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「第12回 鬼子母神通り みちくさ市」エピソード(1)

残暑というよりまるで夏のような日差し。熱中症にならぬよう首に濡れタオルを巻いて臨む。暑さと3連休の中日が影響してか、いつもに比べ道行く人の数も少なく感じられる。
それでも「みちくさ市」は「みちくさ市」、満喫させていただきました。
わめぞのスタッフの方々、店主の皆さん、足をお運びいただいたお客様には心より御礼申し上げます。

11時の開店少し前にはよくお越しいただくお客様の姿が目に入り、開店と同時に4人ほどの方が箱をご覧になり始める。この緊張感がたまらない。

まずはお馴染みの男性。「これなかなか出てこなくて」と、■片山杜秀『ゴジラと日の丸』(文藝春秋)をご購入。片山杜秀は右翼関連の著書もあり、多才。私の場合クラシック音楽メインの本を残しておけばいいので出品した。
「ずっと読みたかったので嬉しいです」という言葉をかけていただき、満足のスタート。

直後、お二人の男性が■青木正実『古本屋群雄伝』(ちくま文庫)、■四方田犬彦『回避と拘泥』(立風書房)をそれぞれ購入される。四方田犬彦はこれまで20冊くらい出品してきたが一度も残ったことがない。根強い人気があるのだろうか。

端の方にしゃがんで静かに本を手にとっている女性がいらした。本を箱に戻す時のご様子から本をとても大切にされる方と伺えた。
■吉田健一『東京の昔』(中公文庫)■吉田健一『本当のような話』(集英社文庫)■中沢新一『僕の叔父さん 網野善彦』(集英社新書)など4冊購入いただく。
詳しくお話しさせていただいたわけではないが、箱を挟んで流れるやわらかい時間がとても心地よかった。

続いて中年の男性のお客様に■伊藤計劃『伊藤計劃記録』『伊藤計劃記録 第弐位相』(早川書房)2冊セットを購入いただく。

さらに年配の女性が■佐野洋子『人生のきほん』(講談社)をご購入。加藤陽子『戦争を読む』(岩波書店)が気になるご様子でしばらく読まれていた。結局箱に戻されたので、800円はやや高いと思われたのかなと勝手に推測する。
ところが、しばらくしてから戻って来られ再び手にとられた。
「買っても今読めるかしら…」と囁かれる。どうやら加藤陽子の他の著作を先に読んだ方がいいのかもと迷われているようだった。確かに人気の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』は好著だし読みやすい。でも、この岩波の本もお勧めなので「是非読んでいただきたいので、700円でいかがですか?」と申し出たら、快く引き取っていただけた。

jindongさんがお見えになる。ややお疲れのご様子。実際休みの日を使って出かけるのがしんどくなってきたとのこと。それでもこの暑い中来ていただけるのだから嬉しいです。

<とみきち屋>のレギュラークラスは、所有されている本とかぶっているため、いつも迷われる。ほとんどお付き合いのように買っていただくのでいつも恐縮。
いったん■大西巨人『巨人の未来風考察』(朝日新聞出版社)を手に取られたが、「持っていたような気がするなあ」と■山田稔『旅のなかの旅』(新潮社)に変更。■内田百閒『随筆億劫帳』(旺文社文庫)と併せて購入いただく。
その後再度ご来店。「やっぱりないような気がする」と大西巨人お持ち帰りいただく。ありがとうございます。

この間、プレ開催から来ていただいている年配男性のお客様が■『文藝 特集山田詠美』(河出書房新社)ほか2冊ご購入。

そしてそして、ブログでも紹介した日野日出志セット■『地獄小僧』『悪魔の招待状』は当店のお得意様Sさんのもとへ。少しお迷いになられていたが、「Sさんを除いて持ち帰っていただけそうな方はいらっしゃいません」と半ば押しつけ(笑)
すると、「誰も引き取り手がなさそうなら持って帰ろうか」と力強いお言葉。
救いの神現るという感じでした。
「ブログには出品本の写真も必ず載せてね」とリクエストいただく。
秋の一箱の前にもしっかり紹介しますので是非お越しください。

お待ちしておりました。<とみきち屋>の大お得意様Hさんご来店。

■野口武彦『近代小説の言語空間』600円
■アガンペン『例外状態』(未来社)600円
■彌永信美『幻想の東洋 上・下』(ちくま学芸文庫)1800円
■ウォーカー『ルネッサンスの魔術思想』(ちくま学芸文庫)800円
■パノフスキー『ゴシック建築とスコラ学』(ちくま学芸文庫)800円
■ドゥルーズ『カントの批判哲学』(ちくま学芸文庫)500円
■樫山欽四郎『哲学の課題』(講談社学術文庫)400円
■ヘーゲル『キリスト教の精神とその運命』(平凡社ライブラリー)600円
■レニエ『水都幻談』(平凡社ライブラリー)
■日夏耿之介『風雪の中の対話』(中公文庫)
■矢沢永一『大正期の文藝評論』(中公文庫)
■臼田捷治『杉浦康平のデザイン』(平凡社新書)
ほか計20冊を5分もかけずに選ばれる。

「ど真ん中ですね」といつもの素敵な笑顔。
パノフスキーを指して「これなんか何回か見かけたけど買わないでおきましたよ。この手の本は<とみきち屋>さんで買おうと思ってね」と嬉しい殺し文句。
思わず、「惜しまずに蔵出しします」と答えてしまう。実際は段ボールまたはガラス付本棚から出しますが(笑)
秋の一箱の日程を訊かれたのでお伝えする。春はご事情があってお見えになれなかったが、秋はいらしていただけそう。う~ん、ご期待に添うのはたいへんだ(汗)
「(古書現世の)向井さんに渡しておいてください」といつもようにおっしゃって行かれました。

11時20分過ぎ。昨春の一箱の際、助っ人同士として知り合った女性Mさんご来店。
■荒川洋治『夜のある町で』(みすず書房)■林哲夫『古本スケッチ帳』(青弓社)をお買い上げいただく。
Mさん、10月中旬西池袋(立教大裏)に「古書ますく堂」を開店されるとのことです。
http://d.hatena.ne.jp/mask94421139/

ここで私は少しだけ店を離れる。その間にモノンクルさんが来られた。追いかけたものの見つけられず。何というタイミングの悪さ。久しぶりだったのでお会いしたかったな。
お連れの方に2冊購入いただいたとのこと。ありがとうございました。

11時45分。よくお越しいただく男性のお客様に、■辻まこと『虫類図譜<全>』『画文集 山の声』(ちくま文庫)セットをお買い上げいただく。
以前後藤明生の帯付文庫を当店で購入。帯付のものを探していたのだけれどなかなか見つけられなかったから、あの時は嬉しかったよとお話しいただく。

正午。まさに時の人、つん堂さん登場。私などがわざわざ紹介する必要はないでしょう。
みちくさ市に来られると聞いていたので、瀬戸内寂聴の流れで『諧調は偽りなり 上・下』(文藝春秋)。そしてこれまで3冊買っていただいている辻潤の本を箱に用意してお待ちしていた。せっかく来ていただくのに目に留まるものがゼロではさびしいかなと思って。幸い3冊とも残っていた。

つん堂さん、まず単行本『諧調は偽りなり』を手にとって、
「こういうかさばるのは嫁に怒られるんですよね~」
続いて辻潤『辻潤 孤独な旅人』(五月書房)へと手が伸び、
「風太郎さん、よく辻潤出されてますよね」と云われるので、
「ええ、今日もつん堂さん用に(笑)」
「???」
「『諧調は偽りなり』も同じく」
「なんですかそれ。つん堂専用ルアーですか。まいったな(笑)」
<とみきち屋>の押し売り商法と気付いた上で3冊まとめて買ってくださったつん堂さんはやさしいなあ。

つん堂さん、この秋は長野で開催される古本市のために全力投球です。遠くからですが応援しています。
そのうちのひとつ「長野門前古本市」のチラシを預かったので店頭に設置。
多くの方が持っていかれました。娘さんの嫁ぎ先がすぐ近くとか、よくその辺りに行くから楽しみという方もいらっしゃいました。
「長野は遠いわ。東京のはないの?」と訊かれる方には「早稲田青空古本祭」のチラシをお渡しすると喜ばれました。
本好きの方はまだまだいらっしゃるのだなと実感でき嬉しかったです。

開店後1時間で50冊強引き取っていただく。
12時半ころまでがピークはいつもとほぼ変わらず。
午後の様子は次回エピソード(2)でご紹介します。

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コメント

臨場感あふれるレポート、いつも楽しく読んでいます。
ほんと、私専用のルアーで、釣り上げられる快感ですよ。風太郎さんとの本を通した会話はいつも楽しいです。
四谷書房さんが、「どうやったらあの本を集められるんだろう?」と、しきりに不思議がっていましたよ。私も謎を解明したいです(笑)
これからもよろしくおねがいします〜

投稿: つん堂 | 2011年9月21日 (水曜日) 06:30

つん堂さん

私も本とその周辺のお話、いつも楽しくさせていただいております。よみせ通りの時は格別でした。

つん堂さんのブログを読み、購入される本などをインプットしてルアーを考えています(笑)

<とみきち屋>に、古本好きの方が驚かれるような本集めの秘訣など全くないのですよ。ご存じのように活度範囲異常に狭いですからね(笑)
地元馴染みの古書店と地元ブックオフが購入本の半分を占めています。それ以外にしても沿線のブックオフ2件、車で20分ほどのブックオフ2件に1カ月に1度。妻の実家近くの古書店2件で年2回ほど。がっかりでしょ?

仕入れるという気持ちがなく、「何か面白い本、いい本と出会えないかな」という思いが割合いい本を授けてくれるような気はします。不思議なくらいに。

投稿: 風太郎 | 2011年9月22日 (木曜日) 12:21

いやー、完全に釣られてますやん、私。実は、大西巨人の本が分散してしまって、買ったものがダブりかどうかも確認出来ないという罠に嵌っております。トロワイヤ「チェーホフ伝」も見てたら買ってたでしょう。
また古本市でお会いしましょう。

投稿: jindong | 2011年9月22日 (木曜日) 17:53

jindongさん

いつもありがとうございます。
紛らわしい選書ですみません。春の一箱でも庄野潤三の『ガンビア滞在記』(中公文庫)、ダブりかもしれないと云いながら購入いただきましたよね。

jindongさんの場合ほんと予測不能のため、意図しているわけではないのですが、なぜかこうなってしまいます。
やはりご縁でしょうか(笑)

秋の一箱でも以前から決めていた大西巨人の本を出品する予定でいます。ただ、『神聖喜劇』文庫5巻セットですから、(お持ちでないはずはないので)大丈夫ですね。

ご都合がよろしかったら秋の一箱にもお越しください。
お待ちしております。

投稿: 風太郎 | 2011年9月23日 (金曜日) 20:49

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