« マルクス再生? | トップページ | 〔新書雑感(1)〕 新書ブームと出版不況 »

わめぞ「外市」でほっこり、しみじみ

7日(土)、<わめぞ>「外市」に夕方から足を運ぶ。穏やかな天気の中、多くの人で賑わっていた。まずは今回のスペシャルゲスト、古書ソムリエ・山本善行さん「善行堂」の棚をじっくり見る。
ヘンリー・ミラー、今 東光、後藤明生の本にも惹かれたが、結局『野呂邦暢 長谷川修 往復書簡集』(葦書房)を手にとって、一旦レジへ。

レジには5日(木)に、お店の方に伺った「古書現世」の向井さん、そして武藤(良子)さん退屈男さんが。いきなり向井さんと武藤さんに、息の合ったトークを披露してもらう。
武藤さんの悩みをネタにSH大作戦、「ストップ・ザ・○○」と向井さんが攻める。すると私に向かって、「何もわざわざ結婚記念日にコイツ(笑)の店に行くなんてねえ。せめてもっと儲かってる、ちゃんとした店に行けばいいのに」と、武藤さんが応戦。 爆笑。
会計をお願いすると、「釣りはいらねえって?」。 げぇ。 「そんな余裕ないですよ」と答える。協議の結果、次回武藤さんに差し入れすることで勘弁してもらう。そういえば、武藤さん手に酒持ってない。どことなく穏やかに感じられたのはそのせいかと納得(笑)
「しっかり頭に入れましたよ~」と釘をさされる。早速、最重要事項として「武藤さんに缶ビール差し入れ」と携帯にメモ。

今、本や部屋の整理でたいへんな退屈さん。思ったより顔色がよさそうでほっとする。
「そうだ・・・」と言って退屈さんが、鞄の中をごそごそ。(何かもらえるのかな?)と、ちょっとばかり期待。
出てきたのは畳の井草でつくられたブックカバー。試作品だとか。見せてもらっただけ。得意そうな退屈さん。いいなあ、何とも言えない笑顔。でも、やっぱりこの人ヘンだ(笑)
お三方とも様々な苦労を抱え、たいへんなはずなのに、楽しく話してくれるので、その場がぱっと明るくなる。

毒気を抜くために(嘘)、Pippoさんのところへ。手作りゲーム【まいごのおたまじゃくしをさがせ♪】はとってもキュート。かなり手間がかかっただろうなと感心。昼間は子どもたちが大喜びで、ずうっと遊んでいたらしい。バックの絵が気になって尋ねたら、ヘッセの水彩画とのこと。とてもよくマッチしていた。ヘッセから詩の話になる。
Pippoさんは自身も詩を書いているから詩のことにはとても詳しい。詩への愛も半端ではない。偏屈な私だが、言葉を疎かにせず、大切にしている人の話には素直に耳を傾けられる。それに、Pippoさんの詩に関する話はとても深い。
だから、リルケはいい!と意見が一致したのは嬉しかった。葉が落ちる様子を描くことで始まる詩、『秋』が浮かんできた。

木の葉が落ちる 落ちる 遠くからのように
大空の園生が枯れたように
木の葉は否定の身ぶりで落ちる
そして夜々には 重たい地球が
あらゆる星の群から 寂寥のなかへ落ちる
われわれはみんな落ちる この手も落ちる
ほかをごらん 落下はすべてにあるのだ
けれども ただひとり この落下を
限りなくやさしく その両手に支えている者がある
(富士川英郎訳 新潮文庫『リルケ詩集』より)

Pippoさんは、「どうなさいます 神様 もしも私が死んだなら」という句を含んだ詩に触れ、「実存」の問題へと話を展開していく。

詩だけではなく、文学、随筆の話も。 最近私はブログで中河与一『天の夕顔』について書いたのだが、Pippoさんも同じ頃『天の夕顔』を読んでいたので、驚いた。さらに、私が太宰についてもそろそろ書いてみたいと思い、短篇を何作か読んでいたら、Pippoさんがブログで『愛と苦悩の手紙』に触れ太宰をとりあげたものだから、(何かが共鳴したのだろうか?と)不思議な気持ちになったことを伝える。2作品をもとに、若者の恋愛観や太宰についても語り合う。

福田恆存『私の幸福論』のこと、太宰の後を追うように自死を遂げた『オリンポスの果実』の作者・田中英光にも話が及び、心にしみるひと時を戴いた。

その後、じっくり本を探す。古書現世さんの棚には、それほどマニアックではなくとも、本好きなら思わず何冊も買いたくなる本が、手頃な値段でぎっしり。さすが向井さん。
帰り際に、往来座の瀬戸さんにご挨拶しようと思っていたのだが、姿が見えず失礼してしまった。
旅猫雑貨店の金子さん、ふぉっくす舎NEGIさん、晩鮭亭さんには会えず残念。

そうそう。外市終了時間を少し過ぎた時、往来座店内のカウンター奧に武藤さんを発見。
しっかり缶ビールを飲んでいらっしゃった。にこやかに。

〔購入本〕

■『野呂邦暢 長谷川修 往復書簡集』(葦書房) 善行堂
■角谷建蔵『岩波文庫の黄帯と緑帯を読む』(青弓社) ※「赤帯を読む」が結構面白かったので。
■吉本隆明『源氏物語論』(ちくま学芸文庫) ※2冊目購入
■アンリ・トロワイヤ『ドストエフスキー伝』(中公文庫) ※2冊目購入 以上3冊 古書現世
■吉田知子『無明長夜』(新潮文庫) ※2冊目購入 古書往来座
■中村光夫『憂しと見し世』(中公文庫) 退屈文庫
■田村隆一『鳥と人間と動物たち』(徳間文庫) 嫌気箱
■宇野千代『私の文学的回想』(中央公論社) チンチロリン商店

|

« マルクス再生? | トップページ | 〔新書雑感(1)〕 新書ブームと出版不況 »

コメント

風太郎さま、ご来場ありがとうございました!
しまった、わたし、「試供品」て言ってしまってましたか。「試作品」でした。

投稿: 退屈 | 2009年3月 9日 (月曜日) 22:13

>退屈さん

おつかれさまでした!

ブックカバーの件は私の聞き間違いだと思います。このごろあらゆる器官の老化が始まってますから(笑)。

中村光夫の本、友人の祖父、臼井吉見のエピソードも書かれていて、楽しく読んでいます。友人と似ているところが多く、驚いています。

次回お会い出来る時、何を見せてもらえるのか、今から楽しみでなりません。

これから拓いていかれる道が実り多きものとなりますよう、祈っています。どうか、からだには気をつけてください。

投稿: 風太郎 | 2009年3月10日 (火曜日) 02:33

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1132277/28534518

この記事へのトラックバック一覧です: わめぞ「外市」でほっこり、しみじみ:

« マルクス再生? | トップページ | 〔新書雑感(1)〕 新書ブームと出版不況 »