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雨の「秋も一箱古本市2010」 (1)

前夜あまり眠れずに朝7時過ぎ目覚めると、雨がしとしと降っていた。思いなしか肌寒い。HPで確認したところ「秋も一箱古本市2010」は雨天ながら開催となっている。翌日はさらに強く降る可能性もあったので苦渋の判断に思えた。
屋外の古本市に雨は大敵である。濡れたら傷む。客も傘を差しての買い物を躊躇する。
皆さん今日一日たいへんだろうなと思え、こちらまで鬱々とした気分に囚われてしまった。

入院中の母も退院の目処は立たないが、足の腫れを除き少しずつ快復へ向かっているように感じられる。母に続き、腸閉塞で同じ病院の同室に入院した義母も、19日予定の手術まで飲食は一切できないものの、容態が急変する怖れは無さそうだ。
朝から仕事の妻を駅まで送り、帰宅後所用をすませてから会場に向かう。

午後1時頃根津駅到着。雨は小降りになっていたので少しほっとする。
しかし、いつもと様子は全く違う。町歩きを楽しむ人々の姿がほとんど見られず不安が過ぎる。

まずは宗善寺へ。一昨年<とみきち屋>として初めて参加し、ナンダロウさんに賞をもらった思い出の場所だ。境内に足を踏み入れた途端懐かしさがこみ上げてくる。

正面の本堂(?)の軒先に箱が並んでいる。近づいていくと右端に<つん堂>さんが箱を出していた。「人も来ないし、寒いし。これまでで一番厳しいかも…」とつん堂さん。
野呂邦蜴の書簡集、田中小実昌、竹中労ほか好みのいい本が箱に残っているのは寂しい。

古本の価格が全般的に安くなってきている。その中で高くはないにしても、そこそこの値段をつけていると売れにくい。(客側からすれば)自分の嗜好と合っている箱の本は、所有本と重なってしまう。同じ系統、全く同じ本が他店でも出品されている。
こんなことをつん堂さんと話し始めたが、やはりこの雨ではどうしようもないというところに落ち着く。
何やら只ならぬ空気を感じ隣を見ると、ナンダロウ(南陀楼綾繁)さんがいらっしゃる。

妻・とみきちが構成を担当し、先般刊行された淵邊善彦『企業買収の裏側 M&A入門』(新潮新書)について尋ねられた。どうしてご存知なのかと一瞬思ったが、広くアンテナを張っているのだから不思議ではないか。
本の最後にあまり見ぬ「構成」とクレジットが入っていたのに興味を持たれたよう。どんな作業をしたのか、編集者が内田樹の担当でもあること、新書が出来上がるまでを経験でき、いろいろ勉強になったことなどお話しする。

お隣は春の一箱で、その見事な手作りの箱と品揃え、さらにチラリズムバッグで「岡崎武志賞」を受賞された<とり、本屋さんををする>が出店されていたので、つん堂さんも交えてお話。とりさん(ご主人)は私が親しくしている<もす文庫>のmasubonさんと大学の同期。世間は意外と狭いと云われるが古本界はそれ以上だ。
とりさんの箱にあった『Santa Fe 宮沢りえ』は目立ってましたねえ。
<つん堂>さんから、竹中労『エライ人を斬る』(三一書房)を購入。
私が好んで読む今東光をぶった斬っているのだが、妙に説得力があって面白い。

<どすこいフェスティバル>さんは、雨の中だというのにシンボルマークの着物姿。たいへんだったと思います。東大クイズに挑戦したが2問とも不正解。50円引きを逃し残念。
<北方人>さん、雨を考慮して本の数を控えたとのこと。「今日はあんまりないよ~」「ほんと人が来ないよ」と云いながら、変わらぬ笑顔。体調も一時期より良くなられたと聞けてよかった。
市倉宏祐『ハイデガーとサルトルと詩人たち』(NHKブックス)を購入。

<たけうま書房>さんに伺うも、ご主人はお出かけ中。奥様にご挨拶。男性、女性用に分けた温泉特集が面白い。たけうまさんが出品されるCDの素晴らしさはつとに有名。

宗善寺ではdozoさんに遭遇。みちくさではお会いできなかったので嬉しかったなぁ。立原道造の話をしばしさせていただく。今まで思いも寄らなかった詩人の捉え方をdozoさんに教わった。
<とみきち屋>によく来て頂くYさんともばったり。「今日はどうですか?」と尋ねると「今ひとつですね」と返ってきたが、やはり古本めぐりは楽しそう。
古本イベントの多くが、こういう本好きの方々に支えられていることを実感する。

続いてライオンズガーデン谷中三崎坂へ。ここはもともと屋根の下なので宗善寺に比べればやや条件はいいが、雨足が強くなれば吹き込んでくる。この雨では、恵まれているとは云えないだろう。

まずは<四谷書房>さんご夫妻にご挨拶。すぐ近くから谷中まつりの賑やかな声が聞こえてくるものの、本目当ての方は他と同様少なく、厳しいご様子。
ぱっと見、人が多くいるように感じるが、15箱出ているので関係者を除けばお客さんが多いとは云えない。
お隣<駄々猫舎>さんの「ヨウコ」本100冊特集は圧巻。蔵書の中からとはいえ、その発想が素晴らしいし、すべて読んだ本というのがすごい!
多和田葉子完売したらしい。根強いファンがいるのだな。文庫も少なく、品切れ本も多いようだから、探している方はさぞや嬉しかったことだろう。
私は佐野洋子で大満足。『おじさんのかさ』『天使のとき』『ほんの豚ですが』を購入。3時間経過していなければ、3冊購入は躊躇ったと思う。「何冊でも持っていたい」と同時に、「多くの人に読んでもらいたい」という気持ちがあるから。
<モンガ堂>さんの計画が実現したら、いずれ佐野洋子のコラボやりたいねえと駄々猫さんと二人で勝手に盛り上がってしまった。
ご主人・ちゅうたさんが本格的に出品されるのを心待ちしているのだけれど、いつになるのかしら。

モンガさんは今回<やっぱり本を読む人々>のお一人として参加されていた。けっこう寒かったので、膝には応えたのではないだろうか。古本関連のイベントにモンガさんがいない方が珍しいと思われるほどの方。しかも毎日のようにすごい本を購入されている。そのモンガさんが本格始動されたらすごいだろうなと楽しみでならない。

モンガさんが早速「秋も一箱古本市」のリンク集をつくってくれました。
こちら→ http://d.hatena.ne.jp/mongabook/20101010/p1    

<古書わらし>はPippoさんの双子の姉妹の妹・わらしちゃんのお店と聞いていたが、どう見てもPippoさんとしか思えない(笑)
P-waveの「古本ざしきわらしが行く」( http://pippo-t.jp/newpage26.html )に出てくるわらしちゃんほどぶっ飛んでいなかったし。
荒地ほか詩に関する本格本が出品されていた。詩に関して初心者の域を出ない私にはちょっと手が出にくい。それで、サルトル/メルロ=ポンティ『往復書簡 決裂の証言』(みすず書房)を購入。こういう本も読まれているところが不思議な魅力。

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コメント

雨の中のご来店&ご購入、ありがとうございました!
過分なお褒めの言葉まで・・・すごくすごく嬉しいのですけど、なんだか照れます。
ちゅうたには、今3回読み上げて伝えました(笑)

モンガさんの本格始動はほんと、待ち遠しいです。16日に黒岩さんの講演会に行くついでに「のほほんフェア」を覗くつもりでいます。

東大クイズ・・・妙に気になる。


投稿: 駄々猫 | 2010年10月14日 (木曜日) 22:34

楽しみにブログアップをお待ちしておりました。お忙しいのに、無理やり書かせてしまったかもしれませんが、大勢のファンが待っているのであきらめて今後も続けてくださいませ。あいにくの雨でしたが、風太郎さんの笑顔が見れただけですっかり元気になりました。
南陀楼綾繁さんとM&Aの話をなぜしているのか、その時はわかりませんでした。なるほど~!興味ある分野なので、書店で探してみますね。
どすこいさんの東大クイズは爆笑でしたね。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: つん | 2010年10月15日 (金曜日) 13:32

駄々猫さん

知り合いだから、身びいきで「素晴らしい」と云った訳でなく、ほんとうに凄いなと思いましたよ。
発想、工夫、情熱…箱の中に思いがいっぱい詰まっていた。
駄々猫さんだからできた、駄々猫さんしかできない店作り。
お客さんの反応も、傍らで見ていて違いましたよ。

何をやりたいのか、何を伝えたいのかが伝わってきたし、何より駄々猫さん自身が楽しんでいるのがいいなと、あの雨の中、心が温まりました。

これからも頑固に(笑)他では見られない箱をつくってほしいなと思います。

モンガさんが、そのベールを剥がすときが楽しみですね。

黒岩さんの講演私も申し込みました。
お会いできたら嬉しいです。

投稿: 風太郎 | 2010年10月16日 (土曜日) 01:32

つん堂さん

雨の中おつかれさまでした。

>お忙しいのに、無理やり書かせてしまったかもしれませんが、大勢のファンが待っているのであきらめて今後も続けてくださいませ。

そんなに忙しいわけではないのです(汗)
無理矢理などとんでもない。
「大勢」は買いかぶりです(笑)
でも、マイペース、超スローペースながら書きたいことは書いていこうと思っています。

新書手にとっていただけたら妻・とみきちも喜ぶと思います。

私自身、笑顔のことを云われるなどほとんどないに等しいので、戸惑いつつも嬉しく思います。
何考えてるかわからない。暗いとはよく云われて来ましたので(笑)

突然始められたつん堂さんのブログ、楽しく読ませていただいています。それにしてもすごいペースで書かれていますね。話題も豊富だし。

こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

投稿: 風太郎 | 2010年10月16日 (土曜日) 01:48

風太郎様
お会いできて本当に嬉しかったです。
雨が降り、人通りも少ない「一箱」店主の皆様のすぐれない表情の中で、風太郎さんの笑顔がぴか一でした。「風信子賞」を差し上げます。やはり、風太郎さん。とみ吉さん、お二人の笑顔は「一箱」にはなくてはならないものです。いろいろ本当に大変だと思いますが、次はどこでお会いできるか楽しみにしております。

投稿: dozo | 2010年10月18日 (月曜日) 12:37

dozoさま

私もお会いできたばかりか、dozoさんの詩への深い想いに触れることができ、嬉しく思いました。

風信子(ヒヤシンス)賞、私に相応しいものかどうか自分では判断尽きかねますが、お気持ちと共にありがたく頂戴します。

古本市に参加すれば、或いは足を運べば会えるかも知れないと、楽しみに思える方がいるーそれが嬉しくてなりません。
コメントありがとうございました。

投稿: 風太郎 | 2010年10月19日 (火曜日) 01:16

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