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忙しない日々

忙しない生活を送っているうちに気がつけばもう1月も半ば。今年は新年のご挨拶も大幅に遅れ、出だしから躓いた感じが否めない。

フリーになってからも続けている広告関連の仕事は年々厳しさを増し、先が見えない。昨年11月から夜、新しい仕事もこなしている。20年前までは、会社公認のもと副業としてやっていたことなので抵抗感は無く、楽しい。(実入りの点ではたいしたことないが)
しかし、今がトップシーズンのため平均9日に1日くらいしか休めない。夜11時を過ぎて帰宅、夕食を終えると午前0時を廻っている。ちょっとした雑用をしているうちに2時、3時。思うように自分の時間がとれず、読書時間も減り、ブログを書く余裕もない。
何より1日5~7時間喋り通さなければならないので、頭の体力の衰えが要因とも言えよう。

そんな中、12日に神保町のブック・ダイバーで開催されている第6回「女子とふるぽん~」寄港市を駆け足で覗いて来た。お目当ては駄々猫舎さん

私たちが「とみきち屋」の屋号で古本市に参加する時には、多くの本を購入いただいている大切なお客様。もちろん、それだけではなくご夫妻の人柄にも惹かれている。

昨年最後のみちくさ市でお会いした際、駄々猫さんのご主人・ちゅうたさんの背中を無理矢理押してしまった。「ちゅうたさんの箱が見たい!!」と。
今回、そのちゅうたさんが出品されたので、何を置いても行かねばならぬと思った次第。
出品本に関しては駄々猫さんがブログで紹介されていたので、知っていた。しかし、やはり箱を見て、実際に本を手に取るのとは違う。どんな経緯で所有され、出されたかは別にして、選定と値付けはちゅうたさん。息づかいが感じられた。

対面販売ではない、一度に出せる本の数が少ない、随時補充できるわけではない。そういった条件の中での初参加なので、まずは手始めにといった感じもあったかな。ちょっとジャブを出したというような。

ご自身が好きで購入した本を思い切って出されていたら、相当すごい箱になるに違いない。でも、1冊しか持っていない本であったら手放すのは容易ではない。私自身、思い入れが強く、かつ複数冊持っていない場合、「もう他の方の手に渡ってもいいだろう」と出品する本は、1回につき10冊あるかないかだ。
古本市に参加するようになって、本の買い方が変わった。いや、変えたと言った方が適当か。
出品本とするために、2冊目、3冊目、4冊目を買うようになっている。

ちゅうたさんが今回の寄港市を終えた後、どう思われ、今後どうされるのかが楽しみでならない。「やっぱり、これまでの自分と本との関わりを崩したくない」と思われるのか、それとも、「みちくさ市、一箱古本市などでも何か試してみようかな」と思われるのか。

駄々猫舎さんからは次のものをいただく。

■古井由吉『折々の馬』(角川春樹事務所)

1985年(昭和60年)から『優駿』に連載された随想を集めた本。私自身かつて大の競馬ファンだったので、連載時購入し読んでいた。初めて目の前で見たダービー(東京優駿)はバンブーアトラスが優賞した1982年。もう28年も前のこと。この本は昔手放してしまったのだが、懐かしさに誘われ購入。

■津野海太郎『歩くひとりもの』(思想の科学者)

ナンダロウ(南陀楼綾繁)さんとのトークを聞いた際、津野さんの魅力をじかに感じることができた。この本はちくま文庫版もあるが、200円という安さに驚き、思わず手にしてしまった。

●絵はがき『室生寺』(土門拳写真館)
 室生寺は奈良の寺の中でも五本指に入るくらい好きな寺。仏像の数々、五重塔(平成12年に修復)も素晴らしいが、長い長い石段を登って辿り着くことのできる奥の院の深閑とした佇まいがなんとも言えない。

●作曲家栞(バッハ、ベートヴェン)
本当はモーツァルトも欲しかったのだが、3枚頂戴すると1枚も残らなくなってしまうので、我慢。
きっと欲しい方がいるだろうなと思えて。

スタメン単行本30冊のスリップ裏に駄々猫さんが書き込んでいたコメント(つぶやき)がとってもよかった。対面販売ではないだけに、店主の本への想いが伝わってくるし、本を手にする側との架け橋になっている。

これは想像以上にたいへんな作業。以前古本市参加の際、目玉商品だけでもいいから解説を付けてみたらと妻に提案されたものの、本選び、値付け、箱のレイアウトを考えるだけで精一杯。そこまではとても手がまわらなかった。

後にブログを拝見して、佐野洋子『神も仏もありませぬ』、細川貂々『ツレがうつになりまして』、こうの史代『夕凪の街 桜の国』などが引き取られていったと知り、我がことのように嬉しくなる。3冊とも私には心に残る大切な本なので。

ちゅうたさん出品、安原顕『ふざけんな!』(図書新聞)も引き取り手が現れたみたいでよかった。
当日、澁澤龍彦が『澁澤龍彦 書評集成』(河出文庫)の中で、アルヴァレズ『自殺の研究』(新潮選書)に触れていたことを思い出し、ほしいなと思ったものの見つけられなかった。売れてしまったのか、ベンチ本(控え)ということで、まだ箱に出されていなかったのか。残念。
伊藤整『小説の世界』(報国社)も購入するつもりで行ったのだが、神保町のブック・ダイバー内で出すなら、他に欲しいと思われる方がいるのではないかという思いが突然過ぎり、初日の午後だったので控えてしまった。最終的にはどうなったか気になるところ。

どうしても、自分の嗜好、所有している本か否かというフィルターはかかってしまうので、購入までには至らなかったが、ほかの店主さんたちの箱もそれぞれに個性が出ていて楽しませてもらった。

中上健次『鳩どもの家』(集英社文庫)は1冊持っているが、思うところあって<のらほん>さんから購入。
お店の名前は覚えていないが、ディケンズ『骨董屋 上・下』(ちくま文庫)ほか海外文学を出されていた箱が目に付いた。また、宮川淳『鏡・空間・イマージュ』(美術選書)が入り口左側の箱に入っていた。あの値段ならきっと誰かの手に渡ったのではないかな。

16日・17日は<古書往来座 外市>(→こちら)。毎回楽しみにしているのだが今回は行けそうにない…。16日は仕事。17日は、故あって某哲学書(翻訳)の簡単なレポートを仕上げなければならない。これが空前絶後、開いた口が塞がらないほどのひどい翻訳で、1頁たりともまともな日本語になっていない。よくこんなもので出版できるぜ。私がじかに関わっていることではないので、書名・出版社名を出せないのが悔しい。こいつと格闘しなければならないなんて気が滅入る。

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コメント

風太郎様、

ブログを一気に読ませていただきました。
お忙しい中、ブックダイバー、『女子とふるぽん~』にお越しいただき、また、ご購入していただきありがとうございました。
今回も相方の駄々猫が中心となっての出品でしたが、私も微少ながら初参戦させていただき、面白い経験をさせていただきました。
ただ、少し毛色の違うものをと思ったのですが、少なすぎました。興味はあるものの、色々な条件があって、中々、重い腰を上げられず、今回はなすすべもなく終わったといった感じです。個人的には駄々猫舎への風太郎さんのコメントとブログを拝見させていただき、学ぶべき事も多く、沸き立つような思いと共に、次回はもう少しまとまったものを出せればと胸膨らんでいます。
また、お会い出来る事を楽しみにしています。

駄々猫からの伝言ですが、アルヴァレズ『自殺の研究』(新潮選書)よけれは贈呈したいとの事です。
お会いした時にでも渡せればと思います。


投稿: ちゅうた | 2010年1月17日 (日曜日) 04:27

↑ちゅうたが書いているので、夫婦連続コメントもどうなんでしょうと思いましたが、私からも少々。

お忙しい中でのご来店、本当にありがとうございました。
初日は雨で、お客様も少なかったため、全体の売れ行きが悪く・・・そんな中で、風太郎さんが、他の箱も含めまとめてご購入くださったことは、とても励みになりました。

単行本コメント他に関しては、拙ブログにて反省点などまた長々まとめます。お察しの通り、実のところ大変な作業でした(苦笑)

『自殺の研究』は申し訳ありません。初日は確かにベンチ本ということで出せていなかったのですが・・・後日出すつもりが、私が読み始めてしまい・・・結局持っていかなかったのでした。「看板に偽りあり」の反省もこめて、贈呈させていただきます。(3月みちくさ市までには読み終えます)

伊藤整『小説の世界』(報国社)は売れなかったので、どこかでまた出品予定です。(が、読むならもっと綺麗で安価な文庫本があります、報国社の古いのが欲しいなら是非ともですが)

ちゅうたがやる気になってきたので、ちゅうた箱に置けば、違和感もないかなっと。風太郎さんの「背中押し」のおかげです、その点でも、ありがとうございました。

投稿: 駄々猫 | 2010年1月17日 (日曜日) 14:51

ちゅうた様

随分と勝手なことばかり言ってしまい、すみません。偏った嗜好、偏屈な性格の本好きの感想なので、お役に立つようなことはほとんどなかったのではないかと思います。

>沸き立つような思いと共に、次回はもう少しまとまったものを出せればと胸膨らんでいます。

ちゅうたさんがそういう気持ちになられたこと、とても嬉しく思います。
自分と同じ本に興味を抱き、大切にしている人たちとの出会いには、例え言葉を交わすことはなくとも、格別なものがあります。
いつか、みちくさ市、一箱古本市など対面販売できる古本市に参加されてはいかがでしょうか。
出品した本を手に取る方の表情、反応。箱を見ている方の佇まいをじかに感じられるだけでも、見える世界が変わっていくように思えます。
買う側と売る側の違いも、少しずつではあれ、見えてきます。

奥様(駄々猫さん)が以前ブログにも書かれていたように、他の店のことは意識せず、ちゅうたさんの本への想いを好きなように表現されたら、きっと大きなものが返ってくると思います。
それは売上げ額、冊数、賞とはまったく違うもの。

私自身以前「賞」をいただきましたが、何より嬉しかったのは「1冊1冊考えて選び、箱をつくっている」と(黒岩さんに)おっしゃっていただいたことでした。これは、「賞」を頂戴しなかったにしても、生涯の宝となったと、今でも思っています。そして、そういう目で見てくれる方が、古本市に足を運ばれる方の中にはたくさんいらっしゃることが励みにもなります。

ちゅうたさんの参加を心から楽しみにしています。

投稿: 風太郎 | 2010年1月17日 (日曜日) 22:20

駄々猫様

ご主人(ちゅうたさん)に続きコメントいただき、ありがとうございます。

駄々猫さんの古本市の取り組み方には、いつもいろいろと考えさせられるところが多く、参考にさせていただいています。

今回の単行本へのコメントだけではありません。絵はがきにもさりげないコメントが、手描きのかわいいイラストと共についていましたし、包装の仕方もていねいで。
ずぼらで、アバウトな私にはとうてい真似できません(笑)

初参戦ということもありますが、ちゅうたさん、かなり悩まれたのではないかな思われ、背中を押してしまってよかったのだろうか…と思っていました。

でも、ちゅうたさん、俄然その気になられたようですし、今後はお二人のお店が見れるのかと思うと、嬉しくてなりません。古本市での大きな楽しみがふえました。

『自殺の研究』、お言葉に甘え頂戴できればと思います。

お二人にお会いできるのを楽しみにしていますね。
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。

投稿: 風太郎 | 2010年1月17日 (日曜日) 22:46

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