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「くにたちコショコショ市」エピソード(2)

ナンダロウ(南陀楼綾繁)さんご来場。偵察、いや失礼しました、陣中見舞いですね。「ミスター一箱古本市」の存在感はひと味もふた味も違います。皆さん和みながらも、会場全体の雰囲気が締まったように思えました。

お会いするのは昨秋以来。
<とみきち屋>とはお決まりの会話(にもなってないか)。
「今日もナンダロウさん好みの本、お持ちでない本はありません(笑)」
「またそういう云い方する(笑) いつものあれはないの?」と訊かれたので、
出品目録をお渡しする。
初めて古本市に参加した時に押しつけてしまってから、お会いできた際にはずっとお渡ししている。何かの役に立つとは思えぬが、受け取ってもらえるだけで嬉しいものです。
同じ事は岡崎武志さんにも。畏れ知らずというのでしょうか。

ナンダロウさんと<わめぞ>の古書現世・向井さんらによる新しいイベント「あいおい古本まつり」が3月に開催されますね。今から楽しみでです。

あいおいブックラボ 公式ブログ → http://aioibooklabo.blog.shinobi.jp/

若い女性のお客様に伊達得夫『詩人たち ユリイカ抄』(日本エディタースクール)を買っていただきました。少しお話したかったなと思いながらもできず悔やんでいたところ、横の方に廻られて小さな150円均一箱の中から佐野洋子の文庫を手にされました。
「一人でも多くの方に読んでもらいたくて、毎回のように出しているんです」と思い切って声をかけてみた。すると、

「昨日友人から借りた文庫本を読み終えたらとってもよくて。癌のことに触れ、車を買ってしまう…」
「ジャガーを買って、車庫入れでボコボコにしてしまう話ですね。朝日文庫の『役に立たない日々』だと思います。佐野さんの本いいですよ。お勧めです」
佐野さんのファンや興味を持っている方に出会うと、もうダメです。嬉しくて、つい押し売りのようになってしまう(笑) 『神も仏もありませぬ』『私はそうは思わない』『覚えていない』3冊まとめて購入いただいてしまった。1冊100円にて。

で、『詩人たち ユリイカ抄』の話をさせていただくのを忘れてしまった。いかんなあ。

実はこの本、春の一箱古本市の際にも出して、古本屋ツアー・イン・ジャパンさんに購入いただいた。ブログに書かれていたのでわかったのだが、その時お客さまの応対をしていた妻のとみきちが、「もう一度会えばわかるよ」と言っていた。

その妻が、「古ツアさんが岡崎さんのところにいらしてるよ」と言うので目をやると、雰囲気からしてそうだろうと思われる方が談笑していた。漏れ聞こえてきた会話から、間違いないと確信。
一瞬目が合ってしまう。鋭い眼差しだった。メモもとらず、あの目に古書店のレイアウトから品揃えまで焼き付けているのだなと納得。

男性のお客様にまず、トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』(サンリオ文庫)を購入いただく。既に1冊お持ちだが、汚れが目立つのでもう1冊とのことでした。そういう気持ち、よくわかります。それで本がどんどん増えていってしまうのですよね。昨春ちくま文庫版が出ましたが、この方にとってはやはりサンリオ文庫が大切だったのではないかと、勝手に思ったりしています。
その後話が弾み、シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』(河出文庫)、野溝七生子『女獣心理』(講談社文芸文庫)、国枝史郎、色川武大と計5冊もお買い上げいただいてしまった。

不忍の一箱古本市にも行かれていらっしゃるし、仕事で訪れた仙台では、「Book! Book! Sendai」の一箱古本市にも足を運ばれたとのこと。<火星の庭>さんや<マゼラン>さんのこともご存知でした。
楽しいひと時をありがとうございました。

赤ちゃんを抱っこした女性のお客さまに、『神谷美恵子日記』(角川文庫)、矢田津世子『神楽坂 茶粥の記』(講談社文芸文庫)をお買い上げいただく。本好きの方なのだなあと静かに思う。赤ちゃんを連れていらっしゃるのだから地元の方に違いない。
他にもお子さん連れのお客様の姿をけっこう目にした。国立という街ならではの光景にも思える。

30代と思われる女性に、吉本隆明『夏目漱石を読む』(ちくま文庫)、三島由紀夫『源泉の感情』(河出文庫)を購入いただく。
妻のとみきちが午後2時頃会場に到着したので、その後は店をほとんど任せてしまった。そのため、お客様とは会えず。お話しさせていただきたかったなと残念でならない。吉本と三島の組合せなんて私にとってドンピシャのツボですから。

駄々猫さんとのコラボ<しま猫舎>でよく出店されている<しま猫>さんと、今回は本に関していろいろ話ができて嬉しかった。
ちょっと店を離れ戻ってくると<しま猫>さんがロラン・バルト『エクリチュールの零度』(ちくま学芸文庫)を手に持たれていたので、おや?と思う一方で俄然興味が湧いてきました。<しま猫>さんが出品されている本と傾向が違うように思えたからです。
「今日は買いたいのですが」というようなことを遠慮がちにおっしゃるので、
「もちろんです!」と私。

普段読む本と出品する本が同じとは限らないー そんなことが頭から抜け落ちていました。
バルトの次に『山之口貘詩文集』(講談社文芸文庫)、さらに青柳いづみこ『音楽と文学の対位法』(中公文庫)を。選ばれる本や会話の中から、言葉、言語というものに敏感で、特別の思いを抱かれている方に思えました。最後には高山なおみさんの本も購入いただいてしまった。
何度もお会いし、挨拶を交わすことはありましたが、こんなに本を買っていただき、話ができたのは初めてのこと。こういうのも本を通じての新しい出逢いと云えるのではないでしょうか。
<しま猫>さん、某資格合格まであと一歩ですね。がんばってください。

相棒の駄々猫さん、遅れてくるとは聞いていたが、午前中からいたことに気付かなかった。なにせ、お客様を魅了するあの明るい声が全くといっていいほど聞こえて来なかったから。
すごい格好をした女性が死にそうな感じで店番しているのを見て驚く。何と駄々猫さん…。
かなり具合が悪いのを無理して駆けつけたみたいだ。終了後しばらくダウンしてしまったとブログで知る。
新しい試み、企画など楽しみだけれど、無理はしないでほしいな。
やはり、元気な駄々ちゃんでないとつまらない。

駄々猫さんには村井弦斎『食道楽』(岩波文庫)を購入いただきました。

過日、ナンダロウさんとの初トークを終えたNEGIさんにお出でいただく。古本イベントの多くに関わられ、よく知られている方。会場でも多くの方々と楽しそうにお話されていた。
当店にとっては、大切なお客さまのお一人。これまでにたくさんの本を購入いただいています。造詣の深いNEGIさんがどんな本を手にされるか、店主という立場を離れ、いつも楽しみしにしています。

私が店を離れている際、まず徳川夢声の対談集を購入いただいたことを妻から聞く。その後、ゆっくりと会場を廻られてから再びご来店。荒川洋治『黙読の山』(みすず書房)、吉田健一『瓦礫の中』(中公文庫)を買ってくださった。荒川洋治を手にしてもらえるのは、佐野洋子、五味康祐(音楽本)などと共に<とみきち屋>お勧めなので、やはり嬉しい。『瓦礫の中』はどうなるだろうかと思っていたのですが、NEGIさんで納得。

<市川糂汰堂>さんに、五味康祐『人間の死にざま』(新潮社)をお買い上げいただく。店にいなかったのが悔やまれる。妻の話によると『西方の音』はお持ちだとのこと。
この本は4冊所有していた。小児科医の友人に、「五味康祐の本何か推薦して」と言われた時に1冊贈り、2冊は手元に残して置きたいので、残りは1冊。今回で出品するのは3回目。

五味康祐の名を知っている人が少なくなった、知ってはいても剣豪小説家のイメージが強いこともあってか、過去2回は見事に振られた。
3分の1が人の死に関わる随筆風の文。残りは五味さんの真骨頂とも云えるクラシック音楽にまつわる話という構成になっている。

檀一雄『火宅の人』への痛烈な批判は壇へのまごうことなき愛情があってのもの。交通事故で二人の命を奪ってしまった(過失致死)五味康祐だからこそ嗅ぎ分けられた、太宰治が抱える闇。いずれの文もずしりと腹にこたえる。

午後3時過ぎに、<どすこいフェスティバル>の女性お二人が来てくださいました。黒岩比佐子さんの話に夢中になってしまいTさんとばかりお話してしまい、すみません。ダメですねえ、周りが見えなくなってしまうのは…。

<どすこいフェスティバル>さんは昨年11月の「みちくさ市」に参加され、黒岩さん手書きのメッセージを飾られていました。

201011211557000

2010年の2月下旬、Tさん、今回は会えなかったKさんたちが東大生協部で黒岩さんの著書『音のない記憶』(角川ソフィア文庫)を平積みしていることを伺い、黒岩さんに伝えました。苦しい抗ガン剤治療中でしたので、励ましにもなる素敵なお知らせに思えたからです。
その後のことは黒岩さんが生前、ブログに書かれました。

〔東大生協書籍売り場でのフェアの様子〕
http://blog.livedoor.jp/hisako9618/archives/2010-03.html#20100313

Tさんは「自分が売りたい本のPOPを著者ご本人に書いていただいたのははじめてです」と話しています。
こんなこともあったので、<どすこいフェスティバル>さんとお会いすると、どうしても黒岩さんの話になってしまいます。黒岩さんのことをこれからも伝えていきたいという気持ちを共有できるのは嬉しいことです。

今回出店されていた<四谷書房>さん。本の本をずらっと並べられていて圧巻でした。
<とみきち屋>は出店のつど、例え小さなものであっても特集或いはテーマを設けて来たのに、今回控えてしまったことが棘のように突き刺さりました。
自身店構えがすかすかに見えたのは、単に持参した冊数が少なかったというより、そんなところが影響していたように思えます。

<ゆず虎嘯>さんに<とみきち屋>を紹介していただいたモンガさんから、野呂邦暢の単行本を出され、しっかり引き取られていったと伺う。最初にモンガさんの箱を見なくてよかった。欲しくなるに決まっています。それに耐えなければならないのは精神的によくない(笑)

<ドンベーブックス>さんは、国立ということあって山口瞳の本をかなり出していました。初めての試みという300円均一もよく売れていました。当然均一ではなかったけれど尾崎一雄も渋かった。

「くにたちコショコショ市」には350人以上の方にお越しいただいたようです。あの厳寒の中を思えば、すごい数字だなと思います。ほんとうにありがとうございました。

今回<とみきち屋>は102冊揃え、76冊お買い上げいただきました。
平均単価369円。複数冊お買い上げいただきサービスで100円にした本も若干ありますが、低価格の本が少な目だったので、「みちくさ市」に比べ、単価は上がりました。加えて国立という土地柄も後押ししてくれたのでしょう。

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