« わめぞ「外市」を堪能 (1) | トップページ | 『鶴見俊輔 いつも新しい思想家』 (河出書房新社) »

わめぞ「外市」を堪能 (2)

先日書いたように、「古書往来座 外市」までに、古書現世向井さんのところへ伺うことができなかった。さて、どうご挨拶したものかと思案中、向井さんの影が。その存在感は圧倒的だ。それでいながら、すうっと引き込まれてしまう柔らかさ、温かさ。(からだに触れてみてということではありませんよ)
風太郎 「すみません、お店の方に伺えず、外市になってしまって」
向井さん 「いついらっしゃるかとお待ちしていたんですよ」
風太郎 「外市前なので向井さんはいないかもしれないけれど、実は8日に伺うつもりでいたんですよ。仕事が延びて行けなくなってしまったんですが」
向井さん 「夜はいたかな。いや~、でも、来なくてよかったかも。私がいない時だと×××××ですから」
<いきなり向井さん節。残念ながら具体的には書けません>
とみきち(妻) 「うちでは勝手に"むかちゃん"って呼んでるんですよ~。ブログ楽しく読んでます。"むとちゃん"(武藤良子さん)の話になると最高!」
<風太郎冷や汗。すみません。勝手にちゃん付けで呼んでしまって>
向井さん 「何とでもお呼びください」
<ステキだ>
風太郎 「今度こそ伺います。狼おじさんになりたくないので」
向井さん (ニコっと笑いながら)「12月31日までに来ていただければ」
風太郎 「???」  <もう過ぎているぞ・・・>
とみきち(妻) 「さ~すが、よくご存じで。いっつも予定は未定。いつになるかわからないですからねえ」
<えっ? 今年の大晦日までにってことか?>
風太郎 「そんな~!」と言いながら、なれなれしく向井さんに体当たり。みごとにはじき返される。
日も沈み寒さがしみてくるはずなのに、ぽっかぽっかに心が和む。
向井さんからは、仕入れや値付けのことなど興味深い話を伺う。退屈男さんのことも話す。しっかり人を見て、愛情深い方だなあと思うことしきり。荻原魚雷さんを紹介していただいたのも向井さんでした。

向井さんから「わめぞ人MVP2008」を贈られたPippoさん。みちくさ市後にその存在を知ったので、彼女の「~pippoの思索劇場~」を読ませてもらいました。ハイデガーやキルケゴールと比して、ニーチェを詩人と捉える感性。車谷長吉『金輪際』に触れ、車谷の人間洞察力を「地獄の門で鬼が全身をねめまわすような」と表現。絲山秋子の文学を、シモーヌ・ヴェイユに言及しつつ、相手を傷つけずに人を見捨てない「恩寵」の文学と呼んでいる。大好きだという萩原朔太郎と、同郷の詩人高橋元吉との交流に思いを馳せる場面。ゲーテ、ヘッセ、横光利一が自身にとってどういう存在かを表現しているところ。強く印象に残った作品として、ポール・オースター『ムーン・パレス』、福田恆存『私の幸福論』などを挙げ。そして自らの想いを伝えることが困難な言葉の本質を意識しながら、言葉を求めてしまうところなど、共感を覚えました。それで、今回是非お話ししてみたかった。

他のお客様と話している後ろ姿、その装い。<Pippoさんに違いない> 声をかけるとビンゴ!
自己紹介すると「ああ、吉本隆明の本をたくさん持っている」と言っていただき、全く知らないわけではなかったんだとほっとする。Pippoさんの書棚にも吉本の本が収められていた。「番頭さん(という呼び方)っていいですよねえ」と褒められ、恐縮。とみきち(妻)が、本の担当は風太郎と説明すると、「それじゃ、こちらは看板娘?」 「むすめ? いやいや、とんでもない、ウワッハッハ」。Pippoさん、おもしろ過ぎです。私は古本市に参加するまで、どうやって本を処分してきたかを話す。とみきちが「いいですよね~、本のことだけやっていればいいんですから」と言いつつ、我が家の惨状を訴える。それを聞いたPippoさん、とみきちに「それじゃ本以外にも何かなさっているんですか?」 とみきちが「本のこと以外の日常全般です」と事実をありのままに伝えたら、「そのほうがたいへんですよね~」と素敵な笑顔。
私が荒川洋治『言葉のラジオ』を手にとるやいなや、「荒川さんのエッセイ、どれもいいですよね。あの幅の広さはスゴイです」とPippoさん。嬉しくなる。「思索劇場」の話になると、「あまり熱く語るのも・・・」と口にされるので、「日常のブログとは別に、楽しみにしていますし、私たち二人とも好きなので、これからも書いてください」とお願い。初対面なのに厚かましいことこの上ない。わずかな時間でしたが、自然体でいながら、常に言葉を探求し、ことばと格闘しながら、大切にしている「現代の吟遊詩人」という印象を受けました。

わめぞ>の方々の中には、まだお話しさせていただいことのない方もたくさんいらっしゃいます。つまり、まだまだ多くの楽しみが残っているわけです。

〔購入本〕 敬称略
● 中原昌也 『KKKベストセラー』(朝日新聞社) 古書現世
● 武藤良子 『オ風呂ノ話。』 m.r.factory(武藤良子)
● 平出隆 『猫の客』(河出書房新社) ふぉっくす舎
● 荒川洋治 『言葉のラジオ』(竹村出版) 小高根二郎『詩人 伊藤靜夫』(新潮選書) チンチロリン商店(Pippo)
● 海野弘 『アール・ヌーボーの世界』(中公文庫) 文壇高円寺(荻原魚雷)
● 古井由吉 『行隠れ』(集英社文庫) 蟲文庫
○ 遊び箋セット・棕櫚ほうき 旅猫雑貨店
南陀楼綾繁 『山からお宝 本を積まずにはいられない人のために』(けものみち計画)
内澤旬子 『おやじがき-絶滅危惧種中年男性図鑑』(にんげん出版)

|

« わめぞ「外市」を堪能 (1) | トップページ | 『鶴見俊輔 いつも新しい思想家』 (河出書房新社) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1132277/27074980

この記事へのトラックバック一覧です: わめぞ「外市」を堪能 (2):

« わめぞ「外市」を堪能 (1) | トップページ | 『鶴見俊輔 いつも新しい思想家』 (河出書房新社) »