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今、できること

冬眠を終え、ブログを再開するつもりでいたら、夏は忙しさで余裕が無くほとんど更新できず。
そして8月の終わりには大量の下血で母が入院。血も止まり、精密検査の結果では1週間もすれば退院できるだろうと皆が思っていたのに、思わぬ大きな落とし穴が…。感染症、しかも重度だという。
火曜、医者に呼ばれ「強くした抗生剤が効かないようなら、一両日以内に死亡もあり得えます」と言い渡される。
その数日前から突然右足付け根の痛みを訴え、腫れ上がり、歩けなくなり、高熱。食事もとれなくなり、一気に弱ってしまった様子を見ていたので、もうダメなのだろうかという思いが僅かに過ぎっていた。
実際に異常なデータを見せられ、症状を詳しく説明され、言葉を失った。

同日夜、弟家族がこどもたちを連れて行くと、意識レベルの低かった母は目を覚まし、孫たちを慈しむように「がんばってね」と声を絞り出していた。
長女はショックを隠しきれず、長男は神妙な面もち。次男はずっと手を握ったまま離さない。
無理もない。姪っ子、甥っ子たちはこんなに衰弱し切ったおばあちゃんの姿を初めて目にするのだから。

しかし人間というのは不思議なものだ。孫たちとの束の間の時間を持ってから、意識レベルは回復しているように感じられる。強い抗生剤が効き始めているのかもしれぬが、それだけとは思えない。計り知れぬ力を、一時的にせよ、授けてくれたに違いない。
水曜、叔母と(その娘の)従姉が見舞いに駆けつけてきた時も、誰であるかはっきり分かり、笑顔を見せていた。
木曜は妻が孫たちのこと、昔飼っていた犬や猫の話をすると、うなずき、言葉を返していたという。弟にはぬか漬けの釘や塩のことを問いかけ、冗談まじりに弟が答えると、しょうもない子だというような反応をしたらしい。
私が傍にいた時には、お金のこと、保険のこと、(無料でバスに乗れる)高齢者定期券の更新などのことが気になるようで、うまく喋れないながら訴えかけてきた。
何ひとつ心配要らないと言い聞かせると、ほっとしたように目を閉じる。
腫れ上がった足が痛み出した時には、そっと撫でさすってやると、落ち着きを取り戻す。

ここ数年、からだのあちこちが悲鳴をあげ、限界を超えていたことは否めない。父を残しては死ねないという気力で生きていたところもある。
何度も小さな声で「おとうさんは?」と問うてくるし、「どうして動けなくなったんだろう」「迷惑かけるね」と口にする。
ショック状態に陥っていた父も今日は面会時間ギリギリに花を持って行ったようだが、詳しいことはわからない。

突き刺さったのは、「明日は楽になるから」という言葉。
辛く、苦しいのだろう。本当は楽になりたいのだろうなと思うと何も云えなくなる。
こちらの思いを察したのか、しばらくしてから、「でもお父さんが心配…」。

わが母ながら、ものすごい生命力だ。
こんなふうに気持ちを交わすことができるなどとは思ってもいなかった。

しかし、自分の意志では全く動けず、鼻から酸素吸入し、抗生剤投与、点滴を続けなければならない状態が改善されたわけではない。
「その時」がいつ訪れるのか、誰にも分からない。
先の見えない状況が変わったわけでもない。
今できるのは、なるべく足を運び、傍にいて、意識が遠のかないように話しかけることくらいだ。
親を看取り、送るのは子の務め。避けられぬ道と思う一方で、
0. 1%以下の可能性しかないのかもしれないが、一度だけでいいから家に連れ帰ってやりたい……。
そう思う自分がいる。

このような状況のため、参加が決まっていた「みちくさ市」は辞退させていただきました。
4回連続で参加して来た「一箱古本市」も、この秋は断念。
既にそれぞれの古本市のために用意していた本は、当分眠らせて置きます。

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コメント

特別な時間を過ごされているのだと、私でも拝察できます。
何も触れることができませんが、ご夫婦でお体を大事になさっていただきたいとだけ、お願いしたい気持ちです。

投稿: yujin | 2010年9月11日 (土曜日) 23:56

yujinさま

お気遣いいただき、ありがとうございます。
私どもを見守ってくださるお気持ちに温もりを感じ嬉しく思っております。

できるだけ悔いの残らぬよう母に寄り添っていくつもりでいますが、私たちのどちらか一方が病に伏せるようなことがあったら、それも叶いませんので、気をつけていきたいと思っております。

投稿: 風太郎&とみきち | 2010年9月13日 (月曜日) 03:58

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