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「第9回 秋も一箱古本市」エピソード(4)最終回

ようやくここまで辿り着いたという感じです。それでは最終回、知人・友人の方篇とご報告。

この前の助っ人集会で初めてお話した<トンブリン>さんにお越しいただく。一部のファンが鶴首して復刊を待っていたスタージョン『一角獣 多角獣』。復刊直後になんと3刷。これを引き取っていただく。赤い装丁も、もしかしたら気に入っていただけたかな。

<書肆紅屋>さんと共に、ナンダロウさんの『一箱古本市のあるき方』(光文社新書・11月17日発行予定)の資料作成を手伝われた退屈男さんがお見えになる。お客様が何人かいらっしゃったため、お話しできず残念。

古本市では何度も購入いただいているNEGIさんが午後になってご来店。一箱、みちくさ両方の古本市で頼もしいサポートをされている姿をよくお見かけする。ちなみにNEGIさんは「一箱古本市」において過去に「谷根千賞」、「古書ほうろう賞」を受賞されている方。
今回、当店の数少ない目玉というか強引セット、木山捷平『酔いざめ日記』『耳学問・尋三の春他 』をお求めいただく。

NEGIさん滞在時、「古書ほうろう」の宮地さんがお見えになる。ほうろうさんは憧れの古書店。
村上春樹強引セットをご覧になり、「とみきち屋さん、今日はこれが出るか出ないかだよねえ(笑)」と宮地さん。何というプレッシャー(汗)。もうその時点でこれはあかんと薄々感じていたから余計に。予想通り、持ち帰りとなりました(笑)。ミカコさんとお話できなかったのは残念です。

詩の朗読、歌、ブログ、ポエトリーカフェ(今月末から)など様々な形で詩の素晴らしさを伝えているPippoさんと、リコシェの豆子さんをよみせ通りで見かける。「怪しいお二人ですね(笑)」と声をかけたら驚かれた。そのままエスコートならぬ客引きという風情でお二人をゲントにお連れする。お互い「相手の話なんか聞いちゃいないと」と言っているけれど、ほんとに仲がいいんだなあとほっこり。豆子さん、Pippoさんのマネージャーとして仙台まで行くんだから。
Pippoさんには大森荘蔵『流れとよどみ』(産業図書)を購入いただく。大森荘蔵は『時は流れず』(青土社)が一番好きな本と聞き、新しい一面を見せてもらったように思える。

u-senさんがお仕事前にスーツ姿でご来店。一瞬「?」。しかし、違和感がない。当たり前か。
宇佐美承『池袋モンパルナス』(集英社文庫)を購入いただく。u-senさんがゲントから去った途端、一人の女性に声をかけられる。
「もしかして、今の方があの有名なu-senさんですか?」
ブログと実際のイメージが異なっているように感じられ「あの」と言われたのかなと思いつつ、「そうですよ」とお答えする。他の会場ではどうだったのだろう。多くの方がu-senさんをご存じのはず。ゆっくり本を見るのは無理だったのではないかな。

<オムライス堂>のNさんがお見えになったので、
「調子はどうです。大丈夫ですか?」といきなり声をかけてしまう。
「どうしてですかねえ。他でもそう声をかけられるんですよ」
「そりゃそうでしょう。ブログを読めば」
そこにくちびるごうさんが突然現れ、
「大丈夫なの?」
「ほら、みんなそう思っているでしょう!」と私。

それからしばしNさんとお話。ハレとケの落差、モノローグとダイアローグの違いなどをベースに(何のことやら)勝手に私が喋りまくり、「どこか似ているところありますよね」と訊くと、Nさん苦笑。
「そうだよなあ、ありがたくもないよなあ」と反省(笑)

佐伯一麦『芥川賞を取らなかった名作たち』(朝日新書)を購入いただく。新刊で買われるつもりだったとのこと。喜んでもらえよかった。最近ようやく2冊目を入手できたので、出品。意外に思われるかもしれませんが、佐伯一麦は『木を接ぐ』で海燕新人文学賞受賞の頃から注目しており、けっこう好きで読んできているのです。『ア・ルース・ボーイ』は残っていても、『一輪』『木の一族』(いずれも新潮文庫)が品切れなんて…。

仙台文学館での連続講座がもとになっている朝日新書はお薦めです。参加者の声に答える著者の真摯な姿勢、作品に対する愛情が伝わってきます。
エピソード(3)で触れた、洲之内徹『『棗の木の下』。実は佐伯一麦が取り上げた12作品の中のひとつなので飛びついてしまいました。これで後は、『おじいさんの綴方 河骨 立冬』(講談社文芸文庫)が入手できれば、全作品手元に揃うのだが、なかなか出会えない。
他には太宰、北條民雄、木山捷平、小山清、小沼丹、山川方夫、吉村昭、萩原葉子、森内俊雄、島田雅彦、干刈あがたの作品に触れています。人によっては、(私自身も)名作と呼べるかとなると「?」がつくものもあると思いますが、著者の解説には目を引くものがあります。

さて、先ほどちらっと登場したくちびるごうさん。「みちくさ市」では渋い、良質の本を廉価で出されています。「本が好き!!」が半端ではなく、オーラが出ている方。今回<とみきち屋>の強力な助っ人さんになっていただきました。

まず、ご本人に野呂邦暢・長谷川修『往復書簡集』をご購入いただく。
その後私の不在時に再度お越しいただき、ご来店されたお知り合いの方に、野呂邦暢『愛についてのデッサン』(角川書店)を強力にプッシュしていただく。
この作品いいんだよ。しかも安い。この版で読みたかったなあという感じで。(みすず書房版でお持ちのご様子)。さらに<古書、雰囲気。>さんもお見えになり、みすず版でもこの値段では手に入れくいとバックアップしていただく。その甲斐あって、お知り合いの女性に引き取っていただくことになりました。
その間、店主・とみきちは何も言えず黙したまま。そして最後に、目の合ったお客様に「強烈な営業でしたねえ」。まるで他人事のように(笑)。

<古書、雰囲気。>さんには、小山清『落ち穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)を。くちびるごうさんには太田治子『斜陽日記』ほか2冊を追加で購入いただく。ありがとうございました!!

店主・とみきちの友人ぶーやんさん。その博識ぶり、行動力はまさに驚異。たとえば伊藤若冲。とみきちは東京での展示を観に行くのが精一杯。ぶーやんさんは、遠く四国(香川)金刀比羅宮まで飛び「書院の美」展へ。「動植綵絵」33幅が揃うと聞くと京都・相国寺へ。室生犀星が気になれば、金沢へ赴いてしまうのです。
昨年小布施に行かれたので、お隣の<まちとしょテラソ>さんとも話が弾んでいたご様子。さらにさらに。ナンダロウ(南陀楼綾繁)さん著『山からお宝 本を積まずにはいられない人のために』(けものみち文庫)に寄稿されているのです。それでナンダロウさんに紹介。面識はなかったのに編集の都合で写真を掲載できなかったことを憶えているナンダロウさん、やはりすごい。

徳富蘇峰の孫にピアノを習ったことがあるとのこと。それもあってか、徳富蘇峰『読書法』(講談社学術文庫)など3冊購入いただく。

店主・とみきちの仕事上の師匠Nさん。ロシア文学科出身ということもあって、ナボコフの本などは全て所有されているご様子。ドストエフスキーにもめっぽうお詳しい。亀山郁夫訳の『カラマーゾフの兄弟』が話題になった時には、原卓也訳との違いなども聞かせていただいた。店主・とみきちは亀山郁夫訳を読了したが、私はとりあえずどんなものかと「プロとコントラ」のみ読んで、ダメだあと挫折。原卓也訳、池田健太郎訳、米川正夫訳と読んできたが、亀山訳はどうもドストエフスキーを読んでいるという気がしない。頭が古いのか、かたいのか(笑) 亀山の評論はけっこう面白く読んでいるのだけれど。
Nさんには、「文章読本」というタイトルのついた本に目がないということで、向井敏『文章読本』(文春文庫)を購入いただく。

昨秋、今春とお目にかかれた岡崎武志さんとお会いできなかったのは残念です。

古本市で黒岩比佐子さんの姿を拝見できないと、ジクソーパズルの大事なピースを欠くような感じで淋しい。体調を崩されたご様子。お大事になさってください。

9月のみちくさ市でお隣に出店された<モノンクル・ブックス>さん。10月9日が「BLIND BOOKS」さんの開店日だったので、翌日一箱訪問は厳しいですよね。お会いできず残念でした。お店の方には、とみきちと二人で遊びに行かせていただきますね。
「BLIND BOOKS」店主さんの日記はこちら→  http://blog.livedoor.jp/chobin3/

多くの方々のお力添えをいただき、今回も楽しい一日を過ごさせていただきました。
心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

〔 とみきち屋の結果 〕 下線付きが今回の結果です。

第9回 秋も一箱古本市  冊数82冊 平均単価474円

第8回 一箱古本市(春)   冊数85冊 平均単価410円
第7回 秋も一箱古本市  冊数85冊 平均単価548円

店のスタイルを変えないので、あまり大きな変動はありません。
今回冊数の割に平均単価が上がったのは、高めの本を多く引き取っていただけたからだと思います。また、リピーターの方、知り合いの方にお買い上げいただいていることが支えになっていると強く感じております。

次回<とみきち屋>の古本市への出店は、ひょっとしたら来春以降になるかもしれません。
年内出店できるか否かに関しては、1週間以内にご報告させていただけるのではないかと思っております。

店主・とみきち http://yomuyomu.tea-nifty.com/dokushononiwa/ 
番頭・風太郎

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コメント

こんばんは。もす文庫のmasubonです。

一箱、そしてその後のエピソード(1)~(4)、お疲れさまでした。楽しく読ませてもらいました。

ほんとうに、ひとりひとりのお客様について目を配り気を配り…すごいなぁと改めて思いました。これがとみきち屋さんの人気のヒケツですね。もちろん本への愛情と知識あってのものですが。

小川洋子さんの新書、帰りの電車でさっそく読みました。今まで小川さんのエッセイを読んで、「?」と思っていたことがいくつかあったのですが、この本を読んで、急にすとん、と分かったような気がしてうれしく思いました。いい本をありがとうございました。

今回、もす文庫は遠くからの参加でしたが、とみきち屋さんおふたりをはじめ、いろんな方々にお会いできて(もちろん本を売って)、参加してよかったと思いました。
また懲りずに古本市参加をもくろんでいますので、よろしくお願いいたします。
では、また。

投稿: masubon | 2009年10月23日 (金曜日) 23:48

>masubonさん

長い長い拙文に最後までお付き合いいただきありがとうございました。知識に関しては、とても誇れるようなものではありませんが、「本への愛情」を感じていただけることはとても嬉しく思います。
本を介して人との繋がりが拡がっていく。時に深まっていくって、いいですよね。
昨秋の初参加が「もす文庫」さんのお隣で恵まれていたなあと今でも思っています。

今回も、「もす文庫」さんが一番近いコシヅカハム出店でよかった。そうでなかったら、会えなかったかもしれない。
それを考えると、何か目に見えない力が働いてくれたのでは…とさえ思えてきます。

小川洋子『物語の役割』、気に入っていただけたようで、よかった。
作家としての真摯な姿勢が感じられますよね。
生きていく上で、人は自分なりの<物語>を紡ぎ出し、意識的にせよ無意識にせよ、それに支られている。
共感を覚えます。
じゃあ、それが歪んだ物語だったらどうなんだと言う人がいるかもしれんませんが、それはもう<物語>とは呼べないと思えるのです。

これから寒さがますます厳しくなっていきますね。
しもやけにならないよう、暖かくしてください。

来春、また一箱で会えるといいですね。
楽しみにしています。

投稿: 風太郎 | 2009年10月24日 (土曜日) 21:02

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