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「第10回 不忍ブックストリート 一箱古本市」 エピソード〔3〕

■ジャン・グルニエ『孤島』(竹内書店・AL選書)を購入いただいたお客様の声。「ネットでは本が買いにくい。こうして実際に手にとって買えるのがいいんだ」。
物書きを生業としているわけではないので、私もネットでの購入は、どうしてもその時欲しい、必要だという時のみで、年3冊あるかないか。やはり手にとり、興味のあるところを読み、共感できるか、文体が自分に合っているかなどを確かめてから買いたいと思ってしまう。

■大森荘蔵・坂本龍一『音を視る、時を聴く 〔哲学講義〕』(ちくま学芸文庫)
若い男性二人が、箱の前で松岡正剛のことなど、ほんとうに楽しそうに話をしている。
その若さがまぶしい。尋ねてみると思った通り大学生だったので、「学生割引です(笑)」と、50円値引きし300円に。とても喜んでいただき、かえって恐縮。

■マルケス『百年の孤独』(1999年改訂版・新潮社)
マルケス集の一環として出ている最新版をお求めだったようですが、同じ訳者(鼓 直)ならこれでいいわと、若い女性の方に購入いただく。他のお客様の応対をしていたため、お話しできず残念。
時既に15:30(閉店30分前)。今回特集のひとつとして「海外文学 絶版・品切れ本」を組み、24冊出品しましたが、これですべて引き取っていただけました。
特集以外にも海外文学は9冊出品し、それもすべてお買い上げいただいたので計33冊。思っていた以上に海外文学好きの方がいらっしゃることを実感でき、嬉しい。

15:20頃。
高校友人、小児科医・Eと建築家Aが連れだって来てくれる。Aは前述した多田洋一さんの友人でもある。
Aが他店で買った本を見せてくれた。『植草甚一ジャズエッセイ1・2』(河出文庫)。こういうジャンルにまで興味を持っていることを知り、驚く。さらに、「読んでいるかもしれないけれど」と言ってバッグから取り出したのが、新刊で買ったという文芸誌『新潮5月号』。「いやあ、全く読んでない」と私。若い頃は読んだが、その後は文芸誌には縁がない。
「これがとてもいいんだよ」と、掲載されている記事<ラプンツェルの塔 間宮緑>を紹介してくれた。後日入手して読み、繊細な感覚から紡ぎ出される文章に酔う。<どんな文章も、人に読まれるときまでは冬越しの眠りに就いている>という、最後の一行の余韻が消えない。

古本市の感想を聞かせて貰う。「売る人が見えると本が違って見えるね」
4回も一箱に出ながら、私には見つけられなかった言葉。そうだ、そこがいいんだよなと思うことしきり。
吉本隆明『語りの海1~3』(中公文庫)を購入してもらった。

Eには読書関連本を、それこそ押し売り(笑)。彼なら許されるだろうと思って。
売れ残っていた、梅津時比古『耳の中の地図 音楽を聴くこころ』(音楽之友社)1200円を手にとり、「これ、俺に読めるか?」と私に訊く。売上げに協力しようとしてくれたに違いない。気持ちは嬉しくてならなかったが、「いや、ある程度クラシック音楽聴いていないと無理」と答える。
同じ著者の『フェルメールの音』も持ってくればよかった。それなら、推薦できたのに…。

閉店直後、高校同期・吉岡靖高(プロのギタリスト)とサッカー部Mが現れびっくり。Eが声をかけ、<とみきち屋>前で待ち合わせ、飲みに行くことにしたらしい。皆が集まるきっかけにしてもらえ、嬉しい。
18時からの打ち上げイベントまで時間があったので、妻も伴い、6人でプチ同窓会。妻のみ2学年下の後輩だ。小一時間ほどわいわい語り合い、私たちは失礼する。
Mとはほんとうに久しぶりだった。前夜一箱関連のブログを熱心に読んで研究したらしく、すごく詳しい(笑)。でも当日出遅れ、一箱開催時間中には来れず。サッカー本も用意するから、今度は、買いに来てくれ~(笑)。

楽しく過ごしてから十日も経たないうちに、Eのお父上の訃報が届く。入退院を繰り返されていたことは聞いていたが、急に容態が悪くなられたようだ。5月9日(日)お通夜に参列する。Aともまた、会うことになった。
Eは小児科のクリニックを開業して12年になるが、診療日に休んだことは一度も無かった。
「休まなかったのも、初めて休んだのも親孝行だと思いたい」
彼の言葉、想いが心にいたく響いた。

話を一箱に戻します。

打ち上げイベントでのナンダロウさんオヨヨ書林さんによる進行は、大受けで会場中が盛り上がる。ナンダロウさん曰く「高田純次を上回るオヨちゃんの適当っぷり」。ほんとうに不思議な方だ。

金沢に移られる直前、ナンダロウさんのトークを聞いたその足で、オヨヨ書林さんのお店に伺った。閉店を少し過ぎていたのでご迷惑かなと思ったけれど、一言ご挨拶したくて。お一人で作業されていたオヨヨ書林さんからは、声をかけづらい、凄味のようなものさえ感じられました。それもまた、オヨヨ書林さんに違いないのですよね。

古本屋ツアー・イン・ジャパン賞は<北方人>さん!との発表があり、会場の後ろの方を振り向くと、くつろいでいらしたようで、慌てて靴を履いている。(後でうかがったのだが)イベント前、既にお一人で祝杯をあげていたらしい。壇上で終始にこやかにお話されている様子を拝見し、嬉しくなってしまう。まだまだ引退はできませんね。いや、誰も<北方人>さんの引退など望んでいないと思うのです。どうかこれからもお元気で、いい本を多くの方に届けてください。私も、いい本ほしいです(笑)。

同日出店だったのに、一歩も動けず、<あいうの本棚>の皆さんにお会いできなかったのが残念でなりません。
また駄々猫さんと、ご主人のちゅうたさんにもお会いできなかった…。
ファミリー本をテーマに設け、ほかにもいろんな試みをされると聞いていたので、是非箱を見たかったのだけれど。
(5月2日、駄々猫さんには会え、出品リストを頂戴する)

一箱古本市がどのようなものかを知りたい方は、以下の記事が参考になると思います。

●ナンダロウさんが書かれた4月29日の様子 http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20100429

●ナンダロウさんが書かれた5月2日の様子 http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20100502 

●古本屋ツアー・イン・ジャパンさんによる4月29日のレポートhttp://blogs.dion.ne.jp/tokusan/archives/9381886.html

●古本屋ツアー・イン・ジャパンさんによる5月2日のレポートhttp://blogs.dion.ne.jp/tokusan/archives/2010-05-1.html#9389616

★モンガ堂さん作成 一箱古本市リンク集
http://d.hatena.ne.jp/mongabook/20100430 

多くの方々にお越しいただき、お買い上げいただき、今回もこの上なく楽しい一日を過ごさせていただきました。
心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

〔 とみきち屋の結果 〕 下線付きが今回の結果です。

第10回 一箱古本市(春)  冊数141冊 平均単価413円

第9回  秋も一箱古本市   冊数 82冊 平均単価474円
第8回  一箱古本市(春)   冊数 85冊 平均単価410円
第7回  秋も一箱古本市   冊数 85冊 平均単価548円

初参加の一昨年秋のみ平均単価がいやに高いのは、畏れ多くも1冊4000円の文庫を購入いただいたからです。看板として飾っておくだけのつもりだったのですが、ずっと探していたが見つけられず、この機会を逃したら後悔するかもしれないと思われたお客様のもとにわたりました。

いつも申し上げるのですが、お馴染みのお客様、知人の方々に毎回のように足を運んでいただき、購入いただいていることが、大きな支えになっています。今回は思いもかけなかった、高校同期、友人の応援もありました。
ほんとうに、ありがとうございました。

店主・とみきち 
番頭・風太郎

助っ人として参加し、客として廻った一箱のこと。そして5月2日の打ち上げの様子などはエピソード〔4〕で書きたいと思っています。しかし、16日の「みちくさ市」まで残りわずかなため、そちらの案内(出品本の紹介)もあり、いつ書けるかお約束できないとうのが正直なところです。

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コメント

風太郎さま

こんばんは。先日は一箱古本市、どうもお疲れ様でございました! 同日、近くに出店しておりながらバタバタとしてしまい、ご挨拶にお伺いできず申し訳ありませんでした。

今回のブログに書かれておりました、ご友人のAさんがご購入されたという、『植草甚一ジャズエッセイ1・2』(河出文庫)ですが、もしかすると私どもでお買い上げいただいたものかもしれず、書き込みをさせていただきました。場所も近く、おそらくこちら側から回られていて、とみきち屋さんへ行かれたのでは、と思いまして…。

同じ本を出されていたかたもいらっしゃったかもしれず、まったく別の場所でお買い上げになられたかもしれませんが、Aさまに宜しくお伝えいただければと思います(笑)。

それでは、日曜日にお会いできることを楽しみにしております!

投稿: 寝床や | 2010年5月14日 (金曜日) 00:47

風太郎さん、助っ人ありがとうございました。
風太郎さんの柔らかで奥の深い応対には、いつも
感服しております。
今回初めて「みちくさ市」に出店させていただくことになりました、追加募集で(キク薬局向かいシャッター前)。
とみきち屋さんの品揃え・商品知識・丁寧な対応には遠く遠く及びませんが、高く聳える目標として一歩でも近づけたらと願っています。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: どすこいフェスティバル(K) | 2010年5月14日 (金曜日) 19:50

>寝床やさま

一箱古本市はお客様のまとまったご来店が始まった途端、流れがなかなか途切れず、思うように動けないものですよね。

不忍通り沿いのお店で買ったお菓子を友人には差し入れしてもらったので、植草甚一の文庫は、おそらく<寝床や>さんで購入したのではないかと思います。
今度彼に会ったとき、どんなお店だった?と聞いてみたいと思います。

そちらの「部長さん」にはお立ち寄りいただきましたのに、ゆっくりお話もできず恐縮しております。

それでは16日の「みちくさ市」で。

投稿: 風太郎 | 2010年5月15日 (土曜日) 02:57

>どすこいフェスティバル Kさま

助っ人と称しながら、店主の皆さんがどんな本を出され、お客様がどんな本を買われるのかーそんなことが気になってしまい、ほとんどお役に立てずお恥ずかしい限りです(笑)。

お着物姿の美しい方々が中心に、賑やかにお客様とやりとりなさる<どすこいフェスティバル>さんには、今回の対面販売者二人制限はちょっと厳しいものがあったかもしれませんね。Tさんが、直前たいへんだったようなご様子も伺われましたし。でも、出品されている本や、箱の美しさはさすがだなあとため息が出ました。

わたくしどもが高く聳えているとしたら、例のせんべい缶と100円かごを積み上げた<とみきち屋>タワーであって〔今回一段加えました(笑)〕、目標などとんでもございません。
しかしながら、本のプロでいらっしゃるKさんのお褒めに与ったことは、たいへん嬉しく思っております。
「みちくさ市」、男子部でご参加ですね。本を拝見させていただくのが楽しみです。
当日、伺わせて頂きます。
ご丁寧なコメントありがとうございました。

投稿: 風太郎 | 2010年5月15日 (土曜日) 02:59

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