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2011年・春「第12回 不忍ブックストリート一箱古本市」回顧(1)

2011年4月30日。「第12回 不忍ブックストリート一箱古本市」の初日に、<とみきち屋>として出店しました。春秋通じ5回目の参加です。
「秋も一箱まで」1週間もない今頃になってではありますが、「一箱古本市」のことはやはり書いておかずにはいられません。

かなり頑丈なカートとはいえ4箱くくりつけるとさすがに重い。坂の下りで一度崩れたが、テープで留めてあったので事なきを得た。しかし既に腕が強ばっている。出店場所の根津教会では「何それ!?」と、奇異な視線を浴びる。あたりまえか(笑) 
「文京つつじまつり」が根津神社で開催されていたため、多くの人が道を行き交っている。
根津教会さんのご厚意で台も使え、お客様はしゃがまずにすむから楽に箱を見られる。
教会からは厳かな讃美歌が流れ、その歌声にしばし足を止められる方もいる。
とても恵まれた場所に出店でき、多大な恩恵に与かりました。

スタート時は何度出ていても緊張するもの。dozoさんが開店前に来られたので気持ちがいっぺんにほぐれた。dozoさん、遠慮深いので開店直前になっても箱から離れた位置で見ていらっしゃる。前の方へどうぞとご案内。私は20冊ほどの本を入れたバックを肩にかけ後ろに立ち、補充体勢を整える。それを見ていた<ゆず虎嘯>さんに笑われてしまった。。。

■佐藤泰志セット 『佐藤泰志作品集』(クレイン)+「佐藤泰志追想集 きみの鳥はうたえる」非売品■村山槐多セット■マラマッド『レンブラントの帽子』(夏葉社)■宇野功芳 企画・編集『フルトヴェングラー』(学研ムック)ほか

「いい本はあるはずだから」と、今回はブログの出品案内を見ずにdozoさんにはお越しいただいた。開店早々大きな励みになりました。佐藤泰志セットは、私の想像を超え大きな反響があったようですが、dozoさんの手に渡ってよかったなと思っています。
これまでクラシック音楽関連本を購入いただいた記憶はなかったので、フルトヴェングラーは嬉しかったなあ。お弁当の差し入れ、ほんとうに助かりました。

■金子ふみ子『何がわたしをこうさせたか』(春秋社)ほか4冊

朴烈事件で有名な無政府主義者・金子文子の獄中記はつん堂さんに購入いただく。これを読まれるならと、瀬戸内寂聴『余白の春』(中公文庫)を無理やり押しつけてしまう(笑)
バタイユの文庫を手にされたのは意外でした。今度理由を聞いてみよう。

■久生十蘭『魔都』(朝日文庫)

かつて「みちくさ市」で引き取っていただいたのに続き2度目。「他に久生十蘭はないのですか」と尋ねられました。家には出してもいい本が4、5冊あったのに持って来なかった…。このあたりの作家は複数冊用意したほうがいいのかもしれない。この本、つん堂さんも必要があって再度手元に欲しかったとのことですが、開店後すぐになくなってしまいました。

■青江舜二郎『狩野亨吉の生涯』(中公文庫)

当日出した文庫本の中では最高額の1冊。「いい本出してますね」と男性に声をかけられる。単に古本好きという以上のオーラが感じられ緊張。こういう方には無駄口叩くのは控えるべきと思いながら、嬉しさからついついつまらぬことを話してしまいました(汗)
このブログを見てくださったと聞き、驚いてしまう。
今度どこかでお会いする機会があったら、もっとお話させていただきたいと思う素敵な方でした。

■庄野潤三『ガンビア滞在記』(中公文庫)

「持っていたような気がするなあ…」とおっしゃいながらも購入いただきました。いつもありがとうございます。

■荒巻義男セット『柔らかい時計』『神聖代』(徳間文庫)

例によって<とみきち屋>の強引セット。持ち帰っていただけるとは思っていませんでしたが、いつも「えっ?」と思ってしまう本を選んでいただくYさんに。
『時の葦舟』(講談社文庫)はもちろん既読とのことでした。今度はどんなサプライズがあるのかと楽しみでなりません。

■松山巌『乱歩と東京』(ちくま学芸文庫)

久しぶりにお会いできたHさん。初めてお越しいただいた際に足立巻一『虹滅記』(朝日文庫)を購入いただき、その時の印象がとても強かったので我が家では「虹滅記のHさん」と呼ばさせていただいております。

■石橋正孝『大西巨人 闘争する秘密』(左右社)■ジュジュク『ポストモダンの共産主義』(ちくま新書)ほか7冊

いつもお越しいただく常連のお客様。佐野洋子の文庫も含まれていたのがうれしい。

■室生犀星『我が愛する詩人の伝記』(中公文庫・復刻版)

きりっとした感じの60代後半かなと思われる女性が手にされる。それを見て妻のとみきちと「やったね。嬉しいね」とアイコンタクト。<とみきち屋>お勧めの本。これまで4冊旅立っています。
そして、もう1冊手に取られ「いただくわ」と。何だと思いますか?
中上健次『破壊せよ、とアイラーは言った』(集英社文庫)!!
後ろ姿が見えなくなってから妻と思わず「かっこいいねえ~!」
自分が後10年以上経って本を買う側になっていた時、あの方のように颯爽としていられるかと思うと冷や汗ものです。

■林尹夫『わが命月明に燃ゆ』(ちくま文庫)■サン=テグジュペリ『戦う操縦士』(新潮文庫)

林尹夫の本は、この日原口統三『二十歳のエチュード』とともに、どんな方の手に渡るか最も気になっていた1冊。若い男性の方に購入いただく。じっくり手にとって読まれ、考えていらっしゃる。こんな時「その本入手しにくいですよ」などと云うのは無粋の極み。後ろから黙って見守らせていただく。しばらくして、男性がお連れの女性に何やら囁かれた。すると女性が頷かれる。
お二人と言葉を交わすことはありませんでしたが、何とも心地よい時間を共有させていただきました。

そして、
■原口統三『二十歳のエチュード』(ちくま文庫)

「どんな本なのだろう?」と興味深げに手にとられたので、「自殺すると周囲に宣言してそのとおり実行した東大生の手記なんですが、強い感染力を持っているので、まともに向き合うのは注意した方がいいかもしれません」と紹介する。
「そうなんですか…」
「失礼ですが、学生さんですか?」
「ええ」
「なら読んでみてください。読む価値はあります」
お支払いいただく際、「できるなら若い方に読んでいただきたいと思っていたので、200円値引きして600円で」と申し上げたら喜んでいただけた。
自分が大きな影響を受けた本を、世代を超え、とりあえずつなぐことができてよかった。

■八木雄一『イエスと親鸞』(講談社選書)■『田中小実昌エッセイコレクション2 旅』(ちくま文庫)

赤ちゃんを連れた若いお父様。うちは子供が喜んでくれる本は一冊もないので、親子連れの方にご来店いただくとほっとします。ちょっと変わった組み合わせだなと思いましたが、出している当人が云えることではありませんね(笑)

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