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「荒地」と「どん底」

四谷書房さんが12月25日の日録の中で、田村隆一『若い荒地』と「どん底」に触れていたので驚いてしまった。

というのも、ねじめ正一『荒地の恋』(文藝春秋)を面白く読み、田村隆一の『若い荒地』が講談社文芸文庫で発売された際、気になってすぐに購入していたからだ。まだ通読はしていない。詩について、それほど詳しいとは言えぬ私には、中身がかなり濃いため、一気に読めるものではなかった。

しかし、鮎川信夫、中桐雅夫、三好豊一郎、北村太郎などの若い頃の様子を知ることができ、田村のこの手の文章は初めて読むことになるので、興味は尽きない。上記4人に田村を含めた5人による座談会、鮎川、中桐、佐々木幹郎による解説、鮎川の日記などを含め飛ばし読みした程度だが、彼らの熱気がひしと伝わってくる。
本文144頁から162頁に亘る「最初の『死』の完成」には心打たれた。詩人牧野虚太郎の存在を私は知らなかった。もちろんその死も。ここでとりあげられている、中桐、三好、鮎川の追悼の文章は哀切で美しい。

そして、「どん底」。おそらく新宿三丁目の居酒屋「どん底」のことだと思う。三島由紀夫、美輪明宏、越路吹雪、野村萬、美川憲一、岸田今日子、吉行和子、富士真奈美、山下洋輔など、多くの有名人も足を運んだ店である。先般亡くなった峰岸徹もその一人だ。
22~23歳の頃、一人でよく足を運んだ。地下のカウンターが好みの席だった。誰かと話すわけでもなく、ただそこで飲むのが心地よかった。午前0時を過ぎると客層も変わってきて、彼らの話に耳を傾けるだけで酔えた。ほとんど安アパートで飲んでいた中、唯一の贅沢だったような気もする。社会人になってから、友人や会社の後輩などを連れていった。みな一様に興味を抱き、また来たいと言っていたものだ。もう7年近く行っていないが、この夏の昼間、近くを通った際に足を向けてみたら、あの佇まいのまま店は残っていた。久しぶりに行ってみたくなった。

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