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内堀弘『ボン書店の幻』を読む

先日、内堀弘『ボン書店の幻』(ちくま文庫)を読み終える。ボン書店という店舗を持たない出版社を立ち上げ、採算を顧みず、美しい詩集を一人で出版した鳥羽茂。読み進むにつれ、彼の青白く燃え盛る情熱に包まれ、神秘的ともいえる謎多き人生にぐいぐいと引き込まれた。著者の鳥羽茂を追う温かい視線、ひとつひとつ資料を丹念にあたり、関係者の話を聞き、鳥羽の人生を再現していく労力、執念には、ただただ頭が下がる。また、「文学史」というものが、身を削るようにして書物を送り出した刊行者には全くといっていいほど触れないことへの著者の違和感、いや、絶望的な不満にも共感を覚えてならない。今回、文庫化にあたり加えられた「文庫版のための少し長いあとがき」がまた、素晴らしい。これはいわゆる「あとがき」と呼ぶ範疇を超えている。著者の愛情があふれんばかりに注ぎ込まれた小篇と言っても過言ではない。特に最後の一行の余韻は、心の奥深くまで染み込んでくる。

モダニズム(詩人)の知識がなくとも、特別な本好きでなくとも、しっとりとした読後感を得られる素敵な本です。

ちなみに筆者内堀弘さんは、古書店「石神井書林」の店主さんです。

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