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「第16回 往来座 外市」・維摩経・八木重吉

5日(土)秋晴れの中、恒例の外市へ。今回初めて開催後間もない時間帯に足を運ぶ。すべての棚や箱が盛りだくさんで目移りしてしまった。古書現世・向井さんの話では、毎回一番に駆けつける常連のお客様も大勢いらっしゃるとか。そうだろうなと納得。

「sai」をまだ手に入れていないので、往来座・瀬戸さんに声をかける。案の定品切れで、追加で取り寄せるとのこと。それでも1冊どこかに残ってはいないかと、忙しいのにいろいろ探していただき、恐縮。瀬戸さんの温かい人柄を肌で感じる。

武藤良子さん 「維摩経」

武藤さんと久しぶりに話せて嬉しかった。以前お会いした時に比べ、心持ち表情も穏やかな感じがした。このところイラストを依頼されることが増えてきているようだし、よかった。
武藤さんの画がカバーに使われている、釈徹宗『とらわれない 苦しみと迷いから救われる「維摩経」』(PHPエディターズ・グループ)を買ったことを伝えると喜んでもらえた。淡いグレーを基調としたシックな装幀の中で武藤さんの画が映えている。本文中にも武藤さんのイラストがたくさん載っていている。

釈徹宗は内田樹との対談『いきなりはじめる浄土真宗』『はじめたばかりの浄土真宗』(本願寺出版社)を読んで以来、こんな住職もいるのだと興味を抱き著書の多くを読んできた。
その釈徹宗が「維摩経」をどう料理するのか楽しみしていた。
20年ほど前、長尾雅人訳注『改版 維摩経』(中公文庫)を読んだ際にはおそらく3割も理解できてはいなかったと思う。
釈は仏教全般を視野に入れつつ、重要な仏教用語にも簡易にして明確な解説を加えている。その上で、我々の日常をとりまく身近な例を挙げながら「維摩経」の独自性を説いている。二項対立、脱構築(デリダ)、永劫回帰(ニーチェ)、キリスト教にも触れているのだが、専門的にはならず、不思議なスパイスになっている。
『碧巌録』の中で「維摩不二」という公案になっている有名な「維摩の一黙、雷の如し」。それについて書かれている「不二の門へと入る章」を読んだら、「維摩経」のエッセンスがすとーんと腑に落ちた。ユニークな本だ。

話を武藤さんに戻そう。「往来座通信」で紹介されていた嫌記箱・塩山芳明さんからの手紙(FAX)の中で、武藤さんに触れられているところを話題にする。「塩じいに嫌われてもいいからお金持ちになりた~い!!」と武藤さん。その笑顔がとても素敵だった。

●Pippoさん  八木重吉

ブログ「ぴっぽのしっぽ」でPippoさんが詩人・八木重吉をとりあげていた。それに関連し、Myspace にアップされた「八木重吉:短詩八篇(SE オルゴール楽曲)」を試聴。
Pippoさん自身による朗読。しんみりとやわらかく心に染みてきた。思わずほろっとくる。

詩集『秋の瞳』『貧しき信徒』などから八篇を選んで構成しているのだが、まるでひとつの物語のようになっている。八木重吉のことを知らない方でも、これを聴いたら好きになると思う。
Pippoさんとは八木重吉についていろいろ語る時間を持つことができた。

病弱、29歳という若さで愛する妻と娘を残しこの世を去った詩人。心の奥底に宿る「かなしみ」はどこまでも深いのに、暗くじめじめとした感じとは無縁で、透明感すら湛えている。難しい言葉は使われていない。思想を表明しているわけでもない。
敬虔なキリスト教信者であった詩人ゆえ、神を通じての表現があることは確かだ。しかし、読み手に信仰はなくとも、人や自然への「祈り」があたたかく響き、まっすぐに伝わってくる。

Pippoさんにはより多くの詩人や詩を、ひとりでも多くの方に、Pippoさんの感ずるまま伝えていってほしいと伝える。10月末から始まる「ポエトリー・カフェ※」にも、いつか参加できる機会があればいいなと思う。
※Pippoさんによる詩人紹介・朗読(肉声のみ)。そののち、参加者みなで茶話会。

試聴は1週間限定と聞いていましたが、好評につき期間延長とのこと。八木重吉の朗読、まだ試聴できます!未聴の方は是非聴いみてください。
こちら→(http://www.myspace.com/pipoguitar

今回の外市、久しぶりに参加された晩鮭亭さんの箱が、好みの本でいっぱい詰まっていた。お値段も手頃というより、かなり安い設定で。4冊ほど購入。

〔購入本〕

■ 西脇順三郎『野原をゆく』(講談社文芸文庫)

■ 戸板康二『折口信夫坐談』(中公文庫)

■ 森敦『意味の変容』(ちくま文庫)
昔単行本で読んだが処分してしまったので、買い戻し。

■ 古井由吉『白髪の唄』(新潮文庫) 3冊目かな。

■ 渡辺慧『認識とパタン』(岩波新書)
これも買い戻し。さすが、古書往来座。この手のバックナンバーがあたりまえのように揃っている。

■ 伊達得夫『詩人たち-ユリイカ抄-』(日本エディタースクール出版部)

● 松田有泉『コラム等(ひとし)』(有古堂)

上記含め計15冊購入。

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コメント

月刊島民の14号が発売されてもらったのですが、
ナカノシマ大学が開校されるのです。
その記念セミナーで釈徹宗、内田樹、鷲田清一がパネリスト。でも平松邦夫市長も登場。どんな話になるやら…。
http://nakanoshima-univ.com

投稿: 葉っぱ64 | 2009年9月 8日 (火曜日) 14:12

>葉っぱさん

豪華なパネリストですねえ。大阪在住ならご一緒させていただきたいところです。是非レポートお願いします!!楽しみにしておりますので。

鷲田・内田『大人のいない国』、いつの間にか手元に2冊となってしまったので(笑)、みちくさ市に出そうと思っています。
鷲田清一、近年では『夢のもつれ』(角川文庫)がお気に入りでちょこちょこ読み返しています。

大阪は残暑が厳しいようですね。
どうかご自愛ください。

投稿: 風太郎 | 2009年9月 9日 (水曜日) 00:33

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