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2009年9月

〔雑記〕 そろそろ「秋も一箱」に向けて切り替えなければ

都合がつかず、茶話会には行けなかった。「一箱古本市」の今後について、ナンダロウさんご自身から聞きたかっただけに残念。
「古書ほうろう」の宮地さんご夫妻、青秋部のお二人にもお会いできたらと思っていたのに…。

「みちくさ市」が終わり、エピソードも書き終え、エネルギーがほぼエンプティ。イベント終了後、ある種の虚脱状態に陥るのは、年齢のみならず、自身の性格もあるのだろうな。
考えてみたら、「秋も一箱古本市」はもう来週末10日(土)。気持ちを切り替えなければ、間に合わない(汗)。でも、前回書けなかったブラームスについては書きたい。困ったものだ。

みちくさ市エピソード〔1〕で有名な詩人の名前を誤記していました。そのことを、ご配慮いただく形で教えてくださった桃苺さん。ありがとうございました。
楽しく読んでいただいたとのこと、嬉しく、励みになりました。併せて御礼申し上げます。

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間もなく「早稲田青空古本祭」 熱い思いを感じてみたい

夜遅く、久しぶりにゆっくり音楽を聴いた。そのことを書こうかと思ったが…

「古書現世店番日記」http://d.hatena.ne.jp/sedoro/20090929)を読んで、もっと大事なことがあるではないかと、予定変更。ブラームスのことなど、いつでも書ける。

早稲田青空古本祭は10月1日(木)10:00スタート、6日(火)17:00まで。土日も間に入っている。
天気予報はもうひとつだが、できる限り雨が降らないよう祈りたい。

「小さな普通のオシャレじゃない古本屋」さんが一番心安らぐし、好きなもので。
もちろん、私は行きます。

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"読書の秋"はワセダから・・・

第24回 早稲田青空古本祭

毎年恒例の穴八幡宮境内・早稲田青空古本祭が今年も開催されます。今年は正面参道が工事中ということもあり、本殿、立石書店側からの入場口のみとなります。使用スペースも少なくなるので、今年はワゴンセールとして開催します。ワゴン約90台を並べます。

テント使用できず、雨天中止です。ただし止んだ場合の再開ありです。14軒参加(台は15軒分)です。どうぞよろしくお願いいたします。

■日時
2009年10月1日(木)~6日(火)
10:00~19:00(最終日17:00まで)
雨天中止(再開あり)

■会場
穴八幡宮境内(早稲田大学文学部前)
東京メトロ東西線 早稲田駅 徒歩1分
JR高田馬場駅 徒歩20分 駅前から学バス「早稲田大学正門前」行き
乗車、「馬場下町」下車 会場前。

■参加店
平野書店、三楽書房、鶴本書店、渥美書房、金峯堂書店、照文堂書店、虹書店、立石書店、ブックスアルト、いこい書房、浅川書店、古書現世、岡島書店、メープルブックス

■主催 早稲田古書店街連合会

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「第3回鬼子母神通り みちくさ市」エピソード〔3〕

<北方人>さん、<寝床や>さん、<駄々猫舎>さんたちの集まった会場は賑やかで、何度も足を運んでしまった。ご友人、助っ人さんなどが大勢いらしゃっていて、楽しそう。

<北方人>さん、お元気そうで何より。前回、いい本たくさん、おまけしてもらいました。
閉店近い時間帯のセールも期待しつつ(我ながらせこい)、夕方まで残っていてくれ~と思っていた本を目当てにまた伺う。
巖谷大四『瓦板 昭和文壇史』(時事通信社)、長部日出雄『書物交遊録』(PHP研究所)をまず頂戴する。そして気になった本、内田照子『荒野の殉死 椎名隣三の文学と時代』(蒼洋社)を手にとる。これは25年前に発行された本。
北方人さん「今時、椎名隣三について書くような人、いないよなあ」
私「そうですね。読む人も。でも私、珍しい人間のひとりなので、いただきます」
結局今回もまたおまけしてもらい、3冊500円!すみません、毎回。
「持って帰るの重いから助かるよ~」と、いつもの笑顔の北方人さんでした。

寝床やさんは前回に続き強力な助っ人さんとご一緒。(手芸部長さん?) どんどん華やかな感じになっていかれるので、羨ましい。寝床やさんが当日の様子を時系列にそって書かれたブログ(http://d.hatena.ne.jp/nedokoya/)面白いですよ~。「キレイナお姉さんが大好きです」シリーズ、せっかくシミュレーションまでしていたのに、キレイナお姉さんがお店をスルーしてしまうくだりが最高(笑)。
寝床やさんからは木村俊介『変人 埴谷雄高の肖像』(文春文庫)ほか2冊購入。

今回対面販売による古本市には初参加という<駄々猫舎>さん。この方のまわりは、ぱっと明るくなる。1日ほぼ1冊のペースで本を読まれている、脅威の読書家。出品されていた本は柔らかめの本が多かったように思いますが、シオランなども読まれるのだから、不思議な方です。
ブログ(http://dadaneko-chat.seesaa.net/)を拝見しましたが、初参加後のレポートを詳しく書かれていて、これから参加される方には参考になると思います。
ご主人は(エピソード〔1〕に書かせていただきましたが)、私と怖いくらい読書の傾向が似ていて、
今回私ども<とみきち屋>から大量にご購入いただきました。

<あり小屋>さん。ご家族でお見えになられたのに、またもお会いできず。痛恨の極み。今度の「秋も一箱」のこと、海外文学のことなど話したいことがたくさんあったのに…。
田村隆一の本をご購入いただいたとのこと。いつもありがとうございます。

お店が入っていらっしゃるビルの上階が火事になり、たいへんだった<古書往来座>瀬戸さんのところへお見舞いに伺う。「水が4階にまで来たと聞きましたが、心配ですね」と言うと、「プロ中のプロ(消防士)が1階までは来ないと言ってくれたけれど<針のむしろ>ですねえ…」と瀬戸さん。
大事に大事に育ててこられた<古書往来座>ゆえ、その胸中お察ししようにも及びがたいものがあると感じられました。水が決して上から漏れてこないよう、ただただ祈るばかりです。

この頃は午前3時起きを心がけているらしい<リコシェ>豆子さんとは楽しいお話しを。豆子さんの対人関係の描写がリアルで楽しく、とみきちと二人でお腹をかかえて笑ってしまいました。豆子さん面白すぎます。

<チンチロリン商店>Pippo さんのところへ遊びに行く。早い時間帯に、目玉となる詩集は売れてしまっていた。当然か。エリュアール、アラゴンなども引き取り手がいたとのこと。それを聞き、エリュアールを久々に読んでみたくなる。
詩に注がれるまっすぐな情熱がいつもストレートに、それでいながら、なんかほのぼのと柔らかく伝わってくるので、話すのが楽しい。私は勝手にPippo さんを現代の吟遊詩人と思っている。
ご自身ブログの中で書かれていたように、《大正浪漫》の感じが漂っている。うん、確かに。
近代詩朗読集「てふてふ 二匹め」の発売も楽しみ。

竹田青嗣選『はやりうた読本 ひばりからサザンまで』(福武文庫)がなんと100円。竹田青嗣『陽水の快楽』は読んだものの、この本の存在は知らなかった。
中上健次「都はるみ 最後のヒノキ舞台」、平岡正明「山口百恵は菩薩である」、天沢退二郎「中島みゆき論を求めて」、笠井潔「象徴としてのフリーウェイ -ユーミンのセミオロジー」など盛りだくさんの内容。
そして今回は、おや!?と思える本を1冊。戸田義雄編『日本におけるマルクス主義批判論集』(国文研叢書)。Pippoさんのところに何故こんな本が?と思ったものの、それについては時間がなく訊けず。吉本隆明の本は古本市でどういった層に売れるか?という話題になり、意見が一致。コアなファンはみなさんお持ち。よほどレアなものでないとダメ。初めての読者、厳しい。中間層、いるのか?(笑)というような感じで。

武藤良子さんu-senさんがいらっしゃる、<わめぞ>の新書・文庫売り場へ。外市にも何度か足を運んでいるので、この本は○○さんが出した本かな、などと推測するのも楽しみ。
1冊持っているものの、もう1冊ほしかったので、樺美智子『友へ 美智子の手紙』(三一新書)を手にする。「u-senさんじゃないですか?」と尋ねると肯かれる。「喜ばせなくてもいいのに」と武藤さん(笑)。
中学の時に読んだ『生活の探求』(新潮文庫)はいまだに目にすることはないが、同じ作者、島木健作の『赤蛙』(新潮文庫)もそうそうは見ない。私の活動範囲が極端に狭いということもあるが。その『赤蛙』が目に留まったので購入。誰のかなあと思ってスリップを見たら、なんとこれもu-senさん出品。驚きました。

<古書現世>向井さんには何度も差し入れをいただく。私がふらふらと会場を彷徨っている間、とみきちが楽しい話を聞かせていただいたとのこと。NEGIさん退屈男さんはいつものように頼もしいサポートぶり。
出店場所を提供していただいた「キク薬局」ご夫妻には、何かとお気遣いいただき、恐縮の至り。いろいろとありがとうございました。
今回、<立石書店>の岡島さん、<旅猫雑貨店>の金子さんのお顔を拝見できなかったのが、寂しい。金子さんには、かわいい子猫フクスケくんの話を聞きたかった。

春の一箱で『虹滅記』を、前回のみちくさでは『サブリミナル・マインド』などをお買い上げいただいたHさんには今回お目にかかれず残念。一箱出ますので、お暇だったら来てくださ~い。お待ちしております。
仲良くさせていただいているmasubonさんも、今回は会場にはお見えになられなかったご様子。一箱には出られるみたいなので、お会いできるかな。

出品本としてブログで紹介した、岡田史子『ほんのすこしの水』(サンコミックス)、関川夏央・谷口ジロー『坊ちゃんの時代 第一部~第五部』(双葉文庫)は、おかげさまで引き取っていただきました。

ブログでとりあげられなかった方も含め、会場あるいは当店に足をお運びくださった多くの方々、スタッフの方々、商店会のみなさま、ほんとうにありがとうございました。そして参加者の方々、おつかれさまでした。またどこかでお会いできるのを楽しみにしております。

とみきち屋

店主・とみきち(http://yomuyomu.tea-nifty.com/dokushononiwa/

番頭・風太郎

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「第3回鬼子母神通り みちくさ市」エピソード〔2〕 え?!あの方が…。驚きの事実

いつものようにひょうひょうとした感じでナンダロウさんがお越しになる。そしていつものようにさっとうちの箱を眺め、「買わないようにしているんだよね」。
<ほかでは買ってるじゃないですか>と思っても、大人だから口にはしない(笑)。ナンダロウさんに購入いただけそうな本を<とみきち屋>で出せそうにないのはわかっております。はい。

都合がついたら久々に茶話会に参加したいと思っていたので、
「ナンダロウさん、NHKの朝ドラ《つばさ》の話だけだと、一度も見たことないから…」
「冗談、冗談。一箱の話もするから」。

「ナンダロウさんが豚といっしょに映っていた写真素敵ですよねえ。それに、すご~くかわいい!」と店主・とみきち。<うわあ>と思ったものの、「ありがとう」と言ってナンダロウさんが微笑まれたので、胸を撫で下ろす。

岡崎武志さんにお立ち寄りいただいたので、「こんにちはー」とご挨拶。「どーもー」と岡崎さん。
午後になって岡崎武志堂に伺うも、少し離れた日影でどなたかと熱心にお話しされている最中で、お声をかけられず。暑さでかなりお疲れになられたご様子。
岡崎さんのお隣で出店されていた<ゆず書房>さんに前回の御礼を申し上げる。閉店間際いい本を何冊も買わせていただいたので。今回は山川方夫『親しい友人たち』(講談社文庫)を購入。

黒岩比佐子さんが会場にいらっしゃると、みなさんの雰囲気がぱっと明るくなる。私もそうだが、嬉しいんですよね、お会いできるだけでも。春の一箱で『堺利彦伝』をご購入いただいた際、堺利彦関連の本を執筆されるご予定と、ちらっとうかがっていたのですが、いよいよという感じで先が楽しみ。
ブログ『古書の森 by Hisako』(http://blog.livedoor.jp/hisako9618/)で書かれていた記事「大杉栄のお墓参りと大杉栄の甥の橘宗一墓前祭(1)~(3)」「大杉栄の墓の横の墓誌」がとても心に残ったので、そのことをお話しさせていただく。黒岩さんはその中で次のように書かれている。

「犬共ニ虐殺」……。可愛がっていた一人息子を殺された父の無念さが、この5文字から、長い時を隔てても伝わってくる。その碑文を、しばらく無言で見つめていることしかできなかった。

今、竹中労『断影 大杉栄』や大杉栄自身の著作などを読み返しているが、黒岩さんが触れていた、佐野眞一『甘糟正彦 乱心の曠野』も未読なので是非読んでみたい。

実はここまで、前回記事をアップ直後書き終えていました。そして今夜(24日夜)、俄に信じがたい事実を知ることとなりました。黒岩さんから頂戴したコメントが元で、黒岩さんが私の高校の一年先輩であると判り、驚きと嬉しさのあまり卒倒。こんなことがあるなんて…。言葉を失ってしまいました。

久しぶりに<四谷書房>さんとゆっくりお話しできました。ブック・ダイバー「ふるぽん秘境めぐり」、「みちくさ市」、10月の「秋も一箱」と1ヶ月内に3連ちゃんはさすがにたいへんそう。
初参加の「みちくさ市」の感想をうかがい、納得のいくことが多かったです。
値付け、品揃えの微妙な違い。これは、実際に参加してみないとわからないところがあります。私も「みちくさ市」にはプレ開催含め4回参加しましたが、まだまだ奧が深く。それが楽しくもあります。

同じキク薬局さんに出店された<書肆紅屋>さん、<モノンンクル・ブックス>さん、お世話になりました。開店から途切れることなく、多くのお客様が吸い込まれるように集まって来るばかりか、どんどん売れてゆくさまを間近で見ていて、驚きました。

1冊の本をどう「安い」と感じるか、出品する側、買う側では違いがあります。ブックオフは論外にしても、ふつうの古書店で蔵書の一部を処分してもおおよその金額(かなり安い)はわかるものです。紅屋さんがおっしゃる通り、それを考えれば多くの本好きの方に喜んでもらえ、お金では得られぬ経験ができるのであれば、出店者側からすれば単純に安く提供しているとも言い切れないんですよね。

紅屋さんのすごいところは硬軟織り交ぜ、毎回品揃えを換えて良質の本を、絶妙の価格で多数提供していることです。真似したくてもできるものでありません。紅屋さんの教養、経験と実績あってからこそできることで。
当日は様々な貴重な話もうかがえ、勉強になりました。

お隣の<モノンンクル・ブックス>さん。私の知らないジャンルの本が多かったのですが、すごい本がずらりと並んでいました。どうすごいのかはわからなくても本の装丁、たたずまいからだけでもそう感じられるのです。
熱心なお客様との会話がもれ聞こえてくるのですが、お客様が嬉しそうに話す様子から、いかに貴重な本なのかが伝わってきます。それでも、「今回は目玉商品がないんですよ」とのこと。凄すぎます。
けっこう長い時間店主・とみきちが楽しくお話しさせていただきました。私も含め騒がしかったのではないでしょうか。
最後の最後に佐野洋子『役に立たない日々』(新潮社)をお買い上げいただき、ありがとうございました。佐野洋子の本を持ち帰らなければならないのは、私どもにとって辛いものがあるのです。値段とは関係なく。嬉しかったです。
一箱には参加されないようですが、ぜひ遊びにきてください。お待ちしております。

<古書、雰囲気。>さんとは、会場内の道でばったりお会いする。なんと当店から深沢七郎『盆栽老人とその周辺』(文藝春秋)をお買い上げいただいていました。「昨夜TVで車谷長吉が出ていたのだけれど、なんだか深沢七郎と感じが似ているような気がして」と。

<ドンベーブックス>ご夫妻にお越しいただく。奥様とは初めてご挨拶。お二人で地方の古本市にも参加されているのですから、単なる「本好き」にはおさまらない雰囲気を感じます。
小布施での一箱古本市のエピソードをいろいろと聞かせていただく。想像以上にたいへんだったご様子。なのに、さらっと話されるそのパワーとエネルギー。こういう方々がいらっしゃるから、「一箱古本市」が全国に広まっていくのだなあと頭が下がります。

<どすこいフェスティバル>のKさん、Tさん。そしてKさんのご友人のSさんにもお越しいただく。前回に続いて楽しくお話でき、嬉しかったです。<どすこいフェスティバル>さんは「秋の一箱古本市」に参加されるので楽しみ。出店会場が近くになることを願っています。

<あいうの本棚>さん。今回もまた目を見張るような店構え。いつ見ても素敵ですね。
1gあたり10円量り売りには驚きました。さっそく、15g150円で、シリトー『屑屋の娘』(集英社)を購入。それと、『京都読書空間』(光村推古書院)も。
先日ブログにも書いた、吉本隆明のDVDを貸与している京都精華大学の情報館。葉っぱさんに教わった「アスタルテ書房」、ブログで聞いたことのある「がけ書房」などがカラー写真で掲載されているので、思わず手が伸びてしまう。トモコさん、マキさん始めそんなにゆっくりお話しはできなかったものの、お会いできてよかった。
トモコさんには、当店より小川洋子(文)・中村幸子(絵)『はつ恋 ツルゲーネフ 』(角川書店)をご購入いただく。
「詩的で美しい文章と、どのページも開いて飾っておきたい美しい絵」とブログで触れていただき、うれしく思います。

・・・・・〔3〕に続く。

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「第3回鬼子母神通り みちくさ市」エピソード〔1〕

顔見知りの方、初めてお会いする方、今回も多くの方々との交流をはかることができ、ほんとうに楽しい一日でした。たとえ100円の本を1冊でも、ご購入いただいた方の満足気なお顔を拝見できるのが嬉しい。たとえ言葉を交わすことはなくとも、本を手渡せる喜びを心にとどめておきたい。そんな想いで私ども<とみきち屋>は古本市に参加させていただいております。店頭・会場では店主とみきちと共に騒がしくしておりますが。
毎回のように足をお運びいただくお客様、再度お越しいただいたお客様のことは参加前に思い浮かべ、何かないかなと1冊は用意するよう心がけております。手にとっていただけるか否かは別です。既にお持ちの場合もありますし、他の方が持ち帰ってしまうこともありますので。
それでは、エピソード〔1〕。一般のお客様のことから。

■『尾崎放哉句集』(岩波文庫)■村上護『放哉評伝』(俳句文庫)

今回設けた特集「放哉と山頭火」をお目当てに、開店直後お買い上げいただく。
「春の一箱の時、『徳川夢声日記』(全7巻・中公文庫・1700円)出してたでしょ。あれ、1週間前にけっこう高い値段で買ってしまったんだよね」とお客様のほうから話しかけていただく。最初のお客様が<とみきち屋>目指して来ていただけたので、にっこり。

■岡井隆『前衛短歌運動の渦中で』(ながらみ書房)
■小澤勝美『透谷と漱石 自由と民権の文学』(双文社)
■荒岱介『大逆のゲリラ』(大田出版)
■ブランショ『明かしえぬ共同体』(ちくま学芸文庫)ほか13冊

私どもが初めて古本市に参加した昨秋の「秋も一箱古本市」以来、毎回のようにお越しいただき、まとめてご購入いただいている大のお得意さまHさん。古本業界で知らぬ人はいないというくらい高名な方と知ってからも、変わらずお話しさせていただいております。
これまでも「トラック一台用意しておいて」「今日はこれくらいで(買うの)勘弁して」というような感じで、それはもう楽しく。

番頭「実はこの3冊、ある方のことを考えて昨夜2冊、今朝1冊追加した分なんですよ」
Hさん「だんだん気が合ってきちゃいましたね~(笑)」
番頭「お困りですか?(笑)」
一通り本を選ばれてから、荒岱介『大逆のゲリラ』を手にされる。
Hさん「荒岱介、このところけっこう本を出しているよね」
番頭「昨秋出た『監獄ロック…』では、監獄でいっしょだった野村秋介とのエピソードを書いてますね」
Hさん「ほう。(略)じゃあ、もらっておこうか」

多くのお店から多くの本を購入されるHさんにとって<とみきち屋>など、たいした店ではないことも重々承知しています。今回も値段を確認された上で購入されたのは13冊中3冊ほどでした。当店の倍の数の本を一日で購入頂いたお店もあります。
それでも、<とみきち屋>は<とみきち屋>。引き取っていただける本がなくとも、Hさ~んと、親しみをもってこれからもお声をかけさせていただきます。

■シオラン『オマージュの試み』(法政大学出版局)
■平岡正明『ボディ&ソウル』(秀英書房)
■山上たつひこ『光る風 上・下』(ちくま文庫)
■松本健一『若き北一輝 恋と詩歌と革命と』(現代評論社)ほか7冊

「みちくさ市」では第1回から3回連続ご来店いただく。「何かの研究をされているのですか?」とお尋ねしたら、「そうではないんです」というお答え。いつも、1冊1冊本を手にとられ、ご自身のポイントとなるところを読まれてから購入される、落ち着いた雰囲気の若い男性。シオランを引き取っていただけたのは嬉しい。(今回シオランの本が一部で人気だったことはまた改めて)
一度他店を廻られてから再度ご来店。「小説は多いのだけど、(この方の)好みにあった思想系の本があまりなくて…。」それから、「最近松本健一を読んでいるんですよ」と『若き北一輝 恋と詩歌と革命と』もご購入いただく。

■荒川洋治『夜のある町で』(みすず書房)
■小谷野敦『「こころ」は本当に名作か』(新潮新書)

「ブログ初めて読みましたよ!」と声をかけていただく。「一箱古本市」を含め、何度もご来店いただいているのですが、前回お会いした時ブログというものはほとんど見ないとおっしゃっていたので、驚きました。
「荒川洋治の本がほしくて……あった!まだ残っていたんだ」と満面の笑み。「これ(『夜のある町で』)、みすずから出たエッセイの中では最初のですよね。新刊書店では見つからなくて…いやあ、よかった」。こちらまで嬉しくなってしまいました。
当ブログで出品本の一部を紹介した際「いい本なのに品切れです」と、取りあげたのをご覧いただいたのです。
以前、工藤庸子『プルーストからコレッットへ』(中公新書・品切れ)をご購入いただいたこともあってだと思うのですが、「古本市で新書を売るのは難しいのかもしれないけれど、新書も(ほしいと思った時には)いつのまにか店頭から消えてしまうので、これからも出し続けてくださいね」と言っていただく。
確かに、自らちょっと無謀かなと言いながら、「新書祭」と特集を組んで前回のみちくさ市では40冊出品。引き取っていただけたのは18冊。決して動きがいいとは言えない。それでも、私自身新書にはお世話になっているし、好きでもあるので、少な目とはいえ今回も14冊出しました。(9冊購入いただく)
古本市に参加する際には、出し続けます!(笑)
またお会いできるのを楽しみしておりますね。
※荒川洋治はもう1冊出しており、ほかの方でしたが『読書の階段』(毎日新聞社)も購入いただけたので、荒川ファンの<とみきち屋>としてはほっとしております。

■久生十蘭『魔都』(朝日文芸文庫)1000円→800円
■内田樹『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)■鷲田清一・内田樹『大人のいない国』(プレジデント社)

若い女性のお客様。内田樹の本がお好みのようでまず2冊。そして、『魔都』を何回か手にされたものの、迷われた後箱に戻される。「この本、ほかではもっと高いんだけれど…」と。
お求めの本であることが伝わってくる。当店も値段は3ケタ(1000円)。1冊しか所有していなかったので、持ち帰ってもいいかなという気持ちが働いていた。でも、ここはと思い、「すでに2冊ご購入いただきましたので、『魔都』は2割引にさせていただきます。それでよろしかったら、いかがですか?」と、声をかけさせていただく。
自分は読んでいるのだし、またどこかで探せばいい。出品した以上、できれば誰かの手に渡ってももらいたい。読んでもらいたい。
こういうやりとりができるのも、古本市の楽しみのひとつです。

■H.ジェームズ『金色の盃 上・下』(講談社文芸文庫)
■水村美苗『続明暗』(ちくま文庫)
■里見弴『多情仏心』(新潮文庫)ほか7冊

20代の男性がご来店早々『金色の盃』を確保される。大事に読んだから状態は新品に近いとはいえ、1000円はちと高かったかなと思っていたのだが、迷わず手にとられたので、いきなり引きつけられてしまう。次々と色々な本を手にとってもらえるのが嬉しい。既に袋いっぱいに買われていたので、荷物をお預かりする。15分近く滞在していただいただろうか。途中『多情仏心』500円でやや迷われていたのが印象に残る。
「ほんとうに本がお好きなんですね。しかも幅広く」と声をかける。
「ええ」と少し照れた感じで。それがまた素敵な笑顔。
「6冊も買っていただいたので、値段がひっかかって戻された本がおありでしたらサービスさせていただきますが、どうですか?」
「いいんですか」とおっしゃってから間もなく「じゃあこれを。あまり見ないんで」と差し出されたのが『多情仏心』。
「200円でいかがでしょうか?」とお尋ねしたら、喜んで引き取っていただけました

■中上健次『破壊せよ、とアイラーは言った』(集英社)
■土方巽『病める舞姫』(白水Uブックス)
■ジェフ・コリンズ『デリダ』(ちくま文芸文庫)
■辰野隆『ふらんす人』(講談社文芸文庫)
■山口昌男『本の神話学』(中公文庫)ほか9冊

一般のお客様の範疇に入るかとなると微妙なのですが、敢えて書かせていただきます。私の読書の趣味と傾向が似ていて、出品する本の多くが家の本棚にもいっぱいあるんですよと、このお客様の奥様からはうかがっていました。それにしても、似ているというか、近いというか、もううまく言葉になりません。中上健次など文庫本でお持ちなのに、単行本は持っていないし装丁がいいからと購入いただく。私は今回文庫本を残し、単行本を出品しましたが、古本市に参加するようになっていなかったら、手元に残していたと思います。
不思議なご縁も感じます。雨で順延だったら翌日はお仕事で来れないことも聞いていたからです。一度奥様がお一人で来られ、「アイラーまだ残っているかなって言ってます(笑)」と。
「お気遣いありがとうございます。開店からとうに1時間を過ぎているので、ご遠慮なくと」とお答えする。そしてしばらくしてからご来店いただきました。
今回出店されていた、駄々猫さんのご主人です。ご主人は蔵書を手放すことはないそうで、今回も駄々猫舎さんのサポートのような形で来られたようです。
駄々猫さんにも内田百閒『ノラや』(中公文庫)をご購入いただいたので、ご夫妻あわせて10冊も!嬉しくてならないのですが、申し訳ないなあという気持ちも。「次からは一緒に来ませんよ~」などと言われたら寂しい。お買い上げいただくてもかまわないので、もっと本の話をさせていただきたいです。駄々猫さんも明るく素敵な方で、いっぺんでお二人のファンになってしまいました。こちらからも伺いますので、またお越し下さい。
駄々猫さんもシオランをお求めで、今回は『オマージュの試み』が売れてしまい、残っていた『悪しき造物主』はお持ちだったとのこと。まだ6冊ほど蔵書にあるのですが、それは手放せないので、「一箱」までに見つけたら、出しますね。

■今村仁司『現代思想の系譜』(ちくま文庫)
■高田里恵子『学歴・階級・軍隊』(中公新書)

20代後半と思われるとても感じのいい男性。「写真撮ってもいいですか?」と聞かれ、きょとんとしてしまう。関係者以外の方から言われるのは初めてだったので。目玉商品はだいぶ引き取られ、箱も崩れていた状態だったので、少し恥ずかしかったものの快く了承。
後日、葉っぱさんのお知り合いの方だったと知り、さらに驚きました。

■青木正美『古本屋五十年』(ちくま文庫)
■フーコー『外の思考』(朝日新聞社)
■鶴見俊輔『神話的時間』(熊本子どもの本の研究会)
■小熊英二『日本という国』(理論社)

『古本屋五十年』は、以前佐野洋子の本をご購入いただいた方で、一箱古本市の助っ人さん。いつもお世話になっております!
フーコーは30代と思われる女性。昔読んだ時に、折り跡をつけてしまったし、かなり古くなっているので「こんな状態でもかまいませんか?」と申し上げたのですが、読めればいいのですという感じで肯かれる。できれば、お話しさせていただきたかったな。
鶴見俊輔、小熊英二は両方とも中年の女性にお買い上げいただく、前者は、表紙に描かれていた佐野洋子の猫の画が目に止まったご様子。佐野洋子が谷川俊太郎の元奥さんだったことをお話しすると、驚かれていた。後者は、お子さま連れの方。お話しはできなかったのですが、何度も何度も手にとられてからご購入いただく。中身もところどころお読みになっていたので、気に入っていただけたのかな。小熊にしてはわかりやすく書かれているし。小熊英二は高校の後輩。といっても3つ下の代なので、同じ空気を吸っていたわけではなく。ちなみに同級生には芥川賞作家・多和田葉子がいますが、一度も話したことはないので関係ないに等しいか(笑)。

女性のお客様が少ないのは今回も同じ。それでも、こんな本を引き取っていただきました。チェスタトン『木曜日だった男』、三好達治『諷詠十二月』、夢野久作『ドグラ・マグラ』、須賀敦子『コルシア書店の仲間たち』、『はつ恋 ツルゲーネフ /文:小川洋子 絵:中村 幸子』、深沢七郎『盆栽老人とその周辺』、佐野洋子『役に立たない日々』など。最後の3冊は顔見知り、参加者の方なので次回以降に触れたいと思います。

■シオラン『悪の造物主』(法政大学出版)

ご夫妻でご来店いただき、ご主人さまが購入。聞こえなかったのですが、お二人で何やらお話しされてから。
シオラン、春の「一箱」で『崩壊概論』(国文社)を出品したものの、ジュネの『黒んぼたち』(新潮文庫)を購入いただいた女性ほか数人にしか手にとってもらえず、終了後地元馴染みの古本屋さんに処分してまったのです。(1冊は残してあるので)
それが今回2冊とも売れ、しかも1冊はかぶり。わからないものですねえ。「一箱」でもダメかと、諦めてしまったのが失敗。自分が好きな著者の本は、暖めておこうと痛感。引き取ってもらえた時の喜びもひとしおなのだから。

■安岡章太郎『小説家による小説家論』(福武文庫)

プレ開催での出会いが私にとってはあまりに衝撃的だったので、「はにかみ高校生」と勝手に名づけて、その後もご来店いただくたびにブログでとりあげさせていただいています。前回などは会場全体が加熱してしまい、じっくり本を見ていられなかったかもしれません。今回は、前回のようなことはなかったのではないかと私は思っています。
お名前を存じあげないので、今後は高校生ということでkさんと、また勝手ながら呼ばせていただきます。
私ども<とみきち屋>は一度もKさんへの接し方を変えたつもりはありませんし、これからも来ていただける限りそのつもりです。大切なお客様のお一人として。
今回も購入いただき、ありがとうございます。店主・とみきちが「よごれていますけど、いいですか?」とお尋ねしたところ、いつものように静かに肯かれるのを斜め後ろから拝見しており、嬉しく思いました。
もし、このブログをご覧になり、触れられるのは心外と思われるようでしたら、お知らせください。これは、すべてのお客様についても同じ気持ちでおります。
<とみきち屋>はお客さまとの交流を喜びとし、みちくさ市に限らず古本市参加後、ブログで書かせていただいておりますので。
Kさんの場合、何の根拠もありませんが、当店のお客様として触れさせていただいていることを(もし読んでいただいていたなら)ご迷惑と思っていらっしゃらないと思っております。
またのお越しを、心よりお待ちしております。
いろいろな場所で、多くのいい本と出会えますよう、祈りつつ。

次回は、関係者、出店者、顔見知りの方について書きます。

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ご報告とお知らせ

今回の「第3回みちくさ市」、おかげさまで<とみきち屋>としては新記録の96冊引き取っていただきました。これまでは「一箱古本市」の85冊が最高だったので嬉しい限りです。ありがとうございます!
お馴染みの方が多いのはいつものことなのですが、13冊、9冊、7冊(お二人)、5冊と、5人のお客様にまとめてご購入いただいたことが大きかったと思います。計41冊ですから、全体のおよそ半分。
また、値段も前回より平均的に低くしたことも、要因のひとつではなかったかと思います。中途半端な設定ではありますが物によって500円→350円、300円→250円、 200円→150円というように。

〔結果〕 冊数96冊 打率5割7分 平均単価325円 

もっと多くの方にひきとっていただけるようにするのが、とみきち屋の課題です。

古書現世・向井さんがブログ「古書現世店番日記」において、産経新聞に掲載された「みちくさ市」に関する記事を紹介してくれていました。ご覧ください。

雑司が谷で「みちくさ市」 http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/090920/tky0909201957007-n1.htm

みちくさ市を終え帰宅後3時間も床で寝てしまったにもかかわらず、その後また朝まで5時間も寝てしまいました。このところ1時間半、3時間で目が覚めてしまうことが続いており、久しぶりに3時間以上続けて眠れました。イベント疲れと年齢によるものでしょうか(笑)
奇怪な夢を見ることが多いのですが、今朝はなんとゾンビ! 例のゾンビ歩きはしないので(はっきりと正体がわからず)、姿は普通の人間と変わぬ新種だったため、恐ろしいまでの緊張を強いられる戦いでした。ようやく手にした!と思った武器(銃)がただの携帯電話だったりして。ものすごくリアルで今も覚えています。しかし、古本ではなくゾンビの夢とは、自身の頭の中を覗いてみたくなります(笑)
午後になり、スリップを1枚1枚確認しながら購入していただいたお客様を思い浮かべ、どんなことを書こうかなと考えているうちに、所用で出かける時間となり結局高校同級生の情報しかアップできず。

日付が変わり本日22日は、墓参り、実家への顔出しなどで一日家を空けるため、みちくさ市エピソードは23日夜あたりから、少しずつアップいたします。(いつものごとく亀の歩みで、終わるまで1週間近くかかるかもしれませぬ)
見にきていただいても、「なんだ、何も書いてないじゃないか」となってしまうのが心苦しく、伝えさせていただきました。

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〔宣伝〕 楽市楽座東京公演「金魚姫と蛇ダンディー」・稲葉なおとの本

突然ですが、高校同級生の宣伝です。(同級生なので敬称略)
楽市楽座座長・長山現が井の頭恩賜公園にて本日より3日間「金魚姫と蛇ダンディー」の公演をしています。
高校の仲間たちも集まる予定でいたのですが、残念ながら私は都合がつかず行けません。
興味のある方は是非足をお運び下さい。

「金魚姫と蛇ダンディー」
http://www.bekkoame.ne.jp/ha/ag0214/kinhebi2009shousai.htm

行けば10年振りくらいに会えて、話ができたかもしれないもう一人の同級生・稲葉なおとについても。
世界中のホテルを廻り、自ら写真に収め、素敵な本を多数出版しています。現在は品切れとなってしまいましたが、新潮文庫版『まだ見ぬホテル』では、彼のいとこでもある「B'z」のヴォーカル・稲葉浩志が巻末解説を書いています。この文章がまたいいのです。古書店なら手に入ると思います。 もちろん新刊のほうも是非!

Web版「まだ見ぬホテルへ」http://www.yomiuri.co.jp/stream/hotels/

二人とも固定ファンが多く、私などがとりあげるまでもないのですが、高校の同級生ということもあって紹介させていただきました。

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「第3回みちくさ市」無事終了いたしました

お越しいただいた多くのお客さま、わめぞのスタッフの方々、商店街の方々。みなさま、ほんとうにありがとうございました。
おかげさまで、今回も楽しい一日を過ごさせていただきました。
手創り市と同日開催ということもあってか、多くの人で賑わい、「とみきち屋」も前回をかなり上回る結果を収めることができました。

「思想、哲学の本を必ず出品されているから」と毎回購入していただいたり、「厳しいみたいだけれど、新書も出し続けてくださいね」と励ましていただいたり、「ブログ見てますよ」と初めての方に声をかけていただいたり。こういったことのひとつひとつが嬉しくて、昨秋以来古本市の魅力にどっぷりつかっています。

私どもの場合、二人分の交通費と二箱送り、一箱送り返す宅急便代を考えると、車で運んだ方が駐車場代を入れても3000円近く安上がりなので、前回から車で参加するようになりました。
本日、帰りは自宅近くのファミレスで食事。妻と運転を代わってもらうことにし、普段ほとんどたしなむことのないアルコールを流し込むと、寝不足と疲れからか、帰宅後まもなく床でダウン。3時間近く寝てしまいました(笑)

次回から「とみきち屋」恒例、当日のエピソードを何回かにわたりご紹介させていただきます。

とりあえずのご報告は、妻・とみきちがブログにアップしておりますので、よろしければそちらをご覧ください。

とみきち読書日記 「第3回みちくさ市が終わりました。」
とみきち雑記帳 「古本市の日曜日。」

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明日20日(日)は「第3回 鬼子母神通り みちくさ市」!!

明日は気持ちのよい秋晴れに恵まれそうですね。みなさん是非、「第3回 鬼子母神通り みちくさ市」に足をお運びください。
会場のどこかのお店で、きっとお探しの本を見つけられと思いますし、これまで知らなかった素敵な本との出会いがあるかもしれません。
当店<とみきち屋>はキク薬局ガレージに出店(写真のような感じのお店)。目印はネコの看板です。

200909191640000_2 多くの方とお会いできるのを楽しみにしております。

出品本の一部を当ブログにて紹介しております。

興味のある方はこちら→(1)(2)をご覧ください。

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「第3回 鬼子母神通り みちくさ市」

▼開催日
2009年9月20日(日) 10:00頃~16:00
雨天の場合、翌日21日(月・祝日)に順延(この日が雨の場合は中止)

※当日は、鬼子母神堂境内にて手創り市も開催されております。こちらも併せてお楽しみください(21日に順延の場合は開催なし)。
http://www.tezukuriichi.com/

▼会場
雑司が谷・鬼子母神通り
東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺
Google地図 >> http://tinyurl.com/6xmc4y

主催/鬼子母神通り商店睦会  協賛/わめぞ http://d.hatena.ne.jp/wamezo/

----------------------------------------------------
● 当日朝の7:00に天候による開催の有無を決定します。
----------------------------------------------------
以下の方法で開催の有無を確認できます。
・みちくさ市ブログ http://kmstreet.exblog.jp/
・みちくさ市携帯サイト http://mblog.excite.co.jp/user/kmstreet/
・わめぞブログ http://d.hatena.ne.jp/wamezo/
・みちくさ市本部携帯電話 090-1766-2008(当日のみ)

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ブック・ダイバー「ふるぽん秘境めぐり」へ

某航空会社機内誌広告の打ち合わせを終えてから神保町へ。ブック・ダイバーで開催されている「ふるぽん秘境めぐり」を覗く。
四谷書房さんが参加されているので、都合のついた時には足を運ぶようにしている。
3日目の夜で、だいぶ売れてしまったのか、残念ながらどうしてもほしいと思う本をみつけられなかった。
出店者によっては得意のジャンル中心の品揃えで目を惹かれたものの、私の読書傾向とは異なるジャンルのため手が伸びず。「一箱古本市」や「みちくさ市」に比べると、割りあてられたスペースも小さめなので、出品本もかなり絞らなければならず、苦心されているのではないだろうか。しかし、こういうイベントは面白いし、いいなと思う。

文庫は全般的に200円が中心で、良書なのに安いと感じる。ただ如何せん、既に所有している本が多く…。
結局、ダイバーさんの棚から今東光『悪太郎』(角川文庫)一冊のみ購入。
帰り際、ガラス本棚に野村秋介『獄中十八年―右翼武闘派の回想』(現代評論社)が2冊も入っているのに目が留まる。現代評論社版(初版)と二十一世紀書院版、2冊持っているのだが、手頃な値段ならもう1冊ほしいと思っていたので値段を訊く。初版ということもあるのだろうが、私が予想した値段より高かったので諦めた。

帰宅後(夜遅くに)「古書往来座」さんの入っているビルの上階が火事でたいへんだったと知り驚く。直接の被害は免れたみたいでよかった。
火と水。人間には欠かせないものだが、時に私たちに牙をむく恐ろしいものと思えてならない。火事だけではなく、この何年か異常気象による水害も多いので、いっそう。

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第3回「みちくさ市」出品本の紹介(2)

台風どうにかならんものでしょうか。予報では21(月・祝)は問題無さそうですが、開催予定の20(日)が微妙な感じで。参加者の中には順延になると都合の悪い方もいらっしゃるのではないでしょうか。手創り市と同じ日にやりたいですし、自然相手とはいえ、予定通り開催できるよう祈りたいと思っています。
それでは「とみきち屋」出品本のご紹介の続きを。 ※「とみきち屋」はキク薬局ガレージに出店します。

【 放哉と山頭火 】

酒に浸り、人を頼りにしながらも好きなように生き、彷徨い続けた。そして自由律俳句の代表として並び称される二人。そばにずっといられたら、こちらの身がもたないような男たち。「甘ったれ」と彼らに抵抗を感じる人がいても不思議ではない。その一方で人を引きつける何かを持っている。いまだに彼らの本がなくならない由縁であろう。

彼らそれぞれの生涯を辿り、作品を読むと、一見似ているようで実は大きく違うことが見えてくる。吉村昭『海も暮れきる』は、小説(フィクション)ではあるが、尾崎放哉の姿を見事に描いており、初心者には最適。

岩川隆『どうしやうもない私』は、それこそ種田山頭火のどうしようもない、だらしない人間性を描きつつも、その生き方に揺さぶられ、共感に近い心情も吐露しており、魅力ある作品になっている。

【 新潮文庫・復刊シリーズ特集 】

岩野泡鳴『泡鳴五部作 上・下』、嘉村磯多『嘉村磯多集』、高見順『いかなる星の下に』、三好達治『諷詠十二月』など16冊用意しました。ただし、岩野泡鳴、嘉村磯多は定価より高い値段になりますので、ご了承ください。

【 セット物 】

関川夏央・谷口ジロー『坊っちゃんの時代』第一部~第五部(全5冊)双葉文庫

これまで抱いていた漱石、啄木、鴎外などのイメージが崩れるかもしれないのでご注意を。特に啄木は強烈(笑)。でも、面白いです。とみきち屋おすすめ。

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《 第3回 鬼子母神通り みちくさ市 》

昨年11月30日にプレ開催としてスタートした商店街での古本フリマ「みちくさ市」の第3回を9月20日に開催します。

2008年6月、東京に新地下鉄・副都心線が開通し、雑司が谷駅が誕生しました。ちょうどその駅の真上には、ひとつの商店街があります。鬼子母神通り商店睦会。安産・子育の祈願で知られる鬼子母神堂付近から"ちんちん電車"都電荒川線の「鬼子母神前」停留所を抜け目白通りに至る商店街です。
この地の利をいかした、地元に根付くイベントを開催できないかと、「鬼子母神通り商店睦会」と、早稲田・目白・雑司ヶ谷にて本に関する仕事をしている人間のグループ「わめぞ」が組んで、一般参加型の古本をメインとしたフリーマーケットを開催することになりました。商店街の店先で一般参加者が古本や雑貨などを販売し、わめぞによるミニ古本市も商店街内数か所で開催します。鬼子母神通りが一日限定の古本街になります。

▼開催日
2009年9月20日(日) 10:00頃~16:00
雨天の場合、翌日21日(月・祝日)に順延(この日が雨の場合は中止)

※当日は、鬼子母神堂境内にて手創り市も開催されております。こちらも併せてお楽しみください(21日に順延の場合は開催なし)。
http://www.tezukuriichi.com/

▼会場
雑司が谷・鬼子母神通り
東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺
Google地図 >> http://tinyurl.com/6xmc4y

主催/鬼子母神通り商店睦会  協賛/わめぞ http://d.hatena.ne.jp/wamezo/

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● 当日朝の7:00に天候による開催の有無を決定します。
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以下の方法で開催の有無を確認できます。
・みちくさ市ブログ http://kmstreet.exblog.jp/
・みちくさ市携帯サイト http://mblog.excite.co.jp/user/kmstreet/
・わめぞブログ http://d.hatena.ne.jp/wamezo/
・みちくさ市本部携帯電話 090-1766-2008(当日のみ)

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第3回「みちくさ市」出品本の紹介(1)

まずはご報告を。10月10日(土)開催予定「不忍ブックストリート 秋も一箱古本市」への参加が正式に決まりました。
今回のみちくさ市から1ヶ月も空いていないので、春同様悩みに悩んでいます。何冊も手元にあるものなら、いい本、お勧めの本は毎回でも出したいと思っているのですが、それ以外はできる限り重ならないようにしたいという思いが拭えず、自らを縛り付けている感じです(笑)。
それでは2回に分けて、「とみきち屋」出品本の一部をご紹介させていただきます。

200909150109000

■久生十蘭『魔都』(朝日文芸文庫)

■中上健次『破壊せよ、とアイラーは言った』(集英社)
集英社文庫版も品切れ久しく、入手の難しい本です。アルバート・アイラーだけでなく、マイルス・デイビス、ジョン・コルトレーン、エルビン・ジョーンズ、セロニアス・モンクなどについても熱く語っています。

■土方巽『病める舞姫』(白水Uブックス)
澁澤龍彦、三島由紀夫、瀧口修造、埴谷雄高などを魅了した「暗黒舞踏」の確立者・土方巽の作品。

■荒川洋治『夜のある町で』(みすず書房)
いつの間にか版元品切れ。いい本なのに。

■山上たつひこ『光る風 上・下』(ちくま文庫)
■岡田史子『ほんのすこしの水』(サンコミックス)
とみきち屋がコミック? ええ、確かに。でも、山上作品は番頭のお気に入り。岡田史子は昔吉本隆明が推薦していたので。

200909152030000■フーコー『外の思考』(朝日出版社)
■ヘンリー・ジェームズ『金色の盃 上・下』(講談社文芸文庫)
■青山光二『青春の賭け 小説 織田作之助』(中公文庫)
■徳富蘇峰『読書法』(講談社学術文庫)
■大松博文『おれについてこい!』(講談社)

ほか、シオラン、斎藤環、内田樹、鷲田清一、深沢七郎、安岡章太郎、小栗虫太郎など多数。
次回は特集、セット物などをご紹介します。

「とみきち屋」の出店場所は、キク薬局ガレージです。

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《 第3回 鬼子母神通り みちくさ市 》

昨年11月30日にプレ開催としてスタートした商店街での古本フリマ「みちくさ市」の第3回を9月20日に開催します。2008年6月、東京に新地下鉄・副都心線が開通し、雑司が谷駅が誕生しました。ちょうどその駅の真上には、ひとつの商店街があります。鬼子母神通り商店睦会。安産・子育の祈願で知られる鬼子母神堂付近から"ちんちん電車"都電荒川線の「鬼子母神前」停留所を抜け目白通りに至る商店街です。
この地の利をいかした、地元に根付くイベントを開催できないかと、「鬼子母神通り商店睦会」と、早稲田・目白・雑司ヶ谷にて本に関する仕事をしている人間のグループ「わめぞ」が組んで、一般参加型の古本をメインとしたフリーマーケットを開催することになりました。商店街の店先で一般参加者が古本や雑貨などを販売し、わめぞによるミニ古本市も商店街内数か所で開催します。鬼子母神通りが一日限定の古本街になります。

▼開催日
2009年9月20日(日) 10:00頃~16:00
雨天の場合、翌日21日(月・祝日)に順延(この日が雨の場合は中止)

※当日は、鬼子母神堂境内にて手創り市も開催されております。こちらも併せてお楽しみください(21日に順延の場合は開催なし)。
http://www.tezukuriichi.com/

▼会場
雑司が谷・鬼子母神通り
東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺
Google地図 >> http://tinyurl.com/6xmc4y

主催/鬼子母神通り商店睦会  協賛/わめぞ http://d.hatena.ne.jp/wamezo/

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● 当日朝の7:00に天候による開催の有無を決定します。
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以下の方法で開催の有無を確認できます。
・みちくさ市ブログ http://kmstreet.exblog.jp/
・みちくさ市携帯サイト http://mblog.excite.co.jp/user/kmstreet/
・わめぞブログ http://d.hatena.ne.jp/wamezo/
・みちくさ市本部携帯電話 090-1766-2008(当日のみ)

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『吉本隆明語る 思想を生きる』  聞き手・笠原芳光

京都精華大学40周年記念事業の一環として限定頌布(期間を定めない無償貸与の形・送料200円は負担)されたDVD『吉本隆明語る 思想を生きる』を視聴した。聞き手は京都精華大学名誉教授(宗教思想史)・笠原芳光。2008年12月2日、吉本隆明宅収録となっている。

●DVDの申し込みはこちら→http://www.kyoto-seika.ac.jp/1968+40/yoshimoto/

【 岡本清一との出会い 】

京都精華大学ゆかりの人物ということもあるのだろう、初代学長岡本清一の話で始まる。
60年安保闘争の参加者たちに対して何となく厚意を持ってくれているように感じた人物として吉本は、「西の岡本清一、東の平野謙」と二人の名を挙げる。このあたりのことは、『吉本隆明 思想とは何か 笠原芳光』(春秋社)の「あとがきに代えて」で語られているので引用したい。

孤立無援の感じで六十年安保闘争の全学連主流派に加担していたころから、京都の地から温厚な岡本先生の、無言の支援を感じていた。この感じは第一次戦後派の「近代文学」の同人で、感動的な島崎藤村の「新生」論を書いていた平野謙氏に私が感じた厚意とおなじものだった。面識もなく理由もわからない。そして真偽もわからないが、わたしの直感にひびいてくるものだった。神秘めかす気は毛頭ないが、たぶん岡本先生の書いた岩波新書の一冊(『自由の問題』)を読んだ印象で、この人はじぶんを理解してくれている人だと直感をもったせいだと思う。

岡本清一とは面識もないのに、その著書を読んだだけで支援を感じとるところなど、いかにも吉本隆明らしい。2001年95歳で他界した時に吉本が送った弔電が笠原によって紹介される。

<1960年この方、どんな孤立と孤独のときでも、先生の厚意あふれたぬくもりに支えられて私も友だちも励まされてきました。先生の隠されたまなざしのぬくもりは、生涯に初めての体験だったと思い、かなしみと感謝を新しくしております。>

昔から吉本の悼辞・追悼文には、吉本以外には見えなかった故人の特性を浮かび上がらせる見事なものが多い。単に褒めそやすわけでない。きっちり対峙する姿勢を崩さないのに、言葉の端々には愛情が満ちている。例えば鮎川信夫のように、生前対立した相手であってもそれは変わらない。(吉本の『追悼私記』が現在新刊で入手できないのは残念なことだ)

【 60年安保闘争 】

当時、匿名・署名の手紙が多く舞い込んできて、「おまえの言うとおりにしたため、思想的、精神的に安定せず、就職もなくフラフラしている」といった類の非難を浴びせられ、孤独を感じたらしい。でも内心では「よせやい!」と思っていたと微笑む表情に江戸っ子気質が表れている。

東大正門前の喫茶店2階におけるエピソードが印象に残った。
集まったメンバーは吉本のほか、竹内好、鶴見俊輔、そして共産主義者同盟(ブント)書記長・島成郎。そこで、島が口を開く。
「闘争は自分たち全学連にまかせてほしい。(それを)見守っていてください」と。
援助、応援という言葉が使われなかったゆえに、吉本の心に響くものがあったのだろうか、これがひとつのきっかけとなり、「総評などのデモには参加しない。自分は一兵卒でやろう」という気持ちが固まったと吉本は語っている。
私は島成郎の著書を『ブント私史』(批評社)しか読んでいないが、沖縄での地域精神医療活動に関することも含め、もっと読みたくなった。(新刊では入手不可のため時間がかかるにしても)

国電・品川駅の線路に座りこんだ際、鶴見俊輔、高畠通敏がやめてほしいと説得に来たものの座りこみをやめない。そのうち『赤とんぼ』の唄がどこからともなくわき起こってくる。下手すれば電車に轢かれるかもしれぬ・・こういう状況下では「もの悲しいほうが、筋が通る」と言う吉本。命を損傷されるかもしれない瀬戸際では、イデオロギーよりも人間としての情感。そう捉える吉本には、やはり詩人としての感性が宿っているのだと思える。
吉本の戦争時の言動、結婚にいたるまでの私的な経緯をとりあげ、おまえに共産党を批判する資格など無いと痛罵されるが、「腹をくくった」とも語る。

この後、猫を撫でながら掠れた声で猫に語りかける吉本のうしろ姿が映し出されるのだが、その様子はどこにでもいそうな老人そのもの。思想的発言内容とはあまりにも対照的。そこがこの人に惹かれるところでもあるのだが。

【 ファシズムと戦争 】

まず、日本における右翼には2種類あって、ひとつは農本主義的なナショナリズム。もうひとつは資本主義と結びついた民族主義だと切り出す。そして、ほんとうの意味でファシズムの要素を持っていたのは中野正剛率いる東方会しかなかったと述べる。
ここで花田清輝の名が出てくる。花田との論争を思い出したのであろうか、花田がかつて東方会の雑誌発行に携わっており、彼の論文は吉本や井上光晴も読んでいたがレベルの高いものだったと。ただ、東方会と関わっていたことを隠そうとするところが花田の弱点だったと語る。

続けて、自身の戦争との関わり方を正直に伝える。
アジア解放のための大東亜共栄圏の建設、国内の疲弊した農村の問題はとうてい放ってはおけず、幼稚だけれど自分なりの理念で参加した。日本人のどこがいけなかったかというと、「調子に乗ると威張る」ところだと、まるで小学生が使うような表現を用いるところがかえって生々しい。
私も常々考えていることなので、強く共感を覚えたのが以下の発言である。
「自分にも乱暴なところがあるので、国外で悪いことをしたかもしれない…。」

この後、石川啄木が金田一京助に語った「帝国主義的社会主義」に触れながら満州国の原点、本質へと話は展開していく。「帝国主義的社会主義」など、矛盾としか取れないだろうが、右翼、左翼の区別なくあの人たち(啄木たち)が苦しんだのはよくわかると強く言い放つ。
そして最後に、「戦争には正義も侵略もない。戦争そのものが悪なんだ」ときっぱりと言い切る。

【今を生きる若者たちへ】

人や社会に対して無関心であるようにも見受けられるし、実際自分の関わる文芸の分野では、今後国家はどうなればいいのかというはっきりとした形での声が聞こえてこない。しかし、自分も戦時下、詩を書いたり、あまり現実とは関係ない立原道造、堀辰雄などを読んで自分を解放しているところもあった。今の若者も内面を露わにしていないだけかもしれないと考える。青春というのは同じようなものかもしれないと。
加えて、谷川雁が理想を持って生き、人助けをやってきたのと違って、「自分は堕落する一方だったよ」と自嘲気味に語り、場が和む。

同席していた大学のスタッフが吉本に問いかける。
ずっと孤立感とか孤独感を抱きながら、大勢の人のいるところに寄りかからずに、鮎川(信夫)さんや埴谷(雄高)さんなどの先輩と対立しながらも、自分を保ってきた強さはどこから来たんでしょうか?と。

吉本はスタッフの方に目をやり、力強く語りかける。そこには老いたとはいえ、昔と変わらぬ吉本がいた。

「その人が固有に持っている、誰にもかえられない個性、好み、考え方、親から教わった生き方とか、ある意味宿命的なもの。自分には動かしようがない、でも自分固有の資質・個性。それを見つけて底の底まで誤魔化しもなしに心の中に入れて持っていて、その上で人は人の生き方、社会や国家のことを考えられる。これができたらもう言うこと無いんじゃないか。偽り無く自分の思ったとおりのことをやってまちがったら、それも自分固有のもの。(それで)ひでえ目にあったら、ある意味少し利口になる、いい体験になるということもあるので、まんざら捨てたものじゃないんじゃないか。」
笠原さんの言うように、自分の生き方を通せたらそれが強さといえるのかもしれないけれどと、言葉にはしたものの、吉本は自らを「強い」とはひと言も言わなかった。

DVDの最後は吉本自身の詩が画面に映し出され、静かに終わる。

『苦しくても己れの歌を唱へ』 吉本隆明作より
 
 己れのほかに悲しきものはない
 つれられて視てきた
 もろもろの風景よ
 わが友ら知り人らに
 すべてを返済し
 わが空しさを購はう

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「第16回 往来座 外市」・維摩経・八木重吉

5日(土)秋晴れの中、恒例の外市へ。今回初めて開催後間もない時間帯に足を運ぶ。すべての棚や箱が盛りだくさんで目移りしてしまった。古書現世・向井さんの話では、毎回一番に駆けつける常連のお客様も大勢いらっしゃるとか。そうだろうなと納得。

「sai」をまだ手に入れていないので、往来座・瀬戸さんに声をかける。案の定品切れで、追加で取り寄せるとのこと。それでも1冊どこかに残ってはいないかと、忙しいのにいろいろ探していただき、恐縮。瀬戸さんの温かい人柄を肌で感じる。

武藤良子さん 「維摩経」

武藤さんと久しぶりに話せて嬉しかった。以前お会いした時に比べ、心持ち表情も穏やかな感じがした。このところイラストを依頼されることが増えてきているようだし、よかった。
武藤さんの画がカバーに使われている、釈徹宗『とらわれない 苦しみと迷いから救われる「維摩経」』(PHPエディターズ・グループ)を買ったことを伝えると喜んでもらえた。淡いグレーを基調としたシックな装幀の中で武藤さんの画が映えている。本文中にも武藤さんのイラストがたくさん載っていている。

釈徹宗は内田樹との対談『いきなりはじめる浄土真宗』『はじめたばかりの浄土真宗』(本願寺出版社)を読んで以来、こんな住職もいるのだと興味を抱き著書の多くを読んできた。
その釈徹宗が「維摩経」をどう料理するのか楽しみしていた。
20年ほど前、長尾雅人訳注『改版 維摩経』(中公文庫)を読んだ際にはおそらく3割も理解できてはいなかったと思う。
釈は仏教全般を視野に入れつつ、重要な仏教用語にも簡易にして明確な解説を加えている。その上で、我々の日常をとりまく身近な例を挙げながら「維摩経」の独自性を説いている。二項対立、脱構築(デリダ)、永劫回帰(ニーチェ)、キリスト教にも触れているのだが、専門的にはならず、不思議なスパイスになっている。
『碧巌録』の中で「維摩不二」という公案になっている有名な「維摩の一黙、雷の如し」。それについて書かれている「不二の門へと入る章」を読んだら、「維摩経」のエッセンスがすとーんと腑に落ちた。ユニークな本だ。

話を武藤さんに戻そう。「往来座通信」で紹介されていた嫌記箱・塩山芳明さんからの手紙(FAX)の中で、武藤さんに触れられているところを話題にする。「塩じいに嫌われてもいいからお金持ちになりた~い!!」と武藤さん。その笑顔がとても素敵だった。

●Pippoさん  八木重吉

ブログ「ぴっぽのしっぽ」でPippoさんが詩人・八木重吉をとりあげていた。それに関連し、Myspace にアップされた「八木重吉:短詩八篇(SE オルゴール楽曲)」を試聴。
Pippoさん自身による朗読。しんみりとやわらかく心に染みてきた。思わずほろっとくる。

詩集『秋の瞳』『貧しき信徒』などから八篇を選んで構成しているのだが、まるでひとつの物語のようになっている。八木重吉のことを知らない方でも、これを聴いたら好きになると思う。
Pippoさんとは八木重吉についていろいろ語る時間を持つことができた。

病弱、29歳という若さで愛する妻と娘を残しこの世を去った詩人。心の奥底に宿る「かなしみ」はどこまでも深いのに、暗くじめじめとした感じとは無縁で、透明感すら湛えている。難しい言葉は使われていない。思想を表明しているわけでもない。
敬虔なキリスト教信者であった詩人ゆえ、神を通じての表現があることは確かだ。しかし、読み手に信仰はなくとも、人や自然への「祈り」があたたかく響き、まっすぐに伝わってくる。

Pippoさんにはより多くの詩人や詩を、ひとりでも多くの方に、Pippoさんの感ずるまま伝えていってほしいと伝える。10月末から始まる「ポエトリー・カフェ※」にも、いつか参加できる機会があればいいなと思う。
※Pippoさんによる詩人紹介・朗読(肉声のみ)。そののち、参加者みなで茶話会。

試聴は1週間限定と聞いていましたが、好評につき期間延長とのこと。八木重吉の朗読、まだ試聴できます!未聴の方は是非聴いみてください。
こちら→(http://www.myspace.com/pipoguitar

今回の外市、久しぶりに参加された晩鮭亭さんの箱が、好みの本でいっぱい詰まっていた。お値段も手頃というより、かなり安い設定で。4冊ほど購入。

〔購入本〕

■ 西脇順三郎『野原をゆく』(講談社文芸文庫)

■ 戸板康二『折口信夫坐談』(中公文庫)

■ 森敦『意味の変容』(ちくま文庫)
昔単行本で読んだが処分してしまったので、買い戻し。

■ 古井由吉『白髪の唄』(新潮文庫) 3冊目かな。

■ 渡辺慧『認識とパタン』(岩波新書)
これも買い戻し。さすが、古書往来座。この手のバックナンバーがあたりまえのように揃っている。

■ 伊達得夫『詩人たち-ユリイカ抄-』(日本エディタースクール出版部)

● 松田有泉『コラム等(ひとし)』(有古堂)

上記含め計15冊購入。

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〔雑記〕 福箱、サッカー 日本vsオランダ 

【 福箱 】

9月5日(土)。福袋ならぬ福箱が葉っぱさんから届く。箱を開けると、読みたいと思える本(冊子)、欲しかった本が次々と出てくる。嬉しい。それにしても、葉っぱさんのレパートリーの広さには驚くばかり。

■木山捷平『白兎 苦いお茶 無門庵』(講談社文芸文庫)
品切れで入手困難。有りがたし。

『百年の愚行 ONE HUNDREO YEARS OF IDIOCY』(普及版・Think The Earthプロジェクト)
環境破壊、密猟、戦争・紛争、テクノロジー偏重、差別など、人間の愚行がもたらしたものを写し取った100枚の写真。ほとんどが正視に耐えない。しかし、「注視せよ!」と迫ってくる。己も人間である以上、無縁とは言い切れない- そこから思考を巡らさない限り、奈落に突き落とされて終わるだけの恐ろしい写真集だ。

『佐藤泰志追想集 きみの鳥はうたえる』(佐藤泰志追想集を発行する会)
2年前、『佐藤泰志作品集』(クレイン)が発売された際、すぐに購入した。しかし、この1999年に作られた追想集のことは知らなかった(既に売れ切れらしい)。貴重な資料をいただいた。

■ 季刊 本とコンピュータ『終刊特集 はじまりの本、おわりの本。』(トランスアート)
清水徹、巖谷國士、作田啓一、杉浦康平などの執筆陣に混じってナンダロウさんが名(本名)を連ねている。季刊 本とコンピュータの創刊スタッフで、第二期前半には編集長を務めたのだから当然と言えば当然なのだが、私がナンダロウサンと出会ったのは昨秋の「一箱古本市」だったので、不思議な気がする。

上記他計16冊も送っていただいた。「この秋に開催される古本市に出品してもいいよ~」ということなので、所有本と重なった5冊の中から3冊ほど出してみようかな。もちろん上記4点は対象外。

【 サッカー 日本vsオランダ 】

久しぶりにサッカー日本代表の試合をリアルタイムで観た。
現在の日本の実力と世界との差を冷静に考えればW杯の目標ベスト4がいかに無謀なことか、火を見るより明らかだ。日韓共催というホームでの試合を除き、(国外開催)アウェーでは未だ1勝もしていないことを忘れたわけではあるまい。前回ドイツ開催ではブラジルに遊ばれたではないか。日本よりはるか実力で勝る国でさえ、時に予選敗退の憂き目を見るのがW杯の難しさ、厳しさ。より上のベスト4を目指さすことで予選突破(ベスト16)が果たせるなどという、単純なものではない。
指揮官が明確でしっかりした戦略を持ってチームを育成しない限り先はない。
私はサッカーというスポーツをこよなく愛している。何度裏切られようと、(世界の一流のサッカーとは)別の次元で日本のサッカーも愛している。だから不安でならないのだ。今のままではちょっと組合せが厳しかったら、またも1勝すらできないという結果が待っているようで。

案の定、今日のオランダ戦は番狂わせの気配すら感じられず、完敗。オランダはこの前のイングランドとの親善試合の前半に比すると、特に前半は全く別チームというくらい調子が悪かった。ほんとにFIFAランク3位か?と思えるほど。
ところが後半、日本がプレスをほとんどかけられなくなり、中盤が間延びし、スペースを与え始めた途端、攻撃練習しているかの如く軽々と突破されオランダに得点されてしまった。それにしてもこのところ日本は後半20分過ぎるとガクッと運動量が落ちるなあ。それに対して監督は無策だし。これではオランダの胸を借りている意味がないじゃないか。トラップやパスの精度など、細かいプレーには触れる気も起こらない。

それと北京であれだけ大口叩いておきながら何もできなかった本田圭佑。今期オランダでは開幕5試合で5得点と絶好調らしい。実力もアップしたのだろう。それは否定しない。しかし、日本代表チームで世界と戦う際にはもっともっと大きなものを求められるということがまだわかっていないようだ。精神面での成長が足りないように見える。岡田監督だから使ってもらえるかもしれないが、下手するとチームを乱すだけで終わる可能性もある。以前の中田ヒデや現在の俊輔のような実績も苦労もなく、まだレギュラーにもなっていないのだから、自覚してほしいものだ。
ああ、こんなこと書きなぐっていると虚しくなる。
もう1年ないのだ、本番まで。早く攻撃と守備の形をきっちりつくってほしい。
始まったら寝ないで応援するに決まっているのだから。

午前中「外市」に行った。そのことはまた改めて。

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ナンダロウさんの「一箱古本市」本が楽しみ

ナンダロウ(南陀楼綾繁)さんが「一箱古本市」に関する本を執筆中とのことで、コメントを依頼され、今し方書き終えメールで送る。コメントと言っては大げさで、アンケートに答えたようなもの。
初参加の昨秋「ナンダロウ賞」を頂戴はしたが、今春を含め2回しか参加していない私などの意見・感想が役に立つものか極めて心許ない。しかし、いろいろお世話になっているナンダロウさんのためならばと、うんうん唸りながら弱い頭を絞ってどうにか回答。

また、古本市が終わるたびに凝りもせずエピソードを書いているのだが、私のブログから一部引用させてもらうかもしれないけどOK?とナンダロウさんに訊かれる。あの拙い文章で差しつかえなければ一向に構いませんとお答えしたものの、大丈夫なのだろうか。いやいや、ベテランのナンダロウさんのことだから心配無用だろう。もし使うにしても、うまく料理してくれるに違いない。というわけですべておまかせ。

「一箱古本市」に参加してからまだ一年も経っていないなんて不思議だ。その後はプレ開催も含め「みちくさ市」に3回参加。去年の今頃は想像さえつかなかった。人付き合いの苦手な自分がよくまあこんなに外に出て行き、たとえ本を通じてとはいえ、多くの方との交流を図るなど我ながら驚くばかり。それだけではない。生活まで一変したような。古本市参加をめぐる家庭内バトルもこれまでは無かったしなあ(笑)。こういうのも新鮮でいいなどと言おうものなら、知らぬ間に大事な本の詰まった箱が消えて無くなっているなんてことになりかねない。ブックオフの出張買い取りがあるので危険だ。口は災いのもと。気をつけよう。
実は今回のみちくさ市もぎりぎりセーフでの参加(汗)。

「第9回 秋も一箱古本市」は10月10日(土)開催予定。もちろん参加するつもりでいます。

★ 明け方、バッハの『マタイ受難』第一部を聴く。ヨッフム指揮ロイヤル・コンセルヘトボウ管弦楽団、オランダ放送合唱団ほかによる演奏。オーソドックスながら清潔で温かみがあっていい。どうしてこのようなCD(国内盤)が廃盤久しいのか、わからない。
安っぽいジャケットで化粧直しし、つまらぬ演奏を廉価盤で何度も再発するばかりでは、先はない。というか日本のクラシック音楽業界はすでに瀕死の状態か…。

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「第3回鬼子母神通り みちくさ市」出店します!

9月20日(日)開催予定「第3回鬼子母神通り みちくさ市」への出店が決まりました。
私ども<とみきち屋>の出店場所は「キク薬局ガレージ」です。<書肆紅屋>さんと同じ場所とは光栄。でも、プレッシャーだなあ。とみきち屋が霞んでしまう(笑)。
紅屋さんのほかには<モノンクル・ブックス>さん。これも奇遇というか。第1回みちくさ市に出店されていて、2冊買わせていただいたのだが、品揃えがとにかく私好み。

出店者の顔ぶれを見たら、<四谷書房>さんが「みちくさ市」に初参加されるし、<あいうの本棚>さんもまたご一緒できる。<北方人>さんと<寝床や>さんは前回と同じくお隣同士で、そこに<駄々猫舎>さんも参戦。

さらに御大・岡崎武志さん、嫌記箱・塩山さん始め、<モンガ堂>さん、<古本 ゆず書房>さんもいらっしゃるのだから、楽しみでならない。

夏の間、なんとなく9月の「みちくさ市」と10月の「秋も一箱古本市」の箱をそれぞれつくり、テーマや各古本市の特性を考えつつ振り分けながら本を貯めていたので、みちくさの方はすでに2箱弱用意できている。しかし、ここで難題が。強力な<書肆紅屋>さん、魅力ある<モノンクル・ブックス>さんが同じ場所で出店なんて全くの想定外。今のままでは見劣りすること必至。どうしたものやら(汗)。かといって、所有本に余裕があるわけでもないし。う~~ん、ここはいんちき売り子・店主とみきちの話術と、これぞとみきち屋と浸透しつつある押し売りに力を入れるしかないな(笑)。

出品本については、いつものように開催日が近づいてまいりましたら、当ブログでご紹介させていただきますので、ご覧ください。

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