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買ったら売らねば

土曜、地元の書店にナンダロウ(南陀楼綾繁)さんの新刊、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)の入荷予定を確認したら、やはり17日(火)発行と聞かされ、がっくり。早く読みたい。

ナンダロウさんから見本を贈られた方々が少しずつブログでとりあげている様子。
中でも、岡崎武志さんの全面バックアップ宣言は、頼もしく、温かい。単なる内輪褒めでないことは一読してわかる。
こちら→  http://d.hatena.ne.jp/okatake/20091113

「本は人の手に届きたがっている」、本離れの状況を招いた非は業界人にもあると説く岡崎さんの言葉には重みがある。そして「一箱古本市」を、現況を打破する大いなる可能性を秘めたイベントと認識し、「一箱古本市」の全国的拡がりの核となっているナンダロウさんを讃える気持ちに強く共感。
私的なこと、或いはコメントなどにおいてはナンダロウくんと呼びかけることもある岡崎さんだが、今回の記事においては南陀楼綾繁さんの新刊『一箱古本市の歩きかた』と記している。
人柄は滲み出るものですね。どんなに名が知れていようと、こういう心配りのできない人もいる。

ひょっとしたら風邪のひきかけ?と思える症状が出たりして、大人しくしている日もあったが、相変わらず古本は買っている。

古書往来座 外市にて〕

■野呂邦暢『戦争文学試論』(芙蓉書房出版)

狭い意味の「文学」にとらわれず、無名兵士の手記、ドキュメントなど多くの作品を読み込んでいる。
「一つの時代を後世の価値観で裁くことは、私たちがおちいり易い錯誤である。国家に殉じることが、最高の名誉とされた時代もあったのである。反戦を叫ぶ現代の日本人が一時代前に戦って死んだ人々よりもすぐれていることにはならない」
「昭和五十年代の日本人が昭和十五年代の日本人より賢いといういわれはどこにもないのである。謙虚に先人の文章をたどることにしよう。私たちの父兄は史家がいうように狩りたてられた奴隷として死んだのであろうか。」
著者は決して戦争そのものを肯定しているわけではない。

何があったのか、どんな時代だったのか、どう受けとめ戦地に赴き、何を思っていたのかを知りたくて、私も若い頃から戦争に関する数多くの本を読んできたので、通じるものを感じる。じっくり読んでいきたい。

■富士正晴『贋・久坂葉子伝』(講談社文庫)

先日、『幾度目かの最期―久坂葉子作品集』(講談社文芸文庫)を入手したばかりだが、こちらも併せて読みたいと思っていた。文字は小さいが、現在入手できる講談社文芸文庫版は1,890円もするので、500円はありがたい。

上記2冊は荻原魚雷さんの<文壇高円寺>より購入。今回はいつもより出品数も多くいい本が目白押しだった。

■森山大道『過去はいつも新しく、未来は常に懐かしい』(青弓社) <古書文箱>より
■野呂邦暢『諫早菖蒲日記』(文藝春秋)■吉田精一『随筆入門』(新潮文庫) <古書有古堂>より

売上げ対決とかで、<古書文箱>と<古書有古堂>は隣り合わせ。いつもとは違い大きめの棚を提供されていた。たった二日間での勝ち負けに大きな意味はないと思うが、どんな本をいくらで売るかという点で興味深いものがあった。いずれも個性が出ていて、優劣などとてもつけられない。

■今東光『極道辻説法』(集英社文庫) <立石書店>より

ずっと探していた。一瞬わが目を疑った。間違いない。歓喜に包まれる。200円なんて信じられない。1000円でも欲しかった本。
愛読書『毒舌 身の上相談』(集英社文庫)は『続 極道辻説法』『最後の極道辻説法』を合わせたもので、『極道辻説法』は含まれていない。タイトルに説法とついているものはまだ他にもあるが、少しずつ集めていくつもり。
余談ながら、『プレイボーイの人生相談1966-2006』(集英社)は面白い。今東光を始め、柴田練三郎、岡本太郎、開高健、赤塚不二男、野坂昭如、吉本隆明、松山千春ほかが若者の相談に答えている。今こんなの掲載したらやばいだろというような過激な発言も随所に見られるが、我が意を得たりと思わず破顔大笑。

<チンチロリン商店>からは、PippoさんのCD『てふてふ 二匹め』を購入。詩の朗読集だ。八木重吉の詩については以前当ブログでもとりあげた。やはり何度聞いても素晴らしい。新しく聞いたものの中では、大江満雄の詩の朗読がとりわけ心に残った。
キリスト教的理想主義にたつプロレタリア詩人で、ハンセン病患者の詩を編纂した『いのちの芽』も刊行している。
差別や対立のない世界を希求する思いが、抒情的な表現から強く伝わってくる。また、朗読とそれを支える音楽(効果音)がとてもいい。作者とも朗読者とのものとも言えぬ声が、遠くから心に響いてくる。わずか3分弱のなかに、深く透明な世界が広がっている。

〔ブックオフにて〕

自宅から車で20分ほどの店舗。ここは105円の商品は新書ぐらいしかいいものが入手できない。しかし、半額なら新刊単行本、講談社学術文庫、岩波文庫、ちくま文庫などが結構豊富で買える。
久しぶりに足を運んだら、文庫本200円セールを実施していた。この店舗でセールに遭遇するのは初めて。

■暁烏敏『歎異抄講話』(講談社学術文庫)
10年ほど前、石和鷹『地獄は一定すみぞかし-小説暁烏敏』(新潮社)読後興味を抱き、暁烏敏の自作『わが念仏・わが命』(潮文社)を古書店で入手して読んだ。それ以来になる。
■鎌田慧『大杉榮 自由への疾走』(岩波現代文庫)
■筒井清忠『二・二六事件とその時代』(ちくま学芸文庫)

地元のブックオフ 文庫本99円セール

■岡本かの子『生々流転』(講談社学芸文庫)
■平泉洸 全訳註『明恵上人伝記』(講談社学術文庫)
■川崎信定訳『原典訳 チベットの死者の書』(ちくま学芸文庫)
■堀江敏幸『河岸忘日抄』(新潮文庫)
これは当然文庫版も欲しい。
■佐江衆一『わが屍は野に捨てよ 一遍遊行』(新潮文庫)

同じく地元ブックオフ 105円

■論座2006年11月号『言論テロと右翼』(朝日新聞社)
■論座2007年4月号『グッとくる左翼』(朝日新聞社)

都内ブックオフ3店舗から 105円

■G・スタイナー『青鬚の城にて』(みすず書房)
■樫山欽四郎『哲学概説』(創文社)
■松浪信三郎・飯島宗享『実存主義辞典』(東京堂出版)
■豊田穣『革命家北一輝』(講談社文庫)
■杉森久英『天才と狂人の間 島田清次郎の生涯』(河出文庫)
■近藤富枝『相聞 文学者たちの愛の奇跡』(中公文庫)
■竹内薫・竹内さなみ『シュレディンガーの哲学する猫』(中公文庫)
■坂口安吾『坂口安吾全集16 安吾人生案内 負ケラレマセン勝ツマデハ 安吾行状日記ほか』(ちくま文庫)

古書ではないが、『婦人画報12月号 ほんまにおいしい、冬の京都』を購入。
高校同級生・稲葉なおとの特集が掲載されているからだ。「稲葉なおとが綴る4つの物語 心の再生アジアン・リゾート」。
短篇小説4作をメインにした構成で、バリ、プーケット、シンガポール、モルディブのホテルが紹介されている。小説は未読だが、写真のみでも買った甲斐あり。ため息がもれるくらい美しい。もちろん、彼自身が撮っている。
稲葉なおとの根強いファンは多い。私のブログにも婦人画報に関して、ご夫妻でファンという方からコメントをいただいた。

来春までは古本市に参加する予定もなく、買ってばかりではたいへんなことになるので段ボール4箱に処分本を詰め込んだ。地元馴染みの古書店に2箱、残りをどうするかは思案中。

昨日の日曜は仕事が長引き、上京されていた葉っぱさんにお会いできず残念でならなかった。
妻は葉っぱさんと楽しいひと時を過ごさせていただいた。帰宅後いろいろと話を聞く。ありがとうございました。

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コメント

>上京されていた葉っぱさんにお会いできず残念でならなかった。

ほんとうに~ぃ。とみきちさんと、突然飛び込んで一緒に街歩きになったみん子さんも加わって、お喋りとサルガド、丸松本舗、お食事と色々と愉しむことができました。
今度、上京したおりは、前もってちゃんとスケジュールを組んでやりますよ。
今回はネットを全くやらない、アナログの友達たちと会う予定だったのに、色んな障害があって、ダメになりましたよ。
ネットはやはり便利がいいですねぇ。
ちょいと上京の記事をアップすると、みなさん反応して下さり、予定が狂っても、直ぐに軌道修正できました。
大感謝ですよ。
南陀楼綾繁さんの『一箱古本市の歩き方』を昨日、購入しました。
さっそく、引用されていた「とみきち読書日記」p63を読みました。
僕も機会があれば、参加したくなりましたよ。
参加のために上京して、その前後を東京でブラブラするのもいいなぁ、と思っています。
土曜日に泊めてもらった一人暮らしの若者のアパートには蒲団が一つしかなく、ソファーで寝ましたが、昨日、蒲団を一組宅急便で送ってやったから、今度、上京した時は寝具の心配はなくなり少し長逗留できますねぇ。

投稿: 葉っぱ64 | 2009年11月18日 (水曜日) 10:57

>葉っぱさん

上京本来の目的が果たせず、たいへんでしたね。
それでもいろんな方が、葉っぱさんに合わせて、吸い寄せられるように集まってこられるのは、やはり葉っぱさんの人徳というか、魅力がそうさせるのだと思います。
松丸本舗は、逆にとみきちがご案内いただいたようで(笑)恐縮です。古本が新刊と共に並べれられているのは意外です。
そのうち覗きに行ってきます。

>僕も機会があれば、参加したくなりましたよ。

是非ぜひ!春なら2日日開催ですので、それぞれ別の日に出店も可能です。葉っぱさん出店の際は全面的に協力させていただきます。
あっ、もちろんコラボでもかまいません。それも面白いですねえ。○○○○&とみきち屋。とみきち屋がかすんでしまいそうですが(笑)

一度お会いしたいです。
こちらが大阪にまで伺えればいいのですが、なかなか機会がなくて…。京都にもご無沙汰しているのでそちらに行きたい気持ちはあるのです。
葉っぱさんの泉涌寺訪問の記事、羨ましく思いました。

それにしても、もう布団を送ったなんて、葉っぱさんらしいですねえ(笑)

ブログ開始から一年経ちましたが、最初にコメントいただいたのも、一年後最初のコメントいただいたのも葉っぱさんです。
嬉しく思っています。
寒さが厳しくなってきました。どうかご自愛ください。

投稿: 風太郎 | 2009年11月18日 (水曜日) 21:00

>○○○○&とみきち屋。
いいですねぇ。
実現できるかどうかわからないが、
妄想を逞しくして選書してみますよw。
一箱は大体30冊ぐらいでしょう。
リストアップする作業が面白い。
ところで、丸松書舗では新刊と古本が一緒に並んでいるのですが、ちょっとビックリしたのは、オンデマンド本も並んでいました。
オンデマンドと言えば、「はてな」にしろ、こちらブログにしろ、「ダイアリー」のサービスがあるでしょう。
一冊からブログの製本を受けつける。
僕も初期の頃、好奇心でブログをコンテンツにして製本してもらったが、これもオンデマンド本ですよねぇ。
値段はめっちゃめっちゃ高かったし、自分のブログを製本までして蔵書するなんて、何かアホらしくなったので、継続していない。押入に眠っていますよ。
せっかくだから、自分のブログの「ダイアリー」(オンデマンド)をシャレと看板代わりに提供してもいいですねぇ。ただ、値付けが難しい。
欲しい方に景品として提供するのもいいかぁ。

投稿: 葉っぱ64 | 2009年11月18日 (水曜日) 22:34

>一箱は大体30冊ぐらいでしょう。

文庫を入れ、レイアウトを工夫すれば50冊以上可能ですよ。

>リストアップする作業が面白い。

そうなんです。やみつきになります(笑)
値付けを含めギリギリまで迷ってしまいますが。
葉っぱさんの箱が見たいなあ。

オンデマンド本、もともと出版されていたものが独自性を欠く規格に統一されると、どうも味気なく思え、なかなか興味がわいてきません。
ダイアリーのサービスは、いいところに目をつけたなと思います。問題は値段ですよね。

>せっかくだから、自分のブログの「ダイアリー」(オンデマンド)をシャレと看板代わりに提供してもいいですねぇ。ただ、値付けが難しい。
欲しい方に景品として提供するのもいいかぁ。

おっしゃるとおり、値付けは難しいですねぇ。
かといって、サービスにしたらきっと、あっという間になくなってしまいますよ。
葉っぱさん有名ですから。
私も一冊ほしいな。

投稿: 風太郎 | 2009年11月20日 (金曜日) 00:38

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