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こんな本を (2010.4)

先週、平日は帰宅が午後11時過ぎ。土曜は一箱古本市助っ人集会、日曜は父の米寿の祝いと続き、今週もいろいろあってブログを書く余裕がなかった。
本番まであと6日しかないのに一箱古本市の準備も手つかず。みちくさ市前に、一箱はこれでいこうと仕分けしておいた本が段ボールに入ったまま。いつものことだがこんなんでいいのだろうか(笑)

この一ヶ月、仕事帰りの地元ブックオフと、地元馴染みの古書店を除くと、それほど古本屋は廻れなかったが、少しずつ本は購入していた。
嗜好にやや偏りがあるとはいえ、決してマニアックではないと自分では思っているものの、親しい友人からは「知らない本が多い!」と、何故か云われてしまう(笑)

〔地元馴染みの古書店にて〕

■『虐殺50周年出版 大杉栄秘録』(1973・黒色戦線社)

店主に「大逆事件、幸徳秋水、大杉栄、堺利彦関連の本最近入ってきませんでしたか」と尋ねたところ、「そういえば…」と、カウンターの後ろに積み上げられた本の山から取り出してくれたのがこの冊子。
虐殺事件前に書かれたものではあるが、前妻・堀保子による「大杉栄と別れるまで」からは、大杉の男あるいは夫としてのどうしようもない部分も伺われ、興味深く読んだ。伊藤野枝、神近市子、山川菊栄、堺利彦等の名前が当たり前のように出てくるあたりが生々しい。
「婦人公論」大正12年11月号より<殺された野枝さんのこと><「甘粕という人間」批判>、大杉栄の妹・あやめによる<甘粕事件以後>、「文藝春秋」昭和30年10月増刊より<大杉栄・遺骨奪取事件>なども載っている。1976年の増補版ではないが、いいものを入手できた。

■松下竜一『ルイズ-父に貰いし名は』(講談社)

大杉栄と伊藤野枝の間に生まれた三女ルイズ(留意子)を描いたノンフィクション。

■三木成夫『海・呼吸・古代形象-生命記憶と回想』(うぶすな書院)

専門家による科学的な判断は私の与り知らぬところだが、『胎児の世界』(中公新書)には感銘を受けた。以来、読みたいと思いながら、高額のためなかなか手が出なかった。
積み上げられていた本の中にぽつんとまぎれていた。カバー無し。一向に構わない。300円で頂戴する。

■ 霜山徳爾『素足の心理療法』(みすず書房)

版元品切れに近いと聞いていたので2冊目を購入。言わずと知れた、フランクル『夜と霧』(みすず書房)の訳者である。
岩波新書『人間の限界』を読んだのは30年近く前のことになるだろうか。その底知れぬ教養、豊饒な言葉、そして人間をみつめる眼差しの限りない深さに畏敬の念さえ覚えた。
中公新書『人間の詩と真実』も期待に違わぬ素晴らしい本だった。この2冊は何度読んだか知れない。
精神医学用語も出ては来るが、読む上で障害にはならない。上記2冊の新書は残念ながら品切れだが、もっと多くの人に読まれていい本。
古本屋で見つけたら、是非購入し、読んでみてください。そんなに高い値段はついていないと思います。
『素足の心理療法』は文字通り、心理療法に主眼を置いているため、この分野の知識を欠いていると読みにくいかもしれない。しかし、人が人の心をみつめ、ひとつの道筋を示すことにどれほど自分自身への厳しさを求められ、同時に謙虚であらねばならないかを教えてくれる、尊い本である。専門性を超えて訴えてくるものにあふれている。

〔その他の古本屋にて〕

■シオラン『シオラン対談集』(法政大学出版局)

シオランの本は6冊持っているが、理由あって2冊目となるものを探している。今回は現在蔵書にない本に遭遇。
「ライン有り」と記され定価3700円強が800円で売られていた。チェックすると、わずか4行のみ、水色のラインマーカーで線が引かれていた。読むのに全く問題なし。

■南陀楼綾繁『路上派遊書日記』(右文書院)

ブログ「ナンダロウアヤシゲな日々」の2005年分からの抜粋とある。
妻のとみきちは昔からナンダロウさんのブログを読んでいたが、私は2008年10月に「一箱古本市」に参加するまで、ナンダロウさんのことは知らなかった。というよりブログというものを読んだことがなかった。
初めての「一箱古本市」が開催されるまでの様子ほか、興味深いことが盛りだくさんに詰まっている。上下2段組430頁超の本なので持ち歩けず、自宅で少しずつ読み進めている。

■竹田青嗣『言語的思考へ…脱構築と現象学』(径書房)
みちくさ市終了間際、<わめぞ>本部で購入。古書現世さんから。

■山之口貘『山之口貘詩文集』(講談社文芸文庫)650円
■バタイユ『戦争/政治/実存』(二見書房)300円
■『ドキュメント日本人3 反逆者』(学藝書林)300円
責任編集として鶴見俊輔、村上一郎の名が挙がっている。扱われているのは、雲井竜雄、金子ふみ子、大杉栄、磯部浅一、西田税、北一輝、尾崎秀美ほか12名。

以下は古本市出品用として購入(いつ出すかは未定)

■笠井潔『物語のウロボロス』(ちくま学芸文庫) ■『考える人 戦後日本の「考える人」100人100冊』(2006年夏号・新潮社)

〔ブックオフにて〕

■髙山文彦『エレクトラ 中上健次の生涯』(文藝春秋) 500円

この本が発売された2年半前頃、本をまともに読める状態になかった、本来ならすぐに飛びついていたに違いない。
購入後一晩で一気に読んでしまった。『枯木灘』『紀州』『千年の愉楽』を読んだ時の衝撃が甦って来た。あまりにも早い死が惜しまれる。

■佐伯一麦『からっぽを満たす』(日本経済新聞社) 500円
寝る前に1日4~6頁ずつくらい、読んでいる。心洗われる書物だ。

■村井弦斎『食道楽』 上・下2冊1000円 ※下巻は現在品切れのようなのでありがたい。

<105円>

■今村仁司『ベンヤミンの<問い>』(講談社選書メチエ)
■水村美苗『日本語が亡びるとき』(筑摩書房)
■ライクロフト『精神分析学辞典』(河出書房新社)
■平林直哉『クラシック100バカ』(青弓社)
■宮下誠『ゲルニカ  ピカソが描いた不安と予感』(光文社新書)
■大橋良介『京都学派と日本海軍』(PHP新書)
■井上光晴『地の群れ』(新潮文庫)
■野坂昭如『東京十二契』(文春文庫) ほか

〔新刊〕

■『考える人 はじめて読む聖書』(2010年春号・新潮社)
これはいい。特集部分はすぐに読んでしまった。何がいいかは別の機会に。

■『一個人 奈良 古寺と仏像』(5月号・KKベストセラーズ)
パラパラとめくっていたら、郷愁に誘われ買ってしまう。大和路をのんびり散策しながら仏像めぐりをしたい。

『Witchenkare(ウィッチンケア)』VOL..1
高校の友人Aの友人・多田洋一さん(http://www.t3.rim.or.jp/~yoichi/)が編集したリトルプレス。
(神田ぱん/我妻俊樹/藤森陽子/浅生ハルミン/友田聡/多田洋一 :敬称略)
浅生ハルミンさんは初の小説「文化祭」を掲載。
多田さんは「ごくせん」「ウォーターボーイズ2」「アンフェア」などのノベライズも手がけられている。
私の高校同期・稲葉なおととも交流があるみたいなので、いつか一度お会いできたらと思っています。

〔頂戴した本〕

今年3回目となる本の数々を段ボール一箱分、葉っぱさんから送っていただいた。
御礼が遅くなってしまい、すみません。いつもありがとうございます。

■大杉栄選『日本脱出記・獄中記』(現代思潮社)
■『磯田光一著作集5 思想としての東京 鹿鳴館の系譜』(小沢書店)
■『林達夫著作集5 政治のフォークロア』(平凡社)
■『芥川龍之介未定稿集』(岩波書店)
■バリー・ユアグロー『一人の男が飛行機から飛び降りる』(柴田元幸訳・新潮社)
■坂下昇ほか『アメリカの雑誌を読むための辞書』(新潮選書)
■『宮沢賢治全集』1~8(ちくま文庫)
■田中小実昌『猫は夜中に散歩する』(旺文社文庫)ほか多数

大杉栄は岩波文庫版しか持っていないので嬉しい。
磯田は昔『殉教の美学』『吉本隆明論』『戦後批評家論』『永井荷風』『左翼がサヨクになる時』ほかけっこう読んだ。しかし今手元に残っているのは、『鹿鳴館の系譜』(文藝春秋)と『戦後史の空間』(新潮文庫)2冊のみ。『思想としての東京』が読めるのが嬉しい。

『アメリカの雑誌を読むための辞書』は懐かしい。妻も私も英文科だったのでこれは当時読んだものの、その後処分してしまっていた。

専門とはまるで違うのに、義父の書斎には柴田元幸の本が多い。先般尋ねてみたら、ご夫妻ともに親しい間柄とか。それで納得。『一人の男が飛行機から飛び降りる』は未読。

土日でなんとか「一箱古本市」の目処をつけます。
出品本の紹介もしていかなくては。
店主・とみきち、番頭・風太郎の二人で、いつも通り出店します。

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コメント

≪三木成夫『海・呼吸・古代形象-生命記憶と回想』(うぶすな書院)購入。『胎児の世界』(中公新書)には感銘を受けた。≫との記述に目が留まりました。『生命形態の自然誌』三木成夫著作集Ⅰ(うぶすな書院)の巻末には、編集協力者の一人として、不肖朝霞書林の名前が出ています。『書肆アクセスという本屋があった』にも不肖朝霞書林の名前が登場します。こちらは、朝霞書林の職業までわかってしまいますね。三木先生のことでしたら、お時間があれば、いろいろお話いたします。それでは、また。

投稿: 朝霞書林 | 2010年5月21日 (金曜日) 13:00

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