〔 雑記 〕 「おくりびと」、「納棺夫日記」、親鸞「教行信証」、ブルックナー・・・
映画『おくりびと』の宣伝を見た時、およそ16年前に読み、その後文春文庫〔増補改訂版〕で再読した『納棺夫日記』をすぐさま思い浮かべた。思ったとおり、『納棺夫日記』を原作として作られた映画だった。驚いたのは、主演の本木雅弘がこの本を自費出版版で読んでおり、著者にアプローチしていたこと。このことは『おくりびと』がアカデミー賞外国語映画賞を受賞した際に初めて知った。
本木雅弘は私にはやや苦手な役者で、出演作品はほとんど見ていない。何年前かは忘れたが、深夜に放映されていた『ファンシイダンス』を面白く観た記憶しかない。この映画も、たまたま観ただけで、監督が周防正行であることも知らなかった。(『Shall we ダンス?』もまだ観ていない)
本木雅弘への関心が高まり、映画も観たくなったが、今はこの盛り上がりだから観るのは当分先になるだろう。
青木新門がどのような感想を述べているか知りたくて、2月24日付毎日新聞朝刊を駅売店で購入。「『おくりびと』が(死者を)どこに送るのか」が描かれていなかったので、「原作者」とされることを拒んだと記事には書かれている。映画はまだ観ていないが、著者からすれば、きっとそうなのだろう。しかし、映画は「視覚的に見えない世界を現代風に視覚化してくれた。いい仏像ができた、という印象だった」と語り、本木雅弘からノミネートの知らせを受けた時には「おめでとう」と伝えたとのこと。
今日、青木新門『納棺夫日記』を文春文庫〔増補改訂版〕で4回目読了。文庫には載っていない「柿の炎」「少年と林檎」は、1993年発行の自費出版版で読む。
近々ブログで取りあげようと思い、久しぶりに親鸞『教行信証』(中央公論社『親鸞』所収)から、関連部分を読む。
貯まっていたタワーレコードのポイントを使って、『ブルックナー 交響曲第9番』オイゲン・ヨッフム指揮ミュンヘン・フィルハーモニ管弦楽団のCD(2007年8月発売)を購入。
あまりの素晴らしさに、3回続けて聴き入ってしまった。ブルックナーの、神への篤い信仰が余すところなく表現されている。テンポを動かし、金管を強奏させることが時に煩わしく感じられ、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏は、LP時代に聴いたものの、愛聴盤とはならなかった。同じ「9番」ならベルリン・フィル盤の方が美しく感じられ。
ブルックナー指揮者としては好きなので、1982年バンベルク交響楽団を率いて来日した際には、NHKホールで生演奏も聴いた。アンサンブルに乱れがあったり、音色が渋すぎて陶酔できるほどの演奏ではなかったものの、ブルックナーの本質は十分伝わってくる名演だった。
ヨッフムのブルックナー「2番」(シュターツカペレ・ドレスデン)、「5番」(アムステルダム・コウセルトヘボウ)、「6番」(バイエルン放送so)、「7番」(アムステルダム・コウセルトヘボウ 1986年来日ライブ)などは愛聴している。
そのヨッフムが、こんなにも深い演奏を残してくれた。「9番」の演奏で感激したのは、2006年9月に発売された、ジュリーニ指揮シュトットガルト放送so演奏のCDを除けば、ギュンター・ヴァント最後の日本公演を生で聴いて以来だ。
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