの本棚 >さん、今回は箱がお隣でした。
2015年6月、Book!Book!Sendaiの最後の一箱古本市に参加した際、震災後の東北を見ておこうと、足を延ばし、石巻まちの本棚にも訪れました。木の本棚に彩られ、穏やかで、温かいスペースでした。お気に入りの本も多々あり、嬉しく思ったものです。ここでは毎年「石巻一箱古本市>も開催されていて、地元以外の方々も出店されているようです。今年は7月20日に開催。
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強く印象に残った女性のお客様が二人いました。お一人は、ほかでも鶴見俊輔の本を手に入れられ、当店でも鶴見俊輔の「期待と回想」朝日文庫と「思想をつむぐ人たち」河出文庫を引きとっていただいた方です。佐野洋子、武田百合子、荒川洋治、五味康祐(音楽本)などは、当店がほぼ毎回揃え、これまで同じ本が何冊も旅立っていきました。つまり、お気に入りお薦め本なので、いっそう嬉しいのです。

もうお一人は同じく女性で、永島慎二「フーテン」、竹中労「琉球共和国」、「田中小実昌ベスト・エッセイ」以上ちくま文庫とカナファーニー「ハイファに戻って 太陽の男たち」河出文庫計4冊をまとめ買いされた方。この選書にはぐっときました。カナファーニーはその前に<駄々猫>さんと話題にしたばかり。
そして後になって気づきびっくり。お二人とも<石巻まちの本棚>に参加されていたのです。それで選書にも納得いきました。

長年実行委員を務められた<やまがら文庫>さんが来られました。「お客として回るなんて不思議な感じがする。なんだか緊張する」とおっしゃっていました。
<やまがら文庫>のYさんと初めて会ったのは、2009年に春の一箱に映画協会で出店した時。「いい本揃えていますね」と声をかけていただきました。その日は、プレゼンターだった故・黒岩比佐子さんが開始早々にお見えになられ、Yさんは驚かれていたと記憶しています。恥ずかしながら私は黒岩さんのことを知りませんでした。堺利彦の本を2冊並べていたことに関心を持っていだき、今堺利彦の本を書いているところなんですと伺ったことは、はっきりと覚えています。もっと長生きされ、多くの作品を生み出してほしかったと思うと残念でなりません。

Yさん、ご家族の事情もあって実行委員を退かれたと聞いています。長い間ほんとうにんとうにおつかれさまでした。そして、店主として、また助っ人をした際にもお世話になり、ありがとうございました。

(2)へ続く。

 

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