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「第2回くにたちコショコショ市」エピソード(2)

当日は晴天に恵まれたこともあって大勢の方が「やぼろじ」に足を運ばれた。土曜から二日続きで催された「秋のガーデンパーティー」も、地元では知名度が高いのでしょう。とにかくお子さん連れが多く、和みます。こどもたちの明るい姿をは、今なお大きな影を落としているあの大震災や原発事故のことをしばし忘れさせてくれました。

手作りの豆本が大人気の暢気文庫さんがご来店。その繊細なつくりが美しさを湛え、人を魅了してやみません。小さな空間を、作家のどんな言葉で充たすか考え、使う文字を選び、デザインする。かける時間と労力はたいへんなものだと想像されます。書物への深い愛情がひしひしと伝わって来ます。そういう暢気文庫さんだから、周りの空気がやわらかくなるのですね。
モンガさんがブログ「モンガの西荻日記」で暢気文庫さんの豆本の魅力を伝えています。
こちら→ http://monganao.exblog.jp/16881216/

ジュュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』(新潮文庫)を購入いただく。お勧めの作家なので嬉しい。
著者を一躍有名にした『停電の夜』(新潮文庫)は現役だけれど、こちらは早くも品切れなんて残念です。

全国を旅して本を売っている<放浪書房>さん。今回は参加されないのかなと思っていたら、屋号を<TIME ADVENTURE RECODE>と替え参加。弁が立ち、面白いし、とにかく明るい方。
<コショコショ市>の後、国立か立川で路上販売される予定で、「一緒にどうですか」とお誘いいただいたが、丁重にお断りさせていただく。<とみきち屋>にそんなパワーはありません(笑)
<ゆず虎嘯>さんのお二人も加わり、<放浪書房>さんが万が一何かのトラブルに巻き込まれ、警察から<ゆず虎嘯>さんに連絡が来たらどう答えるかという話になる。
「そんな人知りません(笑)」と、即座に<ゆず虎嘯>さん。さすが(笑)
身元引受人は断っていたけれど、お店を宿代わりにしてもいいよと提案していました。やさしいですね。
<ゆず虎嘯>さん、絵本が人気でよく売れていました。

さて、<とみきち屋>常連の方々。

jindongさんはお住まいがかなり遠くと初めて伺う。だから「一箱古本市」も「みちくさ市」も遠征に近いとか。それでも、今年は<とみきち屋>が出店した古本市8回すべてに来ていただき、お買い上げいただきました。ほんとうに有難いことだなと思います。以下の本を購入いただく。
■桑原武夫『詩人の手紙―三好達治の友情』(レグルス文庫)300円
■中上健次『現代小説の方法』(作品社)700円

前者は三好達治に惹かれてとのこと。後者はちょっと驚きました。これまで購入いただいた本からは想像がつかなかったからです。髙山文彦『エレクトラ―中上健次の生涯』(文春文庫)は何冊でも届けたいと思う本なので最初から用意してあったのですが、『現代小説の方法』の方は同じ著者だからということで前日急遽付け加えたもの。『エレクトラ』は読んでいらしたので、突然の思いつきが功を奏しました。jindongさんはほんとうに幅広く読まれる方なので、新しい発見が嬉しい。

■大杉栄『漫文漫画 〔復刻・文庫版〕』(ARS)700円
■牧野信一『父を売る子 心象風景』(講談社文芸文庫)500円
■木山捷平『長春五馬路』(講談社文芸文庫)500円
■合田正人『レヴィナスを読む』(ちくま学芸文庫)500円
■島尾ミホ『海辺の生と死』(中公文庫)350円

9月の「みちくさ市」からいろいろお話させていただくようになった(E)さん。なぜ( )付かというと、(E)さんのご要望があったからです。カッコイーになるから。
久しぶりに私の好みの本とジャンルがかなり共通する方と出会いました。一度に10冊は併読できるという(E)さん。読書量もすごいけれど、読みの深さに圧倒されます。

レヴィナスはどうしても外せない思想家だが、テキストが難解なので読むのに苦労する。内田樹の一連のレヴィナス論でとっかかりが掴めたという点では私も同じ。
レヴィナスの話から(E)さんの話は、田中小実昌へと。
過日、田中小実昌の作品が入っている文学全集を買われたとのこと。
「澁澤とか中井英夫と一緒の変わったものでね」
「『カント節』も読める小学館のでかいやつですね。私も持っています」(昭和学全集31)
「それそれ。月報に載っている柄谷行人の田中小実昌論が秀逸でね」
そこから田中小実昌の文章はかなり難解で深いという(E)さんのお話に聞き入ってしまいました。

読んでいる本や、出張先で購入された本をよく見せていただくのですが、今回のお伴本は加藤郁乎『後方見聞録』(学研M文庫)。驚きました。同じ本を出品していたからです。今話題の本ならまだしも、この一致はかなり珍しいのではないでしょうか。
また楽しくお話しさせてください。

■川端康成『文芸時評』(講談社文芸文庫)600円
■カルヴィーノ『冬の夜ひとりの旅人が』(ちくま文庫)300円

これまでに何度も<とみきち屋>でお買い上げいただいているMさん。今回ようやくお名前を伺え、お話しすることができました。笑顔で本を見ていらっしゃるMさんは、強く印象に残るので、すぐお顔を覚えることができました。Mさんのことをこのブログで触れていることは読んでくださっていたのでご存知でした。もっと早く声をかければよかったな。お勤め先が国立にわりと近いということでわざわざ足を運んでくださいました。

川端の本は過去2回振られたので、今回ダメだったもう出品はやめようかと思っていました。川端の凄みを実感できる本だし、既に品切れなのにどうしてかなあと悩んでもいました。それがMさんの手に渡ったので喜びもひとしお。
またお越しください。お待ちしております。

■一又 正雄『杉山茂丸 明治大陸政策の源流』(原書房)700円
■山川方夫『目的を持たない意志』(清流書房)500円
■池島信平・嶋中鵬二『文壇よもやま話 上下』(中公文庫)800円 ほか5冊

最初マスクをされているのでわかりませんでしたが、選ばれる本と雰囲気から、初めての方とは思えませんでした。お買い上げいただいた後にマスクを外されたので「ああ」と気がつきました。鋭い視線で本を真剣に選ばれる方なので、お声をかけるのは憚られるところがありました。今度お会いできたら、思い切ってお話させていただこう。いつもありがとうございます。

■フォークナー『アブサロム、アブサロム! 上下』((講談社文芸文庫)800円
■西脇順三郎『アムバルワリア 旅人かへらず』(講談社文芸文庫)350円
■古井由吉『水』(集英社文庫)200円
■小島信夫・保坂和志『小説修行』(中公文庫)250円

若い男性が熱心に本を見ている。手に取る本を眺めながら思わず「うん、うん」と頷いてしまう。
どう見ても学生さんなので、ある期待を込めて尋ねてみました。
「学生さんですか?」
「ええ、地元の国立にある大学なんですが…」
いきなり大学名を云わないところがなんとも奥ゆかしい。
「一橋ですね。お待ちしてました。一橋の学生さんに来てもらえるのを夢見ていたんですよ」
なんて云ったものの通じなかっただろうな。

一橋は社会科学系の学部しかないので、選んでもらった本が嬉しい。しかも、地方から上京しての一人暮らし。
「周りにはいないのでひとりで文学系やってます」という言葉にさらに心を揺さぶられる。
「応援したいので学生割引、5冊1000円で」と伝えたら、とても喜んでもらえました。
若い方には多くの本に出会ってもらいたいといつも思っているので、古本市では学生さんと判ると、けっこうおまけしています。
「くにたちコショコショ市」も一橋大学ほか、沿線の大学生に認知されたら、お客様の層が厚くなるのではないでしょうか。

小学生のお子さんを連れたお母様に、■鶴見俊輔『思い出袋』(岩波新書)を購入いただいたのですが、その方の持っていた袋が、英字新聞を材料に作られたものでお洒落。
やぼろじ近くの畑で野菜を買ったら、その袋に入れてくれたと聞きました。その後何人もの女性が同じ袋を持って歩いているのを見かけました。こういう光景はいいですねえ。

乳母車を引いたお母様には中沢新一『アースダイバー』(講談社)を。これで3冊目です。一番最初はdozoさん、次に高校友人のA。

■シオラン『四つ裂きの刑』(法政大学出版局)1000円■ドゥルーズ『ニーチェと哲学』(河出文庫)400円の2冊を女性に購入いただく。思想・哲学分野は<とみきち屋>の売りの一つになっているので嬉しい。名札を付けていらっしゃらなかったのではっきりとは分かりませんが、ひょっとしたらコショコショ市出店者関係の方だったっかもしれません。

佐野洋子の新刊と林哲夫の本を購入いただいたご夫妻からは「どこで店を出しているんですか」と訊かれました。毎回1、2度はある質問ですが、フリーマーケットは別として、本だけを全くの素人が「古本市」で売っているとは思えない方も、まだいらっしゃるのでしょうね。

モンガさんには、集めているということでウェッジ文庫3冊、上林暁の随筆含め7冊も購入いただいてしまった。初めてですね、こんなに引き取っていただいたのは。
ほかにも、当日出店されていた<やまがら文庫>さん、<つぐみ文庫>さん、<junglebooks>さん、<古本・泡山>さんに。また会場に足を運ばれた<mondobooks>さんにも購入いただきました。ありがとうございます。

<RAINBOW BOOKS>さんとは初めてお話させていただきましたが、ゆず虎嘯さんが出店者紹介でコメントしていた通り、面白い方でした。

エピソード(1)で触れた、地元国立お住まいの古本ライター・岡崎武志さんには、ブログ「okatakeの日記」で、<とみきち屋>のことを書いていただき、恐縮です。
http://d.hatena.ne.jp/okatake/20111128

『夫婦善哉』に出てくる柳吉は、能天気でフラフラしてばかりいるという点で私に似ているとも云えますが、岡崎さんが脇役だなんて畏れ多くて舞台に上がれません(笑)

もう間もなく発売される岡崎さんの『古本道入門 買うたのしみ、売るよろこび』(中公新書ラクレ)、楽しみでなりません。

車でとはいえ、160冊持ち込んだのは予想通りやはり無謀でした(笑)。もっと考えて選ぶ必要があったと感じています。こども連れの方が多いので、妻・とみきちの得意分野である絵本も加えるとか。
で、結果は70冊、平均単価377円。諸々の条件を考えれば決して悪くはなかったと思います。
売り上げの7割前後が常連の方や、知り合いの方であることに変わりはありませんが、ほんとうにありがたいことだなと、心から思っています。

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