« 「くにたちコショコショ市」出品本の紹介 | トップページ | 「くにたちコショコショ市」エピソード(2) »

「くにたちコショコショ市」エピソード(1)

1月16日(日)、初の国立での古本市「くにたちコショコショ市」は厳寒にもかかわらず、多くの方にお越しいただき盛況のうちに終了いたしまた。
足をお運び下さった皆様ありがとうございました。
実行委員の<ゆず虎嘯>さん、<国立本店>さんお世話になりました。

不忍で生まれた「一箱古本市」がどんどん拡がり、ネットワークができ、刺激し合いながら新たな展開をみせてゆく。今後がますます楽しみだ。

関係者の方々が告知に力を注がれたことはもちろん、地元の岡崎武志さん(書評家・古本ライター)が参加したのも大きかったですね。<岡崎武志堂>は岡崎さん目当ての方で終始賑わっていた。
岡崎さん発案による、吉田拓郎の歌のライブも花を添えてくれました。
久しぶりに聴いた「落陽」、やっぱりいい。思わず口ずさんでいた。

お隣は噂には聞いていた<放浪書房>さん。熱い志を感じる素敵な店。店主のTさん、たびたび姿が見えなくなると思ったら、呼び込みに行かれていた。きっと旭通りの会場に多くのお客様を誘導してくれたのでしょう。自分のお店をそのままに、イベントを盛り上げようとされる姿勢に頭が下がります。知り合いの方が携帯で何度も「お客様がお見えです」とTさんに連絡入れていた。
翌日は湯布院の方でお店を開くと聞きました。がんばってください!

店主には「一箱古本市」「みちくさ市」で知り合った方々が多く、何の不安もなし。
身体は寒さに凍えながらも、一箇所に集まってのイベントは気持ちが和む。

いつもは150冊、多い時には170冊持ち込んでいるのに、今回はゆったりいきたいと思い、用意したのは102冊。いつもの<とみきち屋>タワーも無く、あっという間に準備が整ってしまった。
店構えを見て、寂しくなる。すかすかだ。「もう一箱持って来てなかったかな」と、わけのわからぬことを考える。あるわけない(笑)

後ろを向いて荷物の整理をしていたら、「11時、開始で~す」と<ゆず虎嘯>さんの声。
あれもうそんな時間かと振り向いたらそこにはHさん。腰が抜けそうになる。まさかいらっしゃるとは思ってもいなかった。
「すみません。ご覧の通り今日はHさん好みのもの少ないです」
さすがにHさんも、いつもと違って思案顔。
う~ん、今日はルカーチ1冊くらいかな…と冷や汗たらたら。

数分ご覧になった後20秒ほどの間(ま)。これは辛かった(笑)
と、いきなりぱっぱっと箱から本を抜いていかれる。ルカーチ『小説の理論』(ちくま学芸文庫)、フロイト『夢と夢解釈』(講談社学術文庫)、松浦寿輝『増補 折口信夫論』(ちくま学芸文庫)、佐々木中、井上章一の本など7冊購入いただく。安堵。

入れ替わりでつん堂さん。お会いするのは昨秋の一箱以来、嬉しいなあ。母のことを気遣っていただき恐縮。
つん堂さんのブログすごい勢いで更新されていますね。しかも、古本関連イベントの臨場感あふれる詳細なレポートが盛りだくさん。多くの方が楽しみにしているはず。
人見知りしてしまう一方で、書くこと、表現することは好きなのだと。
「今日はあまり買って来ないようにと嫁に言われました」と素敵な笑顔。
『辻潤著作集5 螺旋道 ぼうふら以前』(オリオン出版社)、今泉正光『「今泉棚」とリブロの時代』(論創社)ほか5冊購入いただく。
早速「くにたちコショコショ市」のレポートをつん堂さんが書いてくれています。
こちら→ http://d.hatena.ne.jp/tundow/20110117/1295223948

つん堂さんが帰られた直後にはjindongさん。jindongさんも、親の介護がもう目の前に迫っていると伺う。周囲を見渡しても、ほんとうに多い。うちだけがたいへんなわけではないし、もっと苦労されている人もいるはずだ。
平井玄『愛と憎しみの新宿』(ちくま新書)とダニエル・ゲラン『現代アナキズムの論理』(三一新書)を購入いただく。
「三一新書は他に比べ浮いてますよね(笑) この手の本を紛れ込ませておいて、どうなるかを見ているのも楽しみのひとつなんです」とお話しする。
jindongさんに持ち帰っていただくとは夢にも思いませんでした。

岡崎さんによる『夕陽の緑の光 野呂邦暢随筆選』(みすず書房)を読まれ、野呂さんの本を探していたという若い男性が『草のつるぎ』(文藝春秋)を買ってくれました。決して珍しい本ではないけれど、講談社文芸文庫『草のつるぎ 一滴の夏』が品切れなので持って行った。その甲斐があってよかった。

小さなお子さんを抱っこしながら、片手で丁寧に本を見ていらした男性に、河盛好蔵『河岸の古本屋』、小島政二郎『小説 芥川龍之介』(いずれも講談社文芸文庫)を購入いただく。
お子さんのかわいいことかわいいこと。当店の看板になっている猫(ぬいぐるみ)を見て指さしている。どうやら猫を気に入ってくれたみたいだ。
おとうさん、最後にお子さんを支えながら立たせてくれてので、バイバイのあいさつができました。
なんとも心温まるひと時でした。

若い女性のお客様が『夢野久作全集7 暗黒公使』(ちくま文庫)を差し出される。もう片方の手には『夢野久作全集2』(ちくま文庫)を裸のまま持っていらっしゃる。「他店で購入されたのですか?」と尋ねると「ええ」とおっしゃるので、「これもご縁ですから500円で」と100円割引。喜んでいただけた。7だけでなく3と6も持ってくればよかったな…。

昼過ぎ、男性の方が『神秘の詩の世界-多田不二詩文集』(講談社文芸文庫)600円をしゃがんだままずっと読んでいらっしゃる。この本過去2回出品したがほとんど興味を持たれることはなかった。それでも諦め切れず手元に残して置いた。今度ダメだったら馴染みの古書店に処分しようと思っていたので期待が膨らむ。5分いや8分近く丁寧に読まれた後、島村利正『奈良登大路町 妙高の秋』と併せて購入いただいた。
こういうのも巡り合わせなんだろうなあ。国立に来てよかったと、しみじみ思えた。

|

« 「くにたちコショコショ市」出品本の紹介 | トップページ | 「くにたちコショコショ市」エピソード(2) »

コメント

コショコショ市、寒さをがまんすれば、いい滑り出しでしたね。風太郎さんご夫婦が、ぼくの心の灯台で、いつも心丈夫に思っています。これからも、よろしくお願いします。しかし、堅い本が売れるもんですねえ。

投稿: 岡崎武志 | 2011年1月19日 (水曜日) 09:15

なるほど。タッチの差で最初においしいところを持っていかれたわけですね。もうちょっと早く来ないとダメかあ。

ちなみに、大学ではウン十年前に哲学科宗教学専攻でした。思想系もいちおうカバーしておりますが、純哲方面だとつらいかも。

投稿: jindong | 2011年1月19日 (水曜日) 12:41

岡崎武志さん

このところ岡崎さんの体調はもうひとつすぐれないように感じられましたし、身を切られる想いで蔵書を処分されたことや、心ない輩の言いがかりに悩まされていたご様子でしたので、心痛いかばかりかと、妻のとみきちと案じておりました。
それだけに、お顔を見られるだけでほっとします。

古本市に参加されるのは気分転換もあるでしょうし、読者のみならず、古本を介して人と交流されるのがお好きなのだとは思います。それでも、夏の照りつける日差しの中や、今回のように底冷えする中でも、重い本を自ら運んで来られ、じっと坐っていらっしゃる姿。或いは皆を盛り上げようとされる姿を見るたび、じ~んと来ます。

岡崎さんがそこにいらっしゃるから参加したい、客としても足を運びたいと思う方は大勢いらっしゃるはずです。
これからも岡崎さんには「我が道」を歩んでいただきたいと願っておりますし、私たちの知らない世界を見せてもらいたいと思っています。

おからだ大事になさってください。

投稿: 風太郎 | 2011年1月20日 (木曜日) 01:47

jindongさん

わざわざお越しいただきありがとうございました。
今回は出品した本が少なく、これなら何とか格好もつくだろうと用意した本は早めに消えてしまいました。すみません。

どんな方の手に渡るかな、或いは一度も触れられずに持ち帰ることになるのかなと、楽しみにしていた本をjindongさんにいきなり購入頂くなど思ってもいなかったので、驚きでもあり嬉しく思いました。

私は名ばかりの英文科だったので、哲学関連は素人の横好きに過ぎません。それにも関わらず哲学・思想の類を出していますが、jindongさんの専攻を伺い、びびりました(汗)

でも、懲りずに続けます(笑)。お眼鏡にかなう本となると全く自信はありませんが、次にお会いできた時には、宗教哲学のことお聞かせ下さい。楽しみにしております。

投稿: 風太郎 | 2011年1月20日 (木曜日) 02:17

風太郎さん

暖かいメッセージを駄ブログにいただき、そのうえ、このように私のことを言及されて、ありがたい限りです。
やはり古本市は、一番乗りでないとだめですね(jindongさんのコメントを見て実感)。危ない所でした(笑)
これからも、たどたどしい会話しかできませんが、よろしくお願いします。

投稿: tundow | 2011年1月20日 (木曜日) 16:10

tundow さん

コメントありがとうございました。

<とみきち屋>に来ていただいた時のtundow さんのブログを読み、メモなしですべての本の値段まで憶えているのには驚きました。

tundow さんがブログを始められてから、まだ4ヶ月くらいかと思いますが、あふれ出てくるものを抑え切れないといった感じで書かれていますね。
もの静かな話しぶりにの奧に、熱い思いをしまい込んでいたようで、カミングアウトとも云えるのでは(笑)

ブログを書くことには難しい面も時にはあるかと思いますが、これからもtundow さんらしい記事を楽しみにしています。

投稿: 風太郎 | 2011年2月 6日 (日曜日) 13:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1132277/38524730

この記事へのトラックバック一覧です: 「くにたちコショコショ市」エピソード(1):

« 「くにたちコショコショ市」出品本の紹介 | トップページ | 「くにたちコショコショ市」エピソード(2) »