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「第8回 鬼子母神通り みちくさ市」へ

母が快復の兆しを見せ始め、容体が急変する可能性はなくなったので、19日昼頃「第8回 鬼子母神通り みちくさ市」へ足を運んでみた。

今回は第2会場である旧・高田小学校から回り始める。木々に囲まれ木陰もあってなかなかいい雰囲気。
まずは古本市で知り合った<つん堂>さんのところへ。一箱古本市へはここのところ参加されていなかったので寂しかったが、初めての「みちくさ市」参加とあって楽しみにしていた。開口一番、最近のこちらの事情を気遣っていただき恐縮してしまう。
渋い本をたくさん出されていた。つん堂さんとのゆったりとした語らいはいつも心和む。
日影丈吉の絶版文庫を2冊購入。

お隣には「一箱古本市」を通じて親しくさせていただいているカリプソ文庫さんが出店。カリプソさんも「みちくさ市」は初参加。春の一箱では実行委員として多忙を極め、ご自身は出店できなかったので、虫が騒いだのかな?などと勝手に想像。今度お会いした時には「みちくさ市」の感想を是非聞きたいものだ。

続いて<朝霞書林>さんへ。ブログにコメントいただきながら、調子を崩し、返事もできなかったお詫びを直接できてほっとする。みちくさ市の前、午前9時に始まったK高校・文化祭の古本市で買ってきた本が2袋びっしり詰まって、横に置いてあった。何という情熱、行動力。私にはとても無理だ。
別の高校の文化祭で見つけたという、小林信彦『虚栄の市』(角川文庫)を見せてもらう。<とみきち屋>によく来て頂くお客様で、小林信彦の絶版稀少文庫を探していらっしゃる方のことが思い浮かんだ。

メインストリート(商店街通り)には顔なじみのお店がずらり並んでいる。
<四谷書房>さん、<どすこいフェスティバル>のKさん、Tさんからは温かい言葉をかけていただいた。四谷さんの箱はちくま文庫がずらっと並べられていて目を引いた。どすこいさんは、出品本もそうだが、手作りサイコロを振って景品がもらえるという楽しい店づくり。女性陣の和服姿はいつ見ても風情があっていいものです。
コメントいただいた駄々猫さんにも会えてよかった。ご主人のちゅうたさんも交え、福田和也に関してひとしきり。ちゅうたさんも私と同様、心の病に関する本を多く読まれていると知って、フィクションだが、パトリック・マグラア『閉鎖病棟』(河出書房新社)が結構面白かったとお薦めする。(恋愛小説とも云えるが)
<駄々猫舎>さん、秋の一箱古本市では佐野洋子、多和田葉子ほか「ようこ」特集をするらしい。どんな本を出品されるのか興味深い。

<モンガ堂>のモンガさんとは、いろいろお話しさせていただく。モンガさんの思い描いていることが実現したらさぞ賑やかで楽しいだろうな。聞いているだけでわくわくする。
出されている絵本は家族連れの方などが喜んで買って行かれていた。
膝を悪くされているため、かなり辛そうでした。お大事になさってください。

<北方人>さんには、あの素敵な笑顔で迎えてもらった。いつものごとく朝一番でまとめ買いされる方がいらしたとのこと。品揃えと価格を考えれば何ら不思議ではない。
「これ安すぎません?」と云いながら、竹中労『断影 大杉栄』(ちくま文庫)、森山大道『遠野物語』(光文社文庫)などをいただく。「いいんだよ、持ち帰るの重いから」と北方人さん。

<ちんちろりん商店>のPippoさんとは久しぶりにお会いする。ポエトリーカフェはますます人気を博し、どんどん深化していますね。開催後のレポートをHPで読むのを毎回楽しみにしている。
『てふてふ三匹目 近代詩朗読集/中原中也篇』を購入。Pippoさん自身の作、「灯 中也に」は中也の本質を捉えていて、やわらかく響いてくる。

Pippoさんによる「古書ほうろう」宮地さんへのインタビュー記事がとてもいい。まだご覧になっていない方は是非。
こちら→  http://pippo-t.jp/newpage26.html

賑わいを見せていたのが、<黒岩比佐子堂><岡崎武志堂><古書、雰囲気。>の集まったブース。

<黒岩比佐子堂>は黒岩比佐子さんをサポートする方たちが本を持ち寄っていた(黒岩さん自身も出品)。本好きの方々が集まっているのだなあと一目でわかる品々。見ているだけで楽しい。
黒岩さんの『古書の森逍遥』を手がけられた工作舎のIさんにご挨拶。2時半過ぎに黒岩さんが戻って来られると聞き、再訪することにした。
闘病中の黒岩さん、かなりお疲れのご様子。それでも黒岩さんに会えるかもしれないと訪れた人たちに、にこやかに応対されていた。
少しだけお話させていただく。入院している私の母のことを気遣っていただき恐縮してしまう。黒岩さんは9年にわたってお父様の介護をされたとのことで、かけてもらった言葉のひとつひとつに重みを感じる。

間もなく刊行される『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)の話になり、「早く手にとってみたい…」と黒岩さんが云われた時にはじ~んと来てしまった。苦しみの中で産み出した我が子同然の著書なのだと思える。
(※10月7日に刊行され、既に多くの方が読み始めていらっしゃいます)

思えば、黒岩さんと初めてお話させていただいたのも堺利彦がきっかけだった。
昨春、<とみきち屋>の屋号で「一箱古本市」に出店した際、『堺利彦伝』(中公文庫)と『文章速達法』(講談社学術文庫)を出していたのだが、『堺利彦伝』を購入いただいた。堺利彦の本が2冊あったことが黒岩さんの目に止まったご様子で、堺利彦の本を執筆中であることを伺った。
その時のことを覚えてくださっていたことに加え、こうして刊行されることになったのが嬉しくてならない。
実際には何もできず、祈るしかできないが、10月16日の東京堂書店本店における刊行記念講演(http://www.tokyodoshoten.co.jp/)を無事終えられ、次回作への力を蓄えられることを願ってやまない。

岡崎武志さんからは、野原一夫『太宰治 結婚と恋愛』(新潮社)を購入。太宰関連の本にはつい手が伸びてしまう。恒例のおみくじ、またも○○成が出てきて「うっ…」と反応してしまう(笑)
「奥様によろしく」と声をかけていただく。落ち着いたら妻のとみきちと二人で伺おう。

<古書、雰囲気。>さんからは、川本三郎『いまも、君を思う』(新潮社)。買いそびれていたので即購入。さらに川本三郎『マイ・バック・ページ』(河出文庫)を。このあいだ鈴木邦男との対談『本と映画と「70年」を語ろう』(朝日新書)を読み終え、久しぶりに『マイ・バック・ページ』を読み返してみようと単行本を探したもののどこへしまったのか、或いは何かと一緒に処分してしまったのか見当たらない。これ幸いと頂いた。200円のところを100円におまけしてもらう。

荻原魚雷さんとのトークを終えた書肆紅屋さんともお話できた。紅屋さんも黒岩さんのサポーターのお一人。トーク前に会場を廻った際の感想を聞く。短い時間の中でよく見ているなあと感心してしまう。どんな本が出され、売れているか、或いは手にとってもらえないかー 本の動きを紅屋さんと話せるのは刺激となり、楽しい。またいずれ出店者としてご一緒したいものだ。

不忍ブックストリートの実行委員でもある<やまがら文庫>さん、Yさんご夫妻ほか顔見知りの方とも会えた。秋も一箱は参加もお手伝いもできないことを伝える。

最後に古書現世・向井さんに、出店キャンセルのお詫びに伺う。「気にしないでください。また参加してくださいね」と母のことも含め温かい言葉をかけてもらった。

Hさんが<とみきち屋>さんはもう出ないの?というようなことを向井さんに尋ねられたらしい。
Hさんは<とみきち屋>の大のお得意さま。実は、昼過ぎ<つん堂>さんのところでばったりお会いした。草森紳一の本を購入され、こんな本をという感じで見せていただく。笑顔が眩しい。
「諸事情で秋は参加できませんが、またいつか出店しますのでよろしくお願いします」とご挨拶すると、「カムバック楽しみにしていますよ!」と云っていただく。ありがたいことだなあとしみじみ思う。

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コメント

風太郎さん、久々のアップ、楽しく読ませていただきました。トップバッターが私だったので、驚くとともに恐縮しました。いつもありがとうございます。ところで、福田和也氏のことが言及されてましたが、ファンなのでしょうか?(私は良く読みますが)実は私の古い友人がen-taxi編集人をやっており、福田氏とはしょっちゅう仕事している関係もあり、何かお役に立てることがあればと思いました。(私自身は会ったことはないんですが、友人からはなにかの打ち上げでも参加すれば?なんて言われたりしてます)また一箱などでお会いできることを楽しみにしています!お体をご自愛ください。

投稿: つん堂 | 2010年9月28日 (火曜日) 13:42

つん堂さん

みちくさ市では楽しいひと時をありがとうございました。
私は基本、twitterは読まないのですが、ブログを書いていらっしゃらないということもあって、つん堂さんのtwitterは例外的に読ませてもらっています。もっとも、ルールを知らず、誰が誰に対して何を云っているのか分からないことばかりなので、つん堂さんの発言しかほとんど読んでいないのですが(笑)

>何かお役に立てることがあればと思いました

お心遣いありがとうございます。
福田氏の著書はけっこう読んできましたが、実際のところまだ自分の中では評価が定まらないと云うのが正直なところです。

坪内祐三との対談の類は好みに合わず苦手ですし、『作家の値打ち』における作家及び作品への評価が所々「うん?」と思えたり。
もっとも後者に関しては、生前中上健次が、雑誌ダ・カーポに連載した「文芸時評」において、文芸雑誌に発表された作品を採点していたのですが、その内容が恐ろしいまでに強烈で、それと比べ「ちょっと緩いなあ」と思えてしまうのかもしれません。

一方、最近読んだ『人間の器量』の中で今村均、小林秀雄に言及しているところはとても納得できる。でも、石原慎太郎に関しては(個人的な付き合いがあるのでしょうが)「どうもなあ」という具合で。

広範な知識と筆力はかなりのもので、やはり気に掛かる書き手であります。
読者層を想定し書き分けているのでしょうかね。

すみません、つん堂さんの好きな書き手のお一人であると知りながら、勝手なことばかり申し上げてしまいました。

ちなみに西村賢太の作品は好みで、すべて読んでいます。
関係なかったかな(笑)

今の自分をとりまく状況が一変しない限り、一箱古本市にも足を運びたいと思っています。
またお目にかかれるのを楽しみにしています。

投稿: 風太郎 | 2010年9月29日 (水曜日) 02:42

ご返事ありがとうございます。差し出がましいことを言いまして、申し訳ありませんでした。福田氏は好き嫌いがはっきりしていますよね。私も、石原都知事や角川春樹氏への偏愛はちょっとね、と思います(笑)西村賢太がお好きとのこと、嬉しいですね。毎回書いてあることは同じ?なんですが、ついつい読み切ってしまうのは筆力でしょうか。
また古本イベントでお会いできるのを楽しみにしております。

投稿: つん堂 | 2010年9月30日 (木曜日) 11:29

みちくさ市、ご来店&お買い上げ&楽しいおしゃべり、ありがとうございました。夏樹LOVEぶりが露見したのがちょい照れくさい。
ヨウコ本は~風太郎さんの知らないヨウコもたくさんいる・・・はずです(笑)平松洋子さんや有元葉子さんの料理エッセイなんて読まないでしょ?
現在、リスト作りに苦しんでおります。レア本には手を出さないので面白味に欠けるかと思いますが、覗いていただければ嬉しいです。

投稿: 駄々猫 | 2010年9月30日 (木曜日) 21:47

つん堂さん

>差し出がましいことを言いまして、申し訳ありませんでした。

そんなことありません。私の書き方が中途半端だったため、却って余計なお気遣いさせてしまい、すみません。

>私も、石原都知事や角川春樹氏への偏愛はちょっとね、と思います(笑)

偏愛は、人にどう思われようと構わないというところがありまからね(笑)

>毎回書いてあることは同じ?なんですが、ついつい読み切ってしまうのは筆力でしょうか。

西村賢太は、これからどうなっていくか楽しみですね。同工異曲と思われない作品を生みだしていけるか。
しかし、著者本人は、そんなこと関係ねえ。云わせたい奴には云わせておけというような感じですかね(笑)

一箱古本市、行きたいと思っています。
つん堂さんは崇善寺に出店ですね。楽しみにしています。

投稿: 風太郎 | 2010年10月 3日 (日曜日) 16:23

駄々猫さん

>夏樹LOVEぶりが露見したのがちょい照れくさい。

いえいえ。少しずつ駄々猫さんの豊富な引き出しの中を見せてもらえるのは嬉しいですよ。

>ヨウコ本は~風太郎さんの知らないヨウコもたくさんいる・・・はずです(笑)

知っているのは佐野洋子、多和田葉子、森瑶子、久坂葉子くらですかねえ。

>平松洋子さんや有元葉子さんの料理エッセイなんて読まないでしょ?

読まないどころか、知りませんでした(笑)

>レア本には手を出さないので面白味に欠けるかと思いますが、覗いていただければ嬉しいです。

レア本に拘ったら、やりたいテーマに彩られた箱をつくるのは難しくなると思います。無理をすれば「らしさ」が薄れてしまいかねないし。

佐野洋子は先を越されてしまったなあ(笑)

一箱当日、ライオンズガーデンに行きますね。楽しみにしています。

投稿: 風太郎 | 2010年10月 3日 (日曜日) 16:41

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