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〔雑記〕 イチローに神が降りたのか? 死闘-WBC決勝 勝負の恐さ

イチローを見ていると「孤高」というよりは「孤独」というイメージが浮かんでしまう。そのせいか、チームリーダーとして引っ張っていこうとする姿にぎこちなさを感じる。

弾けるのは一向に構わないが、試合後のインタビューとプレーとのギャップに苦笑を禁じ得ない。

ミスター(長嶋さん)の域に達したというコメントを耳にしたが、それは違うだろ。イチローがミスターの如く敬愛されているとは思えない。それに、ミスターのプレーや言葉は本能によるもの。イチローのプレーは才能に(余人には計り知れぬ)練習と禁欲的な努力を積み上げたもの。ここぞという時に結果を出してくれる点では似ているが、本質は違う。

試合を決めた2点勝ち越しタイムリーの場面。おおかたの日本人が、打ってくれという願望より、打つだろうという確信に近い予感を抱いていたのではないだろうか。それぐらい、凄い選手だ。
9回表に(同じ投手から)ライトフェンス直撃の2塁打を放った時のスイングが伏線になっていた。だから、追い込まれても内容の伴うファウルで粘れた。根負けした相手投手がみいられるように投げた真ん中寄りの球を、打ち損じずきっちりセンター前にはじき返す。まさにイチローがイチロー足るゆえん。
イチローに神が降りたわけではない。精神力、集中力、忍耐力、技術。どれをとっても世界最高レベルであることを改めて証明したまでのこと。

「神が降りた」というなら、それは内川にだろう。
5回、岩隈がホームランを浴び同点にされた直後。
後ろに逸らしたら(試合の流れから考えても)最悪の状況に追い込まれる場面で、レフト内川がバッターランナーを二塁で刺した、あの瞬間だ。
難しいワンバウンドのボールがグラブに吸い込まれ、岩村のタッチが走者の手にピタッと触れる画をスローモーションで見る度に震えが来る。

内川が内野手(昔ショート、現在ファースト)であれ、恐怖心が先に立ってまず突っ込めない。突っ込むとしたら、身体でボールを後ろに逸さないですむ打球の角度を瞬時にして見極め、リスクも考えるはず。録画を見ればわかるが、グラブにボールが入らなかったら、打球は確実にレフトフェンスまで転がっている。つまり、(捕球できなくても)身体で打球を止められる体勢ではなかった!それだけではない。ここしかないというところへの完璧な送球。野球をある程度かじった者なら感じるであろう、奇跡に近いプレー。
加えて、同点にされた直後の延長10回表。先頭打者でライト前ヒット。あれが嫌な流れを断ち切り、日本の勝利を呼び込むきっかけとなった。あの緊迫した中で、よくも打てたものだ。ああいうのを神業というのではないか。

スポーツにおける試合の流れ、勝負の恐ろしさを改めて感じさせられる死闘でもあった。

3回ワンアウト満塁での栗原のゲッツー。5回のノーアウト1、3塁から城島三振、小笠原ゲッツー。2度好機を逸し、同点ホームランを招いてしまう。

9回先頭打者イチローの目の覚めるような2塁打。中島の痛烈なあたりを韓国セカンドが飛びついて好捕。青木敬遠ワンアウト1、2塁。しかし城島、小笠原が打てず。
すると9回裏同点に追いつかれる。2点差あったなら、ダルビッシュの投球も変わっていただろう。

いろいろ書いたが、日本の連覇は素直に嬉しい。素晴らしい試合だった。韓国共々。

今回のWBCでとりわけ印象に残った場面は二つ。
ひとつは、イチローに決勝タイムリーを打たれた時の韓国監督の呆然とした表情。
敵とはいえ、なぜか痛みを覚えた。
ひょっとしたら、イチローを歩かせるつもりだったのでは?と思えたからだ。(今日監督の真意を知った。やはり歩かせるつもりだったらしい)
前大会のイチロー発言による因縁もあって、イチローとの勝負を避けて勝っても意味がないと、キャッチャーを始め選手達が思ったのだろうか。何とか抑えられると思ったのだろうか。
いずれにしろ、真っ向勝負を挑んできた。あの姿勢、私は好きだな。韓国の敗因になったとはいえ。

もうひとつは試合前、優勝トロフィーをいったん返還するセレモニーにおける王さんの姿。
握手を交わす韓国選手からは王さんへの尊敬の念が感じられた。
(足が悪いらしく)ベンチにいた韓国の監督の方へも王さんは歩いて行って、抱擁を交わした。
韓国の監督は驚いたようだが、選手同様、その表情には世界の王に対する敬意があふれていた。
まだ優勝もしていないのに韓国選手がマウンドに国旗を立てるというひとこまもあったが、スポーツを通じて心が通う光景を目にでき、熱くなった。

韓国とのせめぎ合いがあったからこそ、日本はチームとして短期間で進化し、あれだけの試合ができた。そのことは忘れるべきではないだろう。

王さんと比べるのは酷ではあるが、イチローには野球人としてもっと大きくなってもらいたいと思う。世界も認める最高のプレーヤーの一人なのだから。
不振に苦しみ、迷惑をかけたという思いが強かったにしても、「おいしいところだけいただきました」では軽すぎる。自身がチームに助けられたことを、公の場でもきちんと言葉にしてこそ、真のリーダーではないだろうか。
あのような姿勢が変わらない限り、イチローは孤独なプレーヤーで終わってしまう気がする。
もったいない。あまりにも寂しいではないか。

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受信: 2009年3月26日 (木曜日) 02:00

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