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「第5回 みちくさ市」エピソード〔1〕

それでは、いつものように一般のお客様の話から始めます。

■『田中小実昌作品集(3)いろはにぽえむ』(現代教養文庫)
■深沢七郎『余禄の人生』(文春文庫)

開店と同時にお買い上げいただく。これまで何度もお越しいただいた記憶があったので、とみきち(妻)が声をおかけする。常連の方でお名前を存じ上げない方、「この方はたしか…」というような感じで、はっきりとは覚えていない方もいます。もっと記憶力を高めなければいけませんね。
そんなわけで、まちがっていたらゴメンナサイ。前回の記事にコメント頂戴したjindongさんだったような。

■『東京人 アウトロー列伝』(都市出版)
■武藤康史『文学鶴亀』(国書刊行会)
■瀬戸内晴美『美は乱調にあり』(角川文庫)
■佐野洋子『あれも嫌いこれも好き』(朝日文庫)

当ブログに何度かコメントいただいていた、武藤康史さんの小・中学校の後輩の方。生徒会もご一緒だったとのこと。こちらのことをご存じなのかなという気もしていていたので、お会いできるのを楽しみにしていました。
お会いしてびっくり。高校同期のYさんではありませんか!ドッキリかと思いましたよ(笑)
でも、嬉しかったです。懐かしい同期の名前がポンポン出てきたり、武藤さんの面白いお話を伺ったり。
さらに驚いたのは、Yさんの職場に黒岩比佐子さんと同期の方が二人もいらっしゃること。
『東京人 アウトロー列伝』に載っている、黒岩さんが書かれた「武林無想庵」を見せたいとの思い、嬉しかったです。Yさんには、『黒船前夜』(渡辺京二・洋泉社)について書かれた黒岩さんの書評の切り抜き(読売新聞)をいただく。よかったら、また遊びに来てください。

■芥川龍之介『大川の水 追憶 本所両国』(講談社文芸文庫)

いつも早い時間にお越しいただくdozoさん。とみきち共々ブログを読ませていただいています。
購入される本、足を運ばれる催しなどを拝見すると、深い教養と広範な知識、洗練されたご趣味などを感じ、<とみきち屋>の雑然さが恥ずかしくなります(汗)。

■野口冨士男『私の中の東京』(岩波現代文庫)

昨春の「一箱古本市」で、足立巻一『虹滅記』をご購入いただいた時からのお客様。ご事情があってしばらく古本市などには足を運べなかったとのこと。お顔を拝見できて嬉しかったです。またのお越しをお待ちしております。

■堀辰雄『雉子日記』(講談社文芸文庫)
■中山信如『古本屋おやじ』(ちくま文庫)

<とみきち屋>として初めて古本市に参加した時以来、毎回お越しいただいているYさん。嬉しいのは、必ず二度来ていただけるので、その日の他のお店の様子や感想などを伺えること。
今回、いつもに比べるとYさんにピンと来る本と出逢えなかったようで。ほんとうに欲しいと思える本を厳選して購入される方です。よって、今回のご購入はおつきあいという感もありました。ありがとうございます。

■開高健『名著ゼミナール 今夜も眠れない』(角川書店)
■安岡章太郎『死との対面』(光文社)

プレ開催に出てから、みちくさ市では出店したすべての機会に本を購入いただいている高校生のKさん(お名前を存じ上げないので勝手にKさんと呼ばせていただいています)。<とみきち屋>の大切なお客様のお一人です。
初めて購入いただいたのが野間宏『文章読本』(旺文社文庫)、中野重治『歌のわかれ』(新潮文庫)だったので、その時の驚きはいまなお忘れられません。
みちくさ市では、この方に本を買っていただけるかどうかを楽しみしている店主さんも多いと聞いています。
今回もお話はできず残念。本をバッグに入れる際、傷まないようにと丁寧に入れている様子を拝見し、ほんとうに本が好きで、大事にされているんだなあと感じました。

■ブロッホ『ルネサンスの哲学』(白水社)
■ドゥルーズ『ニーチェと哲学』(河出文庫)
■リーチ『レヴィ=ストロース』(ちくま学芸文庫)
■バタイユ『宗教の理論』(ちくま学芸文庫) ほか6冊

古本市後の当ブログ「エピソード集」ではお馴染みのHさん。とにかくすごい方です。店主として参加されたことのある方ならご存じではないでしょうか。
開店後間もなくお見えになるも、すでに袋はパンパン。今回もまた荷物をお預かりし、新たな袋をお渡しする。上記6冊を選ばれるのに要した時間1分。いつものようににこやかに古本めぐりに旅立たれていかれました。
午後2時過ぎにご帰還。
「なんか預かり料をお支払いしなくてはねえ」
「いえいえとんでもございません」
と言いながら、<とみきち屋>の押し売りぐせが顔をのぞかせる。
「それでは、この横光利一関連の本などいかがでしょうか。Hさんのほかに引き取っていただけそうにないんですよ。○○円にしますのでよろしかったら」
と冗談交じりに申し上げると、
「いいよ」とあっさり快諾いただく。
あらら、ほんとに押し売りだ(笑)
と思いきや、また箱をのぞかれて、何冊か抜いていかれる。
山口昌男『天皇制の文化人類学』、鎌田東二『身体の宇宙誌』ほか3冊。
結局合計10冊お買い上げいただいたことになる。
いつもありがとうございます。
「次回は一箱古本市、4月29日に出店します。お待ちしておりますね」としっかり宣伝。
大御所でいらっしゃることはひしと感じているのですが、素人ゆえのずうずうしさで、いつもこんな感じで楽しませていただいています。

■深沢七郎『怠惰の美学』(日芸出版)
■辻潤『絶望の書 ですぺら』(講談社文芸文庫)
■葛西善蔵『椎の若葉・湖畔日記』(旺文社文庫)
■竹中労『琉球共和国』(ちくま文庫)
■殿山泰司『三文役者の待ち時間』(ちくま文庫)
■田中小実昌『乙女島の乙女』(集英社文庫)
■レム・コールハウス『錯乱のニューヨーク』(ちくま学芸文庫)
■ガルシア・マルケス『青い目の犬』(福武文庫) ほか14冊

いまだに信じられないというのが正直な気持ちです。開店後間もなく来店され、1冊手にとられたかと思うと、箱のあちらこちらから積んでいかれるのです。しかも、私が本を用意する際に「これはいけるんじゃないかな」と選んだものを次から次へと。本に関して簡単なコメントをさせていただく私の声も弾んでいました。当然ですよね。
私どもが出店しなかった昨年11月のみちくさ市に初めて来られ、今回が二度目とのこと。レコードに関わるお仕事をされているSさんは、ゆうに3000枚以上のレコードを持っていらっしゃる。これだけでもすごいなと思うのですが、「もうレコードは…って感じで、昨年からは本の方に興味が移ったんですよ」と。

開店後一時間も経たないうちに、Sさん含め50冊近く引き取っていただいたので、早くも満足という気持ちになっていました。
ところが、Sさん午後2時頃再びご来店。午後に入ってからもいい感じで売れていたので「今日はひょっとしたら夢の3桁いけるかも」と思い、いつもより早めにスリップの値段を書き換え、1冊50円から100円の値引きを始めていました。これがよかったのか、あれよあれよと、またもや本を抱えるように手にされるSさん。こうなると嬉しいを通り越し、「よろしいのでしょうか…」と申し訳ないといった思いが頭をもたげてくるから不思議です。まだ値を書き換えていなかった本も、気持ちサービスさせていただき、午前に続き15冊購入していただきました。以下がその本です。

■戸板康二『折口信夫座談』(中公文庫)
■三田村鳶魚『時代小説評判記』(中公文庫)
■吉田秀和『音楽の光と翳』(中公文庫)
■薄田泣菫『茶話』(岩波文庫)
■小川国夫『悲しみの港』(朝日文庫)
■大塚英志『江藤淳と少女フェミニズム的戦後』(ちくま学芸文庫)
■バルザック『ジャーナリズム性悪説』(ちくま文庫)
■『スティーブンスン怪奇短篇集』(福武文庫) ほか15冊

お一人で29冊も購入いただくなど、<とみきち屋>にとっては、どう考えてもこれが最初で最後でしょう。Sさんは仕事の関係で土日は休みをとりにくいとおっしゃっていました。みちくさ市当日、祝日とはいえ月曜日だったことが<とみきち屋>に幸運をもたらしてくれました。
またいつかお越しいただけたら嬉しいです。

プレ開催の際、「私吉本(隆明)さんの大ファンなんです!」と吉本隆明の本を購入していただいた女性がいらっしゃったのですが、それ以来の、強く印象に残る女性にお会いできました。
見目麗しき若い方が1冊の文庫本を手に取られる。

<えっ、それ買うんですか?>
<ええ>
<だってそれ…>
<何か?>
<ほんとにいいんですか?>
<いいんですよ!>

こんな感じで声にならない会話を交わさせていただきました。妄想とも言えます(笑)
終始さわやかな笑顔の女性。
「いやあ、嬉しいです。まさか女性の方にお買い上げいただけるなんて思ってもいなかったので」と御礼を述べる。山田稔『スカトロジア―糞尿譚』(講談社文庫)。

相変わらず女性のお客様の少ない<とみきち屋>。今回も50人ほどの方にご購入いただきましたが、女性は10人。そのうち5人は古本市で懇意にさせていただいている知り合いの方なので実質5人。つまり1割しかいません。どう足掻いてもこの壁は乗り越えられないみたいです(笑)

■コリン・ウィルソン『アウトサイダー』(集英社文庫)
■コリン・ウィルソン『性のアウトサイダー』(中公文庫)

『アウトサイダー』は品切れになって2年は経っているのではないでしょうか。古本市に来られる方にはさして珍しくもない本ですが、これまで4回ほど出品しています。売れたのは初めて参加した一昨年の「秋も一箱古本市」の時で、それ以来さっぱり。
「ずっと探していたんです」という若い男性の方に、『性のアウトサイダー』と併せて購入いただきました。今回特集の中に「アウトサイダー」を入れたのも、実はこの本を読んでもらいたいという思いがあったからです。できれば、若い方に。それだけに喜びもひとしおです。
まだ在庫は2冊あるので、これからも懲りずに出品します(笑)

■海野弘『遊びつづけるピーターパン』(駸々堂)
■平松剛『光の教会 安藤忠雄の現場』(建築資料研究社)
■色川武大『狂人日記』(福武文庫)

若いカップルのお二人。お二人が楽しそうに話ながら本を手にされる様子はとても微笑ましく、和ませていただきました。女性が海野弘と平松剛。男性が色川武大。興味の対象も違うようで、それがまたいいなと思いました。

今回の特集「アウトロー、アウトサイダー、はぐれ者」は思いのほか当たったようで、驚いています。メインにした色川武大、田中小実昌、深沢七郎などは、この一年半古本市を見てきて、こんなお手頃価格のいい本なのにどうして…?という感じで残っているのを何回か目にしていたからです。
まとめて出したのがよかったのでしょうか。
上記3人だけで28冊出品しましたが、26冊お持ち帰りいただけました。田中小実昌は翻訳本、ハドリー・チェイス『殺人狂想曲』も。まだまだ、欲しい方がいらっしゃるのだと実感でき、嬉しかったですね。
辻潤、大杉栄、今東光、殿山泰司、コリン・ウィルソンほか加えた特集全体では54冊揃え、42冊が旅立っていきました。沢木耕太郎『テロルの決算』、山本夏彦『武林無想庵』、内田百閒『冥途・旅順入場式』などは当初の予定通りしっかり持ち帰りました(笑)。

次回〔2〕では、店主の方、知り合いの方などを中心に。

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コメント

おやおや、私が一番客だったとは。
売った本と客をセットで覚えておられるのには驚きました。お出しになっておられるラインナップが私の嗜好となんとなくかぶるので、あの日は何度も見に行ってしまいました。徐々に崩壊しつつある書斎を見る家人の視線が気になって、最近は吟味して買うようにしているのですが。
不忍ブックストリートは、残念ながら4/29が出張で行けず5/2のみの参戦になります。お目にかかれないのが残念です。

投稿: jindong | 2010年3月30日 (火曜日) 21:04

東京アウトロー列伝、古き良き時代の雰囲気にどっぷり浸かれて最高でした。職場でしっかり回覧中です。ちなみに私にとってのアウトローは授業をサボってジャズ喫茶…可愛いものですネ。
今は『美は乱調にあり』が佳境に入り、目が離せない所。よって、この辺で。

投稿: mayumi | 2010年3月31日 (水曜日) 00:40

>jindongさま

勘違いでなくてほっとしました。
この夏、二人合わせて100歳に達する<とみきち屋>、記憶力減退は加速する一方なので、実はヒヤヒヤしながら書いているのです(笑)

お客様といっしょに楽しめたらなあという思いから、古本市初参加以来、拙いレポートを書き綴っております。
何度かお越しいただけると、少しずつ記憶が固まっていくようです。
顔見知りになった方々とお会いできるのも、古本市の大きな楽しみになりました。

4月29日は残念です。またのお越しをお待ちしております。
その際は、どうかお声がけください。

投稿: 風太郎 | 2010年3月31日 (水曜日) 01:03

>mayumiさま

東京アウトロー列伝、喜んでいただけよかったです。
短い文章の中にアウトローと呼ばれる人間の魅力が見事に描かれていますよね。黒岩さんはじめ執筆陣も豪華ですし。

職場の方々も、黒岩さんの本は既に何冊もお読みかと思いますが、歴史の中で埋もれてしまいそうな人物や事柄を掬い上げ、多大な労力をつぎこんで書かれた本であることに圧倒されながらも、素敵な作品だなあという幸せな読後感に浸れます。こういう本って、そう多くないと思えるのです。
黒岩さんの本、少なくとも私たちT高同期の必須読書本にしたいですね(*^-^)
もちろん下の代にも機会があれば、どんどん伝えていくつもりです。

お好みの本、こんな本がないかなというのがありましたたら、そっと囁いてください(笑)。ものによって時間はかかるかもしれませんが、探してみます。
ゆっくり本の話をしたいものですね。

投稿: 風太郎 | 2010年3月31日 (水曜日) 01:29

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