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桜のトンネルを抜け「月の湯古本まつり」へ

4月4日(土)、<わめぞ>メンバー武藤さんのブログで推薦されていた道を辿りながら、とみきち(妻)と共に「月の湯古本まつり」を訪れた。神田川沿い江戸川公園の桜並木、それはそれは見事なものだった。サンドウィッチを頬張りながら何年かぶりの夫婦二人でのお花見。椿山荘の庭、芭蕉庵もゆっくり散策したい気持ちに誘われたが、午後遅めに家を出たので今回は諦める。

昔ながらの銭湯に足を踏み入れるのは40年振りだろうか。何とも言えぬ郷愁に誘われる。小学校1年生2学期に団地に引っ越すまでは、毎日のように通っていた銭湯。行き帰りも含め、日常とは違う不思議な時空間を子どもながらに楽しんでいた。実際に月の湯を訪れることで、『オ風呂ノ話。』を著し、銭湯という文化をひとりでも多くの人に伝えようとしている武藤さんの気持ちを実感できた。

その武藤さんには、3月の「外市」の際に交わした約束通り缶ビール2本(別銘柄)を差し入れ。2本同時にぐびぐびブレンド飲みするかと思いきや(笑)、1本は退屈男さんへ。優しいなあ。

武藤さんから、吉祥寺にある藤井書店さんを紹介してもらう。一階と二階では本の扱いが違うらしく、二階が開いている時がいいとのアドバイス。すかさず、「火曜の定休日以外開けてますよ!」と、藤井書店さん。

退屈男さんの退屈文庫、今回は気合いが入っていた。多くの本にセロファン紙がかけられていて、表示を見るまで退屈文庫とは気づかなかった(笑)。本を見ていると、横にいた若いカップルの女性の方が、三國連太郎・沖浦和光『「芸能と差別」の深層』(ちくま文庫)を手にとり、「これすご~く面白かったよ。三國連太郎って俳優なのに、いろいろ勉強していて知識も豊富でびっくりした」と、連れの男性に薦めている。こういう会話が漏れ聞こえてくるのも楽しい。結局買って行かれたようで、そのことを退屈さんに伝えると喜んでいた。

退屈さんには、(デジカメに収められた)部屋の片付けの経過がわかる写真を見せてもらう。ブログを読んでいたのでかなりの本を処分したのだなと思っていたが、実は3分の1でしかないらしい。出品している本の質、所蔵している本の量は、退屈さんの年齢を考えるとすごい。

読了後処分してしまった■石川淳『安吾のいる風景・配荷落日』(講談社文芸文庫)■吉村昭『私の文学漂流』(新潮文庫)を退屈文庫で再購入。

月の湯入り口横に素敵な雑貨を並べていた「旅猫雑貨店」の金子さんとは、先日開催された「おさんぽ市」をプロデュースされたお兄さま「研ぎ猫」さんのお話しを。腰が低く、いつも明るくその場を和ませてくれる方。<わめぞ>の方々が研ぎ猫さんのお宅に集まっては、よくご飯をご馳走になっている様子が色々なブログで書かれている。人が集まるのがお好きだとか。

そこへとみきちがやって来て、この本を買うよと■細川護貞『細川日記』(中公文庫)を見せる。スリップを「ニシオギ」と読み違えると、金子さんが、「それはニシアキですよ」と「西秋書店」さんのことを丁寧に説明してくださる。なんと、何度も足を運び何冊も本を購入したことのある神保町の書店!本好きを自称しながら書店名を覚えようとしない私の欠点をさらけ出してしまった(笑)

さっそく棚を見に行くと『sumus』のバックナンバーでほしい特集が2冊あったものの、稀少なゆえ値段が少し高めで手が出ず。しかし、いい本が揃っていた。

「古書現世」の向井さんは帳場のレジのところにど~んと坐っていらっしゃる。その姿はまさに親分。しかし、あらゆるところに視線を送り、気配りしているのがわかる。

身内ともいえる<わめぞ>の方々と、客として訪れる私たちや、みちくさ市に参加する時の私たちとの関係性を瞬時に判断し、状況に応じ、的確な言葉を選んでいることを向井さんからは感じる。武藤さんに差し入れしたことは早々と伝わっていたようす。「すみません。次は向井さんにも。お好みは?」と尋ねると、ひと言「現○」。絶句(笑)。

答えに窮し、「これまで向井さんのところの本を一番多く買っているので、それで何とかお許しを」。 ご了承いただけたかどうか(笑)

今回、20年近く探し続けてきたものの手に入れられなかった1冊を「古書現世」さんで購入。

■五味康祐『オーディオ教室』(ごま書房)

手元にあるのは父から譲り受けたものだが、自身書き込み、線引きしてしまっていてボロボロに近い状態。しかも、カバーがない!初めてカバーを見ることができ感涙。五味さんの強烈な顔(イラスト)が表紙を飾っているとは想像もつかなかった。しかも250円という信じられない値段。向井さんが仏様のように輝いて見えた。

他には、■シオラン『四つ裂きの刑』(法政大学出版局)■平岡正明『大革命論』(河出書房新社)をこれまた他では考えられないような値段で購入。

欲しい本をこういう値段でバンバン出してもらえると、向井さんの追っかけになってしまいそうで怖い(笑)

ブログでしか拝見したことのない仙台の「火星の庭」さん。出品されている本は私の好みと重なるものが多かった。所有していなければ何冊も購入していたに違いない。■中村光夫『谷崎潤一郎論』(新潮文庫)を購入。できることなら、仙台へも一度行ってみたいものだ。

「古書ほうろう」の宮地さんご夫妻と久しぶりにお会いでき、嬉しかった。月の湯内にお二人で「萬福亭」というお店を出していたのには驚いた。大人気のチキンライスは残念ながら売り切れ。初めてお会いした時からの印象は変わらず、知的で穏やかなお二人。

宮地さん(ご主人)からは「一箱にはまた参加していただけるみたいで、楽しみにしていますよ」と言っていただく。恐縮するとともにいい意味でのプレッシャー(汗)

一人で本と戯れていた世界から(この半年で)、本と関わるいろいろな方と出逢えるようになったのも、昨秋の一箱古本市に参加したことが大きなきっかけだった。その中でも、開店後まもなく宮地さんに「いいですねえ。好きですよ、こういうの」と声をかけてもらえた事が、どれほど力になったか。5月の「不忍ブックストリート 一箱古本市」への参加を4日(月・祝)にしたのは、実を言えば不忍通りを挟んで古書ほうろうさんの店舗がある側で出店したかったから。(出店場所がほうろうさんの近くになったらなあという淡い期待もあって) 場所が決まったら、下見を兼ねてまたお店の方に伺おう。

Pippoさんのゲームコーナーはいつもながらこどもたちを中心に大盛況。こどもが熱中しているうしろ姿は愛らしく、ほのぼのとさせてくれる。私も今回はゲームに参加、大はしゃぎ。最初だけキノコを釣ったが、虫らしき不思議な物体が妙に気にかかり、釣り上げる度にPippoさんが説明してくれる。「これはナメクジ」。ふむふむ。「これはいちおう、おたまじゃくしのようなもの」には、瞬間お腹をかかえて笑ってしまった。Pippoさん、ごめんなさい。時間をかけ紙粘土でつくられた作品だというのに。よ~く見ると、小さな目が二つ描かれていて、まさにおたまじゃくしでした!

名古屋で出品した詩集は稀少で貴重なものが多く、大評判だったと聞いていたので、そのことに触れると、「私は何度も読んだので、読みたいと思う方に読んでもらえたら」と。こういう想い好きだなあ。私など、大事な本は2冊ないと、「誰かに」という気持ちになかなかなれない。

武藤さんには缶ビールを差し入れしたのでPippoさんには複数所有している本の中から、外市で話題にした作家関連の文庫2冊を進呈。というより、押しつけ(笑)。

帰り際、「古書往来座」の瀬戸さんにとみきち共々「ホンドラック」の説明をしていただく。どれだけ苦労された末に出来上がったすぐれものかがわかる。ホンドラポールの差し入れ口の穴が1㎜たりとも狂いが出てはならないばかりか、微妙な全体のバランス、強度を考えた上での作品。ほんとうに丁寧な作業、そしてその情熱!

「今日は瀬戸さんのところの本は買わなくて・・・」と言うと、「いや~、本を買っていただけなくても、こんなにホンドラックに興味を持っていただけて、説明まで聞いてもらえたので、それだけで嬉しいです」と話す瀬戸さんの笑顔がとても素敵だった。

会場内では、いつ休んでいるのだろうかと思えるくらい、出品者の棚や箱に目を配り、忙しなく本を補充していた瀬戸さん。今度は本の話もさせていただきたいなと思う。

女性のお客様が多かったのが印象的。キレイでかわいい雑貨や小物も目を引くのだろうが、屋内でじっくり、ゆったり見れるのがいいのかなと思ったりした。加えて銭湯という不思議な空間も魅力なのだろう。もちろん、男性の方にもお勧めです。新しい発見があるに違いないので。

当日の様子は、同行した妻(とみきち)がブログ「とみきち読書日記」で写真をアップしております。よろしかったら、そちらの方もご覧ください。

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コメント

こんばんは。
もす文庫のmasubonです。
月の湯、行きたかったのですが用事で行けませんでした。楽しそう・・・
本でいろいろなひととつながってゆくのは、おもしろいですね。

さて、一箱古本市、今回はとみきち屋さんと日程がずれてしまいました。残念です。とみきち屋さんの箱、見たかった・・・。もす文庫は3日に参戦します。お互い、準備がんばりましょう!
では。

投稿: masubon | 2009年4月 7日 (火曜日) 21:01

>masubonさん

おひさしぶりです。
「月の湯古本市」ほんとうに楽しい催しです。次回は10月なのでよかったら足を運んでみてください。いろいろな過ごし方ができますよ。
「一箱古本市」、同じ日には出店できず残念ですね。でも、都合をつけて3日は様子を見に行きたいと思っています。四谷書房さんも参加されるようなので。
その際は、もす文庫さんにも必ず伺います!

投稿: 風太郎 | 2009年4月 7日 (火曜日) 22:40

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