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「第1回みちくさ市」レポート(2) 購入した本やお店の話

午後2時近くなったので、そろそろ他のお店から本を買ってもいいかなと思い、いろいろと見て回る。しかし、好みがあるので偏ってしまう。どうしても人文、思想系に目がいく。以下、購入本と廻ったお店の話。

<書肆紅屋>さん。「これはいいな、すごいな。」と思える本が他の箱と分けられ、値段も変えてあった。それでも500円均一とは格安。店主がその下のランクと判断されている本なども、持っていなかったら欲しい本多数。なのに300円。思わず手が伸びてしまう値段。昼前に一度見た際に遠慮した本4冊中3冊はしっかり消えていた。実際安くても、ただ安いというニュアンスとは違う店構え。個人的にはとても好きだ。

■ 中村雄二郎 『西田幾多郎』(岩波書店)300円
500円でも安いなあと私には思える本。

<古書 北方人>さん。講談社文芸文庫などのいい本が安価で揃えられていた。こんな時間帯にまだ残っていたなんて!と思える本を購入。

■ 横光利一 『寝園』(講談社文芸文庫)350円
持っている日本文学全集のひとつに収められているので、一旦購入したものの処分してしまった。ところが今品切れ。そうなると買い戻したくなる。何とも因果な性分。

<モノンクルブックス>さん。私好みの本が多く、見ているだけでも楽しい。量は抑えられているが、そこがかえっていいなと思えた。2008年Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した『中原昌也 作業日誌2004→2007』(boid)なども出品されていた。持っていなければ、間違いなく購入していただろう。店主の方とは少しお話しさせていただく。

■ 小山清 『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)600円
■ 上林暁 『聖ヨハネ病院にて』(新潮文庫)600円
小山清は昭和30年発行(初版)、カバーのない裸本しかなかったので嬉しくてならない。上林暁は2冊目を購入。いずれも復刻版、美本。

<古本、雰囲気。>さん。店名のとおり独特の雰囲気を醸し出していた。やはり私好みの品揃え。ここも大量出品はしていなかったご様子。店主の方と少しお話し。以前「一箱古本市」には出店されたが、今回久しぶりの古本市参加ということ。
■ 神西清 『灰色の眼の女』 (中公公論社 昭和32年発行初版)800円
10年以上、中公文庫版を探していたが、巡り合わせが悪いのか見つけられなかった。昨秋『雪の宿り 神西清小説セレクション』(港の人)が発売され、その中に「灰色の眼の女」が所収されていることも知っていたが、どうしても中央公論社版がほしかった。店主の方の説明では文庫版はラインナップが若干違うらしいが、喜びひとしお。

巻末にある三島由紀夫の解説がまた素晴らしい。
「氏は凝り性を持って鳴っており、およそ氏がノンシヤランに書き流した文章などというものは、どんな断簡零墨のうちにも、一行も見当たらぬに違いない」と神西清を語る。
そして、「雪の宿り」を氏の最高傑作と賞賛した上で、次のように書いている。

題材は中世であるが、大空襲と敗戦の現代にも、ただちに連想が通うようになっていて、しかもその寓意が浅墓ではないから、読者は今、中世と現代とを同時に二重に生き、中世を追体験すると共に、つい先頃の戦争時代をも追体験する。これに比べると、浅墓な現代的テーマを盛った時代小説や、歴史的人物の心理や性格を勝手に捏造した歴史小説は、読者に現代を粉飾したたのしみを与えるだけである。

<チンチロリン商店>さん。とにかく詩集ならここしかない!という感じ。でも、個人的には詩集以外の出品にも惹かれる。吉本隆明『世界認識の方法』(中公文庫)が200円という安価で私が訪れた時にはまだ残っていた。(かみ合っていないところもあるとはいえ)フーコーとの対談が収められている本なのに。「どういうことだ~。信じられない!」と思わず漏らすと、店主の方に笑われてしまった。でも、同意してもらえたような。ナンダロウさんがここで『若者たちの神々Ⅰ』(新潮文庫)を購入されたことを後で知る。うちも出品していたのにと地団駄(笑)。

■ 長谷川四郎訳 『ロルカ詩集』(みすず書房)500円
学生の頃読んだが手放してしまっていた。昨年暮れ、中丸明『ロルカ-スペインの魂』(集英社新書)を100円で購入して読んで以来懐かしさに誘われ、機会があったら読み直したいと思っていた。

<歴史と音楽堂>さん。実際本は購入しなかったけれど、興味津々。何故なら私の好きなクラシック音楽本を多数出品されていたからだ。私も読んで持っている玉木正之『クラシック音楽道場』、吉田秀和『この一枚』。フォーレを弾かせたら並ぶ者はいないと言われたマルグリット・ロンの著作『回想のフォーレ-ピアノ曲をめぐって』ほか、レア本も含めいい本がたくさんあった。私たちと同じ5月4日に「一箱古本市」にも出店される(場所は往来堂書店)ので、足を運べたら声をかけさせていただこう。

<わめぞ古本市 鬼子母神参道入り口付近>にて

■ 『群像日本の作家18 三島由紀夫』 (講談社)
■ 大宅壮一 『「無思想人」宣言』 (講談社学術文庫)
 『大宅壮一全集第六巻』(蒼洋社)を持っていてその中に入っているのだが、文庫もほしくなって。

■ 岩田礼 『香月康男』 (日動出版)800円

とみきち(妻)が珍しく一人で古本を購入。普段は番頭の風太郎がふらふらと出かけては後先考えずに買ってくるため、ダブりはしないかと自ら買うことがない。

お隣で出店していた<古本 寝床や>さんには、未読の樽見博『古本愛』(平凡社)など、すぐにでも欲しい!という本が3冊出ていたがぐっと我慢する。
「これ欲しい。欲しい。ああ、すぐに売れてしまうだろうなあ。でも、今買うわけにはいかないからなあ」と悔し紛れに訴える。誰に?(笑)。 出店者が開店後間もなく他のお店の目玉商品とか極安と思える本を買うのは、私としては忍びない。というか、したくない。実際、わめぞ始め関系者の方の中には「最後の方で残っていたら買いますよ」と言ってくださる人も多く、そういうのはとても嬉しい。
案の定、欲しかった本は午前中早めに売れてしまった。「やっぱり、なくなりましたね」と、<寝床や>さんと一緒に笑う。
閉店間際、■石川淳『普賢 佳人』(講談社文芸文庫)を購入。お隣のよしみということで200円におまけしてもらう。

一人の客として、他のお店を廻り、本を眺め、時に店主の方と会話を交わすのも楽しい。
出店せず、知り合うこともなく、全くのただの客として足を運んでいたら、買いまくってしまい、うちのような貧乏所帯はすぐに破産だろう(笑)。

さて、次は「一箱古本市」。「とみきち屋」が出店する5月4日(月・祝)は曇りの予報。雨天決行とはいえ、何とか雨は降らないでほしい。3日は客として見て回るつもりなので、それも楽しみだ。

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コメント

とみきち屋 さま

先日はいろいろとお世話になりまして、またお買い上げいただき、どうもありがとうございました。先日の記事と併せ、二度もお取り上げいただき、汗顔のいたりです!
『古本愛』の件では、お恥ずかしいことに私は当初、とみきち屋さまがどの本のことを仰っていらっしゃるかわからず、売れた際にやっと合点がいった次第でした。うまく気が回らず申し訳ございませんでした(笑)。

またお会いできることを楽しみにしております!

投稿: 古本 寝床や | 2009年4月30日 (木曜日) 20:49

>古本 寝床やさま

みちくさ市、お疲れさまでした。
騒がしい二人組が隣で、やりにくかったのではないかと思います(笑)。

次はお互い(出店日は違いますが)「一箱古本市」ですね。
雰囲気は違うかもしれませんが、好きな本を挟んで多くの方と交流できる楽しさを満喫しましょう!

こちらこそ、またお会いできるのを楽しみにしています。
ブログにも書いたように、初対面ではなく2回目だと変わります。
引かないでくださいね(笑)

投稿: 風太郎 | 2009年5月 1日 (金曜日) 23:04

世界認識はさいごまで、のこりましたよ…。
せつないです!笑
ロルカ詩集、風太郎さんのお手にわたって嬉しいです〜。
こんごは、もっと充実させようとおもっています。

一箱準備、ラストスパートですね!
どんな凄惨な状況なのでしょうか…笑

四はざんねんながらゆけないのですが、あしたはゆく予定です。
また、お話しましょう!

投稿: Pippo | 2009年5月 2日 (土曜日) 12:47

>Pippo さま

とみきち屋も1冊だけ出した吉本さんの単行本、残ってしまいました(泣)(怒)
でも、Pippoさんのところで「マルテの手記」が売れたのは、自分のことのように嬉しかった!

「一人でも多くの人に読んでもらいたい」と思う本なら毎回でも出したくなる気持ち、同じです。
昨秋の一箱から、売れないのに3回続けて出品している本もあるくらいです(笑)

>どんな凄惨な状況なのでしょうか…笑

狭い家とはいいながら、人がすれ違える場所がひとつもない。自室は必ず跨がないと移動できないって感じです(笑)

>四はざんねんながらゆけないのですが、あしたはゆく予定です。また、お話しましょう!

三は私も遊びに行くので、もしかしたら会場のどこかで会えるかもしれませんね。ダメだったら、5月末の外市で!
またお話しできるのを楽しみにしています。

投稿: 風太郎 | 2009年5月 2日 (土曜日) 21:24

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