2014年「第16回不忍ブックストリート 一箱古本市」出品本の紹介(2)
古本市の楽しさは、準備段階にもあるのです。よく来ていただいているお客様を思い浮かべ、これまで購入いただいた本を思い出し、好みを考えながら選書する。とにかく自分が好きな本、或いは一人でも多くの方に読んでもらいたいと思う本を取りだし、どんな方の手に渡るのだろうかと想像する時間が楽しくてならないのです。
マイナーな著者の本がどんぴしゃりでお客様のツボにはまった時には、「他にはないのですか?」と訊かれることが多いので、もう1冊もっていこう、でも、その分どれを外そうかと思案したり。値付けは迷いに迷い、前日深夜遅くに変えることもしばしば。
そういったすべてのことを楽しんでいます。スリップの作成と挟み込みはしんどいですが(笑)
それでは、前回に続き出品本の一部紹介です。
5月3日(土・祝) 「第16回不忍ブックストリート 一箱古本市」、<とみきち屋>は戸野廣浩司記念劇場に出店いたします。
詳細はこちら→ http://sbs.yanesen.org/
店主一覧→ http://sbs.yanesen.org/?page_id=3529
MAP→ http://sbs.yanesen.org/?page_id=3623
【単行本ほか】 書名直後の★は絶版または品切れ
■『フィッツジェラルド/ヘミングウェイ往復書簡集 [日本語版]』(文藝春秋)★
■岡崎武志編『夕暮の緑の光―野呂邦暢随筆選』(みすず書房)
野呂邦暢への編者の愛情が満ちている美しい書。交遊社による『野呂邦暢小説集成』も全8巻中すでに3巻が刊行されていますね。
■荒川洋治『文学のことば』(岩波書店)
■鶴見俊輔『夢野久作と埴谷雄高』(深夜叢書社)★
■岡真理『アラブ、祈りとしての文学』(みすず書房)
アラブ文学を通じてパレスチナ問題を深く抉る書。荒川洋治お薦めの『ハイファに戻って』の作者カナファーニーについても触れています。著者の真摯な姿勢には好感が持てます。
■フーコー『哲学の舞台』(朝日出版社)
■シオラン『告白と呪詛』(紀伊國屋書店)
■森山大道『森山大道、写真を語る』(靑弓社)
■竹中労『仮面を剥ぐ』(幸洋出版)★
■木村敏『臨床哲学講義』(創元社)
■梅津時比古『フェルメールの楽器』(毎日新聞社)
私の好きなクラシック音楽評論は五味康祐と吉田秀和のもの。前者には精神性を重んじるところに、後者には透徹でありながら温もりのある知性が感じられるところにひかれるのだと思います。そしてもう一人が梅津時比古。その抒情的なエッセイ風の文が何ともいえない魅力にあふれ。
コンサート評なども、その演奏を聴いていないのに、光景が眼前に広がり、音が聴こえてくるかのようです。
■富士川義之『ナボコフ万華鏡』(芳賀書店)★
■山田稔『特別な一日』(平凡社ライブラリー)★
■フェルナンド・ペソア『[新編] 不穏の書、断片』(平凡社ライブラリー)
■アドルノ『不協和音』(平凡社ライブラリー)
■木村榮一『ラテンアメリカ十大小説』(岩波新書)
ボルヘス、カルペンティエル、コルタサル、マルケス、フェンテス、バルガス=リョサなど10人の代表作を中心に、ラテンアメリカ文学の魅力を語ったコンパクトで、格好の入門書。
■『ハンナ・アーレント』(中公新書)
■フラン・オブライエン『第三の警官』(白水Uブックス)
この作品がお手頃(といっても本体価格1600円ですが)な値段で手に入る日が来るなど思ってもいませんでした。筑摩書房の元本は日本の古本屋では1万円を軽く超える時期が続いていましたから。(安くても7000円前後だったような) 脳に強烈なヴァイブレーションを与えてくれる奇書。
■『古本の雑誌』(本の雑誌社) ほか
次回は文庫本の紹介です。
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