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フォーレ 「レクイエム」 魂を鎮めてくれる音楽

まず初めにお断りしておきますが、私はクラシック音楽好きですが、専門家ではありません。楽譜は読めませんし、楽器も演奏できない。30年間聴き続けてきただけです。従って、自分の経験においてのみ語ることになります。

どんな曲、どの演奏が心を動かし、沁みてきたかで、「好きな曲」「お薦めの曲」を紹介していきます。

モーツァルト、ヴェルディと並び、3大ミサ曲のひとつである。「怒りの日」を欠くからミサと呼べるだろうか。第1稿から第3稿まであるなかで、どれを取るか。「レクイエム」に元来「鎮魂」の意味はなかったなど、この曲を聴く際、音楽史的な知識は必要ない。かえって邪魔になるばかりです。

耳を澄ませて聴けば、いや、聞こえてきただけで、どれほど人の心に響いてくるか、わかります。心の闇を抱えていても、虚心になれると思います。安らぎ、慰め、浄化、至福。人によってさまざまな印象、思いを抱くことでしょう。

私事で恐縮ですが、最近あるイヴェントに参加し、余韻醒めやらず、嵐の真っただ中にいる感が否めません。それで、2つのフォーレのレクイエムのCDを聴いてから、この記事を書き始めています。そうでないと、書けないと思えたからです。

長くも、短くも感じられる人生の中で、この人、この本、映画、絵、あるいは情景などに出逢えただけで、生まれてきてよかったと思える瞬間があるよう、音楽にもあるはず。私にとって、そのひとつがこの曲です。

鎮魂曲と呼ぶにふさわしい曲ですから、私自身、親しい方が逝ってしまった時、生前を偲び、安らかに眠ってほしいと、祈りの思いを込めて聴きます。私と同じように、この曲をかける人も多いのではないでしょうか。生前に、自分が死んだときにはフォーレのレクイエムを流してほしいという者もいます。

しかし、最愛の人を喪った者、残された者の悲しみはどうなるのか。数え切れないくらいこのレクイエムを聴き続けているうちに、こう思うようになりました。

「鎮魂曲(レクイエム)は、逝ってしまった者の魂を鎮めるだけではなく、生きて在る者の魂をも、鎮めてくれるものだ」と。

つまり、この曲は聴く者の心も癒してくれるのではないかと。

聴いているうちに、あたたかく、やわらかな、それでいて眩いばかりの光に包まれたようになり、これが「死」というものなら、怖れもないのに、と思える瞬間が訪れてくるのです。同時に、亡くなったあの人も、こんなところにいてくれたらいいのに、と思えるのです。

まだ聴いたことがないという方は、是非、聴いてみてください。

〔 推薦盤 〕

■ ①ミシェル・コルボ指揮 ベルン交響楽団 サン=ピエール=オ=リアン・ドゥ・ビュル聖歌隊〈1972年録音〉

■ ②ミシェル・コルボ指揮  ローザンヌ器楽&声楽アンサンブル〈1992年録音〉

①(国内盤)ソプラノにボーイソプラノ起用しているため、他盤とは印象がかなり異なります。清澄の極みと言えるでしょうか。私が最初に聴いたのが、この盤です。

CDなど無い時代だったので、LPレコードで。美しいとか悲しいとか、言葉さえ見つからず、気がついたら涙がこぼれ落ちていました。「この世の音楽とは思えなかった」というのが、初めて聴いた時の感想でした。

②(輸入盤)同じ指揮者の演奏ですが、最初はfnacというマイナーレーベルから発売されたこともあって、その当時はあまり注目されず、長い間廃盤になってしまいました。私はたまたま、レコード芸術という雑誌に掲載されていた記事を見て、発売を知りました。

同じ指揮者の演奏ですから、期待を胸に聴き、かくも深い演奏が存在することに、陶然となりました。

現在はvirjinというレーベルから、モーツァルトのレクイエムとカップリング(2枚組)で再販されています。モーツァルトのレクイエムは、コルボなら旧録音(1976年)のほうがはるかに素晴らしいので、推薦とはしません。そのかわり、同じフォーレの、「ラシーヌの雅歌」「小ミサ曲」が入っています。この2曲がまた素晴らしい。①と違い、ソプラノは女性です。

①は、クラシック音楽を、そこそこ、置いているCDショップなら入手できるはずです。②は輸入盤のため、入手しづらいということがあります。HMVとかタワーレコードなら手に入れられるかもしれません。もし、こちらを店舗でお求めになるなら、事前に電話確認された方がいいでしょう。ネットでよければ、HMVには在庫があるみたいです。

クラシック音楽は苦手、40分も続く音楽など聴けないという方へ。

これは、本来なら決してお薦めしたくない聴き方ですが、第1曲「イントロイトゥスとキリエ」、第3曲「サンクトゥス」、第4曲「ピエ・イエズス」、第7曲「イン・パラディスム」を、まず聴いてみてください。

20分さえ、もたないという方へ。

どうか、第3曲「サンクトゥス」第4曲「ピエ・イエズス」だけでもいいので、聴いてみてください。7分です。その7分があなたの中の何かを変え、その後、全曲通して聴けるようになるかもしれません。

〔補記〕

コルボ指揮のCDは他に2種類の演奏があります。

実際に私が、2005年2月14日、東京オペラシティ・ホールにおいて生で聴いたライブ録音。そして、2006年録音最新盤です。

前者は、コンサートでの演奏が余りにも素晴らしかったために、SACDという高音質のCDをもってしても、実際に聴いた演奏に(音質も含め)、追いついてくれない。後者の最新盤も、好んで聴きますが、推薦盤ほど頻繁にではありません。

ご参考までに記しておきますと、コルボ以外に私が聴くのは、ヘレヴェッヘ盤とラッター盤です。

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