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ひばり(雲雀) ルナール~~ヴォーン・ウィリアムズ

一つのことに触発され、記憶の奥底に眠っていたものが甦ってくることが時々ある。今回はひばり(雲雀)だった。先日、R.シュトラウス『4つの最後の歌』について書いた際、曲中フルートによって、ひばりのさえずりが奏でられていることに触れた。同曲を何度も聴いたことがきっかけとなったのか、突然、昔読んだルナール『博物誌』(岸田国士訳・新潮文庫)の中に、「雲雀」があったような・・・と思い始める。気になって本棚の奧から引っ張り出して来たらやはり、「雲雀 ひばり」が載っていた。驚いたのはそのことではない。書かれている文章にだ。

私はかつて雲雀というものを見たことがない。夜明けと同時に起きてみても無駄である。雲雀は地上の鳥ではないのだ。(略)
そら、聞こえはせぬか-どこかはるかに高く、金の杯のなかで水晶のかけらを搗(つ)き砕いているのが……。
雲雀がどこで囀っているのか、それを誰が知ろう?
空を見つめていると、太陽が眼を焦がす。
雲雀の姿を見ることはあきらめなければならない。
雲雀は天上に棲んでいる。そして、天上の鳥のうち、この鳥だけが我々ところまで届く声で歌うのである。

文庫の奥付は昭和五十八年七月三〇日 三七刷となっている。20年以上前に読んだ本の詳細までは覚えていない。なのに、私が曲の中で抱いたイメージと重なっている。久しぶりにルナールの『博物誌』にさっと目を通す。ユーモラスで、時に辛辣、でも嫌みがない。自然を見つめるあたたかい眼差しの裏に、寂し気な表情が透けて見えてくる、不思議な本だ。ルナールは『にんじん』が有名だが、『葡萄畑の葡萄作り』(岸田国士訳・岩波文庫)もいい。

ひばり(雲雀)の音楽と言えば、やはり、ヴォーン・ウィリアムズの『揚げひばり』だろう。
田園の光や風をゆったりと感じさせてくれる管弦楽をバックに、空を舞い上がるひばりがヴァイオリンによって叙情的に表現される。ヴォーン・ウィリアムズといえば、あの哀感漂う、美しい『グリーンスリーヴズによる幻想曲』が有名だが、『揚げひばり』を含め、ほかにも魅力的な曲があるので聴いて欲しい。

〔 推薦盤 〕

『ヴォーン=ウィリアムズ 管弦楽曲集』バリー・ワーズワース指揮 ニュー・クイーンズ・ホール管弦楽団  
上記の曲以外に、『トマス・タリスの主題による幻想曲』ほか詩情あふれる曲が入っています。なお、このアルバムでは『揚げひばり』ではなく、『ひばりは昇る』という邦題になっています。

『イギリス管弦楽傑作集』 バレンボイム指揮 イギリス室内管弦楽団
『揚げひばり』『グリーンスリーヴズによる幻想曲』はもちろん収められていますが、『トマス・タリスの主題による幻想曲』などが入っていません。その代わり、ディーリアス、ウォルトンなどの曲が入っていて、それらの作品がまた素晴らしい。※残念ながら、国内盤は入手が難しいようです。

一部曲は重なりますが、2枚とも手元に置いておきたい名盤。聴いていると、その心地よさに、時の流れを忘れてしまいます。

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